JPH0226060Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は穀物などの試料を一対の電極間に挟持
してその電気抵抗（電流）を測定することによ
り、試料の含水率を測定する装置、いわゆる電気
抵抗式穀物水分計に関し、とくに予め設定された
測定回数に達しなくても、適時にそれまでに測定
した含水率の平均値が演算表示されるようにした
携帯用電気抵抗式穀物水分計に関する。

米、麦などの穀物の電気抵抗は、含有水分値す
なわち含水率により変化するものであつて、それ
と一定の相関関係をもつ。電気抵抗式穀物水分計
はこの相関関係を利用して含水率測定を行なうも
のである。ところで、従来のこの種の水分計で
は、１回毎の測定値を記録して、その数回にわた
つての各測定値の平均を計算により、求めてい
た。このため測定に手間どり、かつ平均値を得る
までに必要とされる手順が煩雑であつたので、こ
れらの欠点を解決する手段が望まれていた。

本考案の電気抵抗式穀物水分計は、平均をとる
べき測定値のデータはその測定の都度、記憶部に
累積され、平均を必要とする時には単に平均スイ
ツチを押しさえすれば、その穀物試料についての
その時までの含水率測定の平均値がただちに表示
されてこれを直続することができる携帯用水分計
を提供し、上述の欠点を解決するものである。

以下図面を参照して本考案を説明する。

第１図は従来のこの種の水分測定器における内
部の回路構成の概略を示すブロツク図であつて、
１は乾電池などによる電源回路、２は測定値及び
測定回数を表示するデイジタル表示器、３は水分
測定用電気回路、４はハンドル６と一体に駆動さ
れて、試料を圧砕し挟持するための上部電極、５
は上記上部電極４と協働し、試料受皿を兼ねる下
部電極である。

穀物試料の水分測定の手順を説明すると、別途
用意された試料皿２５に米、麦などの穀物を少量
採取し、上部及び下部電極４，５間に挿入し、ハ
ンドル６を回転させて上部電極４を駆動すること
により、一定の押圧力を作用せしめて穀物を両電
極間で圧砕し挟持する下部電極５は図示しない板
バネ機構で押し上げられており試料皿に規定の穀
粒を採出し、圧砕挟持された状態で一定圧力とな
るように構成されている。上記両電極間を流れる
電流値から、直線化回路（特許第1031832号に開
示されている）、温度補償回路（同じく特許第
1031832号に開示されている）、Ａ−Ｄ変換回路な
どを含む測定用電気回路３を通して、デイジタル
表示器２に含水率が％表示される。ところが、こ
のような測定に際して、測定試料には水分ムラが
あるので何回かの測定を行つた上で、その平均値
を求めることが、測定の精確を期する上からは望
ましい。このような平均値を求めるようにした従
来の水分計としては、その測定用電気回路３中に
数個のコンデンサを適宜に接続し配設し、これら
の各コンデンサをそれぞれ測定の順序に従つて順
次にその各測定値に応じた電荷が蓄積されるよう
に充電させ、測定スイツチを操作したとき、各コ
ンデンサに蓄積されている充電電荷が一度に放電
されてその放電電流からそれらの試料についての
含水率の平均値が直示されるようにしたもの、あ
るいはより一般的にはいわゆる電卓と電気抵抗式
水分計を組み合わせて、あらかじめ希望の測定回
数をセツトしておき、複数の試料についての測定
がその回数に達したときに、測定スイツチを操作
することにより、それら試料の平均水分値を表示
させるものなどがある。しかし、これらのもので
は、余分な回路や付加的な手段などを要するばか
りでなく、全体的にその構成が複雑で、しかも、
操作も面倒なものであつた。本考案は、その時と
場合に応じた任意の回数の水分測定を行なつたあ
と、単に特定のスイツチ１つを押すだけという簡
単な操作によつて、その間の測定を通して得られ
た含水率の平均値が表示されるようにしたことを
特徴としている。以下に本考案の穀物含水率測定
装置の一実施例の全体構成を示す第２図、同じく
そのブロツク回路図である第３図、同じく動作フ
ローチヤートである第６図を参照しながら、その
具体的な構成ならびに動作ないし作用について説
明する。

Ａ 第３図に示す本考案の一実施例のブロツク回
路図において、穀物選択スイツチ１４〜１９
（例えば第２図の「玄米」スイツチ）を押すと
その穀物特有の標準的な抵抗値−−含水率特性
が指定される。この選択スイツチを備えること
により、水分計を多種類の穀物に適用させるこ
とが可能となる。

Ｂ 穀物少量を試料皿（図示せず）に採取して測
定電極４，５間に挿入してハンドル６により圧
砕し挟持する。

Ｃ 測定スイツチ１２を押すと第６図のフローチ
ヤートに図示したシーケンス動作が開始され、
上記電極間に印加された電圧により試料に流れ
る電流値からその試料の含水率が演算され、表
示部２に数字表示される。（第６図のフローチ
ヤートａ〜ｋ参照）。同時にその穀物試料（本
例の場合は玄米）についての測定が、何回目の
測定であるかを示す回数も表示される。

Ｄ 次の測定を行なうまでに、表示を確認できる
適当な時間（例えば４秒間）その測定された含
水率についての表示が保持された後は、電源の
消耗を防ぐためその表示は一応消灯される。
（同フローチヤートｎ） Ｅ その穀物試料について１回の含水率測定ごと
に測定スイツチ１２を１度押すだけで、それら
の測定値が順次に測定記憶部８に累積され（同
フローチヤートｂ〜ｌ）、 Ｆ 測定を３回行つたときにその間に得た含水率
の平均値を知りたいときは、平均スイツチ１１
を押すと（同フローチヤートｍ又はａ）、回数
３およびその含水率の平均値が同時に表示され
る。（同フローチヤートｔ） Ｇ 平均スイツチ１１を押したあとの測定は、再
び上記第１回目の測定となり、以上と同様の操
作、動作が行われる。（同フローチヤートｘ） Ｈ 測定がいつ終了されても約２分間経過すれば
自動的に電源が切れるので、電源の不所望な消
耗が防止される。（同フローチヤートｒ） Ｉ 穀物選択スイツチ１４〜１９を間違えてセツ
トしていたことに気付いて、正しい選択スイツ
チを選び直したとき、又は測定試料が変つて選
択スイツチを切替えたときは、前の測定データ
は消滅して、再び第１回目の測定が開始され
る。（同フローチヤートｃ，ｄ） Ｊ 測定結果あるいは演算結果が所定の測定範囲
（11.0〜20.0％）を越えているときは、特別の
表示によりオーバーフローであることが報知さ
れる。

Ｋ 電池を用いる携帯用機器に必要な機能とし
て、（ただし、第６図のフローチヤートには図
示を省略）電池が消耗した時は、表示を点滅さ
せて報知する。

Ｌ 希望選択スイツチを押したときに誤つて隣接
スイツチも一緒に押されたまま測定ボタンを押
したとき、又選択スイツチがすべて押されてい
ないとき等は水分表示部には特殊な表示をする
ようにしている。本実施例では全部の数字表示
エレメントが〓字状に点灯する。

次に第４図は本考案の別の実施例の全体構成を
示し、また第５図はそのブロツク回路図を示すも
ので、この実施例によれば、上述のＣで行なつた
測定が何らかの原因のため、許容範囲を越える測
定誤差（例えば試料が少なすぎて異常に低い含水
率の値を示した場合）を含むようなものである場
合には、第４図に示す取消スイツチ１３を操作す
ることにより、最新の測定データ１個を消去する
ことも可能である。このような取消操作をした場
合には、測定回数は当然元の値のままでなければ
ならない。又Ｊ項のオーバ・フロー表示に関連し
て、電極部は板バネで一定圧力となるよう構成さ
れているので、試料皿に規定通りの穀粒が採出さ
れていないとき（粒が少なかつたり、山盛りに採
出されたりすることがしばしば見受けられる。）
は電極部には正規の圧力が加えられないので誤差
の原因となる。特に多めに採出されたときは電極
部を破損する恐れがある。このようなことを防止
するため、本考案の更に別の実施例によれば下部
電極５内に圧力センサーを埋設しておき、規定範
囲外の圧力が加えられたときには水分表示以外の
表示（例えば少量のとき〓〓．〓、多量のとき〓
〓．〓の表示）を行うようにして、適正量の試料
でないことを知らせることも可能である。

以上のように本考案では迅速な測定を達成する
ため、最低回数のスイツチ操作により複数の試料
について適時に目的とする含水率の平均値を得る
ことができる。たとえば３回の測定により平均値
を得るためには、測定スイツチの押下３回と平均
値スイツチの押下１回の合計４回のスイツチ操作
のみでよい。すなわち本考案によれば、測定回数
の入力、平均値計算の煩雑性が解消されて、極め
て簡単な構成ならびに手段により迅速な測定を可
能とする穀物水分計が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の水分測定器のブロツク回路図、
第２図は本考案による穀物含水率測定装置の一実
施例の全体構成を示す外観図、第３図はそのブロ
ツク回路図、第４図と第５図は本考案装置の別の
実施例の全体構成を示す外観図とそのブロツク回
路図、第６図は本考案の装置の上記一実施例にお
ける動作フローチヤートである。 符号の説明、２……デジタル表示器、４……上
部電極、５……下部電極、６……ハンドル（上部
電極４と一体）、８……記憶部、９……演算部、
１１……平均スイツチ、１２……測定スイツチ、
１３……取消スイツチ、１４〜１９……試料選択
スイツチ、２０……装置面、２１〜２３……スイ
ツチ、２５……試料皿。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 一対の電極４，５間で圧砕し挟持された穀物
   試料の電気抵抗を測定することによつてその含
   水率を測定する装置において： 前記電気抵抗を表わすアナログ信号から含水
   率を表わすデイジタル信号に変換する変換装置
   ７と、 前記含水率を表わすデイジタル信号を記憶す
   る記憶装置８と、 前記含水率を表わすデイジタル信号を前記記
   憶装置に記憶することを順次指令するための測
   定スイツチ１２と、 前記試料についての任意回数の測定により前
   記記憶装置に記憶された前記含水率を表わすデ
   イジタル信号から含水率の平均値を計算する演
   算装置９と、 前記演算装置に平均計算の実行を指令するた
   めの平均スイツチ１１と、 前記試料についての任意回数の測定により得
   られた前記含水率及び測定回数あるいはその平
   均値を表示するための表示装置２と、 前記変換装置７、前記記憶装置８、前記演算
   装置９および前記表示装置２を制御するための
   制御装置とを有し、 前記測定スイツチ１２は前記試料について測
   定毎に任意の回数押下され次いで所望の回数の
   測定後に前記平均スイツチ１１が押下されるこ
   とによりその前記任意の測定回数に対する平均
   値が演算されて直続表示され前記測定スイツチ
   １２と前記平均スイツチ１１とのいずれもその
   押下の後数秒間表示が保持された後消灯し更に
   所定の数分後に前記装置の動作が自動的に停止
   されるようにしたことを特徴とする前記測定装
   置。 (2) 実用新案登録請求の範囲第１項記載の穀物含
   水率測定装置において、電源としての電池が消
   耗したとき前記表示装置上の表示を点滅させる
   ことを特徴とする前記測定装置。