JPH0244635B2 - Genshiroyokozainotamenomigu*aakuyosetsuyowaiyaoyobisonoseizohoho - Google Patents

Genshiroyokozainotamenomigu*aakuyosetsuyowaiyaoyobisonoseizohoho

Info

Publication number
JPH0244635B2
JPH0244635B2 JP22379885A JP22379885A JPH0244635B2 JP H0244635 B2 JPH0244635 B2 JP H0244635B2 JP 22379885 A JP22379885 A JP 22379885A JP 22379885 A JP22379885 A JP 22379885A JP H0244635 B2 JPH0244635 B2 JP H0244635B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel
wire
welding
amount
gas shield
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP22379885A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS6284895A (ja
Inventor
Noriji Ko
Masao Hirai
Noboru Nishama
Tomoo Tanaka
Yutaka Oka
Shunichi Yuzuhara
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Doryokuro Kakunenryo Kaihatsu Jigyodan
Original Assignee
Doryokuro Kakunenryo Kaihatsu Jigyodan
Kawasaki Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Doryokuro Kakunenryo Kaihatsu Jigyodan, Kawasaki Steel Corp filed Critical Doryokuro Kakunenryo Kaihatsu Jigyodan
Priority to JP22379885A priority Critical patent/JPH0244635B2/ja
Publication of JPS6284895A publication Critical patent/JPS6284895A/ja
Publication of JPH0244635B2 publication Critical patent/JPH0244635B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野) 本発明は、ガスシールドアーク溶接用ワイヤと
その製造方法に関し、とくに、原子炉圧力容器や
それに関連する部材など、中性子照射環境下で使
用される鋼材をミグ・アーク溶接する際に用いる
ワイヤとその製造方法に関しワイヤ中にBおよび
希土類元素を添加含有させることにより、溶接金
属の高じん性を確保する一方で、 10B含有量を
抑制することによつて中性子照射脆化の防止にも
効果のある狭開先ミグ・アーク溶接用ワイヤを提
供するものである。 (従来の技術) 原子炉圧力容器あるいはその周辺配管部材等に
は、A533 Cl.1鋼、Cr−Mo鋼、ステンレス鋼な
どが用いられているが、これら鋼材の溶接には、
ミグ・アーク溶接法が好適であり、また原子炉鋼
材の溶接という特殊事情から、溶接金属部の中性
子照射脆化の防止に対して効果的な溶接材料、と
りわけワイヤが必要である。 従来、溶接金属の高じん性化のためには、溶接
金属組織の微細化が有効であり、一般的には溶接
ワイヤにTiやBを添加する方法がとられてきた。
また、高温引張延性やクリープ特性の改善にもB
の添加が有効であることが知られている。 しかしながら、原子炉関係部材の場合、溶接金
属部が中性子照射環境下にさらされるためにB添
加量をごく少量に制限している。Bを添加しない
理由は、Bを添加した場合溶接金属部に熱中性子
が照射されると、 10B(n、α) 7Li核反応が生
じて 10Bが崩壊し、その結果Heガスを生成し、
そのHeが延性低下が起こすためである。 このHe損傷つまり、Bを含む金属材料の中性
子による照射脆化の軽減には、従来B量を極力減
らすか、またこれらをTi、Nbなどで固定させる
方法が提案されているが、根本的な対策にはなつ
ていなかつた。 また、一般のミグ・アーク溶接法においては、
アークを安定化することおよびブローホール等の
溶接欠陥防止のために、シールドガスとしてAr
ガスに20%程度のCO2ガス(活性化ガス)を混合
して溶接している。しかし、そのために溶接金属
中の酸素量が増大し、たとえBを添加しても、そ
れが酸化介在物としてビード表面でスラグ化する
のでB添加の効果が滅殺されるばかりか狭開先ミ
グ・アーク溶接において、こうしたスラグ除去に
多大な工数が必要となる問題があつた。要する
に、Bの歩留りが低く、“バラツキ”も大きい問
題があり、本来の目的を達成することがむずかし
かつた。 こうした背景のもとで本発明者らは、溶接金属
中の酸素含有量を制御して、高じん性を得る方法
として、特開昭57−184586号や特開昭59−10493
号等で、溶接ワイヤ中に希土類元素を添加して、
低活性ガスシールドふん囲気中あるいは純不活性
ガスシールドふん囲気中における溶接であつても
アーク安定化を図り、溶接金属のじん性が改善で
きるミグ・アーク溶接方法を提案した。ところ
が、これらの方法はじん性改善には効果があつた
ものの耐中性子照射脆化に対しては全く無力であ
つた。 (発明が解決しようとする問題点) 上述のように、原子炉用溶接構造材料の場合、
溶接金属中にBが存在すると中性子照射による脆
化が問題となるが、これは自然界に存在するBに
は、 10B(全B量の約20%)および 11B(全B量
の約80%)の2種類の同位体元素があるが、これ
らのうち 10Bのみが中性子照射により 10B(n、
α) 7Liの核変換を起こし、Heに変換すること
が判つている。 なお、溶接金属中の冶金学的挙動および効果に
たいしては、 10Bおよび 11Bは全く同様と考え
られる。すなわちBは通常粒界に偏析しているか
10Bも粒界に偏在していると考えられる。そ
こで中性子照射により、生成したHeガスは粒界
の結合力を低下させることになり、そのため溶接
金属の高温引張延性の低下を招く結果になるので
ある。したがつて、組織を微細化し、高じん性化
の目的で添加されるBは、中性子照射環境下では
逆効果になることがわかる。 これに対しては、一つの方法として 10Bの量
を抑制すれば中性子照射脆化に伴う金属材料の引
張延性の劣化が軽減できる。しかし、ミグ・アー
ク溶接をする場合の問題点、いわゆるミグ・アー
ク溶接金属の低温じん性や、耐食性に対する特性
に対してはなお改善が必要である。 (問題点を解決するための手段) 本発明者らは、ワイヤ中に希土類元素を添加す
ることにより溶接金属中の酸素含有量を制御する
とともに中性子照射環境下においても安定な
11Bを多く添加することにより組織を微細化して
高じん性化を実現する一方、同時に少ない 10B
含有によつて、中性子照射に起因する高温引張延
性の低下を防止するのに有効なミグ・アーク溶接
用ワイヤとその製造方法を提供するものである。 第1に、純不活性ガスシールドふん囲気中ある
いは低活性ガスシールドふん囲気中で原子炉用鋼
材を溶接するための低合金鋼溶接用ワイヤであつ
て、C:0.05〜0.15wt%、Si:0.10〜0.70wt%、
Mn:0.4〜2.0wt%、P:0.02wt%、S:
0.02wt%を含有し、添加元素として、Cr:
10.0wt%、Ni:1.5wt%、Mo:2.5wt%、
Ti:0.05wt%の1種以上を含有し、さらに
0.0005wt%(10+11)B0.0050wt%、ただし 10B
の量が0.00004wt%以下であるB、および0.02〜
0.30wt%の希土類元素を含有させてなり、残部が
主としてFeと不可避的不純物である原子炉鋼材
のためのミグ・アーク溶接用ワイヤ、 第2に、純不活性ガスシールドふん囲気中ある
いは低活性ガスシールドふん囲気中で原子炉用鋼
材を溶接するためのオーステナイト系ステンレス
鋼溶接用ワイヤであつて、C:0.01〜0.08wt%、
Si:0.10〜0.70wt%、Mn:1.0〜2.5wt%、Ni:
8〜15wt%、Cr:17〜25wt%、Mo:≦3.0wt
%、Ti:1.0wt%、P:0.03wt%、S:<
0.02wt%を含有し、さらに0.0005wt%(10+11)B
0.0050wt%、ただし 10Bの量が0.00004wt%以
下であるB、および0.02〜0.30wt%の希土類元素
を含有させてなり、残部が主としてFeと不可避
的不純物である原子炉鋼材のためのミグ・アーク
溶接用ワイヤ、 第3に、上記ワイヤを得るために、鋼の溶製に
際し、粗脱炭段階までの溶湯中に、同位元素:
11Bの比率〔 11B/( 10B+ 11B)〕が自然存在
比よりも高い硼素含有原料を添加した後、脱B精
錬を行い、引き続いて 11Bの比率の高い硼素含
有原料の添加を複数回繰り返すことにより 11B
含有比率の高い溶鋼を溶製し、その後この溶鋼に
希土類元素の他必要な合金元素を添加し鋳造して
鋼片とし、かかる鋼片を常法に従つて圧延し伸線
して最終線径のワイヤとすることを特徴とするミ
グ・アーク溶接用ワイヤの製造方法、 をそれぞれ提案する。 要するに、本発明は、 10Bの低減と、 11Bの
富化に加えて、希土類元素を添加した溶接ワイヤ
を採用することにより、純不活性ガスシールドふ
ん囲気中あるいは低活性ガスシールドふん囲気中
でのミグ・アーク溶接に際して溶接金属中の酸素
含有量を低く制御できるから、高じん性化を確実
に達成し得るとともにクリープ特性も改善され、
さらに中性子照射環境下においても、高温引張延
性の脆化防止にすぐれた溶接金属を確保する技術
である。 なお、本発明は純不活性ガスシールドふん囲気
中あるいは低活性ガスシールドふん囲気中で、ミ
グ・アーク溶接を行う方法に用いるワイヤである
が、このワイヤを用いればBの酸化介在物および
ビード表面のスラグ生成が防止でき、スラグ除去
作業なしで次層の溶接が可能となるから狭開先厚
肉材溶接時の作業能率の向上が期待できる。 (作用) 以下に本発明にかかるワイヤの成分組成限定の
理由について述べる。 低合金鋼溶接ワイヤの場合 Cは、焼入れ性を改善し、引張強度を確保す
るために0.05wt%以上必要であるが、0.15wt%
を超えるとじん性が著しく低下するため0.05〜
0.15wt%に限定した。 Siは、脱酸剤として有効に作用させるために
は、0.10wt%以上を必要とする。また、強度上
昇にも有効であるが、0.70wt%を超えると急激
にじん性を劣化させるため、0.10〜0.70wt%に
限定した。 Mnは、0.4wt%未満では脱酸不足のためブ
ローホールを生成すると同時に低じん性であ
り、2.0wt%を超えると焼入れ性が高くなりす
ぎて、じん性劣化を生じるため、0.4〜2.0wt%
に限定した。 Crは、高温特性改善に有効に作用するが、
10.0wt%を超えて添加すると、焼入れ性が高く
なりすぎて、じん性劣化や割れを生じるため
10.0wt%以下に限定した。 Niは、低温じん性改善に有効であるが、
1.5wt%を超えて添加する必要はないため、
1.5wt%以下に限定した。 Moは、焼入れ性を増すため有効な元素であ
るが2.5wt%を超えるとじん性劣化を生じるた
め、2.5wt%以下に限定した。 Tiは、じん性改善に有効であるが、0.05wt
%を超えるとかえつて劣化するため、0.05wt%
以下に限定した。 Pは、じん性に対して悪影響を与えるため低
いほど良いが製鋼上脱りんが難しいので0.02wt
%以下が望ましい。 Sは、割れに対して有害であるが、Mn添加
により高融点のMnSを生成する。しかし低い
方が安全であるため、0.02wt%以下が望まし
い。 オーステナイト系ステンレス鋼溶接ワイヤの
場合 Cは、高温クリープ強度の改善には有効な元
素であるが、0.01wt%未満では溶接金属の高温
クリープ強度を確保できないため、下限は
0.01wt%とした。また、0.08wt%を超えて添加
すれば、高温クリープ強度の上昇は期待できる
が、δフエライト量減少に伴う高温割れ発生
と、耐食性の劣化を生じる。そのため、0.01〜
0.08wt%に限定した。 Siは、安定した溶接作業性を維持するために
は0.10wt%以上必要であるが、0.70wt%を超え
て添加すれば、溶接高温割れを助長するため、
0.10〜0.70wt%に限定した。 Mnは、脱酸元素であり、安定した溶接作業
性をえるためには、1.0wt%以上必要である。
しかしながら、オーステナイト形成元素である
ため、2.5wt%を超えて添加すれば、δフエラ
イト量が減少し、溶接高温割れを生じる。その
ため、1.0〜2.5wt%に限定した。 Niは、耐高温クリープ特性マトリツクスの
じん性を得るために8wt%以上は必要である
が、オーステナイト形成元素であるため、
15wt%を超えて過多に添加すればδフエライ
ト量が減少し、溶接高温割れを生じるため、8
〜15wt%に限定した。 Crは、フエライト形成元素であり、溶接高
温割れを防止する。溶接金属中にδフエライト
を生じさせるためには17wt%以上必要である。
しかしながら過多に含有すれば、Cr炭化物や
σ相などの金属間化合物の生成を助長し、溶接
金属の延性を劣化させるため、25wt%以下に
する必要がある。そのため17〜25wt%に限定
した。 Moは、耐食性を改善するが、3.0wt%を超
えて含有すると、δフエライト量が過多にな
り、溶接金属の延性を劣化させるため、3wt%
以下に限定した。 Tiは、耐食性を改善するが、1.0wt%を超え
て添加すると延性を劣化させるため1.0wt%以
下に限定した。 Pは、溶接高温割れを助長するために低い方
が良いが、製鋼上脱りんが難しいので0.03wt%
以下が望ましい。 Sは、とくに溶接割れに対して有害であるた
め、0.02wt%以下が望ましい。 次に、本発明ワイヤにおいて最も重要な添加元
素であるB添加量について、以下に説明するよう
な実験結果を通じてその根拠を述べる。 すなわち、実験は第1表に示した線径1.2mmφ
の2 1/4Cr−1Mo鋼ワイヤ、記号A〜Eを用い
て、板厚20mmの2 1/4Cr−1Mo鋼にミグ・アー
ク溶接を行つた。開先形状はルート部幅12mm、開
先角度2゜の狭開先とした。 溶接条件はAr+5%CO2ガスシールドふん囲
気中で、300A−24V−25cm/minで1層1パスで
6層盛溶接を直流正極性(ワイヤ(−))で行つ
た。得られた溶接金属の化学組成を第2表A′〜
E′に示す。同一アルフアベツト記号のワイヤと溶
接金属が対応することを意味する。(以後も同様) 記号A〜Dのワイヤは、アークが非常に安定
し、溶接欠陥も全く生じず良好な溶接作業性を示
したが、記号Eのワイヤは溶接金属に高温割れが
発生した。 また溶接後690℃で22hrの溶接後加熱処理を実
施し、記号A′〜D′の溶接継手部から2mmVノツ
チシヤルピー衝撃試験片を採取し、溶接金属中央
部にノツチを加工して、吸収エネルギを求め、じ
ん性改善に必要なB量の確認を行つた。その結果
を第3表に示すが、本発明の場合高じん性化を目
的としたので、一般基準より厳しい判定とした。
すなわち−65℃における吸収エネルギvE-65は、
5.5Kgf・m以上とし、GEタイプに従つたステツ
プクーリング後のソーカル脆化指数はvTr40
3ΔvTr4010℃とした。
【表】
【表】
【表】 この第3表の結果から、Ar+5%CO2の低活
性ガスシールドふん囲気中でミグ・アーク溶接し
た場合、B添加量が溶接金属中で0.0005wt%未満
では十分な組織の微細化が得られないため、じん
性改善の効果がないが、0.0005wt%以上では、じ
ん性改善が得られた。すなわち、じん性改善の点
から、B添加量は溶接金属中で0.0005wt%以上が
必要であることが判つた。また、溶接金属中のB
含有量が0.0050wt%を越えると、高温われが発生
するためこの値以下に規制する必要があることが
判つた。 次に、中性子照射脆化を考慮した場合 10B量
は低いほど安全ではあるが、0ppmにはできない
ため、次善の策として許容し得る最大 10B量に
ついてその臨界を検討した。 一般に原子炉構造物の健全性評価には引張破断
伸びが指標の一つとして用いられている。例えば
高速増殖炉の場合、使用材料が延性材料であるこ
とを前提として設計されており、10%以上の引張
破断伸びを持つことが延性材料の条件とされてい
る。 ステイグラーらはSUS 304鋼の照射後の700℃
における引張破断伸びと鋼中のHe生成量につい
て第1図に示すような関係を報告している(レポ
ートORNL−TM−2019、Jan 1968)。ステイグ
ラーらが実施した引張試験温度700℃は高速増殖
炉の構造物の一般的な最高使用温度550℃に比べ
て約150℃高い。一般に引張破断伸びに及ぼすHe
生成の影響は試験温度が高い方がより顕著に現れ
る。したがつて、照射後においても引張破断伸び
を確保するために制限されるべきHe生成量の限
界値は第1図を用いて求めた方が安全側の評価と
なる。また、構造物材料の健全性をより安全側に
確保するために裕度を持つた延性の条件として照
射後の引張破断伸びを20%以上確保することを材
料開発の一基準とした場合、第1図から鋼中の
He量は0.1appm以下であることが必要である。 一方、原子炉構造物が炉寿命末期までに受ける
熱中性子量は1×1020n/cm2(E>0.4eV)が上限
と考えられる。この値と高速増殖炉の最高使用温
度550℃及び鋼中のHe量の上限値0.1appmをもと
にして、引張破断伸び20%以上を確保するのに必
要な鋼中 10Bの許容量を算定するとおよそ
0.4ppmとなる。したがつて、改良が図らるべき
溶接金属中の 10B量も0.4ppm以下とすることが
肝要である。 以上は高速増殖炉の場合について述べたが、構
造材料の使用環境温度が低い軽水炉の場合におい
ても、He生成の原因となる 10Bを0.4ppm以下に
規制することは原子炉構造物の材料健全性を確保
する上で有益である。すなわち、この場合原子炉
構造物として供される合金における 10B(n、
α) 7Liによる核変換の割合が、核変換を起こさ
ない 11B量に比較して相対的に少ないことから
B成分添加の効果がより良く保持される。また、
軽水炉の事故等における出力異常上昇に伴う温度
上昇においても構造物の変形機能が保持されるこ
とは有利なことである。 したがつて溶接金属中 10B量は0.4ppm以下に
することが必要であり、そして組織微細化に必要
なB量は5ppm以上、高温われ防止のためには
50ppm以下で適正量であることが判る。 この規制値をこれまでに得られた実験事実に基
づいて、ワイヤ中添加量に換算すれば、純不活性
ガスシールドふん囲気中あるいは低活性ガスシー
ルドふん囲気中でミグ・アーク溶接を行つた場
合、B量の歩留りは、ほぼ100%であるから、こ
の場合のワイヤ中のB量の下限値は0.0005%、上
限値は0.0050%、かつ 10B量を0.4ppm以下にし
なければならない。ここで、Bの構成比が 10B
=2%、 11B=98%のBを使用した場合、B添
加量の上限値は、20ppmとなるが、高温割れが生
じない最大B添加量としては上述した0.0050wt%
を上限値とする。なお、 11Bの引張延性低下抑
制効果の機構としては、 11Bの存在により、生
成Heの凝集、粗大化が制されるものと推定され
る。 次に、B添加によるクリープ延性の改善効果を
調べるために第1表に示した溶接金属A′、B′、
C、′D′を、690℃で22hr溶接後加熱処理した後、
機械加工でクリープ試験片を採取した。試験温度
500℃、付加応力25Kgf/mm2の条件でクリープ試
験を行つた。クリープ試験結果を第2図に示す。 図中の縦軸は、全B量(T・B):4ppmの溶接
金属(A′)の破断時間を1としたときの比を示
している。図中横軸は溶接金属中のT・B量であ
る。図から明らかなようにT・B:6ppm以上で
クリープ破断寿命化が増大しはじめ効果が確認さ
れた。ところが20ppmを越えると、ほとんど変化
がなく飽和状態となつた。 次に、希土類元素含有量についてであるが、純
不活性ガスシールドふん囲気中あるいは低活性ガ
スシールドふん囲気中で、安定したミグ・アーク
溶接を持続させるためには、0.02wt%以上の添加
が必要である。しかしながら、あまりに多量に添
加すれば、酸化不純物がじん性に悪影響を与える
ため、上限値は0.30wt%に限定される。 次に、本発明にかかる上述したワイヤ製造方法
について具体的に述べる。すなわち、自然界の存
在比よりも小さい 10Bを含有する溶接ワイヤを
製造するには、製錬過程において、十分脱B精錬
(脱Cとともに進行する)を行つた後に、 11Bを
濃縮させたBを添加し、さらに必要があれば、こ
れらの製錬過程をくり返すことにより、実現す
る。 すなわち、(粗脱炭段階の)溶鋼中に、 11Bを
自然存在比(80.4%)以上含有する硼素含有原
料、例えばFe−B合金、硼素化合物(B2O3)、硼
酸(H3BO3)などを添加して転炉電気炉などで
精錬し、脱C反応とともに脱B精錬を進行させ
る。こうした操作を何回か繰返すことにより
11Bの含有比が高い炭素鋼、低Cr−Mo鋼、フエ
ライト系高クロム鋼、オーステナイト系ステンレ
ス鋼等を溶製し、造塊して鋼片とする。 この鋼片は、常法に従つて圧延し、その後伸線
して溶接用ワイヤとする。 (実施例) 例 1 まず、この実施例で使用する溶接用ワイヤの製
造方法についてのべる。溶接に当り出鋼成分が重
量で、C:0.04%、Si:0.35%、Mn:1.6%、
P:0.02%、S:0.01%、Ni:10.5%、Cr:20.0
%およびREM:0.05%になるように、転炉で溶
製し、その後真空溶解炉で脱B処理をして全B量
を2ppmとした( 10B量は2ppm×0.2=0.4ppm)。
引き続いて得られた溶鋼中にさらに 11Bを全B
の98%含むFe−Bを50ppm添加し、脱B処理後
鋼塊とした。( 10B量は0.4ppm+50ppm×0.02=
1.4ppmすなわち全B量に対する 10Bの比率は1.4
÷52×100≒2.7%)全B量を分析したところ
2ppmであり( 10B量は2ppm×0.027≒
0.05ppm)、この鋼塊:即ち原料鋼塊の一部を再
溶解し、再び、 11Bが全Bの98%のFe−Bを量
を加えて添加し、第4表に示す組成のものを得
た。 ここで、 10Bについては、全B分析値から次
式で計算した。 10B量=0.05ppm+(全B分析値−2)ppm×
0.02 上述のように精錬して得られた各鋼塊を、鍛
造、伸線加工し、1.2mmφのミグ・アーク溶接用
ワイヤを製造した。 次に、上述のようにして得られた第4表に示す
化学組成のワイヤG〜Kについて、板厚25mmの
SUS304鋼板を用いて純不活性ガスシールドふん
囲気中にて直流逆極性(ワイヤ(+))の極性で
ミグ・アーク溶接試験を行つた。溶接の条件は、
開先形状がルート部開先幅12mmで、開先角度2度
の狭開先とし、300A、27V、22cm/minの条件
で、1層1パスで6パス溶接をした。第4表に溶
接金属の化学組成を併記した。 溶接金属のシヤルピー衝撃試験、硫酸・硫酸銅
による粒界割れ試験を行うとともに、従来の知見
から本発明例と比較例について検討した。ワイヤ
G、Hにおける溶接金属は全B量が十分高いにも
かかわらず、 10B量を0.4ppm以下に抑えること
ができ、本発明で求めた規制値以内であり、中性
子照射脆化を防止できることは明らかである。 また、ワイヤG、H、Jにおいて、溶接金属の
−196℃における吸収エネルギーについても検討
したが、規制値を十分に満足しており、粒界割れ
試験においても全く割れは検出されなかつた。な
お、ワイヤIの溶接金属は、吸収エネルギが低
く、粒界割れが発生した。一方ワイヤKについて
は、溶接金属に高温割れが発生した。
【表】 実施例についての検討結果の考察; (1) ワイヤB中の不適性 ワイヤKについては、溶接金属の液体浸透試
験を実施したところ、高B含有量に起因すると
思われる割れが見つかつた。また、ワイヤIに
ついては、溶接金属の−196℃におけるシヤル
ピー衝撃試験を実施したところ、吸収エネルギ
ーが規制値を下まわつた。さらに粒界割れ試験
においても低B量に起因すると思われる割れを
生じた。 (2) ワイヤ中 10Bの不適性 ワイヤJ、Kの溶接金属は、全B量から計算
により求めた 10B量が、0.4ppmを超えており、
本発明で求めた規制値を超えている。 (3) ワイヤ中REMの不適性 REM添加なしのワイヤ(その他の成分は、
重量%でC:0.05%、Si:0.36%、Mn:1.57
%、P:0.018%、S:0.008%、Ni:10.2%、
Cr:20.2%、全B:20ppm)および第4表の実
験に使用した鋼板を用いて、純不活性ガスシー
ルドふん囲気中で、直流逆極性ワイヤでミ
グ・アーク溶接を行つたが、アークが開先壁を
はい上がつたり、ワイヤ先端が溶融池内に突込
んだりし、安定した溶接ができなかつた。 (4) シールドガス組成の不適性 第4表に示したワイヤHと板厚25mmの
SUS304鋼板を用いて、100%Arシールドふん
囲気中(純不活性ガスシールド)Ar+3%
CO2シールドふん囲気中(低活性ガスシール
ド)およびAr+20%CO2シールドふん囲気中
(活性ガスシールド)でミグ・アーク溶接した。
溶接金属の−196℃におけるシヤルピー衝撃試
験により吸収エネルギーを求めたが、純不活性
ガスシールドによる溶接金属は17.3Kgf・m、
低活性ガスシールド溶接金属は12.1Kgf・m、
活性ガスシールド溶接金属は3.8Kgf・mであ
り、シールドガスとして一般に用いられている
活性ガスシールドふん囲気中でミグ・アーク溶
接すればじん性劣化を生じた。また、活性ガス
シールドふん囲気中で、ミグ・アーク溶接を行
うとスラグ生成量が著しく多くなり、特に厚鋼
材の狭開先溶接において、スラグ除去作業に多
大な工数を要した。 例 2 第1表に示したA533Cl1鋼の1.2mmφワイヤF
を用いて、板厚50mmのA533Cl1鋼にミグ・アーク
溶接を行つた。開先形状は、ルート部4.5R、表
面部開先幅11mm、開先深さ45mmの狭開先とした。
溶接条件はAr+8%CO2の低活性ガスシールド
ふん囲気中で、280A−24V−20cm/minで、1層
1パスで11パス、直流正極性で、ミグ・アーク溶
接した。溶接金属の化学組成を第2表記号F′に示
す。全B量から計算により求めた 10B量は、
0.2ppmであり、中性子照射脆化が防止できるこ
とは明らかである。 溶接後、590℃で18hr溶接後加熱処理を実施し、
溶接金属のシヤルピー衝撃試験を行つた。その結
果を第5表に示すが、非常に低温じん性のすぐれ
た溶接金属が得られた。
【表】 なお、この実施例では、低合金鋼として、2
1/4Cr−1Mo鋼およびA533Cl1鋼の鋼板を溶接す
る場合を、またステンレス鋼としてSUS304鋼の
鋼板を溶接する場合を例として示したが、本発明
はその他9Cr−Mo鋼、含Moステンレス鋼、含
Nbステンレス鋼、Ni基合金(インコネル)など
の鋼種の鋼板を溶接対象とする場合についても同
様に適用が可能である。 (発明の効果) 以上説明したように本発明によれば、 11B富
化と希土類元素添加のワイヤの製造が可能にな
り、そうしたワイヤを用いるので、純不活性ガス
シールドあるいは低活性ガスシールドふん囲気中
でも、ミグ・アーク溶接を安定して実施でき、溶
接金属中の酸素含有量を低減できるため、Bとの
相乗効果により、高じん性、高延性、すぐれた耐
食性が得られる。さらに、中性子照射脆化の防止
をも有利に実現した溶接継手部が得られ、安全性
が保証される。
【図面の簡単な説明】
第1図は引張破断伸びとHe量の関係を示すグ
ラフ、第2図は全B量とクリープ破断寿命化の関
係を示すグラフである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 純不活性ガスシールドふん囲気中あるいは低
    活性ガスシールドふん囲気中で原子炉用鋼材を溶
    接するための低合金鋼溶接用ワイヤであつて、
    C:0.05〜0.15wt%、Si:0.10〜0.70wt%、Mn:
    0.4〜2.0wt%、P:0.02wt%、S:0.02wt%
    を含有し、添加元素として、Cr:10.0wt%、
    Ni:≦1.5wt%、Mo:≦2.5wt%、Ti:0.05wt
    %の1種以上を含有し、さらに0.0005wt%
    (10+11)B0.0050wt%、ただし 10Bの量が
    0.00004wt%以下であるB、および0.02〜0.30wt
    %の希土類元素を含有させてなり、残部が主とし
    てFeと不可避的不純物である原子炉鋼材のため
    のミグ・アーク溶接用ワイヤ。 2 純不活性ガスシールドふん囲気中あるいは低
    活性ガスシールドふん囲気中で原子炉用鋼材を溶
    接するためのオーステナイト系ステンレス鋼溶接
    用ワイヤであつて、C:0.01〜0.08wt%、Si:
    0.10〜0.70wt%、Mn:1.0〜2.5wt%、Ni:8〜
    15wt%、Cr:17〜25wt%、Mo:≦3.0wt%、
    Ti:1.0wt%、P:0.03wt%、S:<0.02wt
    %を含有し、さらに0.0005wt%(10+11)B
    0.0050wt%、ただし 10Bの量が0.00004wt%以下
    であるB、および0.02〜0.30wt%の希土類元素を
    含有させてなり、残部が主としてFeと不可避的
    不純物である原子炉鋼材のためのミグ・アーク溶
    接用ワイヤ。 3 鋼の溶製に際し、粗脱炭段階までの溶湯中
    に、同位元素: 11Bの比率〔 11B/( 10B+
    11B)〕が自然存在比よりも高い硼素含有原料を
    添加した後、脱B精錬を行い、引き続いて 11B
    の比率の高い硼素含有原料の添加を複数回繰り返
    すことにより 11B含有比率の高い溶鋼を溶製し、
    その後この溶鋼に希土類元素の他必要な合金元素
    を添加し鋳造して鋼片とし、かかる鋼片を常法に
    従つて圧延し伸線して最終線径のワイヤとするこ
    とを特徴するミグ・アーク溶接用ワイヤの製造方
    法。
JP22379885A 1985-10-09 1985-10-09 Genshiroyokozainotamenomigu*aakuyosetsuyowaiyaoyobisonoseizohoho Expired - Lifetime JPH0244635B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22379885A JPH0244635B2 (ja) 1985-10-09 1985-10-09 Genshiroyokozainotamenomigu*aakuyosetsuyowaiyaoyobisonoseizohoho

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22379885A JPH0244635B2 (ja) 1985-10-09 1985-10-09 Genshiroyokozainotamenomigu*aakuyosetsuyowaiyaoyobisonoseizohoho

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS6284895A JPS6284895A (ja) 1987-04-18
JPH0244635B2 true JPH0244635B2 (ja) 1990-10-04

Family

ID=16803883

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22379885A Expired - Lifetime JPH0244635B2 (ja) 1985-10-09 1985-10-09 Genshiroyokozainotamenomigu*aakuyosetsuyowaiyaoyobisonoseizohoho

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0244635B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112719692A (zh) * 2021-04-01 2021-04-30 四川西冶新材料股份有限公司 一种900MPa级高强钢气保护实心焊丝及其制备方法

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103667925B (zh) * 2013-12-16 2015-12-30 天津钢铁集团有限公司 一种实芯堆焊焊丝用盘条生产工艺
CN104128715B (zh) * 2014-08-05 2016-08-24 四川大西洋焊接材料股份有限公司 一种用于核电用钢安全壳的气体保护焊丝

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112719692A (zh) * 2021-04-01 2021-04-30 四川西冶新材料股份有限公司 一种900MPa级高强钢气保护实心焊丝及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPS6284895A (ja) 1987-04-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5756935B2 (ja) 耐粒界腐食性および耐応力腐食割れ性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼およびその製造方法
Gunn Duplex stainless steels: microstructure, properties and applications
JP3408385B2 (ja) 溶接熱影響部靭性の優れた鋼
JP5861599B2 (ja) 原子炉用オーステナイト系ステンレス鋼
RU2373039C1 (ru) Сварочная проволока для сварки жаропрочных жаростойких сплавов
JP2831051B2 (ja) オーステナイト系ステンレス鋼溶接用ワイヤ
JPH0244635B2 (ja) Genshiroyokozainotamenomigu*aakuyosetsuyowaiyaoyobisonoseizohoho
CN118218842A (zh) 一种低碳奥氏体不锈钢焊丝及其应用和焊接方法
JP4273339B2 (ja) 高Cr鋼の溶接継手および溶接材料
JPH0250976B2 (ja)
JPH0787989B2 (ja) 高強度Cr―Mo鋼のガスシールドアーク溶接施工法
US4744824A (en) Method of producing metallic materials for the components of nuclear reactors
JPS6228097A (ja) オ−ステナイト系ステンレス鋼のミグア−ク溶接用ワイヤ
Yurioka Impact of welding research on steel composition development
JPH0583626B2 (ja)
CN115091077B (zh) 一种耐液态铅铋腐蚀的奥氏体不锈钢焊丝
RU2800699C1 (ru) Коррозионно-стойкая нейтронно-поглощающая сталь
CN116287558B (zh) 一种非保护气氛电渣重熔含B型9Cr耐热钢脱氧工艺
JPS6284886A (ja) 耐食性および耐中性子照射脆化特性に優れる肉盛金属を得るためのエレクトロスラグ肉盛溶接法
RU2777681C1 (ru) Высокопрочная теплостойкая и радиационностойкая сталь
Uesaka et al. Manufacture
JPH0425342B2 (ja)
RU2716922C1 (ru) Аустенитная коррозионно-стойкая сталь с азотом
JP7370830B2 (ja) ニッケル基合金溶接材料、原子炉用溶接材料、原子力用機器および構造物、ならびに原子力用機器および構造物の補修方法
US20210269905A1 (en) Radiation-Resistant Austenitic Steel for an Internal Baffle for Pressurized Water Reactors