JPH0225686Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、乗用車等の車両のフロントピラーの
構造の改良に関する。

（従来の技術） 第１図は車両の前部側面図を示す。図示される
ように、乗用車１のフロントガラス２は車室内よ
り車両前方の視野を確保するためのもので、フロ
ントガラス２の全周面は車両のボデイ部分に固定
支持されており、上辺はルーフ３の前辺に、下辺
は前部ボデイ４の後片に、両側辺はフロントピラ
ー５にそれぞれ支持固定されている。

フロントピラー５は車体のサイドパネル６とル
ーフ３とを接続して車室７を形成するボデイフレ
ームをなすものであり、前述のフロントガラス２
を支持する機能とも併せ所要の強度が必要とされ
ると共に、車室の内観を形成することからデザイ
ンの良好性を確保することが要求される。さら
に、このフロントピラー５は、車体に開閉自在に
取着されたドア８のドアガラス９のサツシ部１０
が接する部分でもある。このため、外観上ならび
に走行時の風切り音を減少させるため、フロント
ピラー５とサツシ部１０との段差を小さくし、ま
た、フロントピラー５とサツシ部１０との間がシ
ールしやすい構造が要求される。

ここで従来のフロントピラー構造の一例を第４
図に示す。本図はフロントピラー周辺の水平断面
図あつて、フロントピラー４５の全体は中空筒体
であり、半体４５ａ，４５ｂをフランジ４５ａ−
１，４５ｂ−１で結合一体化して成る縦方向２分
割体である。半体４５ａ，４５ｂは夫々薄板鋼板
をプレス成形、曲げ成形等することによつて形成
される。車室に対し外側に位置する半体４５ａ
は、フロントガラス４２を支持固定すべく、フロ
ントガラス４２の側片４２ａに沿つてこれに対向
する断面略Ｌ字状部４５ａ−２が形成され、この
断面略Ｌ字状部４５ａ−２の外表面とフロントガ
ラス４２の側辺４２ａとの間にモール４０を介設
することによりフロントガラス４２を支持固定す
るようにしている。また車室の内側に位置する半
体４５ｂの外表面にはライニングが貼設され、フ
ランジ４５ａ−１，４５ｂ−１の結合部はラバー
４３で被覆されている。なお図中４４はドアガラ
ス、４６はドアガラスを案内支持するサツシ部で
あり、サツシ部４６には半体４５ａとの間でドア
閉時においてシール作用を発揮するドアシール４
７が設けられている。更に半体４５ａにはドリツ
プ４８が取り付けられている。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、フロントピラー４５によつて直
接フロントガラス４２を支持する構造をとつてい
るので、フロントガラス４２を支持する断面略Ｌ
字状部４５ａ−２を形成するために、膨出部４５
ａ−３を形成する必要があり、半体４５ａの形状
が複雑となり、このため半体４５ａの成形作業が
面倒となるという不具合を有していた。

また、フロントピラー４５の車室外側の半体４
５ａとサツシ部４６との間に開放された空間がで
きるので、隙間からドアシール４７が見え外観上
好ましくないほか、走行時の風切り音が大きいと
いう問題がある。

本考案はこのようなフロントピラーにおける課
題を解決するためなされたもので、その目的は、
十分な強度を保持したままフロントピラーの構造
を単純にして、フロントピラーを構成する各半体
の成形を容易にするとともに、デザイン的にも良
好で、走行時の風切り音の発生の少ないフロント
ピラー構造を提供することにある。

（課題を解決するための手段） 前記課題を解決するため本考案に係るフロント
ピラー構造は、外側の半体と内側の半体とをフラ
ンジ部で結合して閉塞構造とし、外側の半体に固
着部と突出部と延長部を備えたレールを突出部が
フロントガラスの側辺に沿つて車体の外方へ突出
するよう固着し、レールとフロントガラス側辺と
の間にモールを設けてフロントガラスを支持固定
し、レールの突出部からドアサツシ部側への延出
された延出部とドアサツシ部との間にシール部材
を設けたことを特徴とする。

（作用） フロントガラスはモールを介して外側の半体に
固設されたレールに固定支持され、レールとドア
サツシ部との間はシール部材によりシールされ
る。

（実施例） 以下に、本考案の好適一実施例を添付図面に基
づいて説明する。

第２図は本考案に係るフロントピラーの構造を
示し、第１図中の２−２線断面図である。

第２図において、フロントピラー５は、車室７
に対して外側に位置する半体５ａ（以下外側の半
体と記す）と内側に位置する半体５ｂとに、上下
方向に分割された２体構造で、各半体５ａ，５ｂ
の両側に形成されたフランジ５ａ−１，５ｂ−１
間を溶接等により結合一体化して略筒体を形成し
ている。外側の半体５ａの主たる断面形状は略半
円形であり、フロントガラス２の裏面と対向する
部分には所定幅の平面部５ａ−２が、またその図
中下側には車両ドア８のドアガラス９のサツシ部
１０の裏側に配設されたドアシール１１が当接す
る壁部５ａ−３が夫々形成されている。内側の半
体５ｂの主たる断面形状も略半円形状であり、各
半体５ａ，５ｂの断面形状は夫々成形のしやすい
極めて単純な形状である。

外側の半体５ａの平面部５ａ−２には、断面に
関し略Ｌ字状で平面部５ａ−２との固着部１２ａ
−１とフロントガラス２の側辺２ａに沿つて車体
の外方へ突出する突出部１２ａとを備え、さら
に、突出部１２ａの外側端１２ｂを折り返し且つ
サツシ部１０側へ屈曲して延出した延出部１２ｃ
を備えたレール１２が、固設されている。このレ
ール１２は、突出部１２ｂがフロントガラス２の
側辺２ａに近接するよう配設されて、レール１２
の固着部１２ａ−１と半体５ａの平面部５ａ−２
とは溶接等で固着される。

そして、レール１２とフロントガラス２の側辺
２ａとの間には、ウインド用モール１３が介設さ
れて、このモール１３によつてフロントガラス２
がフロントピラー５に固定支持される。

さらに、レール１２の延出部１２ｃの周囲に
は、ゴム等によつて形成された弾性のシール部材
１４が付設されると共に、サツシ部１０のアウタ
スキン１５の内側部分にも同様な弾性シール部材
１６が付設されている。ドア８の閉時において
は、両方の弾性シール部材１４，１６が弾性当接
して、フロントピラー５とサツシ部１０との隙間
を防ぐ構造としている。

なお、フロントピラー５の車室７側の表面には
前記フランジ５ａ−１，５ｂ−１の結合部を被つ
てライニング１７が設けられている。また、ドア
８のサツシ部１０の内側には凹溝１８ａを形成す
る部材１８と凹溝１８ａ内に係着されたガラスシ
ール１９とによつてドアガラス９を案内するラン
チヤンネルが形成されていと共に、このランチヤ
ンネル上には前述のドアシール１１が設けられて
いる。

以上のフロントピラー構造によれば、フロント
ガラス２の両側辺２ａを支持固定するための部材
をフロントピラー５自体の形状として形成するの
ではなく、レール１２として別設し、かつこれを
フロントピラー５に付加するようにしたため、フ
ロントピラー５自体の形状は第２図に示すように
極めて簡単なものになつた。そのため、フロント
ピラー５を構成する各半体５ａ，５ｂの成形を容
易に行なうことができる。

なお、レール１２については第２図の示した形
状に限られるものではなく、例えば第３図のＡ〜
Ｃに図示されるような形状のレール２２，３２，
６２であつてもよい。要すれば固着部と突出部２
２ａ，３２ａ，６２ａが断面略Ｌ字状で、サツシ
部１０側への延出部２２ｃ，３２ｃ，６２ｃを備
えていればよく、その他の部分は車両のデザイン
に応じて適宜に形状を変更することができる。ま
た、第３図ＢまたはＣに示すようにレール３２，
６２は２つの部材３２ｂと３２ｃ，６２ｂと６２
ｃの結合によつて構成してもよい。

さらに、本考案はこの実施例に限定されるもの
ではない。例えば半体５ａの平面部５ａ−２は、
曲面形状に形成してもよく、この場合、レール１
２の固着部１２ａ−１の断面形状は半体５ａの対
応する部分に応じて湾曲して形成されるものとす
る。

（考案の効果） 以上の説明で明らかなように本考案によれば、
フロントガラスを支持固定するレールをフロント
ピラーを構成する外側の半体に固設する構造とし
たので、従来のフロントピラーで直接フロントガ
ラスを支持固定する構造では複雑な形状とならざ
るを得なかつた各半体の形状を単純なものとする
ことができる。よつて、フロントピラーの成形を
簡単に行なうことができる。

また、レールにドアサツシ部側への延出部を設
け、この延出部とドアサツシ部との間にシール部
材を設けたので、ドアサツシ部より内側に位置し
ているドアシール等を被いかくすとともに、フロ
ントピラーとドアサツシ間の隙間ならびに段差が
小さくなり、外観を良好に保ち、また、走行時の
風切り音を減少させるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の具体的一実施例を示し、第１図
は車両の側面図、第２図は本考案に係るフロント
ピラー構造を示す第１図中２−２線断面図、第３
図Ａ乃至Ｃはレールの変更実施例を示す断面図、
第４図は従来のフロントピラー構造を示す水平断
面図である。 なお、図面中、２はフロントガラス、２ａはフ
ロントガラスの側辺、３はルーフ、５はフロント
ピラー、５ａは外側の半体、５ｂは内側の半径、
５ａ−１，５ｂ−１はフランジ、６はサイドパネ
ル、７は車室、１０はドアサツシ部、１１はドア
シール、１２，２２，３２，６２はレール、１２
ａ，２２ａ，３２ａ，６２ａはレールの突出部、
１２ａ−１はレールの固着部、１２ｃ，２２ｃ，
３２ｃ，６２ｃはレールのドアサツシ部側への延
出部、１３はモール、１４，１６は弾性シール部
材である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体のサイドパネルとルーフを接続して車室を
   形成するとともに、フロントガラスの両側辺を支
   持するフロントピラーにおいて、このフロントピ
   ラーは車室に対して外側の半体と内側の半体とを
   フランジ部で結合した閉塞断面構造とし、外側の
   半体に、フロントピラーへの固着部とフロントガ
   ラスの側辺に沿つて車体の外方へ突出する突出部
   と突出部から後端がドアサツシの前端よりも内方
   かつ後方に位置する延出部を備えたレールを取り
   付け、そのレールの固着部をフロントガラス面と
   平行に固着し、レールの固着部とフロントガラス
   との間を接着し、レールの突出部とフロントガラ
   ス側辺との間にモールを設けてフロントガラスを
   支持固定するとともにレールの延出部とドアサツ
   シ部との間にシール部材を設けたことを特徴とす
   るフロントピラー構造。