JPH0241707Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、上載されたコインの多少に拘らず円
滑にコインを送出することができるコイン送出用
円盤に関する。

〔従来の技術〕

従来、コイン計数機においては、上面がほぼ平
滑な円盤をほぼ水平面内に回転駆動し、ホツパ等
より投入されたコインを、その円盤上に載せ、コ
インに遠心力を付与することによりコイン選別機
構、コイン計数機構等へコインを送出せしめてい
た。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところが、円盤上に一時に大量にコインが載せ
られると、コイン同士の重なり合いや円盤を囲繞
する壁面等の影響によりコイン選別機構等へのコ
インの送出が停滞するということが、まま起きて
いた。

この場合、円盤上に突部を設けてコインを撹拌
することも考えられるが、コイン送出が進んで円
盤上のコイン枚数が少なくなると、かえつてコイ
ンの円滑な送出を妨たげる結果を招く虞れがあ
る。

本考案は、従来存した如上の問題を解決し、上
載されたコインの多少に拘らず円滑にコインを送
出することができるコイン送出用円盤を提供する
ことを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案は、上載さ
れたコイン１……１に、ほぼ水平面内の回転駆動
により遠心力を付与し、コイン選別機構２、コイ
ン計数機構等へ送出する円盤において、上面に、
外周近傍から回転方向と逆向きに内方に向つて外
に凸の円弧状をなし、ほぼコイン１厚以下の深さ
であると共に、コイン１半径以下の巾の溝３を１
又は２以上刻設している。

〔作 用〕

本考案コイン送出用円盤４は、コイン計数機等
において、ホツパ等より投入されたコイン１……
１をコイン選別機構２、コイン計数機構等へ送出
するためのものであつて、その作用は、本考案円
盤４をほぼ水平面内に回転駆動し、ホツパ等より
投入され、本考案円盤４上に載せられたコイン１
……１に遠心力を付与することにより行われる。

この場合、本考案円盤４の上面には、溝３が１
又は２以上刻設されているため、次のように作用
する。

本考案円盤４上に存するコイン１……１数が比
較的少なく、コイン１……１が円盤上に整列し、
又は分散したような状態の場合は、溝３の幅がコ
イン１半径以下であることから、溝３への嵌合は
もちろん、溝３中へのコイン１……１の傾斜も生
じ難く、溝３の影響はほとんど表われない。従つ
て、遠心力によりコイン１……１は順次コイン選
別機構２等へ送出される。

本考案円盤４上にコイン１……１が密に存在
し、多数重なり合つているような状態の場合、す
なわちコイン選別機構２等に対するコイン１……
１送出の停滞が生じやすい場合は、円盤の回転に
よつて引き起されるコイン１……１同士の衝突に
よるコイン１……１の振動やコイン１……１の重
合又は、本考案円盤４を囲繞する壁面５の存在等
により溝３中にコイン１……１が傾斜し易い。

溝３は、円盤の外周近傍から回転方向と逆向き
に内方に向つて外に凸の円弧状をなすことから、
溝３中に傾斜したコイン１は、円盤の回転に逆ら
つて溝３の外壁に沿つて円盤の内方に移動するこ
ととなり、コイン１……１の重合等によるコイン
１……１送出の停滞を解消し、又はコイン１……
１の撹拌により停滞を予防することができる。

この場合において、溝３は、本考案円盤４の外
周近傍から内方に向つて刻設されているので、遠
心力により円盤外周に向つて集中するコイン１…
…１に対する撹拌に適している。

また、溝３が直線状である場合は、中心から離
れた周速度の大きいところでは周方向、すなわち
周速度方向となす角度が大きく、中心に近づいて
周速度が小さくなるほど周速度方向となす角度が
小さくなるので、溝３の外壁に沿つてのコイン１
……１の内方移動に円滑性を欠き易いものとなる
が、本考案円盤４における溝３は、外周近傍から
回転方向と逆向きに内方に向つて外に凸の円弧状
をなすので、溝３の外壁に沿つてのコイン１……
１の内方移動を円滑に実現させ得る。

更に、溝３の深さはほぼコイン１厚以下であ
り、幅はコイン１半径以下であるから、溝３にコ
イン１……１が嵌り込み、かえつて停滞を助長す
るようなことは生じない。

このような作用の１例を第３図により説明する
と、従来円盤においては、第４図に示す如くコイ
ン１……１が重合した場合、コイン１……１送出
の停滞が継続することが起こりがちであつたが、
本考案円盤４においては、コイン１……１の重合
が溝３の個所で生じ、又は、コイン１……１が重
合した状態で円盤の周方向に移動して溝３の個所
に達して第３図ａに示す如くなつた場合、溝３中
に傾斜したコイン１は、円盤の回転に逆らつて溝
３の外壁に沿つて内方に移動する力を受けるが、
その余のコイン１……１は、遠心力を受けつつ円
盤に従つて回転するため、第３図ａ→ｂに円盤の
回転が進行した場合、コイン１……１の重合が前
後又は内外に外れてゆき、第３図ｂ→ｃに回転す
ると、コイン１……１重合が外れることによりコ
イン１……１の傾斜も解消することとなる。

このようにして、コイン１……１送出の停滞の
解消及び予防を行いつつコイン１……１を送出す
ることにより、コイン１……１数が減少して行
き、前述の如く溝３の影響が表われなくなつて、
最後までコイン１……１が順調に送出されること
となる。

〔実施例〕

図面に示された実施例において、コイン送出用
円盤４の回転方向は、ゴム製環状部６上の矢示方
向である。

図面において溝３の断面形状は方形であるが、
要するに外壁状の部分が存在するものであれば、
底面が外下がりとなつているもの等でも差し支え
ない。

溝３の数は、２〜６本程度とすることが望まし
い。１本では十分な効果を挙げ難く、逆に、円盤
の面積や溝３の幅などにもよるが、溝３が多すぎ
て平滑面の割合が小さくなると、円盤上における
コイン１……１の円滑な流動が妨げられ易く、か
えつてコイン１……１送出に悪影響を及ぼすこと
となりかねず、また製造コストが高くなるからで
ある。

なお、６はゴム製環状部、７はコイン搬送用ベ
ルト、８は従来コイン送出用円盤である。

〔考案の効果〕

次に、本考案コイン送出用円盤の効果を説明す
る。

(a) コイン計数機等において一時に大量のコイン
が投入され、本考案円盤上に載せられた場合で
も、コインが本考案円盤上に密に存在する場合
には、コインの重合、コイン同士の衝突による
コインの振動、円盤を囲繞する外壁の存在等に
より溝の影響が表われ、溝によりコインが撹拌
されて、コイン送出の停滞を解消し、且つ予防
しつつコイン送出を進めることができ、溝の深
さはほぼコイン厚以下であり、幅はコイン半径
以下であることから、溝の存在によるコイン送
出停滞の助長は生じない。また、コインが少な
くなつた場合は、コインの溝への傾斜が起こり
難いことから溝の影響がほとんど表われないの
で、最後まで円滑に送出することができる。

(b) 本考案円盤における溝は、外周近傍から回転
方向と逆向きに内方に向つて外に凸の円弧状を
なすので、直線状である場合と異なり、溝の外
壁に沿つてのコインの内方移動を円滑に実現さ
せ得る。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は何れも本考案コイン送出用円
盤の１実施例を示すものであつて、そのうち第１
図は平面図、第２図は、第１図におけるAA線断
面図、第３図ａ〜ｃは、第１図における円盤の回
転を伴なうAA線要部断面図である。第４図は、
従来コイン送出用円盤を備えたものの要部断面図
である。 図面中、１……１はコイン、２はコイン選別機
構、３は溝、４は本考案コイン送出用円盤、５は
壁面である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上載されたコイン１……１に、ほぼ水平面内の
   回転駆動により遠心力を付与し、コイン選別機構
   ２、コイン計数機構等へ送出する円盤において、
   上面に、外周近傍から回転方向と逆向きに内方に
   向つて外に凸の円弧状をなし、ほぼコイン１厚以
   下の深さであると共に、コイン１半径以下の幅の
   溝３を１又は２以上刻設したことを特徴とする、
   コイン送出用円盤。