JPH0238136Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、ガス圧縮機の軸封装置において、軸
封液漏洩量を調整可能とする技術分野で利用され
る。

従来の技術 第２図にガス圧縮機で従来より用いられている
軸封装置の適用例を示す。

ケーシング１と軸２の間に大気側シールリング
３、ガス側シールリング４が配置されており、大
気室５、軸封液室６、機内ガス室７を構成してい
る。

８はタンク、９はポンプ、１０は調整弁、１１
はヘツドタンクで、これらを結ぶ管路１２が軸封
液室６に接続され、軸封液を供給している。

ヘツドタンク１１の頂部には、機内ガス室７の
圧力が管路１３によつて導びかれており、ヘツド
タンク１１の液面レベルＨが一定となるよう検出
器１４の値を調整弁１０に送りコントロールして
いる。従つて、軸封液室には、機内ガス室７の圧
力P_gよりヘツドタンク１１の液面高さＨ分だけ
高い圧力の軸封液が供給される。大半の軸封液は
大気側シールリング３と軸２の隙間を介して大気
室５へと流れ、管路１５を介してタンク８に戻る
が、一部の軸封液は差圧Ｈ分で、ガス側シールリ
ング４を介して、機内ガス室７に漏洩すること
で、機内ガス室７のガスが大気室５側へ漏れない
ようシールしている。

このような軸封装置において、機内ガス室７へ
漏洩した軸封液は、一般的に廃液扱いになること
が多く、ランニングコスト低減等の観点より、こ
の量を極力少なくするよう要求されている。この
ため、例示の軸封装置では、ガス側シールリング
４の形状に特徴があり、傾斜部４ａを有する形状
となつている。

傾斜部４ａは、軸２の回転により遠心力が作用
する。この時、ガス室側の径D₁に比べ軸封液室
側の径D₂が大きいので、傾斜部４ａに存在する
液には矢印で示す方向に押し戻す力が作用す
る。この作用は、軸２の回転数増加につれ大きく
なるので、結果として軸封液のガス室７側への漏
洩量は減少してくる。この特性を第３図に示して
いるが、回転数が高くなるにつれ、傾斜部４ａの
ポンプ効果が大きくなり、差圧Ｈを越える値にな
る可能性がある。このような状態になると、本来
具備すべき機内ガス室７のガスをシールする機能
が失なわれ、ガス漏れを生じることになる。

以上述べたように、例示の軸封装置は、最適設
計をうまくしない限り、ガス漏れを生じる等の欠
点を有している。

考案が解決しようとする問題点 本考案は、上記従来例の傾斜部を有するガス側
シールリングによる軸封装置の不具合を解消せん
とするもので、運転中において、機内ガス室側へ
の軸封液漏洩量を調整可能なようにすることにあ
る。

問題点を解決するための手段 本考案は、上述の問題を解決するために、次の
ような手段を採つている。すなわち、 ガス側シールリングに傾斜軸封部とねじポンプ
部を設け、そのねじポンプ部と傾斜軸封部とを連
通孔を介して連通すると共に、ガス側シールリン
グのねじポンプ側の外周部とケーシングの間にＯ
リングを挿入して軸封液室を二つに区画し、区画
された各軸封液室に供給される軸封液量をコント
ロールする手段を設けた液封式軸封装置とする。

作 用 以上述べた手段による本考案は、傾斜部のポン
プ効果が大きくなり過ぎると、新たに設けたねじ
ポンプの昇圧機能を作用させ、適量の軸封液がガ
ス室側に漏洩するようにする。ねじポンプの作用
は、二つの軸封液室に供給される管路に設けた弁
の開度調整により行い、軸封液漏洩量を調整可能
とする。

実施例 次に、本考案の実施例につき、第１図を参照し
て詳述する。

第２図において、従来例を示した第２図と同じ
部分については同一符号を付している。以下異な
る部分について詳述する。

ガス側シールリング１０１は、ねじポンプ部１
０１ｂ、複数個の連通孔１０１ｃを従来の傾斜部
１０１ａ（第２図の４ａと同じ）を有する形状の
ものに付加した形状とし、ケーシング１とガス側
シールリング１０１との間にＯリング１０２を設
けることで、第２の軸封液室１０３を構成し、従
来例と同様の第１の軸封液室６及び第２の軸封液
室１０３の各々に、軸封液が供給出来るよう、管
路１０４を管路１２に追加し、かつ、弁１０５を
管路１０４中に設ける。

ここでねじポンプ部１０１ｂは図示した→印の
方向に作用する。弁１０５を全開にした場合は、
第１の軸封液室６と第２の軸封液室１０３は等し
い圧力となるので、従来例と変らないが、弁１０
５を閉の方向にするに従い、第２の軸封液室１０
３の圧力は徐々に高くなる。

考案の効果 前記構成になる本考案によると、次の効果が得
られるので、ガス圧縮機用軸封装置として好適で
ある。

ａ 弁１０５の開度により、第２の軸封液室１０
３の圧力をねじポンプ部１０１ｂの昇圧効果に
よりコントロールすることが可能となつた。

ｂ 従つて、回転数増加に伴い第３図に示すガス
漏れ発生ゾーンに入つて来た時、弁１０５を閉
の方向にすれば、ガス漏れを生じることなく、
機内ガス側に漏れる軸封液量も少なくすること
が可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例としての軸封装置の
断面図、第２図は従来の軸封装置例の断面図、第
３図は従来の軸封装置のガス側シールリングの特
性を説明する図表である。 １……ケーシング、２……軸、５……大気側シ
ールリング、６……第１の軸封液室、７……機内
ガス室、８……タンク、９……ポンプ、１０……
調整弁、１１……ヘツドタンク、１０１……ガス
側シールリング、１０２……Ｏリング、１０３…
…第２の軸封液室、１０４……管路、１０５……
弁、１０１ａ……傾斜部、１０１ｂ……ねじポン
プ室、１０１ｃ……連通孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ケーシングと軸との間に大気側シールリングと
   ガス側シールリングとが配置され、大気室と軸封
   装置と機内ガス室とが構成された液封式軸封装置
   において、ガス側シールリングに傾斜軸封部とね
   じポンプ部を設け、そのねじポンプ部と傾斜軸封
   部とを連通孔を介して連通すると共に、ガス側シ
   ールリングのねじポンプ側の外周部とケーシング
   の間にＯリングを挿入して軸封液室を二つに区画
   し、区画された各軸封液室に供給される軸封液量
   をコントロールする手段を設けた液封式軸封装
   置。