JPH0229978B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、自動車等のタイヤの落下性能試験装
置に関する。

従来のタイヤ落下性能試験装置は、不動の接地
面に対してタイヤを落下させる静的試験のみ行な
うもので、接地面を相対移動させる動的試験はで
きなく、実車フイーリングに頼つている。この実
車フイーリングによる評価では、定量的評価が困
難であり、且つ場所及び気候等の外的条件又は試
験車等の内的条件が不定であるため、正確な試験
をすることが困難である。

また、静的試験においても、タイヤの減衰特性
と落下衝撃荷重変化とを別個の装置で測定しなけ
ればならなく、タイヤの総合的な試験がやり難い
ものであつた。

本発明は、このような従来装置の問題点に鑑
み、タイヤの減衰特性及び落下衝撃荷重変動を同
時に測定し、且つそれらによりバネ常数及びボト
ミング測定を可能にし、更にこれらの動的試験を
も可能にしたタイヤ落下試験装置を提供すること
を目的とする。

この目的は達成するための本発明の特徴とする
ところは、タイヤ接地面となる回転自在なドラム
と、このドラムの上方でロードセルを介してタイ
ヤを支持するキヤリツジと、このキヤリツジの落
下を案内するフレームと、このフレームに設けら
れてキヤリツジと係脱自在で且つ係合状態で所要
高さまで持上げ可能な持上げ機構と、前記キヤリ
ツジの運動軌跡を検出するセンサとを有する点に
ある。

以下、本発明の実施例を図面に基いて説明す
る。

第１〜４図において、タイヤ落下試験装置１は
大別して、ドラム部２と落下部３とこれらを支持
している基台４とから成る。

ドラム部２は、タイヤ接地面となるドラム６の
軸７を、回転テーブル８の１対の軸受部９で水平
横軸廻り回転自在に支持し、同じく回転テーブル
８上に載置されたモータ５で動力伝達手段１０を
介して所要回転速度で駆動するように構成されて
いる。

前記回転テーブル８は基台４に軸受１１を介し
て縦軸廻り回動自在に支持され、ブレーキ及び変
速付きのモータ１２によつて所要角度回動され
る。１３はモータ１２と共に基台４に載置され、
モータ１２から動力が入力されるウオーム減速機
で、その出力軸には回転体１４が設けられ、この
回転体１４にクランクアーム１５の一端が連結さ
れ、その結位置はウオーム減速機１３の出力軸に
対して偏心し且つ遠近方向に位置調整自在であ
り、クランクアーム１５の他端は回転テーブル８
に連結されていて、回転体１４の回転により、ク
ランクアーム１５を介して回転テーブル８が所定
角度往復揺動される。１６は回転テーブル８に対
して作用するスリツプ角固定装置である。

落下部３において、１８は基台４上に立設され
た前後１対の支柱で、その上端にはフレーム１９
の下端が水平横軸１７廻り角度調整自在に取付け
られ、この水平横軸１７はドラム６の軸７と直角
方向である。

また、基台４は支持台２０上にキヤンバ角調整
機構２１が取付けられている。２２は上端が前記
フレーム１９の背面に枢支連結された調整杆で、
その中途から下端にかけてラツク２３が刻設さ
れ、且つ伝動ケース２４内に軸方向摺動自在に貫
通している。この伝動ケース２４には調整杆２２
と直角方向に駆動軸２５が貫通しており、この駆
動軸２５はラツク２３と噛合しているピニオン
（図示せず）を有し、支持台２０上部に回転自在
に軸支されている。２６は調整杆２２の摺動を阻
止するロツクハンドル、２７はギヤケース２８内
のギヤを介して駆動軸２５を回転させるキヤンバ
角調整ハンドルである。

前記キヤンバ角調整ハンドル２７を回転するこ
とにより、調整杆２２は摺動し、駆動軸２５から
フレーム１９までの距離が変化して、フレーム１
９は横軸１７を中心に傾倒する。

前記フレーム１９の前面には２条のレール３１
が設けられていて、このレール３１にキヤリツジ
３２が上下摺動自在に取付けられ、無抵抗スライ
ダーとなつている。

前記キヤリツジ３２はロードセル３３を介して
タイヤ取付軸３４を回転自在に取付け、この取付
軸３４に試験用タイヤ３５が取付けられている。
このタイヤ３５はドラム６の直上に配置され、キ
ヤリツジ３２から降下することにより、ドラム６
の外周面と接触転動可能である。

また、キヤリツジ３２の上部にはウエイト積台
３６が固定され、このウエイト積台３６上に所要
個数のウエイト３７が載置されて、止め具３８に
よつて固定されている。

４０はキヤリツジ３２の持上げ機構で、フレー
ム１９の上部に固定のエアーシリンダ４１と、そ
のピストンロツド４２の先端に取付けられた係止
具４３とを有し、この係止具４３は第４図に示す
如く、ピストンロツド４２に枢支されていてキヤ
リツジ３２の被係止部４４に係脱自在に係合する
係止部材４５と、この係止部材４５の回動を阻止
可能なソレノイド４６とを有しており、係止部材
４５を被係止部４４に係止して、エアーシリンダ
４１を収縮されると、キヤリツジ３２は上方へ持
上げられ、持上げ状態からソレノイド４６を作動
すると、係止部材４５の係止姿勢が解除されて第
４図矢印方向に回動し、キヤリツジ３２の落下が
許容される。

このキヤリツジ３２の落下運動の軌跡を検出す
るイメージセンサ５０が前記支持台２０上に固定
の取付台５１に取付けられている。このセンサ５
０は高速度特殊カメラで、キヤリツジ３２から側
方へ突出した検出棒５２がその前方の螢光ランプ
５３の光を遮ることにより、その位置を連続的に
検出及び記録することができる。

また、前記フレーム１９のレール３１にはキヤ
リツジ３２の上限を設定するリミツトスイツチ５
４が設けられていて、このリミツトスイツチ５４
はエアーシリンダ４１のエアー供給回路の電磁開
閉弁（図示せず）に接続されていて、作動するこ
とにより、エアーシリンダ４１の収縮を停止す
る。

次に、前記構成のタイヤ落下試験装置１の動作
及び試験例を説明する。

モータ５の回転速度を制御してドラム６の外周
面速度を設定し、リミツトスイツチ５４の上下位
置を調整してタイヤ落下距離を設定し、ウエイト
３７の個数を増減して落下荷重を設定し、その状
態でエアーシリンダ４１を作動して、係止具４３
でキヤリツジ３２をリミツトスイツチ５４による
設定高さまで持上げ、タイヤ取付軸３４にタイヤ
３５を取付ける。

また、タイヤ３５にキヤンバ角を与える場合
は、調整ハンドル２７を回転して、フレーム１９
を所要キヤンバ角に傾斜させる。

静的試験の場合はドラム６を停止したままと
し、動的試験の場合はドラム６の周速を時速５〜
100Kmに設定して回転させる。

このようなセツト状態からソレノイド４６を作
動させて、キヤリツジ３２の係止を解除して自然
落下させる。タイヤ３５は落下によりドラム６に
接地し且つバウンドを生じ、これを数回繰返す。

第５図のグラフＡはセンサ５０で検出した検出
棒５２の運動軌跡で、グラフＢはロードセル３３
で検出したタイヤ取付軸３４の落下衝撃荷重変化
であり、同時に測定されている。

時間T₀の落下開始点イから落下したタイヤ３
５の時間Ｔ１で接地し且つ圧縮変形され、最大衝
撃荷重を受ける。この時、荷重Ｂは長い直線状に
表わされていることからリムタツチがあり、ボト
ミングが測定される。従つてこの時の軌跡Ａの位
置ロの高さはタイヤリムの半径プラス取付軸３４
から検出棒５２までの距離となつている。

その後、タイヤ３５は時間T₂，T₃，T₄，T₅と
反発・接地を繰返すが、ボトミングは発生するこ
とがなく、荷重変化Ｂは次第に低い山形となり、
遂には消滅する。また、軌跡Ａは反発距離が減少
する減衰波形を画きながら、時間T₅以降に一定
高さとなり、タイヤ３５は反発を停止する。

このような試験を、キヤリツジ３２の高さ、ウ
エイト３７の個数及びドラム６の回転速度を変え
て、多数回行なうことにより、荷重変化Ｂからボ
トミング開始条件、及び時間T₂以降又はボトミ
ングを発生しないときの落下衝撃荷重が測定さ
れ、運動軌跡Ａから減衰係数及び弾性係数等の減
衰特性が測定され、また、落下衝撃荷重及び減衰
特性からタイヤのバネ常数が計算される。

尚、前記タイヤ落下試験装置１では、ドラム６
を支持している回転テーブル８をモータ１２、回
転体１４及びクランクアーム１５等によつて、縦
軸廻り往復揺動自在に構成しているので、ドラム
６を回転しながらタイヤ接地面の方向を変えるこ
とができ、従つて、定地直線走行試験の他にスラ
ローム走行試験もできる。

以上詳述した本発明によれば、キヤリツジ３２
にロードセル３３を介して取付けたタイヤ３５を
回転自在なドラム６に落下させ、その落下及び反
発の運動軌跡をセンサ５０で検出するように構成
されているので、ロードセル３３により落下衝撃
荷重及びボトミングを測定でき、センサ５０でタ
イヤ３５の減衰係数及び弾性係数等の減衰特性を
測定でき、これらによりバネ常数を計算でき、更
に、これらをドラム６の停止及び回転によつて、
静的及び動的の両面から測定することが可能であ
り、１台の装置でタイヤ落下性能についての総て
の試験が正確且つ容易にでき、実車フイーリング
によることなく均一条件下での試験ができると共
に定量的評価ができる。

【図面の簡単な説明】

第１〜４図は本発明の実施例を示しており、第
１図は正面図、第２図は側面図、第３図は平面
図、第４図は係止具の拡大正面図、第５図は本発
明装置による試験例を示すオシログラフである。 １……タイヤ落下試験装置、６……ドラム、１
９……フレーム、２１……キヤンバ角調整機構、
３１……レール、３２……キヤリツジ、３３……
ロードセル、３４……タイヤ取付軸、３５……タ
イヤ、３７……ウエイト、４０……持上げ機構、
４３……係止具、５０……センサ、５２……検出
棒。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ タイヤ接地面となる回転自在なドラム６と、
   このドラム６の上方でロードセル３３を介してタ
   イヤ３５を支持するキヤリツジ３２と、このキヤ
   リツジ３２の落下を案内するフレーム１９と、こ
   のフレーム１９に設けられてキヤリツジ３２と係
   脱自在で且つ係合状態で所要高さまで持上げ可能
   な持上げ機構４０と、前記キヤリツジ３２の運動
   軌跡を検出するセンサ５０とを有することを特徴
   とするタイヤ落下性能試験装置。