JPH0236107B2 - Zeiseitainohakaihoho - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は、予めその破壊が予定されている脆性
体の破壊方法に関し、例えば、義歯要石膏作業模
型から義歯を取り出すに際し、義歯に損傷を与え
ることなく作業模型を破壊することができる作業
模型の破壊方法として利用できるものである。

＜従来の技術＞ 一般に義歯は局部義歯と総義歯とに分けられ、
これらはいずれも、次の様にして製造されてい
る。まず、患者の口腔から印象を採得し、次いで
この印象に石膏を注入してこれを作業模型とし、
この作業模型のロウ堤を作成してそこに人工歯を
配列させる。そして、人工歯の配列した作業模型
をフラスコに石膏を注入しながら埋設してこれら
を加熱し、ロウ堤を溶かしてそこに陰型にし、そ
の陰型に樹脂を充填する。引き続き、これらを加
熱して樹脂を加熱重合させ、更にこの樹脂及び人
工歯とからなる義歯を作業模型とをフラスコから
取り出す。この後、義歯を掘り出して作業模型か
ら義歯を分離している。作業模型に使用される石
膏として、普通石膏、硬石膏、超硬石膏等が使用
されており、作業模型から義歯の分離する場合、
従来では、石膏鉗子などの器具を用い人の握力を
利用して石膏模型の端部から破壊作業を行つてい
る。このため、それ相当の熟練を要すると共に、
多大な労力と時間を要しており、１日に数個しか
脱型できないのが実状である。また、この方法で
は、時として義歯が破損し、或いは義歯が永久変
形することもあつた。

そこで、本出願人は先に膨脹性破砕剤を使用し
て脆性型枠を破壊する方法（特願昭59−41651号
及び特願昭59−49253号）を提案し、この方法を
上記作業模型に適用することで上述した問題点を
解消してすぐれた成果をあげている。

＜発明が解決しようとする問題点＞ しかしながら、本出願人の先に提案した方法に
おいては、膨脹性破砕剤を充填するために、小型
電気ドリル等の穿孔機を用いて模型に穿孔する必
要があり、この穿孔作業により模型内の義歯が損
傷しないように注意深く穿孔作業を行なわなけれ
ばならない他、穿孔くずによる環境汚染等の問題
がある。また電気ドリルの反復使用にも限度があ
り、その耐久性も問題となつていた。本発明はこ
のような現状に鑑み、膨脹性破砕剤の充填孔を穿
設する作業が不要で、環境汚染等の問題の生じな
い脆性体の破壊方法を提供することを目的とす
る。

＜問題点を解決するための手段＞ 前記目的を達成する本発明の構成は、脆性体を
製造する際に予め熱溶融物質をその一部が当該脆
性体表面に露出するよう埋設し、その後前記熱溶
融物質を溶出させて孔を形成し、この孔中に膨脹
性破砕剤を充填して該膨脹性破砕剤を水和膨脹さ
せることにより前記脆性体を破壊することを特徴
とする。

本発明に用いられる熱溶融物質としては、植物
性あるいは動物性などの固体脂、固体ロウ、パラ
フインロウ、あるいはポリエチレングリコール、
ポリエチレングリコールエステル、ポリエチレン
グリコールエーテル、ポリプロピレングリコー
ル、ポリプロピレングリコールエステル、ポリプ
ロピレングリコールエーテルなどのロウ状物質、
あるいはポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化
ビニル、ポリメチルメタクリレートなどの熱可塑
性樹脂を使用することができる。また、上記熱可
塑性樹脂を用いる場合には、フタル酸エステル系
（ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートな
ど）、リン酸エステル系（トリブチルホスヘート
など）、グリコールおよびグリセロール系（ポリ
エチレングリコール、クエン酸トリブチルなど）
など可塑剤を用いた低融点のものを使用するほ
か、石膏より低比重のものを使用するのが望まし
い。また、上述したような義歯用石膏作業模型の
破壊方法に用いる場合には、ロウ堤を溶かすとき
に同時に溶出できるようなもの、つまり溶融温度
が60℃以下程度のものが望ましい。

本発明では、上記熱溶融物質を棒状体、帯状体
などに成形したものを破壊する予定の脆性体に埋
設する。このとき、脆性体の破壊計画に対応した
任意の形状に成形したものを用いてもよい。

＜作用＞ 破壊が予定されている脆性体を製造する際に、
予め上述のような熱溶融物質をその一部が脆性体
の表面に露出するように埋設しておくと、この熱
溶融物質を溶出することにより形成した空洞を膨
脹性破砕剤の充填孔とすることができるので、脆
性体を破壊するための充填孔を穿設する必要はな
い。

＜実施例＞ 以下、本発明を、脆性体の一例として義歯用石
膏作業模型（以下、単に模型という）を使用し
て、この模型から義歯を掘り出す実施例について
詳細に説明する。

まず、トレー５に印象材４を詰めてこれを患者
の口腔内に押し付けて印象を採得する。採得され
た印象は、第１図及び第２図に示すように、患者
の歯型に対する陰型となつている。次に、第１図
に示すようにトレー５上の印象材４に採得された
陰型に石膏スラリーを注入して模型１を製造する
際、模型１の破壊計画に従つて熱溶融物質３をそ
の中に埋設すると共に熱溶融物質３の一部を模型
表面に露出させる。本実施例で使用した熱溶融物
質３は第３図に示すように固体ロウを馬蹄形に成
形したものである。尚、本実施例では馬蹄形の熱
溶融物質をその両端が模型１から突出するように
埋設したが、このような態様で埋設されるものに
限らず、一端のみを模型１から突出させて他方の
模型１内に埋設しても良い。また、熱溶融物質３
の断面形状は円形の他、膨脹性破砕剤による破砕
の方向性を考慮して楕円形、ひし形、Ｔ字形等各
種形状とすることも可能である。

第４図には、馬蹄形に成形した熱溶融物質の棒
状の熱溶融物質とを埋設した例を示す。

このように、熱溶融物質３を埋設すると共に石
膏スラリーを注入して数分経過すると、石膏スラ
リーが硬化して石膏層２となり模型１が完成す
る。この後、第４図に示すように従来公知の装置
により、ロウ堤６を作成して入口歯７を配列し、
以下前述したようにロウ堤６を溶かして陰型をつ
くり、そこに注入された樹脂の加熱重合が行われ
る。ここで、上記熱溶融物質３もロウ堤６の溶か
し出しのときに同時に溶出するとよい。

このように形成された模型１を破壊して義歯を
掘り出すには、まず、上記熱溶融物質３を溶出し
て形成された空洞を充填孔としてこの充填孔は膨
脹性破砕剤を充填する。

本発明に用いられる膨脹性破砕剤としては、例
えば「ブライスター」（小野田セメント株式会社、
商品名）等の公知の静的破砕剤の他、セメントコ
ンクリート用膨脹剤、生石灰、焼成ドロマイト等
の１種または２種以上、また必要に応じてケイフ
ツ化ソーダ、クエン酸、酒石酸等の水和反応抑制
剤を混入して使用することができる。又、充填に
際しては、水で練り混ぜたスラリー状の膨脹性破
砕剤の他、粉末状、顆粒状のものを充填しても良
い。粉末状、顆粒状の場合は、孔内に水を注入す
るか、一度模型１を液体中に浸漬することとな
る。

尚、膨脹性破砕剤として生石灰を用いる場合
は、スラリーにすると消化が激しくパサパサにな
るので、粉末若しくは顆粒状のものを使用するこ
ととなる。

膨脹性破砕剤を充填して自然放置するだけで破
砕剤の膨脹により生ずる膨脹圧で模型１の石膏層
２が破砕されることとなるが、模型１を20℃以上
の高温雰囲気中、例えばスチームバス、エアバ
ス、ウオータバス中に置くことにより、極めて短
時間で破壊でき、模型１から容易に義歯を取り出
すことができる。

＜発明の効果＞ 以上実施例とともに具体的に説明したように、
本実施例によれば破壊が予定されている脆性体を
製造する際に、予め熱溶融物質を埋設しておき、
この熱溶融物質で溶出させて形成した空洞を膨脹
性破砕剤の充填孔とするので、脆性体の穿孔作業
が不要となり、穿孔くずによる環境汚染の問題も
解消され、脆性体を容易に破壊することができ
る。また、義歯用石膏作業模型から義歯を掘り出
す場合に適用すると静的に石膏を破砕分離できる
ため、義歯の永久変形及び破損を防ぎ、患者の口
腔に好適に適合する義歯の製作が可能となる。

尚、上記実施例では、義歯用石膏作業模型を脆
性体の一例として説明したが、その他金冠、金属
床の製作をするための高温埋設材の破壊あるいは
その破壊が予め予定されているモルタル、コンク
リート等の各種脆性体について本発明を広範囲に
適用できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本発明の一実施例に係り、
採得された印象から義歯用石膏模型を製作する様
子を示す横断面図、縦断面図、第３図は熱溶融物
質の一例を示す斜視図、第４図は本発明の他実施
例の一工程を示す斜視図である。 図面中、１は模型、２は石膏層、３は熱溶融物
質、４は印象材、５はトレー、６はロウ堤、７は
入口歯である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 脆性体を製造する際に予め熱溶融物質をその
   一部が当該脆性体表面に露出するよう埋設し、そ
   の後前記熱溶融物質を溶出させて孔を形成し、こ
   の孔中に膨脹性破砕剤を充填して該膨脹性破砕剤
   を水和膨脹させることにより前記脆性体を破壊す
   ることを特徴とする脆性体の破壊方法。