JPH0235931B2 - Nendanseisokuteikiniokeruhoseisochi - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、強制加振型の粘弾性測定器に関し、
特に試料を保持するチヤツク等の質量による振動
で生じる質量×加速度成分を除去して、試料の真
の粘弾性を測定するようにした粘弾性測定器にお
ける補正装置に係る。

一般に、この種の粘弾性測定器は、試料を強制
的に加振し、それによる力と変位とから試料の粘
弾性を測定するものであり、従来より、試料の両
端を一対のチヤツクで保持し、一方のチヤツクを
力計を介して固定すると共に、他方のチヤツクを
加振器により強制的に加振するようにしたものが
知られている。

しかし、このような試料を挟んで、加振器と力
計とが対峙した従来の構成では、一方のチヤツク
等の質量による振動で生じる質量×加速度成分ま
で、この一方のチヤツクに連結した力計が検出し
て仕舞つて、試料の真の粘弾性に対する誤差とな
り、特に振動周波数が高いときはその誤差も大き
くなつて、無視できなくなる欠点があつた。

それ故、本発明は、加振器と同じ側で、かつ加
振器に対して対称に、第１の力計と第２の力計と
を配設することにより、第１の力計が検出するチ
ヤツク等の質量に伴う質量×加速度成分を、第２
の力計で検出される質量×加速度成分で相殺補正
して、試料固有の粘弾性を測定するようにしたも
のである。

以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明
するが、説明の都合上、先ず第１の力計のみを加
振器側に配置したものを第１図に示す。

第１図について述べると、試料１の両端をチヤ
ツク２，３で保持し、チヤツク２の右端を固定壁
４に固定した状態で、チヤツク３の左端側から、
ロードセル等で構成された力計５を介して、加振
器６で強制的に加振を行ない、これにより試料に
与えた力とその変位とから、試料の粘弾性を測定
するようになつている。ここで、符号７は非接触
型の変位計を示し、符号８は加振器６の加振棒を
支持する支持手段を示している。

所で、使用される力計５について考えてみる
と、これには通常ロードセルが用いられ、重量的
に重いケース側の基台部５ａが容量の十分に大き
い加振器６に連結され、歪ゲージの貼着された検
出部５ｂ（等価バネに相当し、その弾性係数k₅と
する）を挟んで、荷重受部５ｃ（質量m₅とする）
がチヤツク３（質量m₃とする）に連結されてい
る。また、チヤツク３は質量m₁、弾性係数k₁の
試料１を保持している。

このため、加振器６の振動力、即ちＦ cosωt
（但し、Ｆは最大力値、ωは角速度、ｔは時間）
は、弾性係数k₅の上記等価バネ５ｂを介して、質
量m₀＝m₅＋m₃＋m₁の質点に作用し、この質点
m₀を振動変位させていると考えることができる。
但し、普通はm₁≪m₅、m₃であるから、m₁は無
視でき、m₀＝m₅＋m₃とみることができるる。

したがつて、固定壁４から計つた質量m₀の質
点の座標をχ₀とすれば、その変位分dχ₀について
も、dχ₀＝dX₀cosωt（但し、dX₀は変位の最大値）
のような振動を行ない、m₀×d²χ₀／dt²に相当し
た質量×加速度成分が、試料１の固有の弾性係数
k₁に基ずく力、即ち−k₁dχ₀とは別に、第１の力
計５の検出部５ｂに作用し検出されることになる
から、質量m₀が無視出来ない場合、或は加振器
６の振動周波数（ω／2π）が高い場合には、そ
の分が誤差となつて仕舞う。

そこで、この誤差分を取除くために、符号９で
示される第２の力計を、加振器６に対して、第１
の力計５とはその構成が、対称となるように配置
した本発明によるものが第２図で示されている。
ここで、９ａはロードセルの基台部で、加振器６
の左方と連結され、９ｂは歪ゲージの貼着された
検出部で、等価バネに相当し、その弾性係数k₉は
k₉＝k₅となるように第１の力計と同型の機種が選
定され、９ｃは荷重受部（質量m₉とする）で、
その質量m₉はm₉＝m₀となるように予め調整され
ている。１０は第１の力計５と第２の力計９のそ
れぞれの検出部５ｂ，９ｂの出力５ｂ１，９ｂ１
を入力とする差動増幅器である。

今、測定に際して、加振器６を振動させると、
加振器６よりも右側の部分（第１図に図示したも
の）では、既に説明したように、主に第１の力計
５の荷重受部５ｃとチヤツク３とによる合成の質
量m₀のため、このm₀×加速度成分が試料１の弾
性係数k₁による力と一緒になつて、検出器５ｂで
同時に検出されている。

一方、第２図で迫加された加振器６の左側部分
では、第２の力計９が、その荷重受部９ｃの質量
m₉で第１の力計５と同じような振動を行なつて
おり、その質量、弾性係数について、それぞれ上
述のように、予めm₉＝m₀、k₉＝k₅となつている
から、検出器９ｂのm₉×加速度成分による出力
は検出器５ｂのm₀×加速度成分による出力成分
と同じとなつている。

したがつて、それらの出力５ｂ１，９ｂ１を差
動増幅器１０に入力して処理すれば、第１の力計
５側の合成された質量m₀と第２の力計９側の質
量m₉とによる、それぞれの運動の成分が相殺さ
れて、試料１の弾性係数k₁に基ずく力成分が検出
できるから、変位計７から変位を求めれば、弾性
係数k₁を算出することができる。

なお、上記では、説明を簡単にするため、試料
の弾性係数を単にk₁としたが、試料には振動速度
に関係した低抗分、即ち粘性があり、一般的には
k₁は複素数であるのは言う迄でもない。

以上のように、本発明では、比較的簡単な構成
でありながら、チヤツク等の質量に基ずく質量×
加速度成分を除去できるから、加振器の加振周波
数に影響されることなく、試料の正確な粘弾性を
安定して測定することが可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を説明するため同実
施例の一部分を示した部分説明図、第２図は本発
明の一実施例を示す概略構成図である。 １……試料、２，３……チヤツク、４……固定
壁、５……第１の力計、５ａ……基台部、５ｂ…
…検出部、５ｃ……荷重受部、６……加振器、７
……変位計、８……支持手段、９……第２の力
計、９ａ……基台部、９ｂ……検出部、９ｃ……
荷重受部、１０……差動増幅器、k_o……符号ｎの
弾性係数、m_o……符号ｎの質量（但し、m₀＝m₅
＋m₃＋m₁）。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 試料１の両端を一対のチヤツク２，３で保持
   し、一方のチヤツク２を固定した状態で、他方の
   チヤツク３をロードセル等で構成された第１の力
   計５を介して加振器６で強制的に加振するように
   配設すると共に、 前記加振器６に対して前記第１の力計５とは対
   称に第２の力計９を配設し、かつ、第１の力計５
   と第２の力計９のそれぞれの検出出力５ｂ１，９
   ｂ１を差動増幅器１０に入力して処理し、 これにより、前記第１の力計５及び前記他方の
   チヤツク３の可動部質量による質量×加速度成分
   を、前記第２の力計９の可動部質量による質量×
   加速度成分で相殺補正するようにしたことを特徴
   とする粘弾性測定器における補正装置。