JPH024259Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本考案はトラクターのデイスクブレーキ装置の
構成に関するものである。

(ロ) 従来技術 従来からデイスクブレーキ装置において、油圧
室をリアアクスルケース側に設け、車軸を駆動す
るデイスクをリアアクスルハウジング側に設けた
技術は公知とされているのである。

例えば実開昭52−19813号公報の如くである。

(ハ) 考案が解決しようとする問題点 しかし該従来の技術においては、シリンダー室
内に配置したアクチユエーターをリアアクスルケ
ースに対して固定していないので、制動開始時に
おいて該アクチユエーターが回転してしまうとい
う不具合いがあつたものである。

また該アクチユエーターとの間でデイスクを挟
持制動する挟持体が、上記従来の技術において
は、外径側でリアアクスルハウジングに回転不能
状態に係合されている為に、制動時において該挟
持体を回転させようとする負荷が該挟持体外周の
固定ボルトに剪断力として作用し、該固定ボルト
が剪断するという不具合いかあつたものである。

本考案はこのような従来技術の不具合いを解消
すべく構成したものである。

(ニ) 問題を解決するための手段 本考案の目的は以上の如くであり、次に該目的
を達成する為の構成を説明すると。

リアアクスルケース７の外側面にドーナツ状の
シリンダー室７ａとアクチユエーター２５を配置
し、該アクチユエーター２５が対向するリアアク
スルハウジング１０内に、ブレーキ軸２３上に係
止したデイスク３４と、挟持体３６と、遊星ギア
式減速装置の内歯歯車２９を順に重複配置した構
成において、アクチユエーター２５はノツクピン
２４によりリアアクスルケース７に回転不能状態
に係合し、挟持体３６は内歯歯車２９を貫通した
ノツクピン３６ａを介して、リアアクスルハウジ
ング１０に回転不能状態に係合したものである。

(ホ) 実施例 本考案の目的・構成は以上の如くであり、次に
添付の図面に示した実施例の構成を説明すると。

第１図はクラツチハウジング４、ミツシヨンケ
ース６、リアアクスルケース７部の側面図、第２
図はリアアクスルケース７内のデフ装置の構成を
示す断面図、第３図はデフロツク装置の操作機構
を示す側面図、第４図は同じく平面図、第５図は
デフロツクペダルのリンク機構の側面図、第６図
は同じく後面図である。

トラクターの機体はエンジンの後部にクラツチ
ハウジング４を固設し、その後面にセンタープレ
ート５を挟持してミツシヨンケース６を固設し、
ミツシヨンケース６の後面にリアアクスルケース
７を固設して構成している。

ブレーキペダルはクラツチハウジング４の右側
に左右のブレーキペダル２Ｌ，２Ｒが設けられて
おり、ブレーキペダル２Ｌ，２Ｒがペダル杆２ａ
にてカム体１２Ｌ，１２Ｒに連結されている。

カム体１２は枢支軸１３に枢支されている。枢
支軸の支持体１４はポンプケース１５に固設され
ている。

ポンプケース１５内に左右のシリンダーとピス
トン１５ａが構成され、カム体１２の一端でこの
ピストン１５ａを押すことにより、圧油を高圧パ
イプ８，９へ押し出すべく構成している。

ポンプケース１５への作動油の給油は、クラツ
チハウジング４の側面の連通孔より、ミツシヨン
ケース変速室内の潤滑油を取り入れることにより
行つている。

高圧パイプ８，９の先端は左右のデイスクブレ
ーキ装置のアクチユエーター用シリンダー室７ａ
につながつている。

該アクチユエーター用のシリンダー室７ａが、
本考案では、リアアクスルケース７の側面とリア
アクスルハウジング１０の内側面の合せ部のう
ち、リアアクスルケース７側に刻設されているの
である。

第２図はリアアクスルケース７内のデフ装置及
びデイスクブレーキ装置の断面図である。

ピニオン軸１６により最終変速後の動力が、リ
ングギヤ１７へ伝えられる。リングギア１７はデ
フケース１９に固設されており、デフケース軸１
８からデフケースピニオン１８ａへ伝えられる。
デフケースピニオン１８ａから、動力は左右のデ
フサイギヤ２１Ｌ，２１Ｒへ伝えられる。

デフサイドギヤ２１はブレーキ軸２３にスプラ
イン嵌合しており、ブレーキ軸２３がリアアクス
ルケース７から外へ出た部分にデイスク取付体２
６と惑星ギヤ２８が噛み合つている。

デイスク取付体２６の外周にデイスク３４が固
定され、該デイスク３４をアクチユエーター２５
と挟持体３６が挟持し制動する。

高圧パイプ８もリアアクスルケース７側油路に
連結されている。３７は空気抜きのバルブであ
り、空気を噛み込むとブレーキの効きが悪くなる
のでボルト３８をゆるめてバルブを開けて空気を
抜くようにしている。

惑星ギヤ２８は３個設けられており、３個が内
周ブレーキギヤ２３の歯車に噛合し、外側は内歯
歯車２９の内歯に噛合して回転する。惑星ギヤ２
８の枢支軸２７が軸固定体に固定されており、ブ
レーキ軸２３の歯車と内歯歯車２９の歯の差によ
つて公転転する惑星ギヤ２８の回転を車軸３１へ
伝えているのである。

シリンダー室７ａ内に嵌装されたドーナツ状の
アクチユエーター２５と対向した位置に、デイス
ク３４と挟持体３６と内歯歯車２９が配置されて
いる。

該デイスク３４は前述の如くブレーキ軸２３に
固定されて回転するものであるが、アクチユエー
ター２５と挟持体３６は、デイスク３４と共に回
転しないように、リアアクスルケース７またはリ
アアクスルハウジング１０の側に固定しているの
である。

該アクチユエーター２５はリアアクスルケース
７の側に、摺動して突出可能でかつリアアクスル
ケース７に対して第２図の如くノツクピン２４に
より回転不能状態に係止しているのである。

また挟持体３６は従来の技術においては、外周
にリアアクスルハウジング側から螺装したボルト
やノツクピンを設けて、外周においてリアアクス
ルハウジング１０に固定していたのであるが、本
考案においては該挟持体３６にノツクピン３６ａ
を嵌装し、該ノツクピン３６ａを内歯歯車２９を
貫通し、該ノツクピン３６ａの他端はリアアクス
ルハウジング１０に係合嵌装している。

また第２図において、デフケース１９とデフサ
イドギヤ２１をロツクピン２０にて係合させデフ
ロツクをすべて構成している。

ロツクピンはスライダー２０ａに固設され、ス
ライダー２０ａがデフロツクシフター２２により
左右へ摺動させられる。デフロツクシフターは第
４図の如く、シフター軸４４上に摺動支持部が設
けられており常時はバネ４７により非ロツク方向
に付設されている。

これをロツク方向に動かす場合には、カムピン
４５がシフター軸４４の回動により回動すること
により、デフロツクシフターの摺動支持部のカム
面２２ａが押されて、デフロツクシフター２２が
ロツク方向へ移動するのである。

シフター軸の回動は、デフロツクペダルの踏み
込みにより行われる。第３図の如くデフロツクペ
ダル３９、ペダル杆３９ａ、枢支軸４０、アーム
４１が構成されている。

リンク４８が上方へ突かれて、アーム４３が上
向きに回動し、シフター軸４４を回転させるので
あるが、ロツクピンとデフサイドギヤの孔が合致
しない場合に、そのまま力まかせにデフロツクペ
ダルを踏み込んでしまい、アームやリンクやピン
類を傷めることがよくあるのである。

このような操作ミスを失くすべて、ロツクピン
と孔が合致しない場合には途中のリンクが収縮す
るようにリンク４８にバネ４２が介装されてい
る。バネ４２とリンク４８の形状は第５図，第６
図の如く構成されており、リンク４８は途中から
バネガイドの役目を果たしている。

リンク４８の上部はアーム４３と枢結されてい
るが、下端はリンク５５に対し上下摺動自在とし
ている。バネ４２は上端がリンク４８のバネ受け
ピン５０により受けられており、下端はリンク５
５のバネ受け部５５ａに受けられており、ロツク
ピンが孔と合致しない場合にはバネ４２が収縮し
て、バネ受けピン５０とバネ受け部５５ａの間が
短かくなり、無理にペダルを踏み込んでも他の部
分に無理な力がかかることはないのである。

ロツクペダル３９を踏み込んだままにしておく
とロツクピンと孔が合致し、バネ４２は正常な長
さに伸びてデフロツクも行われるのである。デフ
ロツクペダル３９から足を外すと、シフター軸４
４上のバネ４７により、デフロツクペダルは元へ
押し上げられるのである。

(ヘ) 考案の効果 本考案は以上の如く構成したので、次のような
効果を奏するものである。

第１に、アクチユエーター２５の押動操作によ
り、挟持体３６や内歯歯車２９に掛かる押圧力は
圧縮荷重であり、従来技術の如く挟持体の外周を
リアアクスルハウジングに固定した場合に発生す
る挟持体の係止部に対する剪断破壊が発生し難く
なつたものである。

第２に、従来の挟持体の取付方法に比較して、
本考案は挟持体３６をアクチユエーター２５を貫
通したノツクピン３６ａにより回転不能状態に係
止したことにより、挟持体３６と内歯歯車２９の
取付強度と取付精度が向上したのである。また、
挟持体３６と内歯歯車２９の組立・保守が容易と
なつたものである。また内歯歯車２９と惑星ギヤ
２８の歯当たりの調節が容易となつたものであ
る。

第３に、シリンダー室７ａの内部でスライドす
るので、従来はアクチユエーター２５をリアアク
スルケース７に対して回転不能状態に係止しなか
つたものであるが、本考案はアクチユエーター２
５をスライド可能としたノツクピン２４により、
リアアクスルケース７側に回転不能状態に係合し
たので、アクチユエーター２５とリアアクスルケ
ース７の側においても係止力が働くので、ブレー
キの制動効果が発生する時間が早くなり、従来の
挟持体とリアアクスルハウジングの間で係止力を
主として発揮させていたブレーキ装置の場合より
も制動力が大きく、かつ小形の装置とすることが
出来たものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はクラツチハウジング・ミツシヨンケー
ス・リアアクスルケースの側面図、第２図はリア
アクスルケース内のデフ装置の構成を示す図面、
第３図はデフロツク装置の操作機構を示す側面
図、第４図は同じく平面図、第５図はデフロツク
ペダルのリンク機構の側面図、第６図は同じく後
面図である。 ７……リアアクスルケース、７ａ……シリンダ
ー室、１０……リアアクスルハウジング、２３…
…ブレーキ軸、２５……アクチユエーター、２９
……内歯歯車、３１……車軸、２８……惑星ギ
ヤ、３４……デイスク、３６……挟持体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. リアアクスルケース７の外側面にドーナツ状の
   シリンダー室７ａとアクチユエーター２５を配置
   し、該アクチユエーター２５が対向するリアアク
   スルハウジング１０内に、ブレーキ軸２３上に係
   止したデイスク３４と、挟持体３６と、遊星ギア
   式減速装置の内歯歯車２９を順に重複配置した構
   成において、アクチユエーター２５はノツクピン
   ２４によりリアアクスルケース７に回転不能状態
   に係合し、挟持体３６は内歯歯車２９を貫通した
   ノツクピン３６ａを介して、リアアクスルハウジ
   ング１０に回転不能状態に係合したことを特徴と
   する農用トラクターのブレーキ装置。