JPH0223796Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、刈払機用エンジンのような小型エ
ンジンの下部に装着される燃料タンクを、地面と
の接触による損傷から保護する小型エンジンの燃
料タンク保護装置に関するものである。

（従来技術） この種の小型エンジンの燃料タンクは、その底
部が地面に直接接触すると、摩耗によりこの底部
に穴があくなどの損傷を受けるので、これを避け
るために、従来から種々の対策がとられている。

たとえば、実開昭53−20341号公報の第４図に
も示されているように、エンジン本体にエンジン
スタンドを取り付けて、燃料タンクが地面に接触
しないようにするものが一般的であるが、これに
よると、別途エンジンスタンドを設ける分だけ重
量が増し、コストアツプを招くうえに、エンジン
スタンドが枝木に引掛つて刈払いの作業性を悪く
する欠点がある。

また、燃料タンクの底部に突起を一体形成し、
この突起を地面に接触させることも考えられる。
しかしながら、この種の燃料タンクは、一般に合
成樹脂をブロー成形することにより製造されるの
であり、このような成形方法では、燃料タンクの
各部の肉厚に大きな差をつけられないから、上記
突起のみに十分な肉厚を付与することができない
ので、上記突起が地面との接触により摩耗して穴
があくのは避けられない。さらに、燃料タンクの
底部に耐摩耗性に優れた異種材をインサートする
ことも考えられるが、このようなインサート成形
は製造能率が悪く、コストアツプを招く。

（考案の目的） この考案は、上記従来の欠点を解消するために
なされたもので、燃料タンクが地面との接触によ
つて損傷を受けるのを有効に防止し、しかも、構
造が簡単で安価であり、大きな重量増大を招くこ
とがなく、刈払いの作業性を劣化させない小型エ
ンジンの燃料タンク保護装置を提供することを目
的とする。

（考案の構成） 上記目的を達成するために、この考案は、エン
ジンの下部に装着される燃料タンクの底部に足を
一体的に突設し、この足に地面と接触する足カバ
ーを取り付け、上記足カバーは、燃料タンクより
も耐摩耗性に優れた板材から曲折形成されて、上
方に開口し、かつ長手方向と直交する横断面が下
方へ向かつて拡大する台形をなし、上記足は、長
手方向と直交する横断面が下方へ向かつて拡大す
る台形をなして上記足カバーが係止される係止部
と、この係止部の両側に突出形成されて上記足カ
バーの両側端部に当接し、足カバーが長手方向へ
脱落するのを阻止するストツパ部とを有する構成
として、燃料タンクが上記足カバーを介して地面
と接触するようにしている。

（実施例） 以下、この考案の実施例を図面にもとづいて説
明する。

第１図は、刈払機用のエンジンの正面図であ
り、同図において、エンジン１１は、エアクリー
ナ１２、気化器１３、マフラ１４、冷却フアンケ
ース１５、リコイルスタータ１６などを有してお
り、このエンジン１１のクランクケース（図示せ
ず）の下部に、燃料タンク１７が装着されてい
る。燃料タンク１７の装着は、エンジン１１の背
面側から、すなわち、図の裏面側からクランクケ
ースにねじ込まれるビス１８によつてなされてい
る。

上記燃料タンク１７は、合成樹脂からブロー成
形されたもので、その底部１７ａには、足２１が
一体的に突設形成されており、この足２１に地面
２２と接触する別体の足カバー２３が取り付けら
れている。

上記足カバー２３は、燃料タンク１７よりも耐
摩耗性に優れた板材、たとえば鋼板から曲折形成
されたもので、第２図に示すように、上方２４に
開口し、かつ長手方向２５と直交する横断面が、
第３図に示すように、下方２６へ向かつて拡大す
る台形をなしている。開口部２３ａは外方へカー
ルされており、これによつて、足カバー２３を足
２１へ係止する作業が容易になるとともに、足カ
バー２３自体のプレス成形後のスプリングバツク
が抑制される。

一方、第２図の足２１は、上記足カバー２３が
係止される係止部２７と、この係止部２７の両側
で前後（図面の表裏方向）に突出形成されて上記
足カバー２３の両側端部２３ａに当接し、足カバ
ー２３が長手方向２５へ脱落するのを阻止するス
トツパ部２８とを有している。上記係止部２７
は、やはり長手方向２５と直交する横断面が、第
３図に示すように、下方２６へ向かつて拡大する
台形をなしており、これによつて、上記足カバー
２３がその板材の弾性により係止部２７に係止さ
れ、この係止部２７から下方２６に脱落するのが
防止される。

上記構成において、第１図に示したように、燃
料タンク１７は耐摩耗性に優れた足カバー２３を
介して地面２２と接触するから、燃料タンク１７
が地面２２との接触によつて損傷を受けるのが有
効に防止される。

また、上記足カバー２３は、第２図に示したよ
うに、上方２４に開口し、かつ長手方向２５と直
交する横断面が下方２６へ向かつて拡大する台形
をなす単純な形状であるから、プレス成形により
板材から容易に曲折形成される。

さらに、燃料タンク１７の足２１も、横断面が
下方２６へ向かつて拡大する台形をなす係止部２
７と、この係止部２７の両側に突出形成されて上
記足カバー２３の両側端部２３ｂに当接するスト
ツパ部２８とを有するだけの単純な形状であるか
ら、第３図に示すように、分割ライン３１で前後
に２分割した成形型３２により、燃料タンク１７
のブロー成形と同時に足２１を成形できるので、
製造が極めて容易である。

しかも、上記足２１は燃料タンク１７の底部１
７ａから僅かに突出させるだけでよいから、この
足２１および足２１に取り付けられた足カバー２
３が、枝木に引掛つて刈払いの作業性を悪くする
おそれもない。

なお、上記足２１の肉厚ｔは、従来技術の説明
の欄でも述べたように、ブロー成形の特質から、
燃料タンク１７の壁面１７ｂの肉厚より若干大き
い程度であり、十分大きくできないので、足２１
を直接地面２２に接触させると、摩耗して穴があ
くのは避けられない。そこで、足カバー２３を設
けて、上記足２１の摩耗を防止しているのであ
る。

また、この考案は、上記実施例のような刈払機
用のエンジンだけではなく、他の用途のエンジン
にも適用できることはいうまでもない。

（考案の効果） 以上説明したように、この考案によれば、燃料
タンクが上記足カバーを介して地面と接触するか
ら、燃料タンクが地面との接触によつて損傷を受
けるのが有効に防止される。しかも、構造が簡単
で安価であり、また、別途エンジンスタンドを設
ける場合のような大きな重量増大を招くことがな
く、刈払いの作業性を劣化させるおそれもない。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す正面図、第
２図は第１図の部の詳細を示す拡大した正面
図、第３図は第２図の−線に沿う断面図であ
る。 １１……エンジン、１７……燃料タンク、２１
……足、２２……地面、２３……足カバー、２３
ｂ……両側端部、２４……上方、２５……長手方
向、２６……下方、２７……係止部、２８……ス
トツパ部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンの下部に装着される燃料タンクの底部
   に足を一体的に突設し、この足に地面と接触する
   足カバーを取り付け、上記足カバーは、燃料タン
   クよりも耐摩耗性に優れた板材から曲折形成され
   て、上方に開口し、かつ長手方向と直交する横断
   面が下方へ向かつて拡大する台形をなし、上記足
   は、長手方向と直交する横断面が下方へ向かつて
   拡大する台形をなして上記足カバーが係止される
   係止部と、この係止部の両側に突出形成されて上
   記足カバーの両側端部に当接し、足カバーが長手
   方向へ脱落するのを阻止するストツパ部とを有し
   てなる小型エンジンの燃料タンク保護装置。