JPH0235909Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、種々の大きさの標準マンホールに挿
入され、通常マンホールから大気中へ放散されて
いる下水道ガスの臭気を減少又は除去する装置に
関する。

悪臭を有するガス状化合物、特に硫黄含有化合
物が都市下水道系に特に多く存在する。これらの
悪臭化合物としては、硫化水素、メチルメルカプ
タン、有機硫化物類、アミン類、その他のチツ素
含有化合物があげられる。

活性炭、特に悪臭化合物と反応する試薬を含浸
させた活性炭が下水から出る悪臭を有するガス化
合物を吸着するのに有用である。このような含浸
活性炭の１例として、シンハ（Sinha）等の米国
特許第4072479号に記載されているNaOHと水分
とを含浸した活性炭があげられる。この特許は引
用文献として本願に組入れてある。

シンハらが述べているような含浸活性炭を本考
案の吸着装置に用い、本願で実用新案登録を請求
する吸着装置をマンホールに設置すると、マンホ
ールから排出される下水道ガスの臭気を有効に減
少するか又は完全に除去できる。

米国特許第154645号には、下水道換気装置が開
示されているが、これは下水道開口部の約半分の
面積しか占めていないので、下水道内に何ら背圧
を保つことができない。したがつて、処理すべき
下水道ガスはすべて、吸着剤の層を強制通過する
ものではなく、本考案で必要としているような下
水道の正圧による強制通過とは異なる。

又、米国特許第3377784号は、輸送タンク上に
設けられた可搬のマンホールフイルター装置の使
用に関するものである。

又、米国特許第3475885号は下水道から漏出す
るガスの清浄化のための下水道排気管内に用いる
支持体に関するものである。

本考案の吸着装置は、種々の大きさの標準マン
ホールに適合し、活性炭を好ましくは約10〜50ポ
ンド（4.5〜23Kg）収納するものであつて、標準
のマンホールカバーによつて適所に保持される。
この装置は下水道内の正圧によつて処理すべき下
水道ガスをすべて強制的に本装置内を通過させる
ものである。本吸着装置を用いることによつて、
マンホールから排出される下水道ガスの臭気を減
少又は除去することができる。

従来、下水道ガスはマンホールカバーを通り自
由に排出するまゝに放置されており、歩行者に多
大の危惧を抱かせていた。下水臭気を除去しよう
とする以前からの試みは、主として下水の化学処
理および／又は下水道の主系統における臭気の吸
着に集中されていた。

本考案は、種々の大きさの標準マンホール、例
えば、外側の径が２２″，２３″，２４″，２５″，
２６″，２７″，２８″，２９″，３０″，３１″，３
２″，３３″，３４″，３５″，および３６″（これ
らに限るものではないが）のマンホールに適合す
るように設計されており、一般の人々に接する最
も近い地点で下水道臭気を除去することができる
コンパクトな吸着装置に指向されている。本考案
は下水道内の正圧によつて、処理すべき下水道ガ
スをすべて強制的に本装置に通すようになつてい
る。

本考案の装置は１マンホールアダプターと２吸
着器とからなつている。この二つの要素の組合せ
によつて、マンホールが密閉され、処理すべき悪
臭ガスはすべて、必らず活性炭層を通過し、それ
に吸着される。

本考案の指向する好適な対象は、１マンホール
アダプターと、２活性炭を収納しており、前記ア
ダプターにより適所に保持されている吸着器とか
らなり、処理される下水道ガスの正圧によつて、
このガスがすべて本装置を通過し清浄化される下
水道臭気吸着装置である。

本考案の１つの態様は第１図にその断面を示し
た吸着装置である。本装置はマンホールに挿入さ
れ、マンホールの縁に部分的に載せられ、マンホ
ールカバー（図示せず）によつて中に収められて
いる。本装置は二つの主部分、すなわち、マンホ
ールアダプター１と吸着器２からなつており、こ
の吸着器は部品３，４，１２，１３，１４，１
５，１６および１７から構成されている。

この好適な吸着器は円筒状で、その上部に上蓋
３が連結手段によつて取付けられている。この連
結手段は膠、接着剤、スナツプ型連結具、ネジ等
いかなるものでもよい。このキヤツプは雨水など
が吸着器内に侵入するのを防止するように設計さ
れている。吸着器の外面円周上に取付けられた舌
状部４により、吸着器はガスケツトのような密封
手段５の上に支持され、さらにこの密封手段は前
記マンホールアダプターの水平面６の上に支持さ
れている。すなわち、吸着器はその外周よりやや
大きい円形開口部を通してマンホールアダプター
の中に挿入され、吸着器の舌状部がマンホールア
ダプターの水平面上に置かれた密封手段に接触し
た時点で、マンホールアダプターの開口部を形成
する水平面にぶつかつて止まるわけである。吸着
器はその舌状部とマンホールアダプターの水平面
との間に挿まれた密封手段５を圧縮するのに十分
な重量を有しており、これによつて吸着器とマン
ホールアダプターとの間の間隙を空気、ガス、水
などが通過するのを防いでいる。

吸着器を挿入するアダプターの開口部の周囲の
水平面（吸着器の重量は最終的にはここにかか
る）からアダプターの面は下方に傾斜し、この水
平面とアダプターの外壁との間に樋部７を形成す
る。樋部はこのように吸着器をとりまき、好まし
くは、アダプターの内面のうち最も低い部分を含
んでいる。そのため、本装置の上部に位置するマ
ンホールカバーの開口部を通りアダプター中に侵
入する雨水などをこの樋部に集めることができ
る。

前記マンホールアダプター中の樋部７には、集
めた雨水などを流出させる１個以上のオリフイス
８が設けられている。このオリフイスは固形分が
そこを通過しないよう隔膜又はスクリーン９で蔽
われていることが好ましい。雨水などはこの隔膜
９およびオリフイス８を通過し、マンホールアダ
プター１の外面に、オリフイス８を通過する液を
全量集められるように取付けられている導管１０
に流入する。あるいは、導管１０を前記隔膜９に
接続し、液がすべてオリフイス８を通り、導管１
０に流入するように、導管と隔膜９との間にアダ
プターの壁の部分を挿んでもよい。導管１０をア
ダプター１又は隔膜９に取付けるには、膠、接着
剤、ネジなど、いかなる接続手段を用いてもよ
い。又、漏洩防止に必要なら、ガスケツトや他の
密封手段を用いてもよい。導管は雨水などを樋部
から下水道に流すのに必要な大きさ、例えば1/
２″又は3/4″径の管であればよい。複数のオリフイ
スを用いる場合は、各オリフイスに隔膜および導
管を接続させて設けなければならない。第１図に
示す導管は逆止弁１１を正しい方向に向けるよう
Ｕ字形にしてある。逆止弁１１は、導管がアダプ
ター１又は隔膜９に接続している端部と反対の端
部に接続している。この逆止弁は雨水などを導管
１０から下水道へ流入させるが、下水道から空
気、その他のガス、水等が導管へ流入することは
防止する。すなわち、逆止弁１１は１種のガスシ
ールとして作用する。このシールは密封手段５と
共に、処理すべき下水道ガスがすべて、吸着器２
に収納されている吸着剤活性炭層１２を通過する
ように作用する。

又吸着器は強固な側壁を有しており、この側壁
は上蓋３とガス透過性底部１３との間にはさまれ
ている。このように配置された部材によつて、活
性炭１２収納室が形成されている。ガス透過性底
部は、活性炭１２を保持し、処理すべき下水道ガ
スを活性炭層に通すことが可能な大きさの網目を
有するスクリーン１４を含んでいる。スクリーン
１４は構造材としての格子１５上に設けることが
好ましく、この格子がスクリーン１４および活性
炭１２を支持する。格子１５は吸着器２の側面
に、膠、接着剤、ネジ等いかなる接続手段で取り
付けられていてもよい。あるいは吸着器２の１部
として初めから一体として造られたものであつて
もよい。

下水道ガスを吸着器を通し排出するため、上蓋
３に少くとも１個の排気孔１６を設けねばならな
い。雨水が吸着器に侵入するのを防ぐため、この
排気孔１６は下方に向いていることが好ましい。
第１図は、２個のそのような排気孔１６を示して
いる。排気孔１６の数は４個が好ましく、下水道
中の圧力があまり高くならないような大きさを必
要とする。

吸着器はさらに上部スクリーン１７を備えてい
てもよい。これは活性炭１２が排気孔１６を通つ
て排出されることがないよう活性炭を保持するも
のである。

前記下水道用アダプターの上端部分は、種種の
大きさのマンホールの開口部に適応させるため、
段差１８を有することが好ましい。例えば、第１
図のアダプターは、２４″の開口部に適合させる
ためには、ａの点で、２６″の開口部にはｂの点
で、２８″の開口部にはｃの点で、３０″の開口部
にはｄの点で、周辺部を切断すればよい。いずれ
の場合にも切断個所より上の部分は切断後除かれ
る。このように段差は複数であることが好まし
い。各段差の水平面は標準寸法のマンホールの縁
上に取付けられるような大きさを有する。所定の
マンホールに対して、これに適合する段差の水平
面より上にあるアダプターの部分は除去廃棄され
る。

活性炭は、カルゴン・カーボン・コーポレーシ
ヨン（ペンシルベニア洲、ピツツバーグ）製IVP
のような、含浸炭素を用いることが好ましい。
こゝで含浸炭素とは、アルカリ金属水酸化物、同
重炭酸塩、同炭酸塩、又はこれらの混合物を含浸
させた活性炭を云う。例えば、NaOH，
NaHCO₃，Na₂CO₃，KOH，KHCO₃，K₂CO₃等
がこの含浸に用いられる。又含浸炭素に１〜50重
量％の水分を含ませてもよい。最も好ましい含浸
炭素は、約30〜60重量％のNaHCO₃と約70〜40
重量％Na₂CO₃との混合物１〜50重量％を含浸さ
せたものである。他の好ましい含浸炭素は約４〜
50重量％のNaOHを含浸させたものである。

本吸着装置は一般に、上から見て円形である
が、四角又は他の種々雑多な形状の吸着装置も、
本考案の思想に反することなく使用することがで
きる。

吸着器底部１３は下水道ガスを透過し、活性炭
を保持できるものでなくてはならない。活性炭を
室内に保持できるものであれば、いかなるガス透
過性物質でも用いることができる。スクリーンは
約20メツシユのものが好ましい。このようなメツ
シユのスクリーンを用いれば、活性炭を適所に保
持し、ガスを容易に吸着器内に導入することがで
きる。格子の目開きは1/2″×1/2″が好ましい。

本考案の吸着装置は、マンホール内に挿入して
マンホールの縁にのせて支持し、標準マンホール
カバーで蓋をして中に収める。このように、本装
置は、処理対象の下水上の歩道、街路、広場の面
より突出することはない。

第２図に、吸着剤活性炭層の圧力損失を示す。
処理すべきガスを正圧で吸着剤の層を強制通過さ
せることが、本装置の運転にとつて本質的であ
る。このように、下水道の正圧を用いて汚染され
た空気を強制的に本装置内を通過させ、この中で
好ましからざる汚染物質を活性炭で捕捉し、清浄
化された空気を装置の上部からマンホールカバー
を通して大気中に排出する。処理対象の下水道内
の正圧は、本装置の活性炭層による圧力低下に十
分打勝つことができる。

本考案の装置を構成するには、如何なる材料で
も、強度が高く、軽量なものであれば用いること
ができるが、下水道ガスに対して耐食性である必
要がある。好ましい構成材料の１つはガラス繊維
強化プラスチツクである。構造材料は、本装置を
マンホールから容易に取出すことができるよう、
又活性炭の通常の充填量10〜50ポンド（4.5〜23
Kg）の交換にも便利なよう、軽量であることが好
ましい。

個々の下水道系における臭気の問題に応じて、
装置の吸着室の大きさ、活性炭の充填量を適宜選
ぶことができる。

好適に本吸着装置を変更することは当該技術の
熟練者にとつて容易である。このよな変更は、マ
ンホールを密閉し、処理すべき悪臭ガスを全量、
強制的に活性炭層を通過させるものである限り、
本考案の範囲に含まれるものと解釈すべきであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本吸着装置の各部品を含む断面図であ
り、第２図は吸着器の圧力損失特性を示すもので
ある。 主要部分の符号の説明、１……マンホールアダ
プター、２……吸着器、３……上蓋、４……舌状
部、５……日密手段、６……水平面、７……樋
部、８……オリフイス、１２……活性炭層、１３
……ガス透過性底部、１６……排気孔、１８……
段差。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ マンホール内に挿入され、マンホールの縁に
   のせて支持され、マンホールカバーで蓋をして
   中に収められるマンホール用下水道臭気吸着装
   置において、（１）マンホールの縁上に支持さ
   れる水平フランジを有するマンホールアダプタ
   ーと、（２）該アダプターによつて支持され、
   下水道に連絡しており、活性炭を収納している
   吸着器とからなり、処理すべき下水道ガスがガ
   ス自体の正圧によつてすべて該活性炭層を通過
   して清浄化されることを特徴とする下水道臭気
   吸着装置。 ２ （ａ）マンホールアダプターが雨水集合用樋
   部を有し、該雨水は少なくとも１個のオリフイ
   スを通つて樋部から流出し、その際先づ隔壁を
   通過し、次に逆止弁につながつている導管を通
   り、最後にこの逆止弁を通つて下水道に流下す
   るようになつており、（ｂ）該吸着器は該マン
   ホールアダプターに挿入され、自重および密封
   手段によつてアダプターと吸着器との間の間隙
   を封鎖し、空気、ガス、水等の通過を防止し、
   （ｃ）さらに該吸着器は、処理した下水道ガス
   の排出を許容し、しかも雨水等の該吸着器への
   侵入を防止する、下向きの排気口を１個以上有
   する上蓋を備えていることを特徴とする実用新
   案登録請求の範囲第１項に記載の下水道臭気吸
   着装置。 ３ 該マンホールアダプターの上端部が、種種の
   大きさのマンホールにアダプターを適合可能に
   するため、複数の段差を有していることを特徴
   とする実用新案登録請求の範囲第２項に記載の
   下水道臭気吸着装置。 ４ 該活性炭に、NaOH，NaHCO₃，Na₂CO₃，
   KOH，KHCO₃，K₂CO₃、およびこれらの混合
   物からなる群から選ばれる試薬を0.1〜50％含
   浸させてあることを特徴とする実用新案登録請
   求の範囲第２項に記載の下水道臭気吸着装置。 ５ 該活性炭に、30〜60重量％のNaHCO₃と70
   〜40重量％のNa₂CO₃とからなる混合物を１〜
   50重量％含浸させてあることを特徴とする実用
   新案登録請求の範囲第２項に記載の下水道臭気
   吸着装置。 ６ 該活性炭に、NaOHを４〜50重量％含浸さ
   せてあることを特徴とする実用新案登録請求の
   範囲第２項に記載の下水道臭気吸着装置。