JPH0234589Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はロードセル式の重量測定装置に係り、
特に起歪体と荷重伝達部とを一体的に連設したロ
ードセル式重量測定装置の構造に関する。

〔従来の技術〕

秤量物の荷重を金属体等からなる受容体により
受容し、この受容体（起歪体）の歪みを電気量に
変換して荷重を計測するロードセル式の秤があ
る。このロードセル式の秤は秤量に比較して小型
に形成することが可能であること、可動部分が無
く装置としての信頼性が高い等の利点があり、近
年その利用範囲は益々拡大する傾向にある。

〔本考案が解決しようとする問題点〕

この形式のロードセル秤は、秤量物を載置する
秤量皿上の偏荷重による秤量の誤差を無くすため
ロバーバル構成としていた。然しながら、ロバー
バルは一種の可動部分であり、このロバーバルを
構成することにより可動部分が無いと云うロード
セル秤の最大の利点が失われ、構成が複雑化して
しまう。特に上述のように、偏荷重による秤量の
誤差を無くすためにはロバーバルの平行四辺形は
正確でなければならず、非常に高度な加工精度が
要求される。またロバーバル構成後も個々の装置
に付いて手作業による修正作業が必要となり、製
品完成までの工程が多大なものとなる。またロバ
ーバル機構の精度確保のためには、このような修
正作業の他に機構そのものに対しても考慮する必
要がある。つまり荷重が付加される方向の高さを
一定量確保することによりロバーバル機構の精度
を構造的に補償する必要があり、このため秤の厚
さが増加してしまう。

ロバーバル式のロードセル秤は以上のように、
秤量装置全体の構成が複雑になること、装置の調
整が困難であることなどの問題の他、最近の傾向
としては薄型の秤量装置が要望されているにもか
かわらず、ロバーバル式の秤量装置では荷重付加
方向の高さを一定量確保せねばならないため、こ
のような薄型の装置を構成することが事実上不可
能であつた。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は上述した問題点に鑑み構成したもので
あり、起歪体に対して秤量物の荷重を伝達する荷
重伝達体を連設し、かつこの荷重伝達体に対して
はこの荷重伝達体が梃として作用するよう上下に
凸部を形成し、機械的な可動部分を形成すること
なく荷重の測定が可能に構成したロードセル式重
量測定装置である。

〔作 用〕

本考案は以上のように起歪体に対して秤量物の
荷重を梃の原理により伝達する荷重伝達体を連設
して一体化し、機械的な可動部分を無くした構成
であるため、荷重伝達体の梃の作用により起歪体
に対して荷重を伝達する。

〔実施例〕

以下本考案の実施例につき図面を用いて具体的
に説明する。

第１図において符号１は起歪体であつて、その
中央部は薄肉に形成してあり、この薄肉部１ａの
上下面に対して各々歪ゲージ２が貼着してある。
３はこの起歪体１の両端部に接続した同一形状の
一対の荷重伝達体であり、この荷重伝達体は中央
部の中央梁３ａとこの中央梁３ａの両端部から一
定の分散角をもつて各々展出した一対の側梁３ｂ
とからなり、全体としては平面形が略Ｖ字型に形
成してある。なおこの荷重伝達体は起歪体１と同
様な材料、例えば金属により形成してある。３ｃ
は各荷重伝達体の側梁３ｂの上面に形成した凸部
であり、図示の構成は断面略Ａ字型の山型に形成
してある。同様に側梁３ｂの下面にも断面略Ａ字
型の山型に形成した凸部３ｄが形成してある。こ
のうち上面の凸部３ｃは下面の凸部３ｄよりも中
央梁３ａ側に近接するよう形成してある。以上の
ようにして一体的なロードセル式重量測定装置本
体を構成する。

第２図は以上の構成のロードセル式重量測定装
置本体を収納した重量測定装置の断面を示す。

符号４は重量測定装置箱体であり、前記ロード
セル式重量測定装置本体はこの箱体４内に収納さ
れている。５はこの測定装置本体の凸部３ｃに対
して載置された秤量皿であり、これら箱体４、秤
量皿５及び図示しない電気回路や表示部等により
重量測定装置を構成する。

以上の構成において秤量皿５に秤量物６を載置
すると、その荷重は凸部３ｃを介して各荷重伝達
体３に各々伝達される。この場合上下の凸部は前
述の如く配置位置が異なり、上部のは凸部３ｃの
方が起歪体１に近接して位置するので、この伝達
された荷重によつて梃の原理により起歪体１に対
しては矢印７のようにモーメントが生じ、起歪体
に対する曲げ応力となつて伝達される。起歪体１
はこの応力により歪みが生じ、薄肉部１ａに貼着
した歪みゲージ２によりこの歪みを電気量に変換
して出力する。

以上の荷重測定の際、起歪体１の両端に位置す
る荷重伝達体３，３は平面が略Ｖ字型に形成して
あることにより、起歪体１の幅に対して秤量物の
荷重を受ける荷重伝達体３の幅（側梁３ｂ−３ｂ
解放端部の間隔）を十分広くとることができる。
この結果、起歪体の大きさに係わりなく荷重伝達
体により機構全体の安定性を保持することが可能
となり、感度の高い起歪体を用いることよつて高
精度の荷重測定が可能となる。

また偏荷重が加わつても一対の荷重伝達体３を
構成する４本の側梁３ｂのうち何れかがこの偏荷
重を支持するため、起歪体１に対して捩じれが生
じることはなく測定精度の低下や起歪体１の破損
等の問題も生じない。

なお、則梁３ｂ上下の凸部の配置位置を逆にし
て、下部凸部３ｄを起歪体１に近接するようにし
て取り付け、前記モーメントが矢印７と逆の方向
に作用するようにしても所期の効果を達成するこ
とができる。

以上、起歪体を中央部が薄肉となつた構成のも
のを例に説明したが、起歪体の構成はもとより図
示のものに限定するものではない。

〔効 果〕

本考案は上述のように起歪体に対して荷重伝達
体を連設して一体的な重量計測装置本体を形成し
たので、ロバーバル機構のような機械的な可動部
分がなく、複雑な調整が不要で装置の信頼性を向
上させることができる。

荷重伝達体は平面略Ｖ字型に展開した大型の部
材とし、かつこの荷重伝達体全体で秤量物の荷重
を受けるために起歪体の大きさに係わりなく測定
機構全体が安定し、しかも中央の起歪体に対して
正確に荷重を伝達するため測定精度も高くするこ
とができる。

さらに部品構成は、基本的には起歪体と、同形
の一対の荷重伝達体の２種類のみであり装置全体
を安価かつ容易に組み立てることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る重量測定装置本体の斜視
図、第２図は第１図に示す装置本体を収納した重
量測定装置の断面図である。 １……起歪体、２……歪みゲージ、３……荷重
伝達体、３ａ……中央梁、３ｂ……側梁、３ｃ…
…上部凸部、３ｄ……下部凸部、５……秤量皿、
６……秤量物。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 起歪体１と、この起歪体１の両端に接続する同
   一形状の一対の荷重伝達体３とから成り、荷重伝
   達体３は、起歪体１と直接接続する中央梁３ａ
   と、この中央梁３ａから一定の分散角を以て展出
   する一対の側梁３ｂとから形成することにより平
   面略Ｖ字型に成形し、かつこの略Ｖ字型に展出し
   た側梁３ａ，３ａの解放端の幅が起歪体１の幅に
   対して十分大きくなるようにして機構全体の安定
   を保持し、各側梁３ａの上面と下面には秤量物の
   荷重を前記起歪体１に対し梃の作用により伝達す
   るため、形成位置を変位させた凸部３ｃおよび３
   ｄを各々突設したことを特徴とするロードセル式
   重量測定装置。