JPH0229959Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は供血者からの採血に際し、膜モジユー
ルを使用して血漿のみを採取し、血球を供血者に
戻す血漿採取用の装置に関し、特に血漿の採取が
終了した時点で、膜モジユールの濾液室内に残留
する血漿を安全に回収することのできる装置に関
するものである。

（従来の技術） 血液からの血漿の採取は従来遠心分離装置によ
り行われていたが、最近血球と血漿とを分離でき
る血漿分離膜が得られるようになり、これによる
血漿採取が検討され始めた（例えば医科器械、
vol54 No.11、1984、p534〜p539）。かかる血漿
採取用の装置として１本の穿刺針で採血と返血を
間欠的に行うシングルニードル法と呼ばれるシス
テムと、採血針と返血針を用いて採血と返血を連
続的に行うダブルニードル法と呼ばれるシステム
が提案されている。

このような分離膜を用いて血漿を採取する場合
には採血終了時に膜モジユールの血液室及び血液
回路内に残留する血液を供血者に戻す操作と膜モ
ジユールの濾液室内に残留する血漿を回収する操
作が必ず実施される。血液の回収はシングルニー
ドル法では血液ポンプを逆転させることにより行
うことができる。またダブルニードル法では採血
針を取り外して、生理食塩水バツグに穿刺し、次
いで血液ポンプを作動させて膜モジユール及び回
路内に残留する血液を生理食塩水で置換すること
により行うことができる。

一方膜モジユール内に残留する血漿の回収は膜
モジユールの濾液室の上部に設けた開口を閉塞す
る密栓を取り外したり、また該密栓に穿刺針を挿
通して、濾液室を大気開放とし、重力あるいは血
漿抜き出しポンプで残留血漿を血漿貯溜バツグへ
回収することが行われている。

（考案が解決しようとする問題点） 上述の血液の回収操作は安全に行うことができ
るが、血漿の回収の操作は、通常膜モジユールを
装置より取り外して行つているため操作ミスによ
り血液を漏らしたり、あるいは外部からの細菌等
の侵入により血漿が汚染される恐れがあつた。

（問題点を解決するための手段） したがつて本考案は血漿の回収時に膜モジユー
ルや回路を接続したままで、しかも装置から取り
外すことなく膜モジユールの、濾液室を大気開放
とすることのできる血漿採取用の装置を提供する
ことにある。すなわち本考案は供血者から採血さ
れた血液を膜モジユールで血漿と血球に分離し
て、分離された血漿を血漿貯溜バツグに捕集し、
血球を供血者に戻す血漿採取用の装置において、
該膜モジユールの濾液室の上部側壁に開口を設け
るとともに、該開口に採血終了後に開口して濾液
室を大気開放するバルブを取着したことを特徴と
する血漿採取用の装置である。

（作用） 本考案装置は膜モジユールの濾液室の上部側壁
に設けた開口にバルブを取着することにより、採
血終了時にバルブを開放するのみで容易に濾液室
内を大気開放とすることができる。特に自動バル
ブを用いると膜モジユールには全く触れることな
く自動的に濾液室内を大気開放とすることができ
汚染を完全に防止することができる。

（実施例） 次に本考案装置の一実施例を図面にて説明す
る。第１図はシングルニードル法による装置のフ
ロー図であり、供血者の静脈に穿刺して採血と返
血時の流路となる穿刺針１は正逆回転可能な血液
ポンプ２を介して血液回路１０により膜モジユー
ル３と接続されている。膜モジユールの血球出口
に接続された血球回路１２の端部は血球貯溜バツ
グ８に接続されている。また膜モジユールの下部
に設けた血漿抜き出し口には血漿抜き出しポンプ
９を介して血漿回路１３が接続されている。重力
で血漿採取する場合には血漿抜き出しポンプ９は
不要である。この血漿回路１３の端部は血漿貯溜
バツグ７に接続されている。

上記膜モジユール３の濾液室の上部側壁には開
口が設けられこの開口にバルブ４が取着されてい
る。該バルブの開口端には空気中の細菌の侵入を
防止するため、孔径0.2μ以下のエアーフイルタ５
を設けることが好ましい。該バルブは通常の玉形
バルブでも、またピンチバルブでもよい。通常ピ
ンチバルブが用いられる。この場合には膜モジユ
ールの開口にチユーブを取着し、このチユーブを
バルブで挾持して開閉するようにする。その際チ
ユーブの開口端には上記エアーフイルタを取り付
けることが好ましい。

第２図はダブルニードル法による装置のフロー
図であり供血者の静脈に穿刺して採血時の流路と
なる採血針２１は血液ポンプ２２を介して血液回
路３０により膜モジユール３と接続されている。
膜モジユールの血球出口に接続された血球回路３
２の端部には返血時の流路となる返血針２０が接
続されており、この返血針は供血者の静脈に穿刺
される。

採血が終了するとシングルニードル法では血液
ポンプ２を逆転させて血球貯溜バツグ内の血球及
び膜モジユールと血液回路内に残留する血液を供
血者に戻す。

一方ダブルニードル法では採血針２１を抜きと
り、該採血針を生理食塩水バツグ（図示せず）に
穿刺し、しかる後に血液ポンプ２２を作動させ
て、血球回路、膜モジユール及び血液回路内に残
留する血液を生理食塩水で置換して残留血液を供
血者に戻す。かかる血液の回収操作が終了すると
穿刺針１、または送血針２０を抜き取り、しかる
後に膜モジユールの上部側壁に設けた開口に取着
したバルブ４を開放して膜モジユールの濾液室を
大気開放とする。上記バルブと血漿抜き出しポン
プ９を連動制御させてバルブの開放と同時にポン
プ９を駆動させると、膜モジユールの濾液室内に
残留する血漿が血漿貯溜バツグ７へ供給回収され
る。ポンプを使用せずに重力で血漿を回収する場
合には血漿貯溜バツグを膜モジユールより低位置
に配置するとバルブを開放すると同時に濾液室に
残留する血漿は血漿貯溜バツグ内にヘツド差によ
り供給される。上記バルブは手動で開放してもよ
いが、自動バルブを用いスイツチにより自動的に
開放するようにしてもよい。

（本考案の効果） 以上のように、本考案の装置は膜分離により血
漿の採取を行なつた後、膜モジユールの濾液室に
残つた血漿を膜モジユールや血液回路を接続した
ままで回収することが可能であり、しかも人為的
な操作を必要とせず自動的に流路を切り替えるた
めに外部から汚染を受ける可能性のない安全な装
置である。

【図面の簡単な説明】

図は本考案装置の一実施例を示すフロー図であ
り第１図はシングルニードル法の例であり、第２
図はダブルニードル法の例である。 １……穿刺針、２……血液ポンプ、３……膜モ
ジユール、４……バルブ、５……エアーフイル
タ、７……血漿貯溜バツグ、８……血球貯溜バツ
グ、９……血漿抜き出しポンプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 供血者から採血された血液を膜モジユールで血
   漿と血球に分離して、分離された血漿を血漿貯溜
   バツグに捕集し、血球を供血者に戻す血漿採取用
   の装置において、該膜モジユールの濾液室の上部
   側壁に開口を設けるとともに、該開口に採血終了
   後に開口して濾液室を大気開放するバルブを取着
   したことを特徴とする血漿採取用の装置。