JPH023375Y2 - - Google Patents

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JPH023375Y2
JPH023375Y2 JP1986169437U JP16943786U JPH023375Y2 JP H023375 Y2 JPH023375 Y2 JP H023375Y2 JP 1986169437 U JP1986169437 U JP 1986169437U JP 16943786 U JP16943786 U JP 16943786U JP H023375 Y2 JPH023375 Y2 JP H023375Y2
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end mill
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cutting
bottom cutting
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Description

【考案の詳細な説明】
〈産業上の利用分野〉 本考案は、ボールエンドミルに関し、特に生産
性と加工精度とを向上し、さらに加工範囲を拡大
し、これによつて加工性と、生産性を大幅に向上
させるばかでなく、さらに工具寿命を大幅に伸長
し得るボールエンドミルに関するものである。 〈従来の技術〉 従来より、金型の彫込等にボールエンドミルが
使用されているが、主に切刃形状に起因して、生
産性と加工精度の点で不満足な点があつた。 すなわち、第3図に良く示されているように、
従来のボールエンドミルaの底切刃bは、その曲
率半径rが、主に加工上の理由から、ボールエン
ドミルaの直径Dに比して約100%以上あり、比
較的大きく形成されている。 このため、被削材に対する切込みが底切刃bの
始端から終端にかけて比較的早く移行し、同刃b
に衝撃荷重が作用することになる。従つて、チツ
ピングを生じ安く、しかも重切削を行うのが不可
能であるという欠点がある。 また、底切刃bの曲率半径rが大であることか
ら、同刃bと被削材との接触が線接触状態とな
り、接触面積が大きいため、切削抵抗が大となる
欠点がある。 さらに、同刃bの曲率半径が大であるため、同
刃bと被削材との接触面積が大であることと相俟
つて、切削が同刃bに押付けられるようになり、
切屑切削抵抗が大であるばかりでなく、切屑の排
出が流れ難く、切削がスムースに行われ難いとい
う欠点がある。 従つて、これらの欠点に起因して、切削速度と
送り量が低く抑制されるため、生産性が低いばか
りでなく、切削面の加工精度も劣悪であるという
問題点がある。 そこで、これらの問題点を解消するものとし
て、外周部の切刃曲線より中心部の切刃曲線の方
を大きな曲率半径に形成したものが提案された
(実公昭58−35366号)。しかし、これは該切刃の
曲線は点接触を意識したものでなく、切刃の外周
部では直線状態にある等被削材との接触が線接触
状態にあるため、大なる切削抵抗によつて低生産
性となることや、切屑排出性不足に起因する切刃
への切屑切断用切欠きの設定が必要となる等の問
題点がある。 また、第3図に良く示されているように、従来
のボールエンドミルaの切刃は、一般に工具製作
上の理由から底切刃bと周切刃cとが、それぞれ
軸中心に対して点対称に配設されると共に、該底
切刃bと周切刃cとが等分割角度に配置すること
により形成されている。 これは、例えば底切刃bと周切刃cとが各2枚
刃の形式のものにあつては、底切刃b相互がそれ
ぞれ180゜をなすと共に、周切刃c相互がそれぞれ
180゜をなし、しかもそれら各刃相互がそれぞれ
90゜ずつの角度を持つて配設されていることであ
る。 このため、切刃によつて被削材に加わる切削力
の周期が同一切削速度(同一回転数)においては
常に一定になる。従つて、該周期が切削工具の固
有振動数または被削材の固有振動数と合致する場
合には、共振現象を発生し、いわゆるびびり現象
(不規則小発振)によつて切込み深さが不規則に
変動して被削面が細波状となり、被削面精度が低
下するばかりでなく、該ボールエンドミルの各切
刃も欠損する等の損傷を受けるという欠点があ
る。 更に、底切刃と周切刃とのなす角が均等角度と
なることにより、底切刃用チツプポケツトd及び
周切刃用チツプポケツト6の大きさが規制される
ため、切屑の排出性の点で不満足なばかりでな
く、切刃の欠損(チツピング)を生じ易い欠点が
ある。 従つて、これらの欠点に起因して、切削速度が
低く抑制されるため、生産性が低いばかりでな
く、切削面の加工精度が劣悪であるという問題点
があつた。 一方、従来スパイラルエンドミルにおいては、
カツタ本体の周面に螺旋形に形成した各切削刃の
リードを不同(例えば45゜を中心として±5゜)に
形成して、各断面における切削刃のピツチを不同
(例えば60゜を中心として±2゜)に形成することを
特徴としているものがあつた(特公昭30−5244
号)。しかしながら、該不同に形成するのはカツ
タ本体の周面に螺旋形に形成した切削刃のリード
であつて、該リードを別異の傾度とし、中心軸よ
り切削刃に対する放射線問の角度をそれぞれ異な
らしめることで、周期性を欠如させることによ
り、ビビリ現象を抑圧することを目的としている
ものであり、各切刃相互の角度を積極的に不同と
しているものではなく、上記リードを不等にする
ことに伴つて各切刃のピツチを消極的に不同とす
るものであり、任意の断面における各切刃相互の
角度が必ずしも不等分割となるものでなく、断面
によつては各切刃相互の角度が等分割部分乃至等
分割部分に近似するものとなるものを生じ(例え
ば上記公報の第3図におけるリード45゜,40゜,50゜
である切刃相互の角度が同一である)、適応すべ
き設定条件を外れるため、所期の目的を達成でき
ないという問題点があつた。 更に、従来のボールエンドミルの底切刃は、一
般に工具製作上の理由及び切削上の理由から、周
切刃と同質の耐摩耗性に優れた超硬合金が用いら
れている。 ところで、底切刃が設けられている軸中心付近
は、その周速が比較的遅く、中心は停止してお
り、切削温度即ち刃先温度と被削面温度が低いた
め、被削材の再結晶温度以下になり、構成刃先が
発生するばかりでなく、発生した構成刃先が生長
し、脱落し難いため、ますまる生長して増大する
傾向にある。 そのため、被削面がむしられ、面の性質を損う
ばかりでなく、寸法精度も悪化する。 また、上記構成刃先の脱落の際に、切刃先端に
外力が衝撃力的に加わり、該外力が切刃の抗折力
より大であると同切刃先端が欠損(チツピング)
を生ずる。特に、構成刃先の発生−生長−分裂−
脱落のサイクルが連続的に繰返すため、上記切刃
先端に疲労が起こり、小さい損傷であつても、た
ちまち大きく発達し、非常に欠損が生じ易くなる
という欠点がある。 従つて、これら欠点に起因して、切削速度と送
り量が規制されるため、生産性が低いばかりでな
く、切削面の加工精度も不良であり、しかも工具
寿命も短いという欠点がある。 そこで、これらの問題点を解消するものとし
て、先刃の低速切削用工具材料(例ええば強靭性
超微粒子超硬合金合金または高速度鋼)、外周刃
を高速切削用工具材料(例えば超微粒子超硬合金
合金または在来型の超硬合金)としたものが提案
された(実開昭47−775号)。しかし、これは異な
る工具材料を使用する先刃と外周刃との接続を直
列接続としたものであつて、一点を境にして切刃
材料が異なるものとなる為、特定範囲の回転数
(例えば1000回転付近)においては対応できても、
該特定範囲を外れた回転数においては切削速度が
該工具材料に適応すべき設定条件を外れるため、
所期の目的を達成できないという問題点を有して
いる。 〈考案が解決しようとする問題点〉 このような従来の欠点に鑑み、本考案の主な目
的は、ビビリ防止と切屑排出性の向上により送り
量を増大化させ、重切削を可能として加工範囲を
拡大し、さらに軸中心付近の切削速度の向上によ
り構成刃先の発生と生長を抑制し、これに伴う刃
先の欠損を防止し、切削抵抗を著しく減少させ、
切削性を向上させて切削速度を向上させ、しかも
広範囲の回転数において対応でき、これによつて
生産性が高く、しかも、加工精度に優れ、さらに
工具寿命を伸長化し得るボールエンドミルを提供
することにある。 〈問題点を解決するための手段〉 このような目的は、本考案によれば、底切刃が
被削材に点接触しながら該被削材を切削可能な曲
率半径をもつ回転方向に凸なる円弧状に形成さ
れ、かつ該曲率半径が底切刃の始端から終端まで
の全長にわたつて略一定であり、かつ該曲率半径
が底切刃の始端から終端までの全長にわたつて略
一定であり、しかも円弧状に形成された底切刃の
始端と終端とが、軸中心からの同一の放射線上に
あり、さらに該各底切刃相互のなす角度、もしく
は上記各周切刃相互のなす角度、または底切刃と
周切刃とのなす角度のいずれか一のなす角度が等
分割でない角度によつて分割され、しかも周切刃
が底切刃に対して回転方向側に離隔して、底切刃
に対する周切刃の回転方向側に於ける角度が、等
分割角度より拡大する角度となつており、更に底
切刃が全般切削工具用超硬合金のうち強靭性超硬
合金であるM30からなり、かつ上記周切刃が全
般切削工具用超硬合金のうち耐摩耗性超硬合金で
あるM20からなり、しかも該底切刃の終端部と
該周切刃の始端部とが回転軌跡上においてボール
エンドミル本体の直径の約5%〜20%前後放射方
向にオーバラツプしていることを特徴とするボー
ルエンドミルを提供することにより達成される。 〈作用〉 このように、被削材に対して点接触しながら切
削可能な曲率半径を持つ円弧状に底切刃を形成す
ることにより、点接触のみで被削材の切削を行う
ことになり、該切刃と被削材との接触面積を小と
することにより、切削抵抗を激減せしめ、切削時
に同刃に加わる衝撃荷重が激減するばかりでな
く、切削抵抗も著しく減少し、また切屑の排出の
流れもスムースになる。このため、送り量を比較
的大きくとることができ、切削速度が増大するば
かりでなく、生産性を向上させ、さらに重切削が
可能となり、加工範囲を拡大し、しかもチツピン
グが阻止される。 また、各切刃相互の角度を積極的に不等分割す
ることにより、切削力の周期を不定にして、切削
工具または被削材の固有振動数の周期と切削周期
の連続的な合致を防止し、共振現象の発生を防止
し、従来のボールエンドミルの各切刃相互のなす
角度が等分割角度であることに伴つて発生するび
びり現象が阻止され、被削面精度が向上すること
となる。さらに、周切刃を底切刃に対して回転方
向側に離隔して、底切刃に対する周切刃の回転方
向側に於ける角度が、等分割角度より拡大する角
度に形成している為、底切刃用チツプポケツトを
拡大形成し、切屑の排出空間を拡大して、該切屑
の排出抵抗を減少させ、切屑の排出性が極めて良
好となる。 更に、底切刃と周切刃の材質を、被削時の条件
に対応させてそれぞれ最適の材質である強靭性超
硬合金であるM30と強耐摩耗性超硬合金である
M20を採択したことにより、底切刃の抗折力が
向上することと相俟つて、軸中心付近の周速を上
げ、切削温度を上昇させることよつて、構成刃先
の発生、生長を抑制し、同刃先の脱落に伴う底切
刃の欠損を防止することができる。しかも切削速
度の上昇にも拘らず、周切刃の耐摩耗性が向上す
ることにより、切刃の折損や破損を生ずることな
く、幅広い範囲の被削材を切削することができ
る。 しかも該底切刃の終端部と該周切刃の始端部と
が回転軌跡上においてボールエンドミル本体の直
径の約5%〜20%前後放射方向にオーバラツプさ
せて構成した為、特定の回転数に限定されること
なく、広範囲の回転数において対応でき、さらに
切削抵抗も著しく減少させることができ、重切削
を可能として、被削材に対する汎用性を拡大する
ことができる。 このため、切削速度と送り量を著しく高めるこ
とができ、加工速度を上昇させ、生産性を大幅に
向上させることができるばかりでなく、さらにビ
ビリが阻止され、加工精度を著しく優れたものと
することができると共に、切削工具の寿命も大幅
に伸長する。 〈実施例〉 以下に添付の図面に参照して、本考案の特定の
実施例について詳述する。 第1図〜第2図は、ボールエンドミル1は、後
端にシヤンク2を有するボールエンドミル本体3
の先端部4が半球体に形成されている。 該先端部4には、底切刃用チツプポケツト5と
周切刃用チツプポケツト6とが、底面視において
交又方向に夫々一対づつ相対向して設けられてい
る。 該底切刃用チツプポケツト5の回転方向後側に
は、底切刃用チツプ7がロー付等の手段により固
着され、また上記周切刃用チツプポケツト6の回
転方向後側には、周切刃用チツプ8がロー付等の
手段により固着されされている。 該底切刃用チツプ7は、回転方向先端に底切刃
9を有している。 該底切刃9は、底面視において、始端9aが回
転中心(軸中心)付近にあつて、被削材に点接触
しながら同材を切削可能な曲率半径Rの円弧状に
形成され、しかも、同半径Rが円弧全長にわたつ
て略同一である回転方向に凸なる曲線に構成され
ている。さらに、同刃9は、その始端9aと終端
9bとが、軸中心からの同一の放射線上になあ
り、かつ該終端9b間の距離Leがボールエンド
ミル本体3の直径Dの約80%付近にあり、しかも
ボールエンドミル本体3の直径Dの1/2円の近傍
に、同刃9の回転方向最先端部(頂点)が位置す
る円弧状に形成されている。上記曲率半径は、ボ
ールエンドミル本体3の直径Dの約25%〜75%
(1/4〜3/4)の範囲で選択すればよく、これは被
削材の材質と底切刃9の材質、その他の条件によ
つて変化させればよい。 一方、前記周切刃用チツプ8は、先端に周切刃
10を有している。 該周切刃10は、底面視において始端10a間
の距離Lrがボールエンドミル本体3の直径Dの
約70%付近にあつて、終端10bがボールエンド
ミル本体3の外周上に於て、始端10aを通る軸
中心からの放射線より回転方向後方に位置し、第
1図に良く示されているように、側面視において
終端10bが始端10aより後方に位置する右捩
れ角(正の掬い角)に形成されている。 従つて、底切刃9の終端部と周切刃10の始端
部とは、夫々回転軌跡上において、ボールエンド
ミル本体3の直径Dの約5%ずつ放射方向にオー
バラツプ(Lo)した状態に形成されている。 上記底切刃9相互は、一方向(例えば回転方
向)のなす角度が180゜+α゜、他方向(例えば反回
転方向)のなす角度が180゜−α゜となつており、α゜
だけ等分割である180゜より一方向(例えば反回転
方向)に相互になす角度が僅かに偏角して分割配
設されている。 また、上記周切刃10相互も同様に一方向(例
えば反回転方向)のなす角度が180゜+β゜、他方向
(例えば回転方向)のなす角度が180゜−β゜となつ
ており、β゜だけ等分割角度である180゜より一方向
(例えば回転方向)に相互のなす角度が僅かに偏
角して分割配設されている。 更に、底切刃9と周切刃10とは、相互のなす
角度が、θ1=90゜−(α+β)゜,θ2=90゜+(α+
β+r)゜,θ3=90゜−(β+r)゜,θ4=90゜+r

の割合でそれぞれ等分割角度である90゜に対して
偏角して、全角度が異なる角度で分割配設されて
いる。 すなわち、底切刃9に対する周切刃10の回転
方向側になす角度θ2,θ4が、周切刃10が回転方
向側に隔離して、等分割角度より拡大する角度と
なつている。これに伴つて底切刃9に対する周切
刃10の回転方向側に於ける間隔も増大してお
り、底切刃用チツプポケツト5が従来の等分割角
度に於ける同ポケツトに比べて拡大して形成され
ている。 前記のように、各底切刃9相互のなす角度と、
各周切刃10相互のなす角度及び各底切刃9と周
切刃10とのなす角度をそれぞれ等分割でない角
度によつて分割することにより、各切刃9,10
によつて被削材に加わる切削力の周期が同一切削
速度(同一回転数)に於いても常に異なるものと
なる。 従つて、該周期が切削工具の固有振動数または
被削材の固有振動数、或いは切削機械の固有振動
数とたとえ合致することがあつても、それは単一
の各切刃9,10間のみであつて各切刃9,10
相互のなす角度が異なるため、一回転においては
不定周期となり、連続してそれらの固有振動数と
合致することがなくなる。 これによつて共振現象が防止される結果、びび
り現象の発生も阻止される。 また、前記のように底切刃用チツプポケツト5
が拡大形成される結果、切屑の排出空間が拡大さ
れるため、該切屑の排出抵抗が減少し、切屑の排
出性が向上することとなる。 尚、本実施例に於ては、底切刃9相互のなす角
度、及び周切刃10相互のなす角度、並びに底切
刃9と周切刃10とのなす角度のいずれもが、等
分割でない角度によつて分割されているものが、
びびり発生の防止上に於て最適であるとして示し
たが、底切刃9の相互のなす角度または周切刃1
0相互のなす角度のいずれか一方の角度のみが、
等分割でない角度によつて分割されているもので
あつても、びびり発生の防止上好適である。 上記底切刃用チツプ7と周切刃チツプ8はタン
グステンカーバイド(WC)を主成分とした全般
切削工具用超硬合金材から形成されている。 このうち底切刃チツプ7(従つて底切刃9)
は、軸中心付近の周速を上げて切削速度を上昇さ
せるため、全般切削工具用超硬合金のうち強靭性
超硬合金であるM30(国際規格ISO分類)から
形成されている。 また周切刃チツプ8(従従つて周切刃10)
は、軸中心に比べて周速が高いため、高速切削に
十分耐えられるように全般切削工具用超硬合金の
うち強耐摩耗性超硬合金であるM20(国際規格
ISO分類)から形成されている。 前記のように、底切刃9の材質を強靭性超硬合
金であるM30とすると共に、周切刃10の材質
を強耐摩耗性超硬合金であるM20とすることに
より、抗折力が比較的大となるため、底切刃9が
設けられている軸中心付近の周速を大幅に上昇さ
せることができることから、切削温度すなわち刃
先温度と被削面温度を上昇させ、被削材の再結晶
温度以上として、構成刃先の発生及び生長を抑制
することができる。 この結果、底切刃9の先端における構成刃先の
発生が著しく減少するばかりでなく、たとえ同刃
先が発生しても、軟化によつて未生長な微少状態
で脱落するため、該脱落の際における同刃9の先
端に於ける外力による影響が軽微であり、同刃9
の先端に欠損が防止される。 更に、底切刃9の材質を前記材質とすることに
より、同刃9の抗折力も増大するため、構成刃先
の脱落時に同刃9に加わる外力に対する抵抗力も
向上することから、前記切削温度の上昇と相俟つ
て、同刃先の脱落時における底切刃9の先端の欠
損が阻止されることになる。 尚、本実施例に於ては、底切刃9の終端9bが
ボールエンドミル本体3の直径Dの約80%付近に
あるものが工具製作上及び被削材加工上おいて最
適であるとして示したが、同本体直径径Dの約70
%〜90%付近にあるものであつても好適である。 同様に、周切刃10の始端10aも、本実施例
に於ける同本体直径Dの約70%付近にあるものが
最適であるが、これに限られるとなく、同本体直
径Dの約60%〜約80%付近にあるものであつても
好適である。 上記の各実施例の場合、底切刃9の終端部と周
切刃10の始端部とは、多くの場合回転軌跡上に
於て、放射方向にオーバラツプした状態に形成さ
れており、切削がより良好に行なわれ、被削面精
度が向上する。 更に、本実施例に於ては、底切刃9の終端9b
がボールエンドミル本体3の直径Dの内側に位置
するものについて示したが、該終端9bが該本体
3の外周まで延伸されたものにも適用することが
できる。 また、本実施例においては、これらのチツプ
7,8がボールエンドミル本体3にロー付にて固
着されたものについて示したが、該チツプ7,8
は同本体3にクランプボルト等により着脱自在に
設けたもの(スローアウエイタイプ)であつても
よい。 さらに、本実施例においては、底切刃9と周切
刃10とがそれぞれ2枚刃の形式のものについて
適用したが、それら切刃9,10が一枚刃の形式
のものや、3枚刃以上の多刃形式のものにも適用
できるものである。 また、本実施例においては、各底切刃9相互が
同一曲率半径Rのものについて適用したが、該各
切刃9の曲率半径Rが前記条件を充足するものな
らば、相互に異なる曲率半径のものであつてもよ
い。 さらに、本実施例においては、底切刃9の始端
9aがボールエンドミル本体3の軸中心から僅か
に離隔したものについて適用したが、同軸中心に
一致するものでもよい。 また、本実施例においては、各周切刃9がボー
ルエンドミル本体3の軸中心に対して点対称に形
成したものについて適用したが、同軸中心に対し
て偏心させて形成したものであつてもよい。 次に、本実施例の実験例について説明する。 従来例と本実施例との比較切削試験は、竪型フ
ライス盤により、次の工具仕様と被削材仕様とに
より行つた。 (1) 工具仕様 ボールエンドミルの直径:D=50mm 従来例の各切刃相互のなす角度:等分割角度 本実施例の各底切刃相互のなす角度:等分割で
ない角度 本実施例の各周切刃相互のなす角度:等分割で
ない角度 従来例の曲率半径:r=50mm 本実施例の曲率半径:R=25mm 底切刃始端と軸中心との距離:1=1mm 底切刃形式:2枚刃形式 周切刃形式:2枚刃形式 底切刃用チツプの取付:ロー付固着 従来例の底切刃と周切刃の材質:超硬合金M20 本実施例の底切刃の材質:超硬合金M30 本実施例の周切刃の材質:超硬合金M20 (2) 被削材仕様 材質:FC−25 上記切削試験の結果は、次の通りである。
【表】 上記切削試験の結果より、本実施例のものは、
従来例のものに比べて、切削時に受ける衝撃が少
なく、かつ切削抵抗も減少し、しかも切屑の排出
もスムースであることが判明した。この結果、何
等不具合を生ずることなく、切削速度と送り量を
顕著に高めることができ、しかも工具寿命を大幅
に伸長させることができ、かつ切削面の加工精度
を著しく向上させることができる。 更に、上記切削試験の結果より、本実施例のも
のは、従来例のものに比べて軸中心付近の周速が
上がり、切削温度も上昇し、しかも送り量が増大
することが判明した。この結果、底切刃9の先端
に於ける構成刃先の発生、生長が抑制され、同刃
先の脱落に伴う底切刃9の先端の欠損が阻止さ
れ、しかも周切刃10の欠損破損が防止される。 従つて、工具寿命が伸長するばかりでなく、生
産性が向上し、しかも切削面精度を向上させるこ
とができる。 〈考案の効果〉 このように本考案によれば、底切刃の形状を特
定の円弧状としたため、切削時における衝撃荷重
を回避すると共に、切削抵抗を減少させ、しかも
切屑の排出を円滑化することができる。 また、底切刃と周切刃の材質を、特定の材質と
したため、底切刃の抗折力が向上することと相俟
つて、軸中心付近の周速を上げ、構成刃先の発
生、生長を抑制して、底切刃の欠損を阻止するこ
とができる。しかも底切刃と周切刃とをオーバラ
ツプした構成としたため、広範囲の回転数におい
て対応でき、さらに切削抵抗の減少による重切削
の可能化によつて、被削材に対する汎用性を著し
く拡大することができる。また、外周付近の周速
の上昇にも拘らず、周切刃の耐摩耗性が向上する
ため、周切刃の折損や破損を生ずることなく、工
具交換をせずに鋼材や鋳鉄等の幅広い範囲の被削
材を切削することができる利点がある。 さらに、各切刃相互の角度を積極的に不等分割
することにより、共振現象の発生を防止し、びび
り現象を阻止することができる。また、びびりに
よる細波状切削面の発生が阻止され、被削面精度
が向上するばかりでなく、切削工具の切刃の欠損
を防止することができる。さらにまた、底切刃に
対する周切刃の回転方向側に於ける角度が、等分
割角度より拡大する角度に形成されている為、底
切刃用チツプポケツトを拡大形成し、切屑の排出
空間を拡大して、該切屑の排出抵抗を減少させ、
切屑の排出性を極めて良好となる利点がある。 この結果、切削速度と送り量を2倍以上と著し
く高めることができ、加工速度を大幅に上昇さ
せ、生産性を顕著に向上させることができるばか
りでなく、残加工不要となる程に加工精度が優れ
たものとなる効果がある。 また、これによつて工具寿命が2倍以上と大幅
に伸長すると共に、切削速度と送り量を2倍以上
と著しく上昇させ、さらに重切削が著しく可能良
好となつたことにより、加工範囲が大幅に拡大
し、しかも被削材の材質による工具交換の必要性
が減少することと相俟つて、生産性を大幅に向上
させ、さらにまた切削面の加工精度を著しく向上
し得るという大なる効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案に基ずく底切刃が設けられたボ
ールエンドミルの側面図である。第2図は第1図
の底面図である。第3図は従来例の底切刃をもつ
ボールエンドミルの底面図である。 1……ボールエンドミル、2……シヤンク、3
……ボールエンドミル本体、4……先端部、5…
…底切刃用チツプポケツト、6……周切刃用チツ
プポケツト、7……底切刃用チツプ、8……周切
刃用チツプ、9……底切刃、9a……始端、9b
……終端、10……周切刃、10a……始端、1
0b……終端、D……ボールエンドミル本体、R
……底切刃の曲率半径、Le……底切刃の終端間
の距離、Lr……底切刃の始端間の距離、Lo……
回転軌跡上における底切刃終端部と周切刃相始端
部との放射方向のオーバラツプ。

Claims (1)

  1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) ボールエンドミル本体の先端部に底切刃が設
    けられると共に、同本体の外周から先端部にか
    けて周切刃が設けられているボールエンドミル
    において、 上記底切刃が被削材に点接触しながら該被削
    材を切削可能な曲率半径をもつ回転方向に凸な
    る円弧状に形成され、かつ該曲率半径が底切刃
    の始端から終端までの全長にわたつて略一定で
    あり、しかも円弧状に形成された底切刃の始端
    と終端とが、軸中心からの同一の放射線上にあ
    り、 さらに該各底切刃相互をなす角度、もしくは
    上記各周切刃相互のなす角度、または底切刃と
    周切刃とのなす角度のいずれか一のなす角度が
    等分割でない角度によつて分割され、しかも周
    切刃が底切刃に対して回転方向側に離隔して、
    底切刃に対する周切刃の回転方向側に於ける角
    度が、等分割角度より拡大する角度となつてお
    り、 更に上記底切刃が全般切削工具用超硬合金の
    うち強靭性超硬合金であるM30からなると共
    に、上記周切刃が全般切削工具用超硬合金のう
    ち耐摩耗性超硬合金であるM20からなり、し
    かも該底切刃の終端部と該周切刃の始端部とが
    回転軌跡上においてボールエンドミル本体の直
    径の約5%〜20%前後放射方向にオーバラツプ
    していることを特徴とするボールエンドミル。 (2) 円弧状に形成された底切刃の回転方向最先端
    部が、ボールエンドミル本体の直径の1/2円の
    近傍に位置することを特徴とする実用新案登録
    請求の範囲第1項に記載のボールエンドミル。 (3) 底切刃の曲率半径が、底面視においてボール
    エンドミル本体の直径の約1/4〜3/4であること
    を特徴とする実用新案登録請求の範囲第1項ま
    たは第2項に記載のボールエンドミル。 (4) 底切刃を有する底切刃チツプが、ボールエン
    ドミル本体にロー付け固着されていることを特
    徴とする第1項〜第3項の何れかに記載のボー
    ルエンドミル。 (5) 底切刃が、2枚刃の形式であることを特徴と
    する第1項〜第4項の何れかに記載のボールエ
    ンドミル。 (6) 各底切刃相互のなす角度が等分割でない角度
    によつて分割されていることを特徴とする実用
    新案登録請求の範囲第1項に記載のボールエン
    ドミル。 (7) 各周切刃相互のなす角度が等分割でない角度
    によつて分割されていることを特徴とする実用
    新案登録請求の範囲第1項に記載のボールエン
    ドミル。 (8) 底切刃と周切刃とのなす角度が等分割でない
    角度によつて分割されていることを特徴とする
    実用新案登録請求の範囲第1項に記載のボール
    エンドミル。 (9) 各底切刃相互のなす角度および各周切刃相互
    のなす角度がそれぞれ等分割でない角度によつ
    て分割されていることを特徴とする実用新案登
    録請求の範囲第1項に記載のボールエンドミ
    ル。 (10) 底切刃の終端間の距離がボールエンドミル本
    体の直径の約70%〜90%であることを特徴とす
    る実用新案登録請求の範囲第1項に記載のボー
    ルエンドミル。 (11) 周切刃の始端間の距離がボールエンドミル本
    体の直径の約60%〜80%であることを特徴とす
    る実用新案登録請求の範囲第1項に記載のボー
    ルエンドミル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS5835366U (ja) * 1981-08-31 1983-03-08 ジューキ株式会社 糸調子器の調節機構

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