JPH0233263Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、電気信号に依つて文字、数字等を表
示する表示装置に関し、目的とするところは、長
時間の使用に際しても消費電力が極めて少なく、
製造コストも低廉で、更に、周囲の明るさ等の状
態に拘わらず良好なコントラストに依つて鮮明に
表示出来得る画期的な表示装置を提供することに
ある。

斯る従来の表示装置としては、プラズマ、発光
ダイオード、液晶等を用いたものが一般的である
が、何れのものも、通電状態を継続しないと表示
が消失してしまう為、長時間の表示に際しては消
費電力が大となる欠点があり、特に、大面積表示
を行なう場合には、例えば発光ダイオードを多数
個ドツトマトリツク状に配列しなければならず、
使用電力が大きくなるだけでなく、製造コストが
高くなる。しかも、何れも明るい周囲光に於いて
は良好なコントラストが得られず、非常に見辛い
表示となり、又、液晶表示等の場合は、夜間等に
於ける暗所では見えない。

本考案は、斯る従来の種々の欠点に鑑み、電磁
石の瞬間励磁に依つて表示板を容器の透明な表示
用前面板に接離し、容器に充填した不透明液を介
して表示板に依る二値信号表示を行なうと共に、
表示板に連結した永久磁石の移動方向の両側に
夫々配設した磁性材の吸着板に前記永久磁石を吸
着させる構成とする事に依つて、電磁石を非通電
状態としても表示板に依る表示を保持出来るよう
にし、低消費電力及び低コストを図るようにした
ものであり、次に本考案の表示装置を、其の一実
施例を示した図面と共に詳細に説明する。

１は表示用前面板２が透明な合成樹脂板に依り
形設された偏平矩形状の密閉箱形の表示用容器で
あつて、内部の中央部分に中間板３が前面板１に
対し平行に位置して固定されていると共に、不透
明液４が充填されている。この不透明液４として
は、水に白色剤を溶解したもの等が適当である
が、冬期に於ける不透明液４の凝固を予防する為
に、適量の有機溶剤を添加混合するのが好まし
く、斯る有機溶剤を添加した場合には、耐寒性の
向上の他に、水に不溶な白色剤をも利用出来る利
点がある。

そして、実施例装置では、上記容器１の内部及
び外部に多数個の二値信号表示ユニツトをドツト
マトリツクス状に配列した場合を示しているが、
これらの表示ユニツトは全て同一構成であるか
ら、以下に単一の表示ユニツトの構成を詳説す
る。即ち、円板状の表示板５と該表示板５の中心
から突出した摺動杆６とが、黒色に着色した合成
樹脂に依り一体成形され、この摺動杆６が、中間
板３に穿設したガイド孔７に、前面板２側から摺
動自在に挿通されていると共に、ガイド孔７から
導出した摺動杆６の端部に、永久磁石８が固着さ
れ、更に、中間板３の一面と容器１の背面板９の
内面とに、磁性材、例えば鉄板から成る表示用及
び無表示用吸着板１０，１１が、永久磁石８が択
一的に吸着出来得る位置に埋設されており、他
方、容器１の外部に於いて、電磁石１２が無表示
用吸着板１１に対向して背面板９に近設されて成
る。

上記構成とした実施例装置で文字、数字等を表
示する場合、図示していないが、電子制御回路に
於いて、表示すべき事項を予め記憶させたメモリ
から読み出した信号に依りドライバ回路を駆動
し、該ドライバ回路からの信号を、ドツトマトリ
ツクス状の各表示ユニツトに走査させ、各表示ユ
ニツトの電磁石１２に所定の極性で瞬時的に給電
する。即ち、実施例では、永久磁石８が、第３図
に示すような極性に配設されているから、表示す
べき表示ユニツトの電磁石１２には第３図の実線
で示す極性に給電され、且つ無表示の表示ユニツ
トの電磁石１２には同図の破線で示す極性に給電
される。従つて、実線で示す極性で給電される電
磁石１２は、瞬間励磁に依りＮ極に磁化され、且
つ無表示用吸着板１１がＮ極に関接磁化されて永
久磁石８の対向磁極と同極となる為、永久磁石８
と無表示用吸着板１１との反発力に依つて摺動杆
６が摺動し、表示板５が同図に実線で示すように
前面板２の内面に接合し、以つて、この表示板５
は透明な前面板２を通して外部から透視出来る。
この時、永久磁石８が表示用吸着板１０に吸着す
るから、電磁石１２への給電が断たれた後も前記
表示状態を自己保持する。他方、破線で示す極性
で給電された電磁石１２はＳ極に磁化されるか
ら、無表示用吸着板１１の磁極が永久磁石８の磁
極に対し異極となつて永久磁石８が無表示用吸着
板１１に吸引され、表示板５が同図の一点鎖線で
示すように前面板２から離脱し、この表示板５は
不透明液４に依つて外部からは透視出来ない。斯
る場合も、永久磁石８が無表示用吸着板１１に吸
着するから、電磁石１２への給電が断たれた後も
前記無表示状態を自己保持する。

以上の動作に依つて所要の表示板５のみが前面
板２に接合され、例えば、第１図に示す「行先」
と云う文字が表示される。しかも、この表示は、
白色の不透明液４に対し表示板５が黒色であつ
て、極めてコントラストが良く、太陽光の下に於
いても鮮明な表示となり、例えば、バスの行先や
運賃表示等の各種の表示に適用して極めて顕著な
効果を発輝する。

尚、前記実施例では、多数個の表示ユニツトを
ドツトマトリツクス状に配設した場合を示した
が、単一の表示ユニツトのみで表示装置を構成し
ても良く、例えば、バス路線の各停留所名を運行
順序に基いて記した案内板の各停留所名の上部
に、上記の単一の表示ユニツトから成る表示装置
を夫々配設し、この表示装置の表示を順次移行さ
せて運行位置を示すような場合に適用出来る。
又、表示板５に螢光塗料を塗付してランプで照射
すれば、夜間に於いても極めて鮮明な表示とな
る。更に、不透明液４を注入しているから、容器
１全体を透明な合成樹脂で形成しても、内部構造
は外部から見えないので外観を損うことがなく、
斯る場合は、前面板２を含む容器１を一体成形出
来るメリツトがある。

叙上の通り本考案の表示装置に依ると、電磁石
への瞬時的な給電に依り表示内容を変更出来ると
共に、この表示内容を電磁石への給電を断つた後
も保持することが出来るから、長時間の表示を行
なう場合には極めて顕著な節電効果を得ることが
出来、又、発光ダイオードを配設する等の従来の
ものに比し製造コストも低減する事が出来、更
に、表示板と不透明液との配色に依つて良好なコ
ントラストで鮮明に表示でき、しかも、表示色が
必然的に決定される従来のものと異なり其の表示
色を任意に選択出来る利点もある。特に、本考案
は大面積表示に際し格段の効果を発輝するもので
あつて、表示板の形状を大とするのみの安価な構
成で達成出来る。

更に、永久磁石による磁着によつて表示板の表
示状態が保持されているから、表示板を頻繁に動
作させたとしても機械的な保持に比べて保持状態
が悪くならず、従つて、表示板によつて動作の頻
度が偏ることがあつても、全ての表示板が前面板
に均等の力で当接することができることとなり、
従つて、動作の回数が重なつても、一部の表示板
が前面板から離れて不透明液によつて曇つてしま
うことがなく、表示むらが生じることがなくなる
という効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の表示装置の一実施例を示し、第
１図は斜視図、第２図は切断右側面図、第３図は
第１図の一部の拡大図である。 １……容器、２……前面板、３……中間板、４
……不透明液、５……表示板、６……摺動杆、８
……永久磁石、９……背面板、１０，１１……吸
着板、１２……電磁石。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 少なくとも前面板が透明板から成る密閉箱形で
   あつて前面板に対し平行方向に中間板を内設した
   表示用容器の内部に、不透明液を充填すると共
   に、中間板に摺動自在に貫装した摺動杆の両端に
   表示板及び永久磁石を夫々固着して表示板を前面
   板に対し接離自在とし、且つ、中間板と容器の背
   面板内面とに、磁性材から成る一対の吸着板を永
   久磁石が択一的に吸着するよう対設し、他方、容
   器の外部に、電磁石を背面板の吸着板に対向させ
   て背面板に近設して成ることを特徴とする表示装
   置。