JPH0226439Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、回転ブラシを備え、前後方向への移
動により前記回転ブラシの回転方向を切換え得る
ようにした電気掃除機の吸込具に関する。

［従来の技術］ 従来の吸込具は第１図に示すようなものであつ
て、吸込口１より吸込まれた空気の力によつてタ
ービン車２が回転し、このタービン車２の回転を
歯車３に伝え、この歯車３の回転をベルト４を介
してブラシ毛５を有する回転ブラシ６に伝えてい
る。

このような吸込具にあつては、タービン車２が
矢印方向に回転するものとすれば、回転ブラシ６
もまた同方向に回転する。

従つて、吸込具を後方に引くときは、塵埃がブ
ラシ毛５によりかき込まれるため、効率良く塵埃
を吸引できるが、吸込具を押すときには、塵埃を
吸引し切れずにじゆうたん等の面に残留させるこ
とがあつた。このため、同一の場所に何回も吸込
具を往復させて塵埃を吸引しなければならないと
いう煩わしさがある。

そこで、このような不都合がない電気掃除機の
吸込具が特開昭56−68418号公報で知られている。
この公報には、吸込具を前方に押すときと後方に
引くときとで、回転ブラシの回転方向をその駆動
用モータの極性切換え等の切換え手段により切換
える技術が示されている。

しかも、前記公報には、切換え手段の駆動源と
して、モータに代えて吸気により回転するタービ
ン車を用いてもよい点、及び駆動源からの伝動手
段を歯車機構とし、その噛合わせをアイドラ歯車
により変えて回転ブラシの回転方向を切換えるよ
うにしても良いという点が示されている。

［考案が解決しようとする課題］ しかし、前記公報には歯車機構の噛合わせをア
イドラ歯車でどのように変えるかという具体的な
構成は勿論のこと、噛合わせに際して歯車の回転
速度を制御するということは記載されていない。
ところで、駆動源ががモータであれタービン車で
あれ、その回転数は、駆動源に回転ブラシが負荷
として繋がつた時には低くなり、回転ブラシが駆
動源から切離されたときには高くなる。

そして、このような回転速度変動は、歯車機構
の噛合わせを変えるたびに生じるものであり、そ
の結果噛合わせの切換えにおいては無負荷状態の
故に異常に回転速度が高まつた駆動源に対して負
荷が接続される。

このように回転速度差が非常に大きい状態で歯
車の噛合わせの切換えがなされるため、噛合いに
伴う歯の衝突で歯車に破損を生じ易いという問題
があるとともに、噛合わせが円滑になされず、結
果として回転ブラシの回転方向の切換えが円滑で
はないという問題がある。

本考案の目的は、回転ブラシの回転方向の切換
えに伴う歯車の破損を防止できるとともに、前記
切換えを円滑化できる電気掃除機の吸込具を得る
ことにある。

［課題を解決するための手段］ 前記目的を達成するために、本考案の吸込具に
おいては、吸込具本体内に歯車機構収納室を区画
形成し、この収納室内に電気掃除機本体の吸気に
より回転するタービン車の回転力を回転ブラシへ
伝達する歯車機構を収納し、 この歯車機構を、 前方に位置する前記回転ブラシの一端部に設け
られた被駆動歯車、後方に位置し上下に離間して
設けられた２個のアイドラ歯車、このアイドラ歯
車と前記被駆動歯車との中間に位置して設けられ
た中間歯車、前記被駆動歯車、中間歯車及び２個
のアイドラ歯車にそれぞれ噛合し掛けわたされた
ベルト、前記中間歯車と前記アイドラ歯車との間
に前記タービンケースとともに前後方向に移動自
在な前記タービン車の軸端部に設けられた駆動歯
車とで構成し、 前記吸込具本体内に区画形成されたタービン室
に、後面に前記電気掃除機本体に連通する回転パ
イプが接続されるとともに前記タービン車を前記
回転パイプの前方に位置して回転自在に軸支した
タービンケースを、所定ストローク前後方向に摺
動可能に収納し、このタービンケースの所定スト
ロークは、前記タービンケースの前方への移動に
よりタービン車の駆動歯車が前記中間歯車に噛合
し前記ベルトに回転力を伝達するストローク前端
位置と、前記タービンケースの後方への移動によ
りタービン車の駆動歯車が直接前記ベルトに噛合
しベルトに前記ストローク前端位置とは逆方向の
回転力を伝達するストローク後端位置との間を移
動するものとし、 前記タービンケースの底壁に前記タービン車の
中心より後方に位置して小孔を設けるとともに、
前記タービン室の底壁に前記タービンケースの前
記ストローク前端位置と前記ストローク後端位置
との間の中間位置で前記タービンケースの小孔に
合致し連通する小孔を形成したことを特徴とす
る。

［作用］ 電気掃除機本体を動作させると、吸込具本体の
底面の吸込口から回転パイプに向かつて吸込まれ
る吸気によりタービン車が回転する。そして、吸
込具本体を前方に押し動かす（前進させる）と、
タービンケースが吸込具本体のタービン室をスト
ローク前端位置まで前方に移動して、吸込具本体
の前進がなされるから、駆動歯車が中間歯車に噛
合う。そのため、ベルトを介して被駆動歯車とと
もに回転ブラシが回転される。また、吸込具本体
を後方に引く（後進させる）と、タービンケース
が吸込具本体のタービン室をストローク後端位置
まで後方に移動して、吸込具本体の後進がなされ
るから、駆動歯車がアイドラ歯車に噛合う。その
ため、ベルトを介して被駆動歯車とともに回転ブ
ラシが前記前進の場合とは逆方向に回転される。
そして、以上のような回転ブラシの回転方向の切
換えにおいて、タービンケースが、そのストロー
ク前端位置からストローク後端位置に至るまでの
間、および、これと逆にストローク後端位置から
ストローク前端位置に至るまでの間は、駆動歯車
は中間歯車およびアイドラ歯車のいずれにも噛合
わず、したがつてタービン車および駆動歯車は無
負荷になり、その回転が高くなる。しかし、前記
ストローク前後両位置の間においては、タービン
ケースの移動により、その底壁の小孔が、タービ
ン室の底壁の小孔と連通する。しかも、この連通
はタービン車の中心から後方位置でなされ、これ
らの小孔を通つて吸込まれた空気は、タービン車
を通ることなく回転パイプに吸込まれる。そのた
め、タービン車を通る空気流が少なくなるので、
タービン車の回転が低く抑制される。このように
して歯車の噛合いの切換えにおいて、一旦タービ
ン車および駆動歯車の回転速度を低くしてから、
噛合いを切換えることができる。

［実施例］ 以下、本考案の一実施例を第２図から第５図を
参照して説明する。

第２図，第３図中１１は吸込具本体であつて、
この本体１１内にはブラシ室Ｒ、タービン室２
７、歯車機構収納室Ｓがそれぞれ区画形成されて
いる。

ブラシ室Ｒは吸込具本体１１の前部に形成され
ており、この室Ｒにはブラシ毛１６を有する回転
ブラシ１７が軸支されている。回転ブラシ１７は
は吸込具本体１１の左右方向に沿つて配設され、
その軸方向一端は歯車機構収納室Ｓ内に配置され
て被駆動歯車１８を設けている。また、ブラシ室
Ｒの下面は吸込具本体１１の底面に開口されて吸
込口３３をなしている。

タービン室２７は吸込具本体１１の後部に形成
されており、これとブラシ室Ｒとは仕切壁２５で
仕切られている。なお、２６はタービン室２７の
下面をなす吸込具本体１１の底壁である。タービ
ン室２７にはタービンケース２４が所定ストロー
ク前後方向に摺動可能に収納されている。この所
定ストロークは、タービンケース２４の前方への
移動により後述する駆動歯車１５が同後述する中
間歯車２２，２３に噛合するストローク前端位置
と、タービンケース２４の後方への移動により後
述する駆動歯車１５が同後述するベルト２１に噛
合うストローク後端位置との間を移動するものと
してある。

タービンケース２４の前面は開放されていると
ともに、このケース２４の後面には回転パイプ２
８が回転可能に接続されている。このパイプ２８
は、吸込具本体１１の後面より突出されていると
ともに、図示しない電気掃除機本体に吸塵ホース
等を介して連通されるようになつている。タービ
ンケース２４と仕切壁２５との間には、比較的弾
力の弱いばね２９が介挿されている。

タービンケース２４には軸受１３が支持されて
いる。この軸受１３にはタービン車１２の軸１４
が貫通して回転自在に支持されている。タービン
車１２は回転パイプ２８の前方に位置してタービ
ンケース２４内に回転自在に収納されている。ま
た、前記仕切壁２５にはタービン室２７とブラシ
室Ｒとを連通する連通孔３４がタービンケース２
４の前面開口に対向して形成されている。したが
つて、吸気は吸込口３３からブラシ室Ｒを通り、
連通孔３４を経てタービン室２７に導かれ、ター
ビン車１２を通過しながらタービンケース２４内
を通つて、回転パイプ２８に吸込まれるようにな
つている。

前記歯車機構収納室Ｓは、前記ブラシ室Ｒおよ
びタービン室２７の側方に位置して形成されてお
り、その後方部には前記タービン車１２の軸１４
の一端部が位置されている。そして、この軸１４
の端部には駆動歯車１５が設けられている。ま
た、歯車機構収納室Ｓの前方部には既述のように
回転ブラシ１７に設けた被駆動歯車１８が設けら
れている。さらに、歯車機構収納室Ｓの駆動歯車
１５側には上下に離間して２個のアイドラ歯車１
９，２０がそれぞれ軸支されているとともに、こ
のアイドラ歯車１９，２０と被駆動歯車１８との
中間に位置して２個の中間歯車２２，２３が上下
に離間してそれぞれ軸支されている。これらアイ
ドラ歯車１９，２０と中間歯車２２，２３とには
前記駆動歯車１５が選択的に噛合わされるように
なつている。そして、駆動歯車１５を除く各歯車
１８〜２０，２２，２３には、内側に噛合歯を有
した無端状のベルト２１が、その歯を各歯車１８
〜２０，２２，２３に噛合し掛けわたされてい
る。なお、前記各歯車１５，１８〜２０，２２，
２３、およびベルト２１により、タービン車１２
の回転力を回転ブラシ１８に伝達する歯車機構が
形成されている。

前記タービンケース２４の底壁３０には第３
図、第４図に示すように小孔３２に形成されてい
る。この小孔３２にタービンケース２４に支持さ
れたタービン車１２の中心より後方に位置し、し
たがつて回転パイプ２８の吸込み端に近い位置に
設けられている。さらに、タービン室２７の底壁
２６にも小孔３１が形成されている。この小孔３
１は、前記タービンケース２４がそのストローク
前端位置とストローク後端位置との間の中間位置
に配置されたときに、前記小孔３１に合致し連通
するものである。

このような構成の吸込具を電気掃除機本体につ
ないで使用すると、吸気は、吸込口３３からブラ
シ室Ｒを経て仕切壁２５の連通孔３４を通つてタ
ービン室２７に流入し、そして、タービンケース
２４内を通つて回転パイプ２８に吸込まれる。し
たがつて、吸気がタービン車１２をその前側から
後側に向けて通り抜けるから、それによりタービ
ン車１２は第２図中矢印に示すように回転され
る。そのため、同時に駆動歯車１５が同方向に回
転される。

ところで、吸込具を後進させる場合には、回転
パイプ２８が後方に引張られるから、吸込具本体
１１は第３図の位置にある。即ち、タービンケー
ス２４はそのストローク後端位置にある。このと
きは、タービンケース２４は後退しており、した
がつてタービン車１２の軸１４に設けられた駆動
歯車１５は、第５図中実線で示すようにベルト２
１の内面の歯に噛合わされている。そして、駆動
歯車１５はタービン車１２と同方向に回転するか
ら、ベルト２１は第５図中矢印Ａ方向に回転し、
同時に各歯車１８〜２０，２２，２３が第５図中
実線矢印方向に回転する。

そのため、回転パイプ１７は吸込具の進行方向
（後進）に向かつて回転し、そのブラシ毛１６に
よりじゆうたん等の塵埃をかき出すから、吸込具
の後進に伴つて効率良く塵埃を吸引できる。

吸込具を前方に押し出す前進時には、回転パイ
プ２８を介してタービンケース２４が、ばね２９
を縮めながらタービン室２７内を前方へ押される
から、このケース２４はストローク前端位置に位
置される。そうすると、駆動歯車１５も前方へ移
動するから、これはベルト２１から離れて第５図
の点線に示すように中間歯車２２，２３と噛合わ
される。したがつて、ベルト２１は第５図中矢印
Ｂ方向に回転し、同時に各歯車１８〜２０，２
２，２３がが第５図中点線矢印方向に回転する。
つまり、吸込具の後進時とは逆の回転方向とな
る。

そのため、回転ブラシ１７は吸込具の進行方向
（前進）に向かつて回転し、そのブラシ毛１６に
よりじゆうたん等の塵埃をかき出すから、吸込具
の前進に伴つて効率良く塵埃を吸引できる。

以上のようにして吸込具の前進および後進に伴
つて歯車機構での歯車の噛合いが切換えられ、そ
れにより回転ブラシ１７が正逆回転するが、以下
の理由により前記歯車の切り替えは、歯車の破損
を伴うことなく円滑に行われる。

つまり、タービンケース２４がそのストローク
前端位置から後端位置に移動するとき、およびこ
の逆にストローク後端位置から前端位置に移動す
るときは、これら両位置の中間位置にタービンケ
ース２４が移動して位置された際に、その底壁３
０の小孔３２が、タービン室２７の底壁２６の小
孔３１と連通する。この状態は第４図中イに示さ
れる。なお、第４図中ロはタービンケース２４が
ストローク後端位置にあるときにおける各小孔３
１，３２の位置関係を示しており、また第４図中
ハはタービンケース２４がストローク前端位置に
あるときにおける各小孔３１，３２の位置関係を
示している。そして、前記小孔３１，３２の連通
により、これらを通つてタービンケース２４内へ
の吸気がなされるが、この吸気は小孔３２の位置
によりタービン車１２の中心から後方位置でなさ
れるから、これらの小孔３１，３２を通つて吸込
まれた空気は、タービン車１２を通ることなく回
転パイプ２８に吸込まれる。

そのため、タービン車１２を通る空気流が少な
くなり、その風速が減少するので、タービン車１
２の回転は低くなる。このようにして歯車の噛合
いの切換えにおいて、無負荷となるタービン車１
２および駆動歯車１５の回転速度を一旦小さくし
て、噛合いを切換えるから、駆動歯車１５のベル
ト２１および中間歯車２２，２３への噛合いが円
滑に行われるとともに、噛合う際の歯の衝撃が小
さくなつて、各歯の破損が防止される。

［考案の効果］ 以上説明した本考案の電気掃除機の吸込具にお
いては、吸込具本体の前進および後進により前後
方向に所定ストローク移動されるタービンケース
の底壁に、このケースに軸支したタービン車の中
心より後方に位置して小孔を設けるとともに、前
記タービンケースを収納したタービン室の底壁に
前記タービンケースの前記ストローク前端位置と
前記ストローク後端位置との間の中間位置で前記
タービンケースの小孔に合致し連通する小孔を形
成した構成により、タービン車が無負荷になつた
ときに前記各小孔の連通により、これらからの空
気の吸込みで、タービン車および駆動歯車の回転
を低下させるので、駆動歯車のベルトおよび中間
歯車への噛合いを円滑化できるとともに、噛合う
際の歯の衝撃が小さくなつて各歯の破損を防止で
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の吸込具を一部切欠して示す斜視
図、第２図は本考案の吸込具を一部切欠して示す
斜視図、第３図は本考案の吸込具の概略的縦断面
図、第４図イ，ロ，ハはタービン室とタービンケ
ースの各底壁に設けられた小孔の位置関係を示す
一部の縦断面図、第５図は各歯車とベルトとの関
係を示す歯車機構の側面図である。 １１……吸込具本体、１２……タービン車、１
４……軸、１５……駆動歯車、１７……回転ブラ
シ、１８……被駆動歯車、１９，２０……アイド
ラ歯車、２１……ベルト、２２，２３……中間歯
車、２４……タービンケース、２５……仕切壁、
２６……底壁、２７……タービン室、２８……回
転パイプ、３０……底壁、３１，３２……小孔、
３３……吸込口、３４……連通孔、Ｒ……ブラシ
室、Ｓ……歯車機構収納室。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 吸込具本体内に、 底面に開口する吸込口を有するとともに回転ブ
   ラシを収納するブラシ室と、 連通孔を有する仕切壁により前記ブラシ室から
   区画され、後面に電気掃除機本体に連通する回転
   パイプが接続されるとともに前記電気掃除機本体
   の吸気によつて回転するタービン車を前記回転パ
   イプの前方に位置して回転自在に軸支したタービ
   ンケースを、所定ストローク前後方向に摺動可能
   に収納したタービン室と、 前記ブラシ室および前記タービン室の側方に位
   置し前記タービン車の回転力を前記回転ブラシへ
   伝達する歯車機構を収納する歯車機構収納室とを
   それぞれ区画形成した電気掃除機の吸込具におい
   て、 前記歯車機構は、 前方に位置する前記回転ブラシの一端部に設け
   られた被駆動歯車、後方に位置し上下に離間して
   設けられた２個のアイドラ歯車、このアイドラ歯
   車と前記被駆動歯車との中間に位置して設けられ
   た中間歯車、前記被駆動歯車、中間歯車及び２個
   のアイドラ歯車にそれぞれ噛合し掛けわたされた
   ベルト、前記中間歯車と前記アイドラ歯車との間
   に前記タービンケースとともに前後方向に移動自
   在な前記タービン車の軸端部に設けられた駆動歯
   車とで構成され、 前記タービンケースの所定ストロークは、 前記タービンケースの前方への移動によりター
   ビン車の駆動歯車が前記中間歯車に噛合し前記ベ
   ルトに回転力を伝達するストローク前端位置と、 前記タービンケースの後方への移動によりター
   ビン車の駆動歯車が直接前記ベルトに噛合しベル
   トに前記ストローク前端位置とは逆方向の回転力
   を伝達するストローク後端位置と の間を移動するものとし、 前記タービンケースの底壁に前記タービン車の
   中心より後方に位置して小孔を設けるとともに、
   前記タービン室の底壁に前記タービンケースの前
   記ストローク前端位置と前記ストローク後端位置
   との間の中間位置で前記タービンケースの小孔に
   合致し連通する小孔を形成した ことを特徴とする電気掃除機の吸込具。