JPS6215222B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、予めその破壊が予定されている脆性
体及びその破壊方法に関し、例えば、義歯用石膏
作業模型から義歯を取り出すに際し、義歯に損傷
を与えることなく作業模型を破壊することができ
る作業模型及びその破壊方法として利用できるも
のである。

〈従来の技術〉 一般に義歯は局部義歯と総義歯とに分けられ、
これらはいずれも、次の様にして製造されてい
る。まず、患者の口腔から印象を採得し、次いで
この印象に石膏を注入してこれを作業模型とし、
この作業模型にロウ堤を作成してそこに人工歯を
配列させる。そして、人工歯の配列した作業模型
をフラスコに石膏を注入しながら埋設してこれら
を加熱し、ロウ堤を溶かしてそこを陰型にし、そ
の陰型に樹脂を充填する。引き続き、これらを加
熱して樹脂を加熱重合させ、更にこの樹脂及び人
工歯とからなる義歯と作業模型とをフラスコから
取り出す。この後、義歯を掘り出して作業模型か
ら義歯を分離している。作業模型に使用される石
膏としては、普通石膏、硬石膏、超硬石膏等が使
用されており、作業模型から義歯を分離する場
合、従来では、石膏鉗子などの器具を用い人の握
力を利用して石膏模型の端部から破壊作業を行つ
ている。このため、それ相当の熟練を要すると共
に、多大な労力と時間を要しており、１日に数個
しか脱型できないのが実状である。また、この方
法では、時として義歯が破損し、或いは義歯が永
久変形することもあつた。

そこで、本出願人は先に膨脹性破砕剤を使用し
て脆性型枠を破壊する方法（特願昭59−41651号
及び特願昭59−49253号）を提案し、この方法を
上記作業模型に適用することで上述した問題点を
解消してすぐれた成果をあげている。

〈発明が解決しようとする問題点〉 しかしながら、本出願人の先に提案した方法に
おいては、膨脹性破砕剤を充填するために、小型
電気ドリル等の穿孔機を用いて模型に穿孔する必
要があり、その穿孔作業により模型内の義歯が損
傷しないように注意深く穿孔作業を行なわなけれ
ばならない他、穿孔くずによる環境汚染等の問題
がある。また電気ドリルの反復使用にも限度があ
り、その耐久性も問題となつていた。本発明はこ
のような現状に鑑み、膨脹性破砕剤の充填孔を穿
設する作業が不要で、環境汚染等の問題の生じな
い脆性体及びその破壊方法を提供することを目的
とする。

〈問題点を解決するための手段〉 斯かる目的を達成する本発明の脆性体に係る構
成は膨脹性破砕剤の充填孔形成部材がその一部を
表面に露出させて内部に埋設されていることを特
徴とし、特に膨脹性破砕剤の充填孔形成部材とし
て弾性管が使用されることが望ましく、更に望ま
しくは膨脹性破砕剤の充填孔形成部材は弾性管内
に可塑性部材が挿入されて構成されることであ
る。また、本発明の脆性体の破砕方法に係る構成
は脆性体を製造する際に予め膨脹性破砕剤の充填
孔形成部材を当該脆性体内に埋設すると共に該充
填孔形成部材の一部を当該脆性体表面に露出させ
た後、前記充填孔形成部材を前記脆性体から引き
抜いて充填孔を形成し、次いで、該充填孔内に膨
脹性破砕剤を充填して該膨脹性破砕剤を膨脹させ
ることにより、前記脆性体を破壊することを特徴
とするものである。

〈作 用〉 脆性体を製造する際に予め膨脹性破砕剤の充填
孔形成部材として例えば弾性管を脆性体に埋設す
ると共にその弾性管の一部を脆性体表面に露出さ
せる。この後、この露出した部分の弾性管を把持
して引つ張ると、弾性管は伸長して径が縮小し、
脆性体から極めて容易に引き抜かれることとな
る。弾性管内に可塑性部材を予め挿入しておけ
ば、この可塑性部材は加えた力を取り去つても歪
みがそのまま残るので、脆性体を製造する際に弾
性管を脆性体内に任意形状で埋設できる利点があ
る。弾性管を引き抜いてできた脆性体の充填孔に
膨脹性破砕剤を充填して膨脹性破砕剤を膨脹させ
ることにより、脆性体を破壊するので、充填孔を
穿設する必要はない。

〈実施例〉 以下、本発明を、脆性体の一例として義歯用石
膏作業模型（以下、単に模型という）を使用し
て、この模型から義歯を掘り出す実施例について
詳細に説明する。

まず、トレー７に印象材６を詰めてこれを患者
の口腔内に押し付けて印象を採得する。採得され
た印象は、第１図及び第２図に示すように、患者
の歯型に対する陰型となつている。次に、第１図
に示すようにトレー７上の印象材６に採得された
陰型に石膏スラリーを注入して模型１を製造する
際、模型１の破壊計画に従つて充填孔形成部材３
をその中に埋設すると共に充填孔形成部材３の一
部を模型表面に露出させる。ここで使用する充填
孔形成部材３としては、第３図に示すように弾性
管４内に可塑性部材５を挿入したものであり、可
塑性部材５は加えた力を取り除いても歪がそのま
ま残るので、印象材６の陰型に沿つて充填孔形成
部材３を馬蹄形に容易に埋設することができた。
弾性管４としてはゴム管等の弾性のある管材が使
用でき、また可塑性部材５としては、針金、真ち
ゆう線、銅線等のように可塑性を示す線材が使用
できる。弾性管４の断面形状は円形の他、膨脹性
破砕剤による破砕の方向性を考慮して楕円形、ひ
し形等各種形状とすることも可能である。尚、本
実施例では、充填孔形成部材３は馬蹄形に埋設さ
れ、その両端が模型１から突出しているが、この
ような態様で埋設されるものに限らず、一端のみ
を模型１から突出させて他方を模型１内に埋設し
ても良い。この場合、模型内に埋設される端部
は、第４図に示すように閉塞することが望まし
く、また直線的に埋設するときには第５図に示す
ように塑性部材を省略しても良い。

このように、充填孔形成部材３を埋設すると共
に石膏スラリーを注入して数分経過すると、石膏
スラリーが硬化して石膏層２となり模型１が完成
する。次いで、充填孔形成部材３の突出した両端
のうちの一方を把持して引つ張ると、弾性管４が
伸長して径が縮小し、極めて簡単に模型１内から
引き抜かれる。この後、従来公知の方法により、
ロウ堤を作成し、人口歯の配列以下、前述したよ
うに樹脂の加熱重合までが行われ、この後次の様
にして義歯を掘り出す。

まず、充填孔形成部材３を引き抜いて形成され
た充填孔内に膨脹性破砕剤を充填する。本発明に
用いられる膨脹性破砕剤としては、例えば「ブラ
イスター」（小野田セメント株式会社、商品名）
等の公知のものを使用することができる。又、充
填に際しては、水で練り混ぜたスラリー状の膨脹
性破砕剤の他、粉末状、顆粒状のものを充填して
も良い。粉末状、顆粒状、の場合は、孔内に水を
注入するか、一度模型１を液体中に浸漬すること
となる。

尚、膨脹性破砕剤として生石灰を用いる場合
は、スラリーにすると消化が激しくパサパサにな
るので、粉末若しくは顆粒状のものを使用するこ
ととなる。

膨脹性破砕剤を充填して自然放置するだけで破
砕剤の膨脹により生ずる膨脹圧で模型１の石膏層
２が破砕されることとなるが、模型１を20℃以上
の高温雰囲気中、例えばスチームバス、エアバ
ス、ウオータバス中に置くことにより、極めて短
時間で破壊でき、模型１から容易に義歯を取り出
すことができる。

〈発明の効果〉 以上、実施例に基づいて詳細に説明したよう
に、本発明によれば、膨脹性破砕剤の充填孔形成
部材が脆性体の内部に埋設されているので、脆性
体の穿孔作業が不要となり、穿孔くずによる環境
汚染の問題も解消される。特に、充填孔形成部材
として弾性管あるいは弾性管に可塑性部材を挿入
したものを使用すると、脆性体の製造時におい
て、脆性体を任意の形状で埋設することができ、
しかも脆性体の硬化後は弾性管を伸長させて脆性
体から極めて簡単に引き抜いて、膨脹性破砕剤の
充填孔を形成することができる。また、義歯用石
膏作業模型から義歯を掘り出す場合に適用すると
静的に石膏を破砕分離できるため、義歯の永久変
形及び破損を防ぎ、患者の口腔に好適に適合する
義歯の製作が可能となる。

尚、上記実施例では、義歯用石膏作業模型を脆
性体の一例として説明したが、その他金冠、金属
床の製作をするための高温埋設材の破壊あるいは
その破壊が予め予定されているモルタル、コンク
リート等の各種脆性体について本発明を広範囲に
適用できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本発明の一実施例に係り、
採取された印象から義歯用石膏模型を製作する様
子を示す横断面図、縦断面図、第３図、第４図、
第５図は各種の充填孔形成部材を例示する斜視
図、断面図、斜視図である。 図面中、１は模型、２は石膏層、３は充填孔形
成部材、４は弾性管、５は可塑性部材、６は印象
材、７はトレーである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 膨脹性破砕剤の充填孔形成部材がその一部を
   表面に露出させて内部に埋設されていることを特
   徴とする脆性体。 ２ 前記膨脹性破砕剤の充填孔形成部材として弾
   性管が使用されることを特徴とする特許請求の範
   囲第１項記載の脆性体。 ３ 前記膨脹性破砕剤の充填孔形成部材は弾性管
   内に可塑性部材が挿入されて構成されることを特
   徴とする特許請求の範囲第１項記載の脆性体。 ４ 脆性体を製造する際に予め膨脹性破砕剤の充
   填孔形成部材を当該脆性体内に埋設すると共に該
   充填孔形成部材の一部を当該脆性体表面に露出さ
   せた後、前記充填孔形成部材を前記脆性体から引
   き抜いて充填孔を形成し、次いで、該充填孔内に
   膨脹性破砕剤を充填して該膨脹性破砕剤を膨脹さ
   せることにより、前記脆性体を破壊することを特
   徴とする脆性体の破壊方法。