JPH0233847Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） 本考案は、上水用急速過池の下底に敷設され
過水を集水するとともに過層の逆洗時に逆洗
水を均等配分するための下部集水装置に関する。

（従来の技術） 従来の過池の下部集水装置を第５図、第６図
について説明すると、過池底部に多数本並列敷
設された断面四角形のパイプ状の給水室１とこの
給水室１上に沿設形成された断面三角形の分布室
２とよりなり、給水室１と分布室２とは分布孔３
で連通され、分布室２の三角形状の傾斜面には多
数の分布子孔４が開口され、分布室２の傾斜面上
には支持床が充填され、この支持床上に過層が
形成されている。そして逆洗時には逆洗水は過
池の下底の集水渠より給水室１を第５図の矢印の
方向に流れ、各中間分布孔３より分布室２に入
り、分布子孔４より支持床へ分配される。また
過時には砂等の過層を通過した過水が分布子
孔４より分布室２に入り逆洗時と逆方向に流れ
る。

（考案が解決しようとする問題点） 上述のような下部集水装置にとつて重要なこと
は逆洗時の流れの方向における逆洗水の均等分配
であり、給水室１の中間分布孔３による分配が全
体の均等分配を大きく左右する。そして、逆洗時
における損失水頭を大きくとれる場合は、中間分
布孔３の径を小さくして均等分配が可能になる
が、低損失水頭型にすると、中間分布孔３、分布
子孔４を大きくしなければならず、とくに中間分
布孔３での均等分配が困難となる。例えば給水室
１の断面流速が１ｍ〜1.2ｍ／secになると、流れ
方向における給水室１の動水頭、静水頭、全水頭
は低損失水頭型の場合第７図のようになり、中間
分布孔３より分布室２に供給される水量は静水頭
に従うため、全体的に静水頭が小さい場合は、流
れ方向での静水頭差が大きく、このため水量の分
配は不均等となり流れの上流は少なく、末端ほど
多くなる（ただし損失水頭の大きい静水頭を大き
くとれる場合は、流れ方向における静水頭差があ
まり問題とならない。）。また、このような問題を
さけるために、給水室１を大きく断面流速を小さ
くして流れ方向における静水頭、動水頭の変化を
小さくする方法もあるが下部集水装置が大型とな
る。

本考案はこのような問題を解決し、下部集水装
置を大型化することなく、損失水頭が小さな場合
でも逆洗水を均等分配できるようにしようとする
ものである。

〔考案の構成〕

（問題点を解決するための手段） 本考案は過池の底部に敷設され一端をこの
過池の底部集水渠に連通し他端を閉塞したパイプ
状の給水室と、この給水室上に沿つて形成され多
数の分布子孔を開口させるとともに前記給水室の
上壁に適当間隔で開口した分布孔を介して前記給
水室と連通した分布室とよりなる過池の下部集
水装置において、前記中間分布孔より逆洗時の給
水室の水流に対向した開口部を有する分布管を突
設することにより、集水装置を大型化することな
く、装置としては分布孔に分布管を取付けるだけ
の簡単な構造で低損失水頭で均等分配を可能にし
ようとするものである。

（作用） 本考案は、逆洗時の給水室内の水流の方向に対
向した分配管の開口部が動水頭の大部分と静水頭
の全部を取出し、流れ方向に対して変化の少ない
全水頭に近い水頭で給水が分配され低損失水頭で
均等な分配が可能となる。

（実施例） 本考案の実施例を第１図ないし第４図について
説明する。

１は断面四角形のパイプ状の給水室で、この給
水室１上に沿つて断面三角形状の分布室２が形成
され給水室１と分布室２は給水室１の上壁５に適
当間隔で開口した中間分布孔３に嵌挿され上下を
開口した分布管６によつて連通されている。分布
管６は中間分布孔３に嵌着されて給水室１に突出
し下部開口部７は逆洗時の給水室１の水流に向つ
て第１図においてθ（θ＝30゜〜90゜）の角度で開
口している。θ＝90゜の場合は分布管６の下底を
閉じ水流に対向した周面に上部開口と同径の開口
部７が形成される。また分布室２の両側傾斜面
８，８には多数の分布子孔４が形成されている。

上述のように構成された集水装置は急速過池
９の底部に多数が並列に敷設され、両端が閉塞さ
れ給水室１の底部の中心に開口した給水口１０が
過池９の下底に形成された集水渠１１に開口さ
れている。そして給水室１は過池９の底面のモ
ルタル層１２に固定され分布室２上には支持床１
３が形成され、支持床１３上に過層１４が形成
されている。

次に上述の実施例の作用を説明する。

逆洗時は、集水渠１１に供給された洗浄水が集
水渠１１より給水室１に導入されて給水室１を直
進する。このとき水流中に突出し水流の方向に向
つて開口部７を有する分布管６より給水室１内の
動水頭の大部分と、静水頭の全部を取出し流れ方
向に対して変化の少い全水頭に近い水頭で分布管
６から逆洗水が分布室２に分配される。このため
損失水頭を小さくした場合も給水室１の流れの方
向に対して逆洗水が均等分配される。

また過時には、過層１４、支持床１３を通
過し分布子孔４から集水された過水は、分布室
２で均圧、整流され分布管６より給水室１に送り
出され集水渠１１に集水される。

〔考案の効果〕

本考案によれば、過池の底部に敷設され一端
をこの過池の底部集水渠に連通し他端を閉塞し
たパイプ状の給水室と、この給水室上に沿つて形
成され多数の分布子孔を開口させるとともに前記
給水室の上壁に適当間隔で開口した分布孔を介し
て前記給水室と連通した分布室とよりなる過池
の下部集水装置において、前記中間分布孔より逆
洗時の給水室の水流に対向した開口部を有する分
布管を突設したから、逆洗時に給水室の水流に対
向して開口した分布管の開口部より流れの方向に
対して変化の少い水量の分配をすることができ、
装置を大型化することなく中間分布孔に分布管を
取付けるだけで装置を特に複雑化することがなく
安価な費用で従来用いられた装置をそのまま低損
失水頭型に改造することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す集水装置の縦
断正面図、第２図は同上縦断側面図、第３図は同
上集水装置を過池に設置した正面図、第４図は
同上縦断側面図、第５図は従来の集水装置の縦断
正面図、第６図は同上縦断側面図、第７図は給水
室の流れ方向の距離と水頭の変化を示す図表であ
る。 １……給水室、２……分布室、３……中間分布
孔、４……分布子孔、６……分布管、７……開口
部、９……過池、１１……集水渠。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 過池の底部に敷設され一端をこの過池の底
   部集水渠に連通し他端を閉塞したパイプ状の給水
   室と、この給水室上に沿つて形成され多数の分布
   子孔を開口させるとともに前記給水室の上壁に適
   当間隔で開口した分布孔を介して前記給水室と連
   通した分布室とよりなる過池の下部集水装置に
   おいて、前記中間分布孔より逆洗時の給水室の水
   流に対向した開口部を有する分布管を突設したこ
   とを特徴とする過池の下部集水装置。