JPH0230817Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 Ａ 産業上の利用分野 本考案は、電気機器の冷却装置に関する。

Ｂ 考案の概要 この考案は、絶縁媒体が充填された筐体の内部
に電気機器本体を収納した電気機器を冷却するた
めの電気機器の冷却装置において、 筐体に貫通孔を設けるとともに該貫通孔を塞ぐ
蓋を筐体の外側から取り付け、冷却媒体を流すた
めの冷却管を蓋を貫通して貫通孔に納まる範囲内
で蓋の内側に配設することにより、 冷却管が損傷しても、蓋を外すことにより冷却
装置を容易に筐体の外側へ取り出して修理できる
ようにしたものである。

Ｃ 従来の技術 静止形の電気機器としての例えば変圧器やリア
クトルには、絶縁性能等を向上させて小形化する
ために電気機器本体を筐体内へ収納するとともに
筐体内へ絶縁媒体を充填して構成したものがあ
る。絶縁媒体としては鉱物性絶縁油、シリコン系
絶縁油等の合成難燃性絶縁油や六弗化硫黄
（SF₆）ガス等の絶縁ガスが用いられる。

電気機器本体は運転することにより発熱する
が、この熱は絶縁媒体を介して筐体へ伝わり、筐
体の外表面から外気中へと放出される。つまり、
自然冷却方式である。

しかし、電気機器本体の損失が1Kw以上にな
ると自然冷却方式では冷却効率が不十分であり、
強制的に冷却する冷却装置を具えなければならな
い。

従来の冷却装置は次のような構造になつてい
る。第２図に示すように筐体２内に鉄心１ａとコ
イル１ｂとからなる変圧器本体１が収納されると
ともに筐体２内に絶縁媒体としての絶縁油４が充
填されて変圧器が構成され、前記筐体２内に冷却
装置３が具えられている。冷却装置３は、冷却媒
体しての冷却水を流すための冷却管５を筐体２の
外部から内部へ導入し、絶縁油４中でジグザグ状
に形成したあと筐体２の外部へ導いたものであ
る。つまり、給水及び排水のために冷却管５が筐
体２を貫通した状態となつている。

変圧器本体１から絶縁油４へ伝わつた熱が冷却
管５を介して冷却水へ伝わり、この熱が冷却水と
ともに筐体２の外へ放出されることによつて変圧
器本体１が冷却される。

Ｄ 考案が解決しようとする問題点 ところが、筐体２を貫通して冷却管５を筐体２
内へ導く構造であることから、冷却管５が損傷し
たりあるいはつまつたりした場合には絶縁油４を
抜き取つて変圧器本体１を筐体２内から引き出さ
なければ冷却装置３を筐体２内から引き出して修
理することができないという欠点がある。

一般的に冷却装置を必要とする電気機器は電気
機器本体の寸法及び重量が大きいため、電気機器
本体を筐体から引き出すには30トン以上の揚重設
備が必要である。また、電気機器本体を筐体の外
へ出して長時間大気開放することは、電気機器本
体が湿気を嫌うことから好ましくなく、修理後に
電気機器本体を筐体内に据え付けたら電気機器本
体と筐体との間の絶縁が確実であるかどうか耐電
圧試験が行なわねばならない等の問題もある。

そこで本考案は斯かる欠点を解消し、電気機器
本体等を筐体内から引き出すことなく修理するこ
とができる電気機器の冷却装置を提供することを
目的とする。

Ｅ 問題点を解決するための手段 斯かる目的を達成するための本考案の構成は、
密閉された筐体の内部に電気機器本体が収納され
るとともに該筐体内に絶縁媒体が充填された電気
機器の冷却装置において、前記筐体に貫通孔を形
成するとともに該貫通孔を塞ぐ蓋を前記筐体の外
側から取り付け、前記蓋を貫通して導入されると
ともに冷却媒体を流すための冷却管を前記貫通孔
に納まる範囲内で前記蓋の内側に配設したことを
特徴とする。

Ｆ 作用 筐体内の絶縁媒体は冷却装置によつて冷却され
る。冷却装置が故障した場合、絶縁媒体を筐体か
ら抜いたあとに蓋と共に冷却装置を筐体から引き
出す。このとき、冷却装置を構成する冷却管は筐
体に形成した貫通孔に納まる範囲内で蓋の内側に
配設されているので、冷却装置は貫通孔から容易
に引き出される。冷却装置を修理した後は、再び
筐体に蓋を取り付けて筐体内に絶縁媒体を充填す
ればよい。

Ｇ 実施例 以下、本考案を図面に示す実施例に基づいて詳
細に説明する。なお、本実施例は第２図に示す従
来の変圧器の一部を改良したものなので、同一部
分には同一符号を付して説明を省略し異なる部分
のみを説明する。

本考案による冷却装置を第１図に示す。図のよ
うに筐体２の両側（左側のみを示す）に貫通孔６
が形成され、該貫通孔６の外側には貫通孔６を塞
ぐ蓋９がボルト１０によつて取り外し可能に取り
付けられている。筐体２のうちの蓋９との当接面
には貫通孔６のまわりに溝１１が形成され、溝１
１には油漏れ防止のためのＯリング７が嵌め込ま
れている。

蓋９の内側には冷却装置８が取り付けられてい
る。蓋９には給水孔１２が形成され、図示しない
Ｏリングを介して油密に固定ニツプル１３が取り
付けられている。固定ニツプル１３の外側には給
水管１４が接続され、内側には冷却管１５の一端
が金属又は耐油性若しくは耐ガス性を有するゴム
からなり軸心方向へ伸縮自在なベロー１６を介し
て連結されている。なお、冷却管１５の他端も同
様にして図示しない排水管と接続されている。

冷却管１５は貫通孔６に納まる範囲内でジグザ
グ状に形成され、金属板１７に溶接又はろう付け
によつて固着されている。そして、冷却管１５と
蓋９との間に絶縁油４の流れる隙間を形成するた
めに、スペーサ１８を介してボルト１９によつて
金属板１７が取り付けられている。冷却装置８が
貫通孔６を通過できるように、貫通孔６の内周面
と金属板１７の外周面との間には金属板１７の全
周に亘つて間隔Ｇが設けられている。

次に、斯かる電気機器の冷却装置の作用を説明
する。

給水管１４から冷却管１５内へ冷却水を流すこ
とにより、変圧器本体１によつて暖められた絶縁
油４の熱が冷却管１５を介して冷却水へ伝わり、
冷却水とともに筐体２の外へ放出される。この場
合において、冷却管１５に金属板１７が固着され
ており、しかも金属板１７は蓋９の内面から離し
て取り付けられているので、絶縁油４から冷却管
１５へ熱が伝わる伝熱面積が大きく、絶縁油４の
冷却効率つまりは変圧器本体１の冷却効率が大き
い。

冷却管１５は金属板１７に固着されているた
め、冷却管１５の重さによる曲げモーメントが冷
却管１５の一部に加わつて冷却管１５が損傷する
という虞れがない。また、固定ニツプル１３と冷
却管１５との接続が伸縮自在のベロー１６を介し
て行なわれているので、筐体２と冷却管１５との
温度差による冷却管１５と固定ニツプル１３との
相対的ズレがベロー１６によつて吸収され、冷却
管１５に力が加わらないので、この面からも冷却
管１５の損傷が防止される。

冷却装置８が故障した場合は筐体２内から絶縁
油４を抜き取つたのちにボルト１０を回して蓋９
を外す。このとき、冷却装置８が貫通孔６のまわ
りにひつかからぬように蓋９を水平方向へ移動さ
せて取り外すようにする。すると、冷却装置８は
蓋９とともに筐体２の外へ引き出されることにな
り、変圧器本体１を筐体２から引き出すことなく
冷却装置８を修理することができる。修理後は前
記と逆の手順で蓋９を取り付けることにより、冷
却装置８を筐体２内に取り付けることができる。
その後は筐体２内へ絶縁油４を充填すればよい。

なお、本実施例では冷却媒体として冷却水を用
いる場合について説明したが、これに限るもので
はない。但し、冷却水以外の冷却媒体を用いる場
合は、筐体の外部に冷却媒体を冷却するための手
段が必要になる。また、本実施例では金属板を介
して冷却管を蓋の内側に取り付けているが、直接
に取り付けるようにしてもよい。更に電気機器と
は変圧器に限定されるものではない。

Ｈ 効果 以上説明したように本考案によれば、筐体に貫
通孔を形成するとともに該貫通孔を塞ぐ蓋の内側
に冷却装置を取り付けているので、蓋を筐体から
外すことにより容易に冷却装置を筐体外へ引き出
すことができる。したがつて、冷却装置の修理や
保守点検の際に電気機器本体を筐体外へ引き出す
等の必要がなく、工事期間が短縮されると共に工
事費用も節約される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による電気機器の冷却装置を具
えた電気機器の部分断面図、第２図は従来の電気
機器の断面図である。 １……変圧器、２……筐体、４……絶縁油、６
……貫通孔、８……冷却装置、９……蓋、１５…
…冷却管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 密閉された筐体の内部に電気機器本体が収納さ
   れるとともに該筐体内に絶縁媒体が充填された電
   気機器の冷却装置において、前記筐体に貫通孔を
   形成するとともに該貫通孔を塞ぐ蓋を前記筐体の
   外側から取り付け、前記蓋を貫通して導入される
   とともに冷却媒体を流すための冷却管を前記貫通
   孔に納まる範囲内で前記蓋の内側に配設したこと
   を特徴とする電気機器の冷却装置。