JPH022987B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は基布にカツトパイルとループパイルを
選択的に形成するカツトアンドループタフテツド
機に関するものである。

〔従来の技術〕

カツトアンドループタフテツド機の開発の経緯
は、特公昭39−16426、特開昭54−104961（特公昭
57−30416）、特開昭55−103351（特開昭62−
19539）、特開昭58−144102（特公昭61−35303）、
特開昭59−228061および実開昭58−110092（実公
昭59−31752）によつて知ることが出来る。

これら従来技術は何れもニードルに交叉してそ
の通持するパイル糸を引つ掛けて受け取つたルー
パーが、その受け取つたパイル糸ループをそのま
ま係止続けるか又は離脱させるかを各ステツチサ
イクル毎に決定し、それを係止続けるときはカツ
トパイルを、それを離脱させるときはループパイ
ルを形成するパイル糸ループ係脱選択方式であ
る。

その他のカツトアンドループタフテツド機とし
ては、特開昭51−47856（特公昭56−9577）、特開
昭54−104960（特公昭56−13819）および特開昭57
−47962（特公昭60−17866）に開示されるカツト
パイル用ルーパーとルーパーパイル用ルーパーと
をステツチ列毎に交互に配列したものがある。こ
れらのカツトアンドループタフテツド機は言わば
カツトパイル専用タフテツド機とループパイル専
用機とを組み合わせたルーパー混用方式と言え
る。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記従来技術において、前者の係脱選択方式に
おいては、パイル糸ループの係脱が高速作動する
ルーパーの不安定な状態において行われ、又、パ
イル糸のテンシヨンおよびそれに起因するパイル
糸ループの大きさのバラツキによつてパイル糸ル
ープの係脱選択が不確実なものとなり、特にカツ
トパイルとループパイルの高さを同じくする所謂
レベルカツトループでは、ループパイルとルーパ
ー先端の高さ（位置）が略同じレベルになるの
で、ルーパーの先端が先に形成されたループパイ
ルを次に形成するループパイルの輪奈の中へと押
し込む恰好のタフトミスが生じ易い。

又、後者のルーパー混用方式では、カツトパイ
ル用ルーパーとループパイル用ループとがそれぞ
れカツトパイルおよびループパイルを形成するそ
れらの本来の使用方法そのままの形で用いられる
のでタフトミスは殆ど考えられないが、それらの
ステツチ列にはカツトパイルかループパイルの何
れか一方のパイルしか形成されないので、特開昭
54−104960に示される如くルーパーを隣り合うス
テツチ列間で移動させるとしても、カツトパイル
用ルーパーはその係止するパイル糸ループによつ
て基布に連結されているので、その移動距離は
精々隣り合う２ステツチ列間程度に限られ、従つ
てパイル面に描出し得る図柄は細かい市松模様か
単純な縞模様に限定され、複雑な図柄を描出する
ことは出来ない。

〔発明の目的〕

そこで本発明は、複雑な図柄でもその原画にそ
つてカツトパイルとループパイルとを確実に選択
形成することが出来、而し、協働するニードルや
ルーパーおよびナイフとの微調整がし易いタフテ
ツド機を提供しようとするものである。

〔発明の構成〕

本発明に係るカツトアンドループタフテツド機
は、かかる目的を達成するものであり、ニードル
１２からパイル糸ループ１３を受け取つてはそれ
を外し、ループパイル１４を全ステツチサイクル
にわたつて形成する基布１１の移動方向に先端を
向けたルーパー（第１ルーパー）１５を具備する
ループパイルタフテツド機において、 基布１１の移動方向に対して先端を逆向きに取
り付けられるカツトエツヂ１６とパイル糸ループ
離脱防止部１７を有するルーパー（第２ルーパ
ー）１８と、その第２ルーパーに協働するナイフ
１９とが取り付け、第１ルーパー１５がニードル
軸線Ｏ−O′の後方に後退せず未だパイル糸ルー
プ１３を離脱させずにおり、且つ、ニードル１２
が上昇して第１ルーパー１５から離れた時点にお
いて、第２ルーパー１８が第１ルーパー１５のパ
イル糸ループ係止部２０の真上へと選択的に駆動
されることを特徴とするものである。

即ち本発明における第２ルーパー１８は、ナイ
フ１９と協働してパイル糸ループ１３をカツトし
カツトパイル２１とするためのカツトエツヂ１６
を有するカツトパイル用ルーパーであるが、 (1) ニードル１２と交叉してニードルの通持する
パイル糸ループ１３をニードル１２から受け取
るものではなく、従つて、 (2) ニードル軸線Ｏ−O′を越えて深く前進運動
させる必要はなくニードル軸線Ｏ−O′の手前
まで往復（出没）駆動されるものであり、 これらの点でパイル糸ループを受け取る従来の
カツトパイル用ルーパーと顕著に相異する。

この第２ルーパー１８は、それが直線運動する
様に駆動してもよいし、又、揺動運動する様に駆
動してもよい。因に、図示する実施例ではタフテ
ツド機のフレームに固定された不動のルーパーブ
ロツク２２のスリツト孔２３にシヤンク２４を摺
動自在に嵌合させ、ワイヤーロツド２５によりル
ーパーブロツク２２から真直ぐに出没させてい
る。

この第２ルーパー１８の往復運動距離ｌは、第
１ルーパー１５がニードル作動線Ｏ−O′を越え
て最も深く前進した状態において、それが前進す
るときは第１ルーパー１５のループ係止部２０の
真上に到達し、又、それが後退するときは第１ル
ーパーの先端から幾分か離れる程度の概して５〜
15mm程度でもよい。

図示する実施例では第２ルーパーのシヤンク２
４には長孔３３が開けられ、そこにルーパーブロ
ツク２２に当接するピン３４が嵌合しており、そ
のピン３４によつて第２ルーパー１８の往復運動
距離ｌが設定される様になつている。

図中、３２は基布１１を支えるフインガーであ
る。

〔作用〕

上記の通り本発明において、第２ルーパー１８
は、従来のルーパーとは異なりニードル１２と協
働しパイル糸ループ１３を受け取る様には作動し
ない。

即ち、パイル糸ループ１３を受け取るためにニ
ードル１２と協働するのは第１ルーパー１５であ
り、それは従来のループパイル専用タフテツド機
のルーパーと同様に作動し、第２ルーパー１８が
第２ルーパーと協働しない限りループパイル１４
が連続して形成される（第１１図）。

そして第２ルーパー１８が作動する場合、第１
ルーパー１５がニードル１２からパイル糸ループ
１３を受け取つた直後において（第４図）、ニー
ドル１２が第１ルーパー１５から離れて上昇する
も未だ基布１１から抜け出ておらず、且つ、第１
ルーパー１５がニードル作用線Ｏ−O′の後方に
後退せずに未だパイル糸ループ１３を係止してい
る状態において、第２ルーパー１８のループ離脱
防止部（図示する実施例では、第２ルーパーの先
端の下側に鍔１７が突出している。）が第１ルー
パー１５のパイル係止部２０の真上へと前進する
（第５図）。

このときパイル糸ループ１３の輪奈２６は、第
１ルーパー１５の先端での肉厚分ｂだけ拡げられ
ているから、第２ルーパー先端の鍔１７は輪奈２
６に嵌合する（第３図）。

かかる状態においてニードル１２が更に上昇し
て基布１１から抜けると、基布１１は第２ルーパ
ー側へと移動し、従つてパイル糸ループ１３も基
布１１と共に第２ルーパー側へと移動し、それに
よつて第２ルーパー先端の鍔１７は輪奈２６に一
層深く差し込まれる（第６図）。

この様にパイル糸ループ１３が第２ルーパー側
へと移動するとき、つまり第１ルーパー１５から
離れる様に移動するとき、第１ルーパー１５も後
退し始めるので、パイル糸ループ１３は第１ルー
パー１５から外れる（第７図）。

そのときパイル糸ループ１３は、上昇し続ける
ニードル１２からの引き抜き作用を受けて第２ル
ーパー１８に引つ掛かる。

このため第２ルーパー１８がその後に後退し始
めても、パイル糸ループ１３は鍔１７に係止され
て第２ルーパー１８から外れることがなく、その
後、カツトエツヂ１６とナイフ１９によるカツテ
イング作用を受けてカツトパイル２１となる（第
８図）。

そして次のステツチサイクルにおいて第２ルー
パー１８が駆動されない場合、第２ルーパー１８
はパイル糸ループ１３に接しない離れた位置に後
退しており（第９図）、従つてパイル糸ループ１
３は第２ルーパー１８に引つ掛からず、基布１１
の移動と第１ルーパー１５の後退と共に第１ルー
パー１５から外れてループパイル１４となる（第
１０図）。

この外れたパイル糸ループ１３は、ニードル１
２からの引き抜き作用を受けて短くなるが、次の
ステツチサイクルにおいてニードル１２が基布１
１に再び差し込まれるとき、ニードル１２から更
に強い引き抜き作用を受けて一層短くなり、かく
して所定パイル長ｈのループパイル１４となる
（第１１図）。

ローループ・ハイカツトパイルのタフテイング
におけるループパイルのパイル長はカツトエツヂ
１６のレベルよりも短く、又、レベルカツトルー
プパイルのタフテイングにおけるループパイルの
パイル長は鍔１７のレベルよりも短くなるから、
基布１１と共にループパイル１４が第２ルーパー
側へと更に移動しても、第２ルーパー１８がルー
プパイル１４に引つ掛かることはなく、又、第２
ルーパー１８がループパイル１４を次に形成され
るパイル糸ループ１３の輪奈２６の中と押し込む
こともない。

尚、第２ルーパー１８の先端をパイル糸ループ
１３の中に差し込み易くするためには、その先端
での厚みａを第１ルーパー１５のループ係止部２
０の厚みｂよりも薄くしておくとよい。

又、図示する第１ルーパー１５の先端下側には
突起２７があるが、この突起２７は第２ルーパー
１８の鍔１７とは異なりパイル糸ループ１３の離
脱を防止するものではなく、第１ループ１５にパ
イル糸ループ１３が深く嵌合して外れ難くならな
い様にするもので、その形状や突出長さは本発明
の本質を左右するものではなく、この突起部分が
ニードル軸線Ｏ−O′に略平行になるシヤンク２
８になつているルーパーでは、その様な突起２７
を設ける必要はない。

その他、実施例での第２ルーパー１８には、そ
の先端の片側上縁部と他の片側の側面にパイル糸
ループ１３の離脱防止用の切り欠き２９，３０を
設けているが、鍔１７その他の離脱防止部を形成
しておればこれらの切り欠き２９，３０は必ずし
も必要としない。

その様な離脱防止部としては、鍔１７の他に特
公昭39−16426号、特公昭62−21897、特公昭62−
21898等に示されるバネ乃至クリツプを採用する
ことが出来る。

〔発明の効果〕

本発明によると、 (1) カツトパイル２１とループパイル１４とは、
第２ルーパー１８がパイル糸ループ１３を受け
取るか拒むか、その受否によつて選択されて形
成される。

(2) この第２ルーパー１８は、従来技術と異なり
ニードル１２と交叉・協働せず、又、第１ルー
パー１５とは協働するも交叉したり擦れ合うこ
とがない。

従つて、ニードル１２や第１ルーパーは第２
ルーパー１８のカツトエツヂ１６とナイフ１９
との噛み合いに何等悪影響を及ぼさず、又、そ
れらの調整がニードル１２によつて妨げられな
い。

即ち、カツトエツヂ１６とナイフ１９との接
圧・噛み合い調整のために第２ルーパー１８を
ゲージ方向に移動させても、第２ルーパー１８
がニードル１２に強く擦れ合つたりパイル糸ル
ープ１３が受け取られなくなつたりすると言う
こと不都合は起きない。

(3) 第１ルーパー１５は、カツトパイル２１とル
ープパイル１４との選択形成に関与せず、又、
ナイフ１９とも協働せず、ただループパイル１
４を形成するためにニードル１２と協働すれば
よいので、第１ルーパー１５の作動の調整が簡
便に行われ、ニードル１２からパイル糸ループ
１３を受け取り忘れると言つたタフトミスも回
避される。

(4) 第１ルーパー１５はナイフ１９と協働せずカ
ツトエツヂ１６のないものであるから、その厚
みを薄くすることが出来、それによつてゲージ
間隔つまり隣り合うニードルとニードルとの間
隔を狭くすることが出来る。

一方、第２ルーパー１８もニードル１２と交
叉協働しないので隣り合う第２ルーパーと第２
ルーパーとの間隔を狭くすることが出来る。

従つてタフトゲージのフアイン化、つまりニ
ードルゲージを狭くしパイル密度を緻密にし易
くなる。

(5) 第２ルーパー１８の往復運動距離ｌは、その
先端が前進して突き出た第１ルーパー１５のパ
イル糸ループ係止部２１の真上に突き出るか否
かと言う程度の５〜10mmで十分であり、ニード
ルと協働する第１ルーパー１５の運動距離Ｌよ
りも短い範囲ｌで往復運動し、従つて略静止状
態においてカツトエツヂ１６がナイフ１９と協
働するのでパイル糸ループ１３のカツテング作
動が安定する。

かくして本発明によると、パイル密度が緻密で
複雑な図柄のタフテツドパイル布帛３１を効率的
に得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のタフテツド機の要部断面側面
図、第２図は本発明の第２ルーパーの先端部分の
拡大側面図、第３図は本発明の第１ルーパーと第
２ルーパーの先端部分の拡大平面図、第４図、第
５図、第６図、第７図、第８図、第９図、第１０
図及び第１１図はそれぞれ本発明のタフテツド機
の稼働状況を順を追つて示す要部断面側面図であ
る。 １１……基布、１２……ニードル、１３……パ
イル糸ループ、１４……ループパイル、１５……
第１ルーパー、１６……カツトエツヂ、１７……
離脱防止部、１８……第２ルーパー、１９……ナ
イフ、２０……ループ係止部、２１……カツトパ
イル、２２……ルーパーブロツク、２３……スリ
ツト孔、２４……シヤンク、２５……ロツド、２
６……輪奈、２７……突起、２８……シヤンク、
２９，３０……切り欠き、３１……タフテツドパ
イル布帛。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ニードル１２からパイル糸ループ１３を受け
   取つてはそれを外し、ループパイル１４を全ステ
   ツチサイクルにわたつて形成する基布１１の移動
   方向に先端を向けたルーパー（第１ルーパー）１
   ５を具備するループパイルタフテツド機におい
   て、 基布１１の移動方向に対して先端を逆向きに取
   り付けられるカツトエツヂ１６とパイル糸ループ
   離脱防止部１７を有するルーパー（第２ルーパ
   ー）１８と、その第２ルーパーに協働するナイフ
   １９とが取り付けられており、 第１ルーパー１５がニードル軸線Ｏ−O′の後
   方に後退せず未だパイル糸ループ１３を離脱させ
   ずにおり、且つ、ニードル１２が上昇して第１ル
   ーパー１５から離れた時点において、第２ルーパ
   ー１８が第１ルーパー１５のパイル糸ループ係止
   部２０の真上へと選択的に駆動されることを特徴
   とするカツトアンドループタフテツド機。