JPH0240044B2 - Paakinsonshokogunchiryozai - Google Patents

Paakinsonshokogunchiryozai

Info

Publication number
JPH0240044B2
JPH0240044B2 JP12041088A JP12041088A JPH0240044B2 JP H0240044 B2 JPH0240044 B2 JP H0240044B2 JP 12041088 A JP12041088 A JP 12041088A JP 12041088 A JP12041088 A JP 12041088A JP H0240044 B2 JPH0240044 B2 JP H0240044B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
propyl
mixture
residue
water
methyl
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP12041088A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS6463519A (en
Inventor
Shii Koonfuerudo Edomondo
Jei Batsuha Nikorasu
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eli Lilly and Co
Original Assignee
Eli Lilly and Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from US05/875,978 external-priority patent/US4166182A/en
Application filed by Eli Lilly and Co filed Critical Eli Lilly and Co
Priority to JP12041088A priority Critical patent/JPH0240044B2/ja
Publication of JPS6463519A publication Critical patent/JPS6463519A/ja
Publication of JPH0240044B2 publication Critical patent/JPH0240044B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Nitrogen Condensed Heterocyclic Rings (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、エルゴリン系に属する新規化合物を
有効成分とするパーキンソン症候群の治療用組成
物に関する。 一般に、エルゴリン環: を基本骨格とする化合物は、驚くほど種々の薬理
作用を有する。例えば、多くのリセルグ酸(8β
―カルボキシ―6―メチル―9―エルゴレン)ア
ミド類は価値のある独特な薬理特性を有する。
[上記構造式の俗名は“エルゴリン”であつて、
リセルグ酸に関連する9,10−二重結合化合物は
9,10―ジデヒドロエルゴリンよりもむしろ9―
エルゴレンと呼ばれている。本明細書では、D―
エルゴリン、D―8―エルゴレンもしくはD―9
―エルゴレンという命名法を特定化合物の命名に
用いる。文字“D”は、5位の炭素原子の配位が
Rで示される立体化学配位であつて、水素がβ配
位、即ち、エルゴリン環の上部側にあることを示
している。しかしながら、最近ではこの“D”を
省略しており、その理由は、新しく合成されたエ
ルゴリン類もしくはエルゴレン類が、一般にリセ
ルグ酸もしくはエリモクラビンのような天然物の
誘導体であつて、すべてがR立体化学(“D”系)
配位であり、5位の炭素における立体化学的配位
が維持されるからである。本明細書に開示した全
てのエルゴリン類もしくはエルゴレン類の化合物
もしくは化合物群は、その特定あるいは一般名に
“D”と記載されていなくてもR立体化学配位を
有することは言うまでもない。]リセルグ酸の薬
理的に活性なアミド類には、天然の分娩促進アル
カロイド類(例えば、エルコルニン、エルゴクリ
プチン、エルゴノビン、エルゴクリレスチン、エ
ルゴシン、エルゴタミン)および合成分娩促進剤
(例えば、メテルギン)ならびに合成幻覚剤(例
えば、リセルグ酸ジエチルアミドまたはLSD)
が含まれる。一般にジヒドロ麦角アルカロイド類
として知られる6―メチル―8―カルボキシエル
ゴリンのアミド類は、麦角アルカロイドそのもの
よりも低毒性で効力の弱い分娩促進剤である。最
近、クレメンズ、セモンスキー、メイテス
(Clemens、Semonsky、Meites)およびその協
同実験者達によつて、多くの麦角関連医薬にプロ
ラクチン抑制作用のあることが見出された。この
ような医薬の具体例としては、エルゴコルニン、
ジヒドロエルゴコルニン、2―ブロモ―α―エル
ゴクリプチンおよびD―6―メチル―8―シアノ
メチルエルゴリンが挙げられる。エルゴリン化学
分野の新しい発見に関する引用文献を以下に列記
する。 Nagasawa and Meites,Proc.Soc.Exp't'l.
Biol.Med.,135,469(1970);Lutterbeck et
al.,Brit.Med.J.,228(July24,1971);Heuson
et al.,Europ.J.Cancer,353(1970);Coll.
Czech.Chem.Commun.,33,577(1968);
Nature,221,666(1969);Seda et al.,J.
Reprod.Fert.,24,263(1971);Mantle and
Finn,id.,441;Semonsky and co−workers,
Coll.Czech.Chem.Comm.,36,2200(1971);
Schaar and Clemens,Endocr.,90,285〜288
(1972);Clemens and Schaar,Proc.Soc.Exp.
Biol.Med.,139,659〜662(1972);Bach and
Kornfeld,Tetrahedron Letters,3225(1974);
Sweeney,Clemens,Kornfeld and Poore,
64th Annual Meeting,American Association
for Cancer Research,April1973。 また、エルゴリン類あるいはリセルグ酸誘導体
に関する最近の特許には下記のものが含まれる: 米国特許第3923812号、同第3929796号、同第
3944582号、同第3934772号、同第3954988号、同
第3957785号、同第3959288号、同第3966739号、
同第3968111号、同第4001242号。 振顫麻痺として知られるパーキンソン病は、18
世紀後半に初めて発表された。パーキンソン病は
振顫、筋硬剛および姿勢反射喪失で特徴づけら
れ、症候は10〜20年間にわたつて徐々に進行して
廃人に至る。パーキンソン症候群という用語に
は、パーキンソン病だけではなく、医薬によつて
誘発されたパーキンソン病および後脳炎パーキン
ソン病も含まれる。パーキンソン症候群の治療に
は、対症、保存および軽減療法が含まれる。パー
キンソン病は、振顫よりもむしろ硬縮および無動
症に有効な種々のコリン作動抑制剤で治療され
る。最近、患者の脳中に、パーキンソン症候群に
よる別なカテコラミン成分が見出されたことから
l―ドパ(l―ジヒドロキシフエニルアラニン)
が用いられているが、l―ドバは速やかに代謝さ
れるので、脳カテコールアミンの減成を妨げるた
めにモノアミンオキシダーゼ抑制剤の使用が勧め
られている。l―ドパをデカルボキシラーゼ抑制
剤と共に用いると脳のl―ドバ濃度が上昇し、パ
ーキンソン症候群の症状の軽減が望まれる。コロ
デイ等(Corrodi and co−workers)によれば、
ある種の麦角誘導体(例えば、天然アルカロイド
のエルゴコルニン)は長期間のドパミン受容体興
奮剤であつて、パーキンソン病の治療に有用であ
る[J.Pharm.Pharmac.,25,409(1973)]。ま
た、ジヨンソン等は、エルゴコルニンと2―ブロ
ム―α―エルゴクリプチンがドパミン受容体を刺
激する、というコロデイ等の説を議論し、他の麦
角アルカロイドに着目した[Johnson et al.,
Experientia,29,763(1973)]。さらに、ストー
ンは上記実験を確認すると共に、さらに麦角アル
カロイド類がドパミン受容体刺激作用を有するこ
とを立証した[Trever W.Stone,Brain
Reseach,72,1977(1974)]。 麦角アルカロイド分野で実施されている主な化
学的修飾法には、天然アルカロイドの特性を、す
べてではないが1つ以上含有する合成リセルグ酸
アミドの製造法が含まれる。最近の研究の着眼点
がCNS効果を有しないプロラクチン抑制剤の発
見に向けられているにもかかわらず、その化学的
な興味の中心はエルゴリン環系の8位に置換にあ
る。しかしながら、エルゴリンの6位のメチル基
を他の基、特に高級アルキル基で置換する反応に
関しては、いくつかの刊行物がある。Fehr,
StadlerとHoffmanは、リセルグ酸およびジヒド
ロリセルグ酸メチルエステルを臭化シアンと反応
させた[Helv.Chim.Acta,53,2197(1970]。得
られた6―シアノ誘導体を亜鉛粉末および酢酸で
処理して対応する6―ノル誘導体とし、これを例
えば、ヨウ化エチルでアルキル化すると、6―ノ
ル―6―エチルリセルグ酸メチルエステルと対応
するイソリセルグ酸エステルとの混合物が得られ
た。リセルグ酸メチルの6―エチル―9,10―ジ
ヒドロ誘導体である6―エチル―8β―メトキシ
カルボニルエルゴリンも製造した。これらの新し
い誘導体の有用性に関する記載はなかつた。ベル
ナルデイ等は、α―遮断剤ニセルゴリンの様々な
類似体を製造した[Bernardi et al.,Il
Farmaco−Ed.Sci.,30,789(1975)]。出発物質
には1―メチル―6―エチル(アリル、シクロプ
ロピルメチル)―8β―ヒドロキシメチル―10α―
メトキシエルゴリンのような化合物が含まれる。
これらの出発物質は、次々に対応する10α―メト
キシ―8β―(5―ブロムニコチニルメチル)誘
導体に変換される。最近の報文には、8β―シア
ノメチルエルゴリンおよび8β―メチルエルゴリ
ン(6―ノルフエストウクラビン)の6―アルキ
ル類似体の製造法が開示され、6―エチル、6―
n―プロピル、6―イソプロピル、6―n―ブチ
ル、6―イソブチルおよび6―n―ヘプチル誘導
体が含まれている[Krepelka,Army,Kotva
and Semonsky,Coll.Czech.Chem.Commun.,
42,1209(1977)]。これらの化合物は、対応する
6―メチル誘導体と比較して、ラツトにおける抗
乳汁分泌および抗卵着床作用を桁違いに増加させ
る。このような生物学的試験の詳細は報告者等に
よれば、速く発表の予定とされている。エリモク
ラビン(6―メチル―8―ヒドロキシメチル―8
―エルゴレン)の6―アルキル誘導体の製造も報
告されている[Cassady and Floss,Lloydia,
40,90(1977)]。この報文によれば、プロラクチ
ン抑制効果は、N−6位のアルキル基の大きさを
メチルからプロピルにするに従つて増加するが、
ブチルになると低下する。ニワグチ等は、6―ノ
ルリセルグ酸ジエチルアミドを製造し、この中間
体を再びアルキル化してLSDの対応する6―ア
リル、6―エチルおよび6―n―プロピル誘導体
を製造している[Niwaguchi et al.,J.Pharm.
Soc.(Japan Yakugaku Zasshi,96,673
(1976)]。これらの薬理学については別に議論さ
れている[Hashimoto et al.,Europ.J.Pharm.,
45,341(1977)]。 米国特許第3920664号にはD―2―ハロ―6―
アルキル(メチル、エチル、n―プロピル)―
8β―シアノメチルエルゴリン類が開示されてお
り、対応する6―メチル化合物を脱メチル化し、
Fehr等の方法(同上)に従つて再アルキル化し
て製造されている。また、米国特許第3901894号
には、2位の炭素が塩素または臭素で任意に置換
された6―メチル―8β―メチルメルカプトメチ
ルエルゴリンが開示されている。さらに、米国特
許第3959288号には8―メトキシメチル化合物の
類似体が開示されている。 前記エルゴリン類もしくはエルゴレン類の大部
分は活性なプロラクチン抑制剤である。これらの
化合物のあるものはパーキンソン症候群の治療に
有用である。例えば、α―ブロムエルゴクリプチ
ン(ブロムクリプチン)についてはBrit.J.Clin.
Pharm.,,571(1976)およびBrit.Med.J.,
4,442(1974)を、また、レルゴトリルについて
はNeurology,25,459(1975)を参照。 本発明は、エルゴリン系に属するパーキンソン
症候群の治療に用い得る化合物を有効成分とする
医薬組成物に関する。本発明に係る新規化合物
は、式(): [式中、R1はエチル、n―プロピルまたはアリ
ル、YはO、S、SOまたはSO2、Xは水素、塩
素、または臭素、破線は二重結合の任意の存在を
それぞれ表わす] で示される化合物およびその製薬的に許容し得る
酸付加塩である。 上記式()においてYがO、SまたはSO2
あり、他の置換基が前記と同意義を有する化合物
は、式(): [式中、Qは脱離基、Xは水素、塩素または臭
素、R2は水素、エチル、n―プロピルまたはア
リルをそれぞれ表わす。] で表わされる化合物を順不同に下記(A)〜(D)の任意
の試薬と反応させて製造する。 (A) R2が水素の場合はアルキル化剤、 (B) 一般式()で表わされる置換試薬(8位) R3−Y−CH3 () [式中、YはO、SまたはSO2、R3はアルカリ
金属または第四級アンモニウム残基をそれぞれ
表わす]; (C) Xが水素の場合はハロゲン化剤; (D) R2がアリルの場合および/またはΔ8もしく
はΔ9結合が存在する場合は水素化剤。 YがSOを表わす場合の化合物()は、Yが
Sを表わす対応する化合物の酸化によつて得られ
る。酸化剤としてはm―クロル過安息香酸のよう
な過酸または過ヨウ素酸塩が適する。 式()の製薬的に許容され得る酸付加塩に
は、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨ
ウ化水素酸、亜硝酸および亜リン酸のような無機
酸ならびに脂肪族モノおよびジカルボン酸、フエ
ニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸およ
びアルカンジオイツク酸、芳香族酸、脂肪族およ
び芳香族スルホン酸のような非毒性有機酸から誘
導された塩が含まれる。このような製薬的に許容
され得る塩には、硫酸塩、ピロ硫酸塩、硫酸水素
塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、硝酸塩、リン酸
塩、リン酸一水素酸塩、リン酸二水素酸塩、メタ
リン酸塩、ピロリン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸
塩、ヨウ化水素酸塩、フツ化水素酸塩、酢酸塩、
プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、ア
クリル酸塩、、ギ酸塩、、イソ酪酸塩、カプリン酸
塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、シユウ酸
塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セ
バシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、マンデ
ル酸塩、ブチルン―1,4―ジオエート、ヘキシ
ン―1,6―ジオエート、安息香酸塩、クロル安
息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸
塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸
塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、ベンゼンスル
ホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、クロルベンゼ
ンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フエニ
ル酢酸塩、フエニルプロピオン酸塩、フエニル酪
酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、β―ヒドロキシ酪酸
塩、グリコール酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、メ
タンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフ
タレン―1―スルホン酸塩およびナフタレン―2
―スルホン酸塩がある。 式()において、Qは脱離基である。この脱
離基は、式()で表わされる試薬と反応するカ
チオンを8位にもたらす。この脱離基としては、
例えば、塩素、臭素もしくはヨウ素原子、または
メチル、エチル、プロピル、フエニル、ベンジル
もしくはトリスルホン酸エステルが適する。 前記式()において、R3はナトリウムまた
はカリウムのようなアルカリ金属を表わし、好ま
しくはナトリウムである。R3はまた、立体的に
嵩高い第四級アンモニウム残基、具体的にはN,
N,N―トリメチル―N―ベンジルアンモニウ
ム、テトラブチルアンモニウムまたはN,N,N
―トリエチル―N―オクタデシルアンモニウムで
あり、好ましくはN,N,N―トリメチル―N―
ベンジルアンモニウムメチレートである。R3は、
すべての場合にカチオンを形成し得る。 前記工程(A)で用いられるアルキル化剤は、例え
ば、ハロゲン化エチル、n−プロピルもしくはア
リルである。不活性溶媒としてDMA、DMF、
アセトニトリルまたはニトロメタンのような極性
有機溶媒が適する。反応は20〜50℃で実施する。
酸捕集剤として混液中に存在していてもよい適切
な塩基には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭
酸水素ナトリウムおよび水酸化ナトリウムのよう
な不溶の無機塩基ならびに第三級アミン、特にピ
リジンのような芳香族第三級アミンなどの可溶塩
基が含まれる。 化合物()を製造する前記工程(B)において用
いられる溶媒としては、ジメチルホルムアミド
(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメ
チルスルホキシド(DMSO)またはアルカノー
ル(例えば、メタノール)のような有機極性溶媒
が適する。反応は室温から還流温度の間で実施す
る。 前記工程(C)で用いられる適切なハロゲン化剤に
は、N―クロルスクシンイミド、N―クロルアセ
トアニリド、N―クロルフタルイミド、N―クロ
ルテトラクロルフタルイミド、1―クロルベンゾ
トリアゾール、N―クロル―2,6―ジクロル―
4―ニトロアセトアニリド、N―クロル―2,
4,6―トリクロルアセトアニリドおよびスルフ
リルクロリドが含まれており、後者の試薬は単独
で、あるいは三フツ化ホウ素エーテレートと共に
用いられる。N―ブロムスクシンイミドによるハ
ロゲン化に適する溶媒はジオキサンである。N―
クロルスクシンイミドおよび他の殆んどの陽性ハ
ロゲン化合物の場合にはDMFを用いるが、スル
ホニルクロリドの場合にはCH2Cl2、CH3NO2
たはCH3CNを用いる。反応は通常室温で実施さ
れる。 6―アリル基は、触媒(例えば、パラジウム−
炭素)による水素化など、標準の水素化法によつ
て6―n―プロピル基に水素化し得る。これは、
前記工程(D)に示されている。 同様に工程(D)に記載されているように、Δ8
しくはΔ9における任意の二重結合は、最終工程
を含むいずれの反応段階においても、水素化によ
つて対応する飽和化合物に還元し得る。ハロゲン
化剤としては、例えば白金もしくはパラジウム触
媒が適する。この還元によつて形成される化合物
は8β―化合物である。 工程A、B、CまたはDは、いずれの順序で実
施してもよい。従つて、どの工程も最終工程とな
り得る。 式()で表わされる化合物の具体例には以下
のものが含まれる。 D―6―エチル―8β―メチルメルカプトメチ
ルエルゴリン・マレイン酸塩、 D―2―クロル―6―n―プロピル―8β―メ
トキシメチルエルゴリン・コハク酸塩、 D―6―アリル―8β―メチルメルカプトメチ
ルエルゴリン・塩酸塩、 D―2―ブロム―6―アリル―8β―メトキシ
メチルエルゴリン・酒石酸塩、 D―6―n―プロピル―8β―メチルメルカプ
トメチル―9―エルゴレン・臭化水素酸塩、 D―6―n―プロピル―8―メトキシメチル―
8―エルゴレン・マレイン酸塩、 D―2―クロル―6―アリル―8β―メトキシ
メチル―9―エルゴレン・安息香酸塩、 D―2―ブロム―6―エチル―8―メチルメル
カプトメチル―8―エルゴレン・リン酸塩、 D―6―n―プロピル―8β―メチルスルホニ
ルメチル―9―エルゴレン・マレイン酸塩。 好ましい化合物は、式()においてR1がn
―プロピル、YがS、そしてXおよび破線が前記
と同意義を有する場合である。特に好ましい化合
物群は、R1がn―プロピル、YがS、Xが水素、
そして破線が前記と同意義を有する場合である。
他の好ましい化合物群は、8位に硫黄原子を含む
基、即ち、YがSまたはSO2であつて、R1がn―
プロピル、そして、破線が飽和二重結合を表わす
場合である。 化合物()は、化合物()を経て、数多く
の異なつた出発物質より、様々な方法で製造され
る。容易に入手し得る出発物質の一つにはリセル
グ酸(D―6―メチル―8β―カルボキシ―9―
エルゴレン)があり、選択したクラビセプス種
(Claviceps species)の発酵によつて産生され
る。8位のカルボキシをエステル化し、形成され
たエステル基をさらに還元すると、8―ヒドロキ
シメチルが得られる。同一化合物を、米国特許第
3709891号の製法に従つて発酵させて得られる他
の出発物質、即ち、エリモクラビンからも製造し
得る。 いずれの出発物質から製造したD―6―メチル
―8β―ヒドロキシメチル―9―エルゴレンの6
―メチル基は、米国特許第3920664号の実施例8
に従つてエチル、アリルまたはn―プロピルで置
換され得る。この方法によれば、臭化シアンを単
独で、あるいは、好ましくは不活性溶媒中で、例
えばD―6―メチル―8β―ヒドロキシメチル―
9―エルゴレンと反応させると対応する6―シア
ノ誘導体が得られる。この反応に適する不活性溶
媒には、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭
素および塩化エチレンのようにクロル化された炭
化水素、ベンゼン、トルエンおよびキシレンを含
む芳香族炭化水素、ならびにDMA、DMFおよ
びDMSOなどの極性溶媒が含まれる。反応温度
は重要要件ではなく、室温から、反応に用いる溶
媒の沸点までの温度を用いてもよい。シアノ基は
亜鉛粉末と酢酸による還元反応で容易に除去する
ことができ、得られたN―6位の第二級アミン
を、例えば塩基の存在下にヨウ化エチルでアルキ
ル化するとD―6―エチル―8β―ヒドロキシメ
チル―9―エルゴレンが得られる。亜鉛と酢酸に
よる開裂反応は、一般に溶媒の沸点近く(100〜
120℃)で実施される。シアノ基の脱離は、酸性
もしくは塩基性加水分解によつても実施される。
さらに、亜鉛と酢酸の代わりにラネー・ニツケル
と水素のように、他の還元剤を用いてもよい。ま
た別に、9―エルゴレンのN―メチル基はメチル
クロロホルメート、フエニルクロロホルメート、
ベンジルクロロホルメートおよびトリクロルエチ
ルクロロホルメートのようなクロロホルメートと
反応させて除去し得る。得られた中間体カルバメ
ートは所望の6―ノル第二級アミンに開裂し得
る。第二級アミンを、例えばエチル、n―プロピ
ルもしくはアリルハライド、またはトシレートで
アルキル化する反応は、不活性溶媒中、好ましく
はDMA、DMF、アセトニトリルまたはニトロ
メタンのような極性有機溶媒中、20〜50℃で実施
される。酸捕集剤として混液中に含まれる塩基と
しては、不溶の無機塩基(例えば、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムおよび水
酸化ナトリウム)と共に可溶の塩基(例えば、第
三級アミン類、特にピリジンのような芳香族第三
級アミン)が適する。次に、炭素8位のヒドロキ
シメチルを容易に置換し得る基、例えばp―トル
エンスルホニルオキシまたはメタンスルホニルオ
キシ(p―トシルまたはメシル誘導体)でエステ
ル化する。エステル化反応には酸ハライドもしく
は無水物、即ち、メシルクロリドまたはp―トシ
ルブロミドを用いる。この反応は、コリジン、ピ
リジンもしくはピコリンのような芳香族第三三級
アミン溶媒で実施するのが好ましい。反応温度は
20〜50℃である。このエステル基は、米国特許第
3901894号の実施例3に従つて、メチルメルカプ
ト基で置換し得る。同様に、メシルオキシまたは
p―トシルオキシは、塩基中でメタノールと反応
させてメトキシで、あるいはメタンスルフイン酸
ナトリウムと反応させてメチルスルホニルで置換
し得る。この置換反応は、水素化ナトリウム、水
素化カリウム、ナトリウムメトキシドもしくはナ
トリウムエトキシドのような塩基を用いて、メチ
ルメルカプチドナトリウムなどのナトリウム塩を
形成することによつて実施される。反応には、
DMA、DMFまたはDMSOのような相互不活性
極性溶媒が用いられる。混液は、一般に50〜100
℃に加熱する。メシルオキシまたはp―トシルオ
キシをメトキシで置換する反応は、第四級アンモ
ニウム塩基の存在下にメタノールで実施される。 前記反応操作によれば、6位のアルキル化が行
われてから8位の最終置換反応が実施される。こ
の2つの工程を入れ替えること、つまり、6位の
アルキル化が実施される前に8位の置換反応を行
うことも、本発明の範囲内に含まれる。これらの
工程順序の入替は、当業者には公知のことであ
る。 8―メチルスルホニルメチル化合物()の製
造における中間体である8―メチルスルフイニル
メチル―9―エルゴレンは、対応する8―メチル
メルカプトメチル化合物を室温において過ヨウ素
酸塩もしくは同様な酸化剤(例えば、過安息香酸
もしくは過酢酸のような過酸)と反応させて製造
する。常法では、水に可溶な9―エルゴレンの塩
を用い、中性もしくは酸性条件下においては水が
反応溶媒である。 このようにして製造された6―n―プロピル
(エチルもしくはアリル)8―メトキシ、メチル
スルホニルまたはメチルカプトメチル―9―エル
ゴレン類は、式()で表わされる化合物の範囲
内に含まれる。これらの化合物をさらに米国特許
第3920664号に記載の方法によつて2位をクロル
化またはブロム化すると、式()においてR1
が塩素または臭素で、Δ9二重結合が存在する化
合物が得られる。この製法に用い得るハロゲン化
剤には、N―クロルスクシンイミド、N―クロル
アセトアニリド、N―クロルフタルイミド、N―
クロルテトラクロルフタルイミド、1―クロルベ
ンゾトリアゾール、N―クロル―2,6―ジクロ
ル―4―ニトロアセトアニリド、N―クロル―
2,4,6―トリクロルアセトアニリドおよびス
ルフリルクロリドが含まれ、特にスルフリルクロ
リドは単独で、あるいは三フツ化ホウ素エーテレ
ートと共に用いられる。N―ブロムスクシンイミ
ドによるハロゲン化の溶媒としてはジオキサンが
有用である。N―クロルスクシンイミドと他の殆
んどの陽性ハロゲン化合物の場合にはDMFを用
いるが、スルフリルクロリドの場合には、
CH2Cl2、CH3NO2またはCH3CNを溶媒として用
いる。反応は、通常室温で実施される。 上記ハロゲン化は、工程AおよびBの後に行わ
れるものとして説明されているが、工程Aおよび
Bの前に実施してもよい。所望であれば、ハロゲ
ン化は水素化の後に行つてもよい。 上記出発物質の一つであるリセルグ酸は、不活
性溶媒中、好ましくは低級アルカノール中、酸化
白金または他の適当な触媒を用いて水素化するな
どの方法により、対応するジヒドロ化合物、即ち
ジヒドロリセルグ酸に還元し得る。例えば、標準
法によつてエステル化するとジヒドロリセルグ酸
メチルが得られる。次に概略をすでに述べたよう
にN―6位のメチル基を臭化シアンと反応させる
と第二級アミンが得られる。この第二級アミンを
エチルヨウジド、n―プロピルヨウジドまたはア
リルブロミドでアルキル化すると、6位にエチ
ル、n―プロピルまたはアリル、そして8位にメ
トキシカルボニルを有する化合物が得られる。ま
た、第二級アミンは、第三級アミン塩基の存在下
に室温において、アセチルクロリドもしくはプロ
ピオニルクロリドで対応するアミドにアシル化し
得る。6位のアミド基と8位のエステル基を
THF中、室温において水素化アルミニウムリチ
ウムのような金属水素化物で同時に還元すると、
対応するD―6―エチル(またはn―プロピル)
―8β―ヒドロキシメチルエルゴリンが得られる。
さらに、6位のアルキル基を触媒による水素化の
ように、標準の水素化によつて還元すると6―n
―プロピル化合物が得られる。同様に、D―6―
エチル(もしくはn―プロピルあるいはアリル)
―8β―メトキシカルボニル化合物は、室温にお
いてエーテル性溶媒中(ジエチルエーテルまたは
THF)、LiAlH4もしくはNaBH(OCH33で、ま
たはエタノール中、還流温度においてNaBH4
ような金属水素化物で還元すると、対応する8β
―ヒドロキシメチル誘導体が得られる。8β―ヒ
ドロキシメチル基のヒドロキシを前記のようにメ
タンスルホニルクロリドでエステル化し、得られ
たメシルオキシ誘導体をメタノール、メタンチオ
ールもしくはメタンスルフイン酸の塩と反応させ
ると、式()において任意の二重結合が飽和状
態にあり、Xが水素、R1とYが前記と同意義を
有する化合物が得られる。これらの誘導体はいず
れも、米国特許第3920664号の製法に従つて2位
をクロル化もしくはブロム化して、式()にお
いてXが塩素または臭素、任意の二重結合が飽和
状態で、R1とYが前記と同意義を有する化合物
に変換し得る。対応するΔ9−エルゴレンを製造
する際の反応条件と同じ条件を用いた。 前記エルゴリン化合物は、他の容易に入手し得
る出発物質であるエリモクラビンから、Δ8二重
結合を還元することによつて製造され、D―6―
メチル―8β―ヒドロキシメチルエルゴリンが得
られる。同一の一連反応、即ち、エチル、n―プ
ロピルもしくはアリルによる6位のメチルの置換
反応、および中間体のメシレートエステルを経る
メトキシメチル、メチルスルホニルメチルもしく
はメチルメルカプトメチルによるヒドロキシメチ
ルの置換反応は、前記のように実施される。 最後に、エリモクラビンそのものもリセルグ酸
メチルに基づいた前記反応操作、即ち、臭化シア
ンとの反応および6―シアノ基の除去を含む6―
メチル基の脱離、得られた第二級アミンとアルキ
ルもしくはアリルハライドとの反応によるD―6
―エチル、n―プロピルもしくはアリル―8―ヒ
ドロキシメチル―8―エルゴレンの製造、に付す
ことができる。この場合、ヒドロキシメチルのヒ
ドロキシがアリル性ヒドロキシであるので塩素に
よる置換が実施され、得られたアリル性塩素をメ
トキシ、メチルスルホニルもしくはメチルメルカ
プトで容易に置換すると、式()において二重
結合が8位に存在し、YとR1が前記と同意義を
有する化合物が得られる。アリル性ヒドロキシの
クロル化剤としてはトリフエニルホスフインと四
塩化炭素との混合物が好ましいが、他のクロル化
剤、例えば塩酸、臭化水素酸、ジエチルエーテル
塩酸塩、亜リン酸トリハライドもしくは塩化ホス
ホリルを用いてもよい。このような強力な試薬を
用いる場合には、望ましくない副産物を避けるよ
うな反応条件を用いることに注意する必要があ
る。前記のように、Xが塩素または臭素である化
合物()は、Xが水素を表わす対応する化合物
から前記のようにして製造し得る。この2位にお
けるクロル化またはブロム化は、例えば8位にエ
ステル基を有する他の前記中間体で置き換えるこ
とができる。このエステル基は、後にメトキシメ
チルもしくはメチルメルカプトメチルで置換され
得る。 8位もしくは9位の任意二重結合は、最終工程
を含めて反応のいずれの段階においても、対応す
る飽和化合物に還元し得る。使用される還元剤は
標準試薬であつて、具体的には例えば白金もしく
はパラジウムによる触媒的水素化剤である。この
還元によつて得られる化合物は8β化合物である。 前記説明から明らかなように、6位のアルキル
化、8位の置換、2位のハロゲン化、Δ8もしく
はΔ9二重結合または6―アリルの任意の水素化
は、いずれも、化合物()の製造工程の最後に
行われてもよい。これらの各工程の反応順序を変
えることは、当業者の能力内のものである。 化合物()およびその酸付加塩は白色の結晶
性固体であつて、有機溶媒から容易に再結晶し得
る。該化合物の製法を以下の実施例で詳述する。 実施例 1 D―6―n―プロピル―8β―メチルメルカプ
トメチルエルゴリンの製造 ジヒドロリセルグ酸メチル100gおよび塩化メ
チレン2.5から成る溶液を調製し、臭化シアン
100gを加え、室温において約24〜25時間放置し
た。溶液のアリコートを薄層クロマトグラフイー
(TLC)に付すと、いくつかの小さなスポツトと
共に主要スポツトを1つ示した。上記反応で形成
されたメチル 6―シアノ―8β―メトキシカル
ボニルエルゴリンを含む有機層を酒石酸水溶液、
水および飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥して溶媒
を減圧下に留去した。残渣をTLCに付すと出発
物質よりも極性の小さい主要スポツトを示し、該
スポツトはD―6―シアノ―8β―メトキシカル
ボニルエルゴリンに対応するものであつた。 m.p. 約202〜205℃。 得量 98.5g。 D―6―シアノ―8β―メトキシカルボニルエ
ルゴリン59.6g、亜鉛粉末300g、酢酸2.5およ
び水500mlから成る混液を窒素雰囲気中で約7時
間加熱還流し、室温においてさらに16時間放置し
た。混液を濾過し、濾液を氷上に注加し、14N水
酸化アンモニウム水溶液を加えて塩基性にした。
アルカリ層をクロロホルムで抽出し、クロロホル
ム層を分離して飽和食塩水で洗浄し、乾燥した。
クロロホルムを留去すると、上記反応で形成され
たD―8β―メトキシカルボニルエルゴリンから
なる残渣を得た。 m.p. 154〜156℃。 得量 46.9g。 TLCは主要スポツト1つと、出発物質に対応
する小さなスポツトを示した。 また別に、D―6―シアノ―8β―メトキシカ
ルボニルエルゴリン98.5gをジメチルホルムアミ
ド(DMF)中、ラネー・ニツケルで水素化した。
初期の水素圧は3.44×106dynes/cm2であつた。反
応後、混液を濾過し、濾液を減圧下に容積200ml
に濃縮した。この混液を酒石酸水溶液に注加して
酸性層を酢酸エチルで抽出し、水層に14Nアンモ
ニア水を加えて塩基性にした。アルカリ層を酢酸
エチルで抽出して分離し、水および飽和食塩水で
洗浄して乾燥し、減圧下に溶媒を留去してD―
8β―メトキシカルボニルエルゴリンを得た。 m.p. 150〜153℃。 得量 68.8g(76%)。 D―8β―メトキシカルボニルエルゴリン10.8
g、n―プロピルヨウジド10ml、炭酸カリウム
8.2gおよびDMF200mlから成る混液を窒素気流
中、室温において約16時間攪拌した。TLCは主
要スポツト1つと2つの小さなスポツトを示し
た。混液を水で希釈して水層を酢酸エチルで抽出
し、抽出液を分離して水および飽和食塩水で洗浄
し、乾燥して溶媒を減圧下に留去し、前記と同じ
TLCパターンを示す残渣を得た。この残渣を2
%メタノール含有クロロホルムに溶解し、フロリ
シル200gを通して濾過し、減圧下に溶媒を留去
して8.55gのD―6―n―プロピル―8β―メトキ
シカルボニルエルゴリンを得た。 m.p. 203〜206℃。 D―6―n―プロピル―8β―メトキシカルボ
ニルエルゴリン約720mgをジオキサン25mlおよび
メタノール50mlに溶解し、水素化ホウ素ナトリウ
ム1gを加えて窒素の気流中で約2時間還流し
た。1時間後に水素化ホウ素ナトリウム1gを加
えた。TLCは主要極性スポツトと小さなスポツ
トを示した。混液を冷却して水で希釈し、クロロ
ホルム−イソプロパノール混合溶媒で抽出した。
有機層を分離して飽和食塩水で洗浄し、乾燥し
た。有機溶媒を留去してD―6―n―プロピル―
8β―ヒドロキシメチルエルゴリンから成る残渣
をエーテル−ヘキサンから結晶化させた。 m.p. 約167〜169℃。 得量 620mg。 D―6―n―プロピル―8β―ヒドロキシメチ
ルエルゴリン31.2gおよびピリジン400mlから成
る溶液にメタンスルホニルクロリド20mlを徐々に
加えた。添加終了後、混液を約1時間攪拌して氷
−14N水酸化アンモニウムに注加し、アルカリ性
水層を酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を分
離して水および飽和食塩水で洗浄し、乾燥した。
有機溶媒を留去し、TLCによれば1つの主要ス
ポツトといくつかの小さなスポツトから成る残渣
をクロロホルムに溶解し、フロリシル300gにク
ロマトグラフし、メタノール含有率を0〜4%に
増加しながらクロロホルムで溶出した。このクロ
マトグラフイーによつて精製されたD―6―n―
プロピル―8β―メシルオキシメチルエルゴリン
を得た。 m.p. 約178〜180℃(分解)。 得量 25.6g。 元素分析 計算値:C,62.96;H,7.23;N,7.77; S,8.85 実験値:C,62.66;H,6.94;N,7.46; S,9.04 メチルメルカプタン24gをジメチルアセトアミ
ド(DMA)200mlに溶解し、氷水浴で約0℃に
冷却した。次に水素化ナトリウム14.4gを50%鉱
油懸濁液として徐々に加え、メチルメルカプタン
のナトリウム塩を形成した。このナトリウム塩懸
濁液を室温に暖め、D―6―n―プロピル―8β
―メシルオキシメチルエルゴリン10.9gの
DMA60ml溶液を徐々に加えた。混液を素気流中
で1時間攪拌して水で希釈し、水層を酢酸エチル
で抽出して酢酸エチル層を分離し、水および飽和
食塩水で洗浄して乾燥した。溶媒を留去し、上記
反応で形成されたD―6―n―プロピル―8β―
メチルメルカプトメチルエルゴリンから成る残渣
を得た。残渣をTLCに付すと単一主要スポツト
を示した。 m.p. 206〜209℃(分解)。 得量 6.9g。 残渣を沸騰メタノール100mlに懸濁してさらに
精製した。メタンスルホン酸1.6mlにメタノール
10ml溶液を還流溶液に加え、冷却してD―6―n
―プロピル―8β―メチルメルカプトメチルエル
ゴリンメタンスルホネートの結晶を析出させた。
溶液を冷却して濾過した。 m.p. 約255℃(分解)。 得量 6g。 元素分析 計算値:C,58.50;H,7.36;N,6.82; S,15.62 実験値:C,58.45;H,7.39;N,6.92; S,15.62 実施例 2 D―6―n―プロピル―8β―メトキシメチル
エルゴリンの製造 実施例1で製造したD―6―n―プロピル―
8β―メシルオキシメチルエルゴリン8.4g、N,
N,N―トリメチル―N―ベンジルアンモニウム
エチラートの40%メタノール溶液50mlおよび溶媒
としてのDMA200mlから成る混液を窒素気流中
で約1.25時間還流した。TLCは、出発物質に対応
するスポツトと1つの主要スポツトを示した。混
液を冷却して酢酸エチルで希釈し、酢酸エチル層
を分離して水および飽和食塩水で洗浄し、乾燥し
て溶媒を留去し、D―6―n―プロピル―8β―
メトキシメチルエルゴリンを含む残渣5.00gを得
た。 m.p. 223〜226℃(分解)。 実施例1に従つてメタンスルホン酸塩を製造
し、エーテル―エタノール混合溶媒から結晶化さ
せてD―6―n―プロピル―8β―メトキシメチ
ルエルゴリンメタンスルホン酸塩を得た。 m.p. 202〜204℃。 得量 4.09g。 元素分析 計算値:C,60.89;H,7.66;N,7.10; S,8.13 実験値:C,60.60;H,7.79;N,7.18; S,8.08 実施例 3 D―6―n―プロピル―8β―ヒドロキシメチ
ルエルゴリンの製造 D―8β―メトキシカルボニルエルゴリン9.25g
をピリジン100mlに溶解し、無水プロピオン酸25
mlを加えて室温において1時間攪拌した。混液を
5%アンモニア水に注加し、水2を加えた。混
液を冷却して濾過し、D―6―プロピオニル―
8β―メトキシカルボニルエルゴリンを含む濾取
物を得た。 m.p. 260〜263℃(分解)。 得量 9.30g。 元素分析 計算値:C,69.92;H,6.79;N,8.58 実験値:C,70.14;H,6.99;N,8.73 D―6―プロピオニル―8β―メトキシカルボ
ニルエルゴリン9.8gをテトラヒドロフラン
(THF)1000mlに懸濁して水素化アルミニウムリ
チウム5gを加え、この間、混液を氷水浴で冷却
した。水素化アルミニウムリチウムの添加が終了
したならば、混液を室温に暖め、窒素気流中で約
16時間還流した。混液を約0℃に冷却し、酢酸エ
チル、エタノールおよび水を順次加えて過剰の水
素化アルミニウムリチウムおよび他の有機金属類
を分解した。混液を水で希釈し、水層をクロロホ
ルム―イソプロパノール混合溶媒で数回抽出し
た。有機抽出液を分離して合併し、飽和食塩水で
洗浄した。有機層を乾燥して溶媒を留去し、上記
反応で形成されたD―6―n―プロピル―8β―
ヒドロキシメチルエルゴリンを含む残渣をメタノ
ールから再結晶した。 m.p. 174〜176℃。 得量 4.75g。 メタノールから2度目の再結晶を行つてD―6
―n―プロピル―8β―ヒドロキシメチルエルゴ
リンを得た。 m.p. 176〜178℃。 元素分析 計算値:C,76.02;H,8.51;N,9.85 実験値:C,75.73;H,8.33;N,9.63 該化合物はメシレートエステルを経て、実施例
1の対応する8β―メチルメルカプトメチル誘導
体または実施例2の対応する8β―メトキシメチ
ル誘導体に変換し得る。 実施例 4 D―6―アリル―8β―メチルメルカプトメチ
ルエルゴリンの製造 D―8β―メトキシカルボニルエルゴリン2g
をDMF75mlに溶解し、炭酸カリウム1.7gおよび
アリルブロミド0.71mlを加えて混液を窒素気流
中、室温で約3.5時間攪拌した。混液のTLCは、
展開速度の速い単一スポツトを示した。混液を水
で希釈し、得られた水層を酢酸エチルで抽出し
た。酢酸エチル層を分離して水および飽和食塩水
で洗浄し、乾燥した。溶媒を減圧下に留去し、残
渣をメタノールから再結晶して570mgのD―6―
アリル―8β―メトキシカルボニルエルゴリンを
得た。 m.p. 146〜148℃。 元素分析 計算値:C,73.52;H,7.14;N,9.03 実験値:C,73.27;H,7.24;N,8.97 D―6―アリル―8β―メトキシカルボニルエ
ルゴリン4.8gをジオキサン50mlとメタノール100
mlとの混液に溶解し、水素化ホウ素ナトリウム5
gを加えて約2時間加熱還流した。1時間後に再
び水素化ホウ素ナトリウム2gを加え、混液を水
および14Nアンモニア水で希釈した。アルカリ性
の水層をクロロホルム−イソプロパノールで数回
抽出し、抽出液を合して飽和食塩水で洗浄し、乾
燥して溶媒を留去し、D―6―アリル―8β―ヒ
ドロキシメチルエルゴリンを含む残渣をメタノー
ル−エーテルから再結晶した。 m.p. 204〜206℃。 元素分析 計算値:C,76.56;H,7.85;N,9.92 実験値:C,76.35;H,7.72;N,9.65 D―6―アリル―8β―ヒドロキシメチルエル
ゴリン3.77gおよびピリジン100mlから成る溶液
にメタンスルホニルクロリド2.5mlを加え、室温
において約3時間攪拌した。混液を14Nアンモニ
ア水および水で希釈し、水層を酢酸エチルで数回
抽出した。抽出液を合して水および飽和食塩水で
洗浄し、乾燥して溶媒を留去し、クロロホルム−
メタノールから再結晶してD―6―アリル―8β
―メシルオキシメチルエルゴリンを得た。 m.p. 195〜196℃(分解)。 得量 3.5g。 元素分析 計算値:C,63.31;H,6.71;N,7.77; S,8.89 実験値:C,63.03;H,6.49;N,7.51; S,8.68 実施例1の製法に従つて、メチルメルカプタン
12g、過剰の水素化ナトリウムおよびDMF150ml
からナトリウム塩を製造した。D―6―アリル―
8β―メシルオキシメチルエルゴリン4.3gと
DMF50mlから成る溶液をメチルメルカプチドナ
トリウムに速やかに加え、混液を窒素気流中で1
時間攪拌し、水で希釈した。水層を酢酸エチルで
抽出し、酢酸エチル層を分離して水および飽和食
塩水で洗浄し、乾燥した。酢酸エチルを留去し、
上記還元で形成されたD―6―アリル―8β―メ
チルメルカプトメチルエルゴリンから成る残渣を
クロロホルムに溶解してフロリシル200g上にク
ロマトグラフし、メタノール含有率を増加(0〜
2%)させたクロロホルムで溶出した。171〜173
℃で溶融するD―6―アリル―8β―メチルメル
カプトメチルエルゴリン3gを得た。メタンスル
ホン酸塩は実施例1の製法に従つて製造した。 m.p. 272〜274℃(分解)。 得量 3.05g。 元素分析 計算値:C,58.79;H,6.91;N,6.86; S,15.70 実験値:C,58.63;H,6.76;N,6.61; S,15.71 実施例 5 D―6―n―プロピル―8β―メトキシカルボ
ニルエルゴリンの別製法 前記実施例に従つて製造したD―6―アリル―
8β―メトキシカルボニルエルゴリン1.7gを
THF40mlに溶解し、5%パラジウム−炭素0.5g
を用いて室温、初期水素圧4.13×106dynes/cm2
おいて水素化した。23時間後に水素化が終了し、
混液を濾過して減圧下に溶媒を留去した。得られ
た残渣はTLCで2つのスポツト、即ち、新しい
スポツトと6―ノル化合物に対応するスポツトを
示した。この残渣をクロロホルムに溶解してフロ
リシル30g上にクロマトグラフし、メタノール含
有率を増加(0〜4%)させながらクロロホルム
で溶出した。TLCによつてD―6―n―プロピ
ル―8β―メトキシカルボニルエルゴリンを含む
と検定された分画を合して結晶性の物質を得た。 m.p. 204〜206℃。 得量 740mg。 これをメタノール−クロロホルムから再結晶し
てD―6―n―プロピル―8β―メトキシカルボ
ニルエルゴリンを得た。 m.p. 209〜211℃。 得量 465mg。 元素分析 計算値:C,73.05;H,7.74;N,8.97 実験値:C,72.84;H,7.49;N,8.67 この方法は、実施例1の中間体を製造する別製
法である。 実施例 6 D―6―エチル―8β―メチルメルカプトメチ
ルエルゴリンの製造 D―6―メチル―8β―ヒドロキシメチルエル
ゴリン(ジヒドロリセルゴール)6.5gおよび
DMF250mlから成る溶液に臭化シアン8gを加え
て混液を窒素気流中、室温で約16時間攪拌した。
溶媒を減圧下に留去し、残渣を水で希釈して濾取
し、エタノールおよびエーテルで十分洗浄してD
―6―シアノ―8β―ヒドロキシメチルエルゴリ
ンを得た。 m.p. 260℃以上。 D―6―シアノ―8β―ヒドロキシメチルエル
ゴリン4.3gを6N塩酸100mlに加え、得られた混
液を窒素気流中で約2時間還流した。この酸性混
液のTLCは移動性スポツトを示さなかつた。混
液を氷上に注加し、14Nアンモニア水を加えて塩
基性にした。上記反応で形成された第二級アミン
D―8β―ヒドロキシメチルエルゴリンから成
る濾取物3.65gは、さらに精製することなく用い
た。 D―8β―ヒドロキシメチルエルゴリン3.65gお
よびDMF100mlから成る溶液に炭酸カリウム4.1
gを加え、さらにヨウ化エチル1.4gを加えて混
液を窒素気流中、室温で約23時間攪拌し、水を加
えた。混液を酢酸エチルで数回抽出し、抽出液を
合して水および飽和食塩水で洗浄し、乾燥した。
溶媒を留去し、上記反応で得られた残渣、即ち、
D―6―エチル―8β―ヒドロキシメチルエルゴ
リンをクロロホルム―メタノールから再結晶し、
TLCで単一スポツトを示すD―6―n―エチル
―8β―ヒドロキシメチルエルゴリンを得た。 得量 1.06g。 元素分析 計算値:C,75.52;H,8.20;N,10.36 実験値:C,75.60;H,7.93;N,10.06 D―6―エチル―8β―ヒドロキシメチルエル
ゴリン2.7gおよびピリジン100mlから成る溶液に
メシルクロリド1.5mlを加えて1時間攪拌した。
混液を水で希釈し、14Nアンモニア水を加えて塩
基性にした。アルカリ性層を酢酸エチルで数回抽
出し、抽出液を合して水および飽和食塩水で洗浄
し、乾燥して溶媒を留去し、上記反応で形成され
たD―6―エチル―8β―メシルオキシメチルエ
ルゴリンから成る残渣を得た。残渣はTLCで1
つの主要スポツトを示した。残渣をフロリシル
200g上にクロマトグラフし、メタノールの含有
率を増加(0〜5%)させながらクロロホルムで
溶出した。このクロマトグラフに続いてTLCを
実施し、D―6―n―エチル―8β―メシルオキ
シメチルエルゴリンを含むと同定された分画を合
して再結晶し、結晶性の物質を得た。 m.p. 184〜185℃(分解)。 得量 1.50g。 元素分析 計算値:C,62.04;H,6.94;N,8.04; S,9.20 実験値:C,62.16;H,6.73;N,8.01; S,9.24 メチルメルカプタン2.9gおよびDMF75mlから
成る溶液を氷水で冷却し、水素化ナトリウム2.4
gを50%鉱油懸濁液として徐々に加えてメチルメ
ルカプタンのナトリウム塩を形成した。混液を室
温に暖め、D―6―エチル―8β―メシルオキシ
メチルエルゴリン1.8gのDMF25ml溶液を滴下し
た。混液を室温において窒素気流中で1.25時間攪
拌し、水で希釈した。これを酢酸エチルで抽出
し、抽出液を水および飽和食塩水で洗浄して乾燥
し、溶媒を留去して上記反応で形成されたD―6
―エチル―8β―メチルメルカプトメチルエルゴ
リンから成る残渣を得た。TLCによれば、この
残渣は実質的にワン・スポツト物質であつた。残
渣をエーテルとヘキンとの混液から再結晶して結
晶性のD―6―エチル―8β―メチルメルカプト
メチルエルゴリンを得た。 m.p. 201〜202℃(分解)。 上記反応で得られたD―6―エチル―8β―メ
チルメルカプトメチルエルゴリンをメタノール30
mlに懸濁して蒸気浴で加熱し、メタンスルホン酸
0.33mlを加えてメタンスルホン酸塩を製造した。
混液を室温に冷却して約50mlのエーテルで希釈
し、冷却下に沈澱したD―6―メチル―8β―メ
チルメルカプトメチルエルゴリン・メタンスルホ
ン酸塩を濾取した。 m.p. 254〜256℃(分解)。 得量 1.80g 実施例 7 D―6―n―プロピル―8―メチルメルカプト
メチル―8―エルゴレンの製造 エリモクラビン11gをDMF200mlに懸濁して臭
化シアン約11gを加え、窒素気流中、室温で約16
時間攪拌して水で希釈し、この反応で形成された
D―6―シアノ―8―ヒドロキシメチル―8―エ
ルゴレンを濾取した。 m.p. 215〜222℃(分解)。 得量 8.2g。 濾取物はさらに精製することなく、酢酸300ml、
水60mlおよび亜鉛粉末41gと混合し、得られた混
液を窒素の存在下に約20時間還流した。混液を濾
過し、濾液を氷上に注加して14Nアンモニア水を
加え、強塩基性にした。アルカリ層をクロロホル
ムとイソプロパノールとの混液で数回抽出し、抽
出液を合して飽和食塩水で洗浄し、乾燥した。溶
媒を留去し、D―8―ヒドロキシメチル―8―エ
ルゴレンおよびその酢酸エステルから成る残渣を
得た。この残渣は、さらに精製することなく
DMF200mlに溶解し、炭酸カリウム6.2gおよび
n―プロピルヨウジド8mlを加えた。この混液を
窒素気流中で約6時間攪拌して水で希釈し、水層
を酢酸エチルで数回抽出した。抽出液を合して水
および飽和食塩水で洗浄し、乾燥して溶媒を留去
した。TLCで2つの主要スポツトを示す残渣を
メタノール100mlおよびジオキサン100mlに溶解
し、2N水酸化ナトリウム水溶液24mlを加えて窒
素の存在下に室温で1.25時間攪拌した。混液を水
で希釈し、水層をクロロホルム―イソプロパノー
ルで数回抽出し、有機層を合して飽和食塩水で洗
浄し、乾燥して溶媒を留去した。TLCで1つの
主要スポツトを示す残渣をクロロホルムに溶解し
てフロリシル200g上にクロマトグラフし、メタ
ノールの含有率を増加(2〜5%)させながらク
ロロホルムで溶出した。TLCによつてD―6―
n―プロピル―8―ヒドロキシメチル―8―エル
ゴレンを含むと同定された分画を合して溶媒を蒸
発乾固し、残渣をエーテルから結晶化してD―6
―n―プロピル―8―ヒドロキシメチル―8―エ
ルゴレンを得た。 m.p. 189〜191(分解)。 得量 2.9g。 元素分析 計算値:C,76.56;H,7.85;N,9.92 実験値:C,76.30;H,7.85;N,9.96 トリフエニルホスフイン39.3gおよび四塩化炭
素[この試薬についてはTetrahedron,23,2789
(1967)を参照]14.4mlを含むアセトニトリル
1000mlにD―6―n―プロピル―8―ヒドロキシ
メチル―8―エルゴレン8.1gを懸濁し、窒素気
流中室温で19時間攪拌した。揮発性成分を減圧下
に留去し、残渣を酒石酸水溶液で希釈した。酸性
の水層をトルエンで数回抽出し、トルエン抽出液
を除去した。水層に炭酸水素ナトリウムを加えて
塩基性にし、アルカリ層をクロロホルムとイソプ
ロパノールとの混液で数回抽出した。抽出液を分
離して飽和食塩水で洗浄し、乾燥して溶媒を留去
した。TLCで1つの主要スポツトを示した残渣
をクロロホルムとメタノール(2%)との混液に
溶解してフロリシル200g上にクロマトグラフし、
TLCによつてD―6―n―プロピル―8―クロ
ルエチル―8―エルゴレンを含むと同定された分
画を合して溶媒を減圧下に留去し、残渣をクロロ
ホルムとメタノールとの混液から再結晶してD―
6―n―プロピル―8―クロルメチル―8―エル
ゴレンを得た。 m.p. 約185℃(分解)。 得量 4.65g 第二分画 2.30g。 元素分析 計算値:C,71.87;H,7.04;N,9.31 実験値:C,71.62;H,6.89;N,9.57 メチルメルカプタン25gおよびDMA100mlか
ら成る溶液50mlをDMA200mlで希釈して氷水で
冷却し、水素化ナトリウム10.6gを50%鉱油懸濁
液として徐々に加えた。混液を75℃に暖め、D―
6―n―プロピル―8―クロルメチル―8―エル
ゴレン6.7gのDMA75ml溶液を速やかに滴下し
た。混液を窒素気流中室温で2時間攪拌し、冷却
して水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。酢酸混
液を分離して水および飽和食塩水で洗浄し、乾燥
して溶媒を留去した。TLCによれば実質的にワ
ン・スポツト物質であつた残渣をクロロホルムに
溶解してフロリシル200g上にクロマトグラフし、
メタノールの含有率を増加(0〜3%)させなが
らクロロホルムで溶出した。TLCによつてD―
6―n―プロピル―8―メチルメルカプトメチル
―8―エルゴレンを含むと同定された分画を合し
て有機溶媒を留去し、最初はエーテルから、次い
でエタノールから再結晶してD―6―n―プロピ
ル―8―メチルメルカプトメチル―8―エルゴレ
ン2.70gを得た。 m.p. 180〜183℃(分解)。 残渣をマレイン酸で処理するとD―6―n―プ
ロピル―8―メチルメルカプトメチル―8―エル
ゴレンのマレイン酸塩を無定形固体として得た。 元素分析 計算値:C,64.46;H,6.59;N,6.54; S,7.48 実験値:C,64.31;H,6.51;N,6.81; S,7.61 実施例 8 D―6―n―プロピル―8β―メチルメルカプ
トメチル―9―エルゴレンの製造 リセルグ酸メチル25gを塩化メチレン750mlに
溶解し、臭化シアン35gを加えて窒素気流中室温
で22時間攪拌した。有機層を酒石酸水溶液、水お
よび飽和食塩水で洗浄し、乾燥して有機溶媒を留
去した。この反応で形成されたD―6―シアノ―
8β―メトキシカルボニル―9―エルゴレンを含
む残渣はTLCで単一スポツトを示した。残渣を
酢酸600mlおよび水120mlに溶解し、亜鉛粉末80g
を加えて窒素気流中で18.5時間加熱還流した。混
液を冷却して濾過し、濾液を氷上に注加して14N
アンモニア水で塩基性にした。このアルカリ性の
混液をクロロホルムで数回抽出し、抽出液を合し
て飽和食塩水で洗浄し、乾燥した。この反応生成
物であるD―6―デスメチルリセルグ酸メチル
は、対応するイソリセルグ酸塩を幾分含んでい
た。残渣はさらに精製することなくDMFに溶解
し、実施例7の製法に従つてn―プロピルヨウジ
ドと炭酸カリウムでアルキル化し、少量のα―メ
トキシカルボニル異性体を含むD―6―n―プロ
ピル―8β―メトキシカルボニル―9―エルゴリ
ンを得た。残渣をエーテルに懸濁してフロリシル
150g上にクロマトグラフし、エーテルで溶出し
た。NMRによつて、主としてβ―異性体を含む
と同定された分画を合してエーテルを留去し、残
渣を酢酸エチルに溶解して有機層を酒石酸水溶液
で抽出した。水性抽出液を分離して14Nアンモニ
ア水で塩基性とし、このアルカリ層をクロロホル
ムで数回抽出した。抽出液を合して飽和食塩水で
洗浄し、乾燥してクロロホルムを留去し、TLC
で1つの主要スポツトを示す残渣を得た。この残
渣をフロリシル30g上に再クロマトグラフし、エ
ーテル−ヘキサン(1:1)混合溶媒を用いて溶
出した。TLCおよびNMRによつてD―6―n―
プロピル―8β―メトキシカルボニル―9―エル
ゴレンを含むと同定された分画を合し、以下のよ
うに水素化アルミニウムリチウムで還元した。残
渣0.67gをTHF75mlに溶解して水素化アルミニ
ウムリチウム0.5gを加え、室温で70分間攪拌し
て氷水浴で冷却した。混液に酢酸エチルと10%水
酸化ナトリウム水溶液を順次加えて有機金属およ
び過剰の水素化物を分解した。混液を濾過し、濾
液を水で希釈してクロロホルム―イソプロパノー
ルで数回抽出し、抽出液を合して飽和食塩水で洗
浄し、乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣
は、TLCで3つの主要スポツトを示した。残渣
のクロロホルム溶液をフロリシル30g上にクロマ
トグラフし、メタノールの含有率を増加(2〜10
%)させながらクロロホルムで溶出した。4つの
分画を採集し、それぞれ別々に、メタンスルホニ
ルクロリド0.5mlを含むピリジン10mlで処理した。
各混液を水で希釈し、濃水酸化アンモニウムを加
えて塩基性にした。各溶液を酢酸エチルで抽出
し、抽出液を飽和食塩水で洗浄して乾燥した。こ
のように処理したクロマトグラフイーの4番目の
分画は、NMRによればD―6―n―プロピル―
8β―メシルオキシメチル―9―エルゴレンから
成る。化合物をフロリシルを通して再濾過し、約
150℃で溶融(分解)する物質250mgを得た。次
に、メチルメルカプタン25gおよびDMA100ml
から成る溶液1.40mlをDMA40mlに加えて氷水浴
で冷却し、水素化ナトリウム240mgを50%鉱油懸
濁液として徐々に加えた。混液を約15℃に暖め、
D―6―n―プロピル―8β―メシルオキシメチ
ル―9―エルゴレン250mgのDMA10ml溶液を速
やかに滴下した。得られた混液を窒素気流中室温
で1.25時間攪拌し、冷却して水で希釈した。この
混液を酢酸エチルで数回抽出し、酢酸エチル層を
分離して合併し、水および飽和食塩水で洗浄し
た。有機層を乾燥し、有機溶媒を留去して得られ
た残渣は、TLCによれば実質的にワン・スポツ
ト物質であつた。残渣のエーテル溶液をフロリシ
ルを通して濾過し、エーテルで洗浄した。このエ
ーテル溶液をヘキサンで希釈して、上記反応で形
成された結晶性のD―6―n―プロピル―8β―
メチルメルカプトメチル―9―エルゴレンを得
た。m.p. 約197℃(分解)。 得量 100mg。 元素分析 計算値:C,73.03;H,7.74;N,8.97; S,10.26 実験値:C,73.05;H,7.94;N,9.26; S,10.31 実施例 9 D―2―ブロム―6―n―プロピル―8β―メ
チルメルカプトメチルエルゴリンの製造 N―ブロムスクシンイミド1.62gのジオキサン
50ml溶液を、約63℃においてD―6―n―プロピ
ル―8β―メトキシカルボニルエルゴリン2.60gの
ジオキサン100ml溶液に速やかに滴下した。この
混液を窒素気流中で60〜65℃において2時間加熱
し、氷および14Nアンモニア水に注加した。アル
カリ性混液を酢酸エチルで抽出して分離し、水お
よび飽和食塩水で洗浄し、酢酸エチル層を乾燥し
て溶媒を留去した。残渣のTLCは1つの主要ス
ポツトを示した。上記反応で形成されたD―2―
ブロム―6―n―プロピル―8β―メトキシカル
ボニルエルゴリンを含む残渣のクロロホルム溶液
をフロリシル35g上にクロマトグラフし、1%メ
タノール含有クロロホルムで溶出した。TLCに
よつて主要スポツトに対応する物質を含むと同定
された分画を合してD―2―ブロム―6―n―プ
ロピル―8β―メトキシカルボニルエルゴリン1.64
gを得た。 m.p. 167〜168℃ 該化合物をメタノールから再結晶して、168〜
169℃で溶融する物質を得た。 元素分析 計算値:C,58.32;H,5.92;N,7.16 実験値:C,58.46;H,5.76;N,7.20 D―2―ブロム―6―n―プロピル―8β―メ
トキシカルボニルエルゴリン1.4gのTHF100ml
溶液を氷水で冷却し、水素化アルミニウムリチウ
ム1.5gを徐々に加えて混液を室温で約1時間攪
拌し、冷却した。酢酸エチルと10%水酸化ナトリ
ウム水溶液を順次加えて過剰の水素化アルミニウ
ムリチウムと有機金属物質を分解した。混液をさ
らに水で希釈してクロロホルム−イソプロパノー
ルで抽出し、抽出液を分離して飽和食塩水で洗浄
し、乾燥した。クロロホルムを留去して得られた
残渣は、TLCで1つの主要スポツトを示した。
この残渣をメタノールから再結晶すると、上記反
応で形成されたD―2―ブロム―6―n―プロピ
ル―8β―ヒドロキシメチルエルゴリンが得られ
た。 m.p. 208〜210℃。 得量 1.19g。 元素分析 計算値:C,59.51;H,6.38;N,7.71; Br,21.99 実験値:C,59.55;H,6.14;N,7.50; Br,21.72 D―2―ブロム―6―n―プロピル―8β―ヒ
ドロキシメチルエルゴリン1.3gのピリジン50ml
溶液にメタンスルホニルクロリド1.5mlを加えて
1.5時間攪拌し、氷および14Nアンモニア水に注
加した。アルカリ性の水層を酢酸エチルで抽出し
て分離し、水および飽和食塩水で洗浄して乾燥
し、酢酸エチルを留去した。TLCによれば、残
渣は単一物質から成つており、メタノールから再
結晶してD―2―ブロム―6―n―プロピル―
8β―メシルオキシメチルエルゴリンを得た。 得量 1.43g。 元素分析 計算値:C,50.74;H,6.17;N,5.92 実験値:C,50.90;H,6.03;N,6.00 メチルメルカプタンのDMA溶液(メチルメル
カプタン40ミリモル)8mlとDMA100mlを氷水
浴で冷却し、水素化ナトリウム1.6gを50%鉱油
懸濁液として徐々に加えた。混液を約15℃に暖
め、D―2―ブロム―6―n―プロピル―8β―
メシルオキシメチルエルゴリン1.5gのDMA40ml
溶液を速やかに滴下した。混液を窒素気流中室温
で1.5時間攪拌し、冷却して水で希釈した。水層
を酢酸エチルで数回抽出して分離し、合併して水
および飽和食塩水で洗浄して乾燥した。溶媒を減
圧下に留去し、1つの主要スポツトを示す残渣を
メタノールから再結晶して、上記反応で形成され
たD―2―ブロム―6―n―プロピル―8β―メ
チルメルカプトメチルエルゴリンを得た。 m.p. 159〜161℃。 総得量 1.08g。 メタンスルホン酸塩の製造は以下のようにして
実施した。D―2―ブロム―6―n―プロピル―
8β―メチルメルカプトメチルエルゴリン950mgを
約25mlの熱メタノールに溶解し、酸を2.5ミリモ
ル含むメタンスルホン酸溶液1.6mlを加えて冷却
した。混液をエーテルで希釈し、256℃で溶融
(分解)するメタンスルホン酸塩940mgを得た。 上記反応の出発物質であるD―6―n―プロピ
ル―8β―メトキシカルボニルエルゴリンは、実
施例8においてリセルグ酸メチルの対応する6―
n―プロピル誘導体を製造する反応操作により、
ジヒドロリセルグ酸メチルから製造し得る。 実施例 10 D―6―n―プロピル―8β―メチルスルフイ
ニルメチルエルゴリンの製造 D―6―n―プロピル―8β―メチルメルカプ
トメチルエルゴリン・メタンスルホン酸塩1.2g
を水100mlに溶解し、過ヨウ素酸ナトリウム685mg
を含む水25mlを加えて室温で17時間攪拌した。混
液を炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し、アルカ
リ層をクロロホルムとイソプロパノールとの混液
で抽出した。抽出液を分離して飽和食塩水で洗浄
し、乾燥して溶媒を留去した。残渣を沸騰メタノ
ールに溶解してメタンスルホン酸0.2mlを加え、
室温に冷却して等容積のエーテルで希釈した。溶
媒を減圧下に留去し、残渣を沸騰アセトン100ml
に溶解して濾過し、冷却して結晶性のD―6―n
―プロピル―8β―メチルスルフイニルメチルエ
ルゴリン・メタンスルホン酸塩を得た。 m.p. 200〜209℃(分解)。 元素分析 計算値:C,56.31;H,7.09;N,6.57; S,15.03 実験値:C,56.09;H,6.85;N,6.41; S,14.86 対応する遊離塩基は標準法に従つて製造した。 m.p. 173〜175℃(分解)。 元素分析 計算値:C,69.05;H,7.93;N,8.48; S,9.70 実験値:C,68.99;H,7.68;N,8.71; S,9.76 該化合物はm―クロル過安息香酸のような過酸
と反応させて実施例11の化合物に酸化し得る。 実施例 11 D―6―n―プロピル―8β―メチルスルホニ
ルメチルエルゴリンの製造 D―6―n―プロピル―8β―メシルオキシメ
チルエルゴリン3.6g、メタンスルフイン酸ナト
リウム10gおよびDMF200mlから成る混液を窒素
気流中110℃で3.75時間加熱した。混液を水で希
釈して酢酸で数回抽出し、酢酸層を合して水およ
び飽和食塩水で洗浄し、乾燥して酢酸エチルを留
去し、上記反応で形成されたD―6―n―プロピ
ル―8β―メチルスルホニルメチルエルゴリンか
ら成る残渣をクロロホルムに溶解した。このクロ
ロホルム溶液をフロリシル200g上にクロマトグ
ラフし、メタノールの含有率を増加(2〜4%)
させながらクロロホルムで溶出した。得られた2
つの主要分画の一方は、TLCの出発物質よりも
少し先を移動し、他方は少し後を移動した。展開
速度の遅い成分を含む分画を合して溶媒を留去
し、残渣をメタノールから再結晶して結晶性のD
―6―n―プロピル―8β―メチルスルホニルメ
チルエルゴリンを得た。 m.p. 184〜186℃。 総得量 690mg。 元素分析 計算値:C,65.86;H,7.56;N,8.09; S,9.25 実験値:C,66.08;H,7.49;N,7.88; S,9.05 メタンスルホン酸塩は、標準法に従つてメタノ
ール中で製造した。 実施例 12 D―2―クロル―6―n―プロピル―8β―メ
チルメルカプトメチルエルゴリンの製造 D―6―n―プロピル―8β―メシルオキシメ
チルエルゴリン7.2gを塩化メチレン100mlおよび
アセトニトリル380mlに溶解して三フツ化ホウ素
エーテラート6.3mlを加え、0〜5℃に冷却した。
次に、スルフリルクロリド1.80mlおよび塩化メチ
レン30mlから成る溶液を10分間にわたつて滴下
し、混液を約30分間冷却攪拌して5%アンモニア
水で希釈した。アルカリ層をクロロホルムとイソ
プロパノールとの混液で数回抽出し、抽出液を合
して飽和食塩水で洗浄し、乾燥した。溶媒を留去
し、得られた残渣を塩化メチレンに溶解してフロ
ロシル200g上にクロマトグラフし、メタノール
含有率を増加(2〜3%)させながら塩化メチレ
ンで溶出した。クロマトグラムはTLCで追跡し
た。出発物質よりもわずかに速く展開する物質を
含む分画を採集して溶媒を減圧下に留去し、上記
反応で形成されたD―2―クロル―6―n―プロ
ピル―8―メシルオキシメチルエルゴリンを含む
この分画をメタノールから再結晶して結晶性物質
を得た。 m.p. 130〜131℃。 収率 82%。 さらにメタノールから再結晶させて、133〜135
℃で溶融する化合物を得た。 元素分析 計算値:C,57.49;H,6.35;N,7.06; Cl,8.93;S,8.08 実験値:C,57.29;H,6.20;N,7.12; Cl,9.13;S,8.21 メチルメルカプタン7gのDMF200ml溶液を氷
水浴で約0℃に冷却し、水素化ナトリウム9.6g
を50%鉱油懸濁液として徐々に加えてメチルメル
カプチドを製造した。冷却浴を取り除いて約10分
間攪拌し、D―2―クロル―6―n―プロピル―
8β―メシルオキシメチルエルゴリン6.2gの
DMF75ml溶液を速やかに滴下した。混液を窒素
気流中でさらに1時間攪拌して水で希釈した。水
溶液を酢酸エチルで数回抽出し、抽出液を合して
水および飽和食塩水で洗浄し、乾燥して酢酸エチ
ルを留去した。残渣をエーテルで洗浄し、ヘキサ
ンで希釈すると、上記反応で形成されたD―2―
クロル―6―n―プロピル―8β―メチルメルカ
プトメチルエルゴリンから成る結晶性物質が得ら
れた。 m.p. 183〜186℃。 得量 4.4g。 該化合物をメタンスルホン酸塩に変換し、メタ
ノール−エーテルから再結晶した。 m.p. 267〜269℃(分解)。 元素分析 計算値:C,53.98;H,6.57;N,6.29; Cl,7.97;S,14.41 実験値:C,54.22;H,6.64;N,6.45; Cl,8.13;S,14.20 実施例 13 D―6―n―プロピル―8β―メチルメルカプ
トメチルエルゴリンの製造 D―8β―メチルメルカプトメチルエルゴリン
315mg、n―プロピルヨウジド0.12ml、炭酸カリ
ウム275mgおよびDMF10mlを窒素気流中室温で約
22.5時間反応させ、実施例1と同様に処理してア
ルキル化を行つてD―6―n―プロピル―8β―
メチルメルカプトメチルエルゴリンを得た。この
生成物を実施例1に従つてメタンスルホン酸塩に
変換し、D―6―n―プロピル―8β―メチルメ
ルカプトメチルエルゴリン・メタンスルホン酸塩
250mgを得た。 m.p. 約259〜262℃(分解)。 実施例 14 D―6―n―プロピル―8β―メチルメルカプ
トメチルエルゴリンの製造 実施例4で製造したD―6―アリル―8β―メ
チルメルカプトメチルエルゴリン・メタンスルホ
ン酸塩51mgを、5%パラジウム―炭素10mgおよび
80%エタノール/20%水5mlを用いて水素圧1.01
×106dynes/cm2で水素化し、約20時間攪拌した。
触媒を濾去し、濾液を45℃において減圧濃縮し
た。残渣をメタノール10mlに溶解してフロロシル
0.5gに加え、メタノールを45℃において減圧留
去した。このフロロシルをクロマトグラフし、メ
タノールの含有率を増加(1〜10%)させながら
クロロホルムで溶出した。さらにTLCに付し、
出発物質よりも幾分速く展開する物質を含む分画
を採集して溶媒を減圧留去した。この残渣をエー
テルから再結晶して減圧乾燥し、D―6―n―プ
ロピル―8β―メチルメルカプトメチルエルゴリ
ン31mgを得た。 m.p. 約253〜256℃(分解)。 実施例 15 D―2―クロル―6―n―プロピル―8β―メ
チルスルフイニルメチルエルゴリンの製造 D―2―クロル―6―n―プロピル―8β―メ
チルメルカプトメチルエルゴリン1.05g(3.0ミ
リモル)、メチルスルホン酸0.20ml(3.1ミリモ
ル)およびメタノール50mlから成る溶液をm―ク
ロル過安息香酸(85%)665mg(3.3ミリモル)の
クロロホルム25ml溶液に徐々に加え、窒素気流中
で0.5時間攪拌した。有機溶媒を減圧下に留去し、
TLCにより実質的にワン・スポツトを示した残
渣のクロロホルム溶液を酸化アルミニウム50gを
通して濾過し、さらにフロリシルを通して濾過し
た。フロリシルを2〜4%メタノールで洗浄し、
合併した溶液をジエチルエーテルで希釈してD―
2―クロル―6―n―プロピル―8β―メチルス
ルフイニルメチルエルゴリンを結晶化させた。 m.p. 142〜150℃。 得量 250mg。 元素分析 計算値:C,62.53;H,6.91;N,7.68; Cl,9.71; 実験値:C,62.66;H,6.73;N,7.50; Cl,9.88;S,9.01 実施例 16 D―2―クロル―6―n―プロピル―8β―メ
チルスルホニルメチルエルゴリンの製造 D―2―クロル―6―n―プロピル―8β―メ
チルスルフイニルメチルエルゴリン0.49g(1.3
ミリモル)およびメチルスルホン酸0.10ml(1.5
ミリモル)をメタノール50mlに溶解し、これをm
―クロル過安息香酸295mg(1.5ミリモル)のクロ
ロホルム25ml溶液に徐々に加えた。混液を窒素気
流中で0.5時間攪拌し、有機溶媒を留去した。
TLCにより、実質的にワン・スポツトを示した
残渣のクロロホルム溶液を酸化アルミニウム50
g、次いでフロリシルを通して濾過した。溶液を
ジエチルエーテルで希釈してD―2―クロル―6
―n―プロピル―8β―メチルスルホニルメチル
エルゴリンを結晶化させた。 m.p. 212〜215℃(分解)。 得量 275mg。 元素分析 計算値:C,59.91;H,6.62;N,7.35; S,8.42;Cl,9.31; 実験値:C,59.63;H,6.34;N,7.14; S,8.32;Cl,9.38; パーキンソン症候群の治療における化合物
()の有用性の証拠として、6―ヒドロキシド
パミンによる障害を持つラツトを使用した試験法
において、化合物()は回転行動(turning
behavior)に影響を及ぼすことが見出された。
この試験法においては、黒色―新線状体(nigro
―neostriatal)による障害を有するラツトを用
いた(Ungersted and Arbuthnott,Brain Res,
24,485(1970)]。ドパミンアゴニスト作用
(dopamine agonist activity)を有する化合物
は、病巣と反対側にラツトを回転させる。潜伏期
間(これは化合物によつて異なる)後、回転数を
15分間にわたつて数えた。D―6―n―プロピル
―8β―メチルメルカプトメチルエルゴリン・メ
シレートは、6〜7分という非常に短い潜伏期間
を有するだけでなく、1ラツトあたり平均105回
の回転数を惹き起こす。 この化合物および他の関連化合物をラツトの回
転行動試験に付した結果を下記表1にまとめた。
各化合物は水に溶解してラツトに腹腔内投与し
た。表1において、第1欄は化合物名、第2欄は
腹腔内投与量(mg/Kg)、第3欄は回転行動を示
すテスト動物の百分率、第4欄は潜伏期間、第5
欄は活性期、そして第6欄は潜伏期間後、最初の
15分間に観察された平均回転数をそれぞれ表わ
す。 【表】 化合物()はパーキンソン症候群の治療剤と
して有用である。 投与―応答曲線によれば、D―6―n―プロピ
ル―8β―メチルメルカプトメチルエルゴリン・
メシレートは対応するD―6―メチル化合物より
も、6―ヒドロキシドパミンによる障害を有する
ラツトの回転行動テストにおいて約30倍強力であ
る。 さらに、化合物()、特にD―6―n―プロ
ピル―8β―メチルメルカプトメチルエルゴリン
およびそのΔ8とΔ9化合物は、ドパミン
(tritiated)と、牛の脳の線条体膜(striatal
synaptosomes of bovine brain)に存在するド
パミン受容体との親和力の高い結合の抑制剤とし
て極めて強力である[Bymaster and Wong,
Fed.Proc.,36,1006(1977)]と共に、パーキン
ソン症候群の治療剤としても有用である。表2
は、本発明および先行技術の様々なエルゴリン、
8―エルゴレンおよび9―エルゴレンの抑制能を
示したものである。表において、第1欄は化合物
名、そして第2欄は、初期反応速度を1/2の速度
に減速するために要する抑制剤の濃度Ki(ナノモ
ル単位)を表わす。 【表】 化合物()、特にD―6―n―プロピル―8β
―メチルメルカプトメチルエルゴリンは、殆んど
のエルゴレン類もしくはエルゴリン類がセロトニ
ン拮抗剤であるのに対して、むしろセロトニンア
ゴニストである。 以下に、6―n―プロピル―8β―メチルメル
カプトメチルエルゴリン・メシレートに係る毒性
データを示す。 【表】 化合物()をパーキンソン症候群の治療剤ま
たは他の薬理作用に用いる場合には、エルゴリ
ン、8―エルゴレンもしくは9―エルゴレンまた
はそれらの塩を製薬的に許容され得る酸と共に、
哺乳動物の体重1Kgあたり0.01〜15mgの割合で、
パーキンソン病の患者に投与する。D―6―n―
プロピル―8β―メチルメルカプトメチルエルゴ
リンの場合には、0.01〜0.5mgの投与量を用いる。
経口投与が好ましい。非経口投与の場合には、当
業者に公知の薬理的な剤型によつて皮下注射する
のが好ましい。他の非経口投与法、例えば腹腔
内、筋肉内もしくは静脈内注射も同様に有効であ
る。特に静脈内および筋肉内投与の場合には、水
に可溶の製薬的に許容し得る塩を用いる。経口投
与の場合には、化合物()を遊離塩基あるいは
その塩の形で標準の製薬的な賦形剤と混合しては
め込み式のゼラチンカプセルに封入、あるいは錠
剤に製剤してもよい。 以下に、6―n―プロピル―8β―メチルメル
カプトメチルエルゴリン・メシレートを錠剤に製
造した場合の製剤例を示す。ただし、これらの製
剤は本発明に係る製剤の限定を意図するものでは
ない。 製剤例 1 成 分 含有量(mg/錠) 6―n―プロピル―8β―メチル―メルカプト
メチルエルゴリン・メシレート(76.6%塩基と
して5%過剰量) 0.0685 (ペルゴリド0.0525と等価) 乳糖NF 288.0515 架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム
6.0 ポビドンUSP 4.0 ステアリン酸マグネシウムNF 1.75 黄色酸化鉄 0.13 300.00 製剤例 2 成 分 含有量(mg/錠) 6―n―プロピル―8β―メチル―メルカプト
メチルエルゴリン・メシレート(76.6%塩基と
して5%過剰量) 0.0685 (ペルゴリド0.0525と等価) 乳糖NF 287.0515 架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム
6.0 ポビドンUSP 4.0 ステアリン酸マグネシウムNF 1.75 黄色酸化鉄 0.13 L―またはDL―メチオニン 1.0 300.00 製剤例 3 成 分 含有量(mg/錠) 6―n―プロピル―8β―メチル―メルカプト
メチルエルゴリン・メシレート(76.6%塩基と
して5%過剰量) 1.37 (ペルゴリド1.05と等価) 乳糖NF 287.88 架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム
6.0 ヒドロキシプロピルメチルセルロース−5 2.0 ステアリン酸マグネシウムNF 1.75 赤色酸化鉄純品 0.5 L―システイン(塩酸塩または遊離塩基)
0.5 300.00 製剤例 4 成 分 含有量(mg/錠) 6―n―プロピル―8β―メチル―メルカプト
メチルエルゴリン・メシレート(76.6%塩基と
して5%過剰量) 1.37 (ペルゴリド1.05と等価) 乳糖NF 285.88 架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム
6.0 モルト−デキストリン(5または15) 5.0 ステアリン酸マグネシウムNF 1.75 赤色酸化鉄純品 0.5 L―システイン(塩酸塩または遊離塩基)
0.5 300.00 製剤例 5 成 分 含有量(mg/錠) 6―n―プロピル―8β―メチル―メルカプト
メチルエルゴリン・メシレート(76.6%塩基と
して5%過剰量) 0.343 (ペルゴリド0.2625と等価) 乳糖NF 287.057 架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム
6.0 ポビドンUSP 4.0 ステアリン酸マグネシウムNF 1.75 黄色酸化鉄 0.65 FD&CブルーNo.2アルミニウムレーキ 0.2 300.00 製剤例 6 成 分 含有量(mg/錠) 6―n―プロピル―8β―メチル―メルカプト
メチルエルゴリン・メシレート(76.6%塩基と
して5%過剰量) 0.343 (ペルゴリド0.2625と等価) 乳糖NF 286.557 架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム
6.0 ポビドンUSP 4.0 ステアリン酸マグネシウムNF 1.75 黄色酸化鉄 0.65 FD&CブルーNo.2アルミニウムレーキ 0.2 L―システイン(塩酸塩または遊離塩基)
0.5 300.00

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 D―6―n―プロピル―8β―メチルメルカ
    プトメチルエルゴリンまたはその製薬的に許容さ
    れ得る酸付加塩を、不活性担体と共に含有してな
    るパーキンソン症候群治療剤。 2 D―6―n―プロピル―8β―メチルメルカ
    プトメチルエルゴリン・メシレートを、不活性担
    体と共に含有してなる特許請求の範囲第1項に記
    載のパーキンソン症候群治療剤。
JP12041088A 1978-02-08 1988-05-17 Paakinsonshokogunchiryozai Expired - Lifetime JPH0240044B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12041088A JPH0240044B2 (ja) 1978-02-08 1988-05-17 Paakinsonshokogunchiryozai

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US05/875,978 US4166182A (en) 1978-02-08 1978-02-08 6-n-propyl-8-methoxymethyl or methylmercaptomethylergolines and related compounds
JP1180879A JPS54115400A (en) 1978-02-08 1979-02-02 66nnpropyll88methoxymethyl or methylmercapto methylergolenes and their relative compounds
JP12041088A JPH0240044B2 (ja) 1978-02-08 1988-05-17 Paakinsonshokogunchiryozai

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS6463519A JPS6463519A (en) 1989-03-09
JPH0240044B2 true JPH0240044B2 (ja) 1990-09-10

Family

ID=27279591

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12041088A Expired - Lifetime JPH0240044B2 (ja) 1978-02-08 1988-05-17 Paakinsonshokogunchiryozai

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0240044B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6572879B1 (en) * 1995-06-07 2003-06-03 Alza Corporation Formulations for transdermal delivery of pergolide
IT1307934B1 (it) * 1999-01-27 2001-11-29 Poli Ind Chimica Spa Processo per la preparazione di derivati alchimercaptometilergolinici.

Also Published As

Publication number Publication date
JPS6463519A (en) 1989-03-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPS6363544B2 (ja)
EP0082808B1 (en) Novel ergolinyl compounds nitrogen-substituted in the 8-position, their preparation, and use as medicinal agents
US4202979A (en) 6-Ethyl(or allyl)-8-methoxymethyl or methylmercaptomethylergolines and related compounds
US4246265A (en) 6-n-Propyl-8α-methoxymethyl or methylmercaptomethylergolines and related compounds
Wikstroem et al. Monophenolic octahydrobenzo [f] quinolines: central dopamine-and serotonin-receptor stimulating activity
US4180582A (en) 6-n-Propyl-8-methoxy-methyl or methylmercaptomethylergolines and related compounds as prolactin inhibitors and to treat Parkinson's syndrome
US4075212A (en) Method of preparing 8,8-disubstituted-6-methylergolines and related compounds
NL8400259A (nl) Nieuwe farmaceutisch actieve 1,2,3,4,4a,5,10,10aoctahydrobenzogchinoline derivaten, hun bereiding en gebruik.
JPH0240044B2 (ja) Paakinsonshokogunchiryozai
IL42730A (en) D-6-methyl-2,8-disubstituted ergolines,their preparation and pharmaceutical compositions containing them
JPH0240647B2 (ja) Purorakuchinbunpyokuseizai
US20030225142A1 (en) Chain-modified pyridino-N substituted nicotine compounds for use in the treatment of CNS pathologies
EP0016274B1 (en) 2-azaergolines and 2-aza-8(or 9)-ergolenes, process for their preparation and pharmaceutical compositions containing them
PL102198B1 (pl) A process of producing the new derivative of 6-methylo-8-methylergoline
Stuetz et al. Ergot alkaloids. 87. New ergolines as selective dopaminergic stimulants
KR810002024B1 (ko) 6-n-프로필-8-메톡시메틸 또는 메틸 메르캅토 메틸 에르골린의 제조방법
US4075213A (en) 8-Aryl-9-ergolenes
KR830000604B1 (ko) 2-아자에르골린류 및 2-아자-8-(또는 9)-에르골린류의 제조방법
USRE30218E (en) 8,8-Disubstituted-6-methylergolines and related compounds
USRE30219E (en) Method of preparing 8,8-disubstituted-6-methylergolines and related compounds
KR850000383B1 (ko) 2-(4-하이드록시알킬-1-퍼페라지닐)-2,4,6-사이클로헵타트리엔-1-온 유도체의 제조방법
HU208010B (en) Process for producing agroklavine- and elimoklavine derivatives and pharmaceutical compositions contaiing them