JPH0227741Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 この考案は、たとえばガスメータと組合せ、地
震発生時あるいはガス漏れ時、その他の緊急時に
ガスの流通を遮断する遮断弁装置に関する。

〔考案の技術的背景とその問題点〕 地震を感知する感震器やガス漏れを感知するガ
ス漏れ警報器が知られている。また、前記感震器
やガス漏れ警報器と遮断弁装置を組合わせ、感震
時やガス漏れ発生時に遮断弁装置を作動させてガ
スの流通を遮断するようにした安全装置も実用化
されている。

しかしながら、従来ガスメータ等に組込まれて
いる遮断弁装置は第４図に示すように構成されて
いる。すなわち、１０１はガスメータのケース本
体で、１０２はガスの流入口、１０３はバルブ室
と連通する流通口である。そして、流入口１０２
と流通口１０３とを区画する仕切り壁１０４には
弁座１０５を有する流通口１０６が設けられてい
る。また、流通口１０６と対向する前記ケース本
体１０１内には自己保持形ソレノイド１０７が設
けられている。この自己保持形ソレノイド１０７
は、プランジヤ１０８を包囲するコイル１０９、
このコイル１０９の外周に設けたヨーク１１０お
よびこのヨーク１１０の底部に設けたマグネツト
１１１とから構成されている。そして、前記プラ
ンジヤ１０８の先端には前記流通口１０６に対向
する弁体１１２が取付けられ、この弁体１１２は
スプリング１１３によつて弁座１０５方向に付勢
されている。そして、自己保持形ソレノイド１０
７のコイル１０９に無通電状態ではプランジヤ１
０８がスプリング１１３に打ち勝つてマグネツト
１１１に吸着し、弁体１１２は弁座１０５から離
間して開弁状態にあるが、コイル１０９に瞬間的
に通電して逆磁場を与えると、スプリング１１３
の復元力によつて弁体１１２を弁座１０５に圧接
して閉弁状態を保持するようになつている。

一方、前記流通口１０６に対向する前記ケース
本体１０１の前部には前記弁体１１２を開弁状態
に手動的に復帰させるための復帰操作機構１１４
が設けられている。この復帰操作機構１１４はケ
ース本体１０１に穿設した取付け穴１１５に装着
された筒体１１６、この筒体１１６に挿入され先
端が前記流通口１０６まで突出するとともに、末
端にケース本体１０１から外側へ突出する復帰ボ
タン１１７を有するプツシユロツド１１８が設け
られている。そして、このプツシユロツド１１８
は筒体１１６に挿入された復帰ばね１１９によつ
て後退方向に付勢されている。また、前記復帰ボ
タン１１７は筒体１１６に対して着脱可能に螺着
されたキヤツプ１２０によつて覆われている。

したがつて、異常状態が解除され、再びガス器
具を使用する場合には、キヤツプ１２０を緩めて
取外し、復帰ボタン１１７を手指によつて押し込
み、復帰ばね１１９の復元力に抗してプツシユロ
ツド１１８を前進させると、弁体１１２はスプリ
ング１０９の復元力に抗して後退し、プランジヤ
１０８がマグネツト１１１に接触すると、マグネ
ツト１１１の吸着力によつて保持される。つま
り、弁体１１２は弁座１０５から離間した状態に
保持され、復帰ボタン１１７から手指を離し、復
帰ばね１１９の復元力によつてプツシユロツド１
１８が元の状態に復帰しても開弁状態に保持され
る。

このように、従来の遮断弁装置は、復帰ボタン
１１７を押込むことによつて弁体１１２を直接押
圧して開弁状態に保持され、再び異常時に自動的
に自己保持形ソレノイド１０７が作動して流通口
１０６を遮断することができる状態に保持される
が、復帰ボタン１１７を押込んだままではプツシ
ユロツド１１８が弁体１１２の移動を拘束してい
る。したがつて、悪戯にキヤツプ１２０の内部に
異物を入れ、このままキヤツプ１２０を筒体１１
６に螺着すると、復帰ボタン１１７が押込まれた
ままになり、プツシユロツド１１８によつて弁体
１１２を拘束状態に保持できることになる。した
がつて、流量センサ、感震器等の異常検出器が異
常を感知して自己保持形ソレノイド１０７に逆磁
場が与えられても、プランジヤ１０８が移動せ
ず、開弁状態にロツクされたままになり、非常に
危険性がある。

〔考案の目的〕

この考案は、前記事情に着目してなされたもの
で、その目的とするところは、復帰ボタンを悪戯
に押し込みつづける操作をしたとき、流通口が自
動的に遮断して安全性を向上することができる遮
断弁装置を提供することにある。

〔考案の概要〕

この考案は、前記目的を達成するために、復帰
ボタンを押込んだとき前進するプツシユロツドに
囲い壁を有する可動弁座を設け、この囲い壁によ
つて弁体と流通口との間を遮断し、復帰ボタンと
ともにプツシユロツドを後退しない限り流通口が
開放しないように構成したことにある。

〔考案の実施例〕

以下、この考案の一実施例を図面に基づいて説
明する。

第１図ないし第３図中、１はガスメータのケー
ス本体で、これは下部ケース２と上部ケース３と
から構成されている。この下部ケース２の内部に
は計量室４が設けられ、上部ケース３内にはバル
ブ室５が設けられている。また、上部ケース３の
上部一側には流入口６が、他側には流出口７が設
けられている。さらに、前記バルブ室５内の上部
には隔壁８が設けられ、この隔壁８によつてバル
ブ室５と隔離された電子部品室９が設けられてい
る。したがつて、この電子部品室９は背面を除く
前面、上下面および両側面が閉塞されており、背
面には開口部１０が設けられている。そして、こ
の開口部１０にはパツキング１１を介して蓋板１
２が取付けねじ１３……によつて着脱可能に取付
けられている。さらに、前記電子部品９の流入口
６側には前壁から突出する支持壁１４とこれと直
角に突出する仕切り壁１５が一体に設けられ、こ
の仕切り壁１５によつて前記流入口６と連通口１
６とを区画している。そして、この仕切り壁１５
には貫通口１５ａが穿設され、この貫通口１５ａ
にはリング状に固定弁座１７が固定されている。
この固定弁座１７の内周面には環状溝１７ａが設
けられ、この環状溝１７ａにはＯリングからなる
シール材１７ｂが挿入されている。そして、この
固定弁座１７には軸方向に移動自在な可動弁座１
８が挿入されている。この可動弁座１８は円筒状
で、囲い壁１８ａを有しており、内部には流通口
１８ｂが設けられている。そして、この流通口１
８ｂによつて前記流入口６とバルブ室５とを連通
するガス流通路１９を構成している。さらに、前
記支持壁１４および前記上部ケース３の内壁には
取付け座２０が設けられ、この取付け座２０には
前記流通口１８ｂを遮断する遮断装置２１が設け
られている。この遮断装置２１は取付け座２０に
固定された保持機構として自己保持形ソレノイド
２２、このソレノイド２２のプランジヤ２３に固
定され前記流通口１８ｂと対向する弁体２４およ
びこの弁体２４を固定弁座１７方向に付勢するス
プリング２５とから構成されている。そして、こ
の自己保持形ソレノイド２２は、コイル２６、こ
のコイル２６を包囲するヨーク２７およびヨーク
２７の底部に設けたマグネツト２８とから構成さ
れている。そして、自己保持形ソレノイド２２の
コイル２６に無通電状態ではプランジヤ２３がス
プリング２５に打ち勝つてマグネツト２８に吸着
し、弁体２４は固定弁座１７から離間して開弁状
態にあるが、コイル２６に瞬間的に通電して逆磁
場を与えると、スプリング２５の復元力によつて
弁体２４を固定弁座１７に圧接して閉弁状態を保
持するようになつている。

一方、前記流通口１８ｂに対向する前記上部ケ
ース３の前部には前記弁体２４を開弁状態に手動
的に復帰させるための復帰操作機構２９が設けら
れている。この復帰操作機構２９は上部ケース３
に穿設した取付け穴３０に装着された筒体３１
と、この筒体３１に挿入され先端が前記可動弁座
１８に連結されるとともに、末端に上部ケース３
から外側へ突出する復帰ボタン３２を有するプツ
シユロツド３３が設けられている。そして、この
プツシユロツド３３は筒体３１に挿入された復帰
ばね３４によつて後退方向に付勢されている。ま
た、前記復帰ボタン３２は筒体３１に対して着脱
可能に螺着されたキヤツプ３５によつて覆われて
いる。そして、前記プツシユロツド３３の長さ、
すなわちストロークは閉弁状態にある弁体２４を
可動弁座１８を介してスプリング２５の復元力に
抗して押圧し、プランジヤ２３がマグネツト２８
に吸着して開弁状態に保持される長さに設定され
ている。しかも、前記可動弁座１８の囲い壁１８
ａの長さは前記弁体２４のストロークより長く、
復帰操作時に前記プツシユロツド３３を前進させ
て弁体２４を開弁方向へ押込む過程および押込ん
で保持された状態においては可動弁座１８の先端
が弁体２４に圧接し、末端が固定弁座１７のシー
ル材１７ｂにシールされて内側の流通口１８ｂが
閉塞されるようになつている。すなわち、可動弁
座１８によつて弁体２４を復帰させたのち、復帰
ボタン３２から手指を離して復帰ばね３４の復元
力によつてプツシユロツド３３および可動弁座１
８を復帰させない限り流通口１８ｂが開放しない
ようになつており、悪戯にキヤツプ３５内に石な
どの異物を入れ、復帰ボタン３２を押しつづける
操作をしても流通口１８ｂは可動弁座１８の囲い
壁１８ａによつて遮断されるようになつている。

また、前記電子部品室９のほぼ中央部には隔壁
８と一体にプリント基板収納部３６が設けられて
いる。このプリント基板収納部３６は上部ケース
３の前後方向に沿つて設けたガイド部材３７，３
７によつて形成され、このガイド部材３７，３７
間には前記開口部１０側からプリント基板３８が
挿脱可能に支持されている。そして、このプリン
ト基板３８には各種電子部品（図示しない）が装
着され、制御回路３９を構成している。さらに、
このプリント基板３８は前記開口部１０の開口縁
に取付けねじ４０，４０によつて取付けられた押
え板４１によつて固定的に保持されている。さら
に、プリント基板３８の下部の隔壁８との間には
リードスイツチ４２が取付けられている。一方、
前記バルブ室５には公知の大肘金４３と小肘金４
４とからなるクランク機構４５が設けられてい
る。そして、前記小肘金４４は前記隔壁８の下面
に近接しており、この小肘金４４の上面にはホル
ダ４６によつて磁石４７が固定されている。した
がつて、この磁石４７は小肘金４４の旋回運動に
よつて１旋回で１回だけ前記リードスイツチ４２
に対向し、この対向時にリードスイツチ４２が磁
気力によつてONするように構成されており、こ
のパルスをカウントすることによつて異常流量時
を検出する流量センサ４８を構成している。

また、前記電子部品室９の流出口７側には開口
部１０に対向する取付け部４９が設けられてい
る。そして、この取付け部４９には公知の感震器
５０が取付けねじ５１によつて着脱可能に取付け
られている。さらに、前記流出口７より前方の前
記隔壁８には取付け孔５２がバルブ室５と連通状
態に穿設されている。そして、この取付け孔５２
にはバルブ室８のガス圧を検知する圧力センサ５
３が下側から挿着されている。なお、５４は遮断
装置２１が遮断したとき、これを報知するLED
である。

そして、前記流量センサ４８、感震器５０およ
び圧力センサ５３は信号線（図示しない）によつ
て前記制御回路３９に電気的に接続され、この制
御回路３９は前記遮断装置２１を制御するように
構成されている。

つぎに、前述のように構成された遮断装置付き
ガスメータの作用について説明する。まず、通常
使用状態においては、遮断装置２１の自己保持形
ソレノイド２２のコイル２６は無通電状態である
ため、プランジヤ２３はスプリング２５の復元力
に打ち勝つてマグネツト２８に吸着されている。
したがつて、弁体２４は固定弁座１７から離間し
て開弁状態にあり、ガスは流入口６、流通口１８
ｂ、ガス流通路１９、バルブ室８、計量室４およ
び流出口７の順に流れ、このガスの流量は積算機
構（図示しない）に指示されることになる。

このように通常使用状態において、前記流量セ
ンサ４８、感震器５０および圧力センサ５３のい
ずれかの異常検知器が異常を検知すると、その出
力信号が制御回路３９を介して遮断装置２１に作
動信号が入力される。つまり、自己保持形ソレノ
イド２２のコイル２６に瞬時的に通電して逆磁場
が与えられると、マグネツト２８吸着が解かれ
る。したがつて、スプリング２５の復元力によつ
てプランジヤ２３が突出し、弁体２４は固定弁座
１７に圧接して閉弁する。そして、スプリング２
５の復元力によつて閉弁状態に保持し、流入口６
からガスメータ内に流入しようとするガスは遮断
されることになり、異常時におけるガス漏洩を未
然に防止できる。

また、異常状態が解除され、再びガス器具を使
用する場合には、キヤツプ３５を緩めて取外し、
復帰ボタン３２を手指によつて押込む。そして、
復帰ばね３４の復元力に抗してプツシユロツド３
３を押し込み、その先端に設けた可動弁座１８に
よつて前記弁体２４をスプリング２５の復元力に
抗して押込む。このプツシユロツド３３の押し込
み操作によつてプランジヤ２３がマグネツト２８
に接触すると、マグネツト２８の吸着力によつて
保持され、弁体２４は固定弁座１７から離間した
状態、つまり開弁状態に保持されることになる。
復帰ボタン３２から手指を離すと、プツシユロツ
ド３３は復帰ばね３４の復元力によつて元の状態
に復帰し、この状態で前記キヤツプ３５を筒体３
１に螺着することにより、復帰操作が完了する。

また、前記電子部品室９に設けられた各種電子
部品や異常検知器の保守点検に際しては、その電
子部品室９の背面の蓋体１２を取外し、開口部１
０を開放することによつて行なうことができる。
つまり、取付けねじ１３……を緩めて蓋体１２を
取外すとともに、取付けねじ４０，４０を緩めて
押え板４１を取外す。これによつて、遮断装置２
１、感震器５０は後方へ取外すことができるとと
に、プリント基板３８はガイド部材３７，３７に
沿つて後方へ抜き取ることができる。

なお、上記一実施例においては、固定弁座１７
にシールド材１７ｂを設けて可動弁座１８との間
をシールするようにしたが、固定弁座１７をシー
ル効果のある材料で製作すれば、シール材１７ｂ
は不要である。

〔考案の効果〕

以上説明したように、この考案によれば、復帰
ボタンを押込んだとき前進するプツシユロツドに
囲い壁を有する可動弁座を設け、この囲い壁によ
つて弁体と流通口との間を遮断し、復帰ボタンと
ともにプツシユロツドを後退しない限り流通口が
開放しないように構成したことにある。したがつ
て、悪戯に復帰ボタンを押しつづける操作をして
も流体の流通口は完全に遮断され、安全性を向上
することができるとともに、ガス漏れ、地震発生
時などの異常発生時に流通口を遮断することがで
きるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示すもので、第１
図は遮断弁装置付きガスメータの背面図、第２図
は同じく横断平面図、第３図は自己保持形ソレノ
イドの縦断面図、第４図は従来の遮断弁装置の横
断平面図である。 １７……固定弁座、１８……可動弁座、１８ａ
……囲い壁、１８ｂ……流通口、２２……自己保
持形ソレノイド（保持機構）、２４……弁体、２
５……スプリング、３３……プツシユロツド。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 固定弁座と、この固定弁座に対向して設けられ
   たこの固定弁座に対して接離自在な弁体と、この
   弁体を閉弁方向に付勢するスプリングと、このス
   プリングの復元力に抗して前記弁体を開弁状態に
   保持する保持機構と、前記固定弁座の内側に挿入
   され前記弁体の移動方向に進退自在であるととも
   に弁体の復帰ストロークより長い囲い壁を有し、
   前進時にその先端縁が前記弁体に圧接して内側の
   流体の流通口を閉塞する可動弁座と、この可動弁
   座に連結されこの可動弁座を進退操作するプツシ
   ユロツドとを具備したことを特徴とする遮断弁装
   置。