JPH0223581Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この考案は、保冷容器に関し、より詳しくは、
各種生鮮食品等を収納して、保冷状態を維持した
まま、輸送保管する保冷容器に関する。

〈従来の技術と考案が解決しようとする問題点〉 従来、輸送保管中の生鮮食品等の保冷を図る保
冷容器として、合成樹脂発泡体からなる容器本体
と、合成樹脂発泡体製の蓋体と、合成樹脂製の中
空成形体の内部に蓄冷剤を封入した蓄冷材とから
なり、前記容器本体内部に形成された段部に前記
蓄冷材を載置し、前記段部の下方に被保冷物を収
納したものが知られている（実開昭58−177378号
公報）。

しかしながら、上記の保冷容器によれば、蓄冷
材は支持面積の小さい段部により単に支持されて
いるにすぎないので、載置された蓄冷材の安定性
が悪く、輸送中の振動等により蓄冷材が上下動
し、がたつくという不都合があつた。また、蓄冷
材は、容器本体の内側両側部に亘り架設状態で載
置する必要があるので、容器本体に適合した大き
さの蓄冷材を用いなければならず、保冷容器に対
する蓄冷材の占有容積が大きくなり、その分、被
保冷物の収納効率が低下する。さらには、蓄冷材
と蓋体とが別体であるので、被保冷物を収納した
り、あるいは取出す際に、蓄冷材を容器本体の段
部に載置した後、蓋体で被蓋したり、これとは逆
の作業を行なわなければならず、被保冷物の収
納、取り出し作業が非常に煩雑であるという問題
があつた。

〈考案の目的〉 この考案は上記問題点に鑑みてなされたもので
あり、輸送中にあつても蓄冷材を安定に保持する
と共に、蓄冷材の占有容積が小さく、被保冷物の
収納効率を高めることができ、しかも被保冷物の
収納、取出し作業を簡便に行なえる保冷容器を提
供することを目的とする。

〈問題点を解決するための手段〉 この考案は、合成樹脂発泡体製の容器本体と、
この容器本体を被蓋する合成樹脂発泡体製の蓋体
と、前記容器本体内の被保冷物を冷却する少なく
とも一対の蓄冷材とを有する保冷容器であつて、
前記一対の蓄冷材が、互いに逆方向への移動操作
にて係止できるスライド係止機構により蓋体に対
して着脱自在に装着されていると共に、連結手段
にて互いに連結されて上記逆方向への移動状態に
維持されている保冷容器により、上記従来の問題
点を解決するものである。

〈作用〉 上記の構成からなるこの考案の保冷容器によれ
ば、一対の蓄冷材を、互いに逆方向へ移動させる
ことにより、スライド係止機構により蓋体に装着
することができる。しかも一対の蓄冷材を連結手
段にて互いに連結して、上記逆方向への移動状態
に維持することにより、上記蓄冷材が、掛止機構
から脱落するのを阻止することができる。また、
蓄冷材同士の連結を解除して、互いに引寄せ、あ
るいは離反させることにより、蓄冷材を蓋体から
取外すことができる。従つて、従来のように、容
器本体内の両側部に亘り架設できるような大きな
蓄冷材を用いる必要がなく、小さな蓄冷材を組合
せて蓋体に装着できるので、蓄冷材の容器本体に
対する占有容積を小さくできると共に、被保冷物
の大きさ、形状および収納量に応じて、蓄冷材の
占有容積を調整することができる。さらには、蓄
冷材は、蓋体に対して着脱自在であるため、蓄冷
材をワンタツチ式に交換することができるだけで
なく、被保冷物の収納作業および取出し作業にお
いて、蓄冷材を蓋体に装着した状態で一体に取扱
える。

〈実施例〉 以下に、実施例を示す添付図面によつて詳細に
説明する。

第１図〜第３図は、それぞれこの考案の一実施
例を示す概略断面斜視図、スライド係止機構を示
す平面図、分解断面図であり、保冷容器１は、各
種の被保冷物を収納する合成樹脂発泡体製の容器
本体２と、この容器本体２の開口部を被蓋する合
成樹脂発泡体製の蓋体３と、前記被保冷物を冷却
する少なくとも一対の蓄冷材４とを有しており、
前記蓄冷材４は、合成樹脂製の中空成形体５内に
蓄冷剤が封入されて形成されている。

そして、上記一対の蓄冷材４は、蓋体３に対し
て、互いに逆方向の移動操作にて係止するスライ
ド係止機構により着脱自在に装着されている。す
なわち、上記蓋体３の裏面には、入口部が円形状
であつて、蓋体３の内部で横方向に幅狭状に延び
るスライド孔６が相対向した状態で、各蓄冷材４
毎に形成され、上記蓄冷材４の中空成形体５に
は、スライド孔６の前記入口部に適合し、かつ前
記スライド孔６の幅狭部にスライドして係止する
膨径の先端部を有する係止凸部７が形成されてい
る。

また、前記蓄冷材４には、他の蓄冷材４と連結
して係止状態を維持する連結手段８が形成されて
いる。すなわち、この連結手段８は、一方の蓄冷
材４の端部に取着されかつ嵌合凹部を有する連結
片８ａと、他方の蓄冷材４のうち前記一方の蓄冷
材４の端部に対応する端部に取着されかつ上記嵌
合凹部と嵌合する嵌合凸部を有する止め具８ｂと
でホツク式に構成されており、一対の蓄冷材４，
４を、引寄せた状態で前記スライド孔６に係止状
態に装着維持している。

上記の構造を有する保冷容器１によれば、前記
中空成形体５の係止凸部７を蓋体３のスライド孔
６に挿入すると共にスライド孔６の幅狭部にスラ
イドさせることにより、蓋体３に対して蓄冷材４
を係止させ得るとともに、前記蓄冷材４に設けら
れた連結手段８で、蓄冷材４同士を引寄せた状態
で連結することにより、蓄冷材４を、係止状態に
維持し、蓄冷材４の抜脱を確実に防止できる。従
つて、容器本体２に蓋体３と蓄冷材４とを各別に
取付けることなく、前記容器本体２に被保冷物を
収納し、上記一体となつた蓋体３と蓄冷材４とで
簡便に被蓋することができる。また、装着状態で
は、輸送時に振動等が加わつても、蓄冷材４を安
定に保持できる。また、蓄冷材４として小さなも
のを使用できるので、蓄冷材４の占有容積を小さ
くすることができる。また、一対の小さな蓄冷材
４を蓋体３に装着しているので、蓄冷材４の表面
積が大きくなり、被保冷物に対する冷却効果を高
めることができる。さらには、蓄冷材４が蓋体３
に対して着脱自在であるため、冷却効果がなくな
つた蓄冷材４を交換することも容易である。

なお、上記蓋体３と蓄冷材４との装着は上記の
スライド係止機構に限定されるものではなく、例
えば、上記蓋体３に垂下部を形成するとともに、
この垂下部にスライド孔６または蟻溝等のスライ
ド溝を形成し、このスライド孔６、スライド溝に
スライド係止する係止凸部７を前記蓄冷材４の中
空成形体５に形成してもよい。

また、蓋体３の適所にて複数のスライド孔６を
増設して、複数対の蓄冷材４を連結できるように
してもよい。この場合、保冷物の形状、大きさ、
および収納量に応じて、蓄冷材４を一対毎に、連
結したり、取外したりすることができるので、蓄
冷材４の占有容積を調整でき、被保冷物の収納効
率を高めることができる。

また、上記スライド孔６および係止凸部７は、
蓄冷材４毎に少なくとも一つ形成されていればよ
い。

また、スライド孔６は、上記とは逆に、蓄冷材
４を離反させる方向の移動操作にて係止するよう
に形成されていてもよい。

さらには、上記とは逆に、上記スライド孔６、
スライド溝が蓄冷材４の中空成形体５に形成さ
れ、係止凸部７が蓋体３に形成されていても上記
と同様の機能を果すことができる。

また、前記連結手段８は、複数の蓄冷材４を係
止状態を維持しつつ相互に連結できるものであれ
ばよく、例えば、蓄冷材４の端面に突出形成され
た鈎部、嵌合凸部等と、他の蓄冷材４の端面に突
出形成されたリング部、嵌合凹部等とで構成した
り、面フアスナーや、互いに吸着する磁石等で構
成されていてもよい。

なお、上記容器本体２および蓋体３の素材とし
ては、エチレン、プロピレン等のオレフイン系モ
ノマーの単独または共重合体、上記オレフイン系
モノマーと、アクリル酸、メタクリル酸、無水マ
レイン酸等の共重合性モノマーとの共重合体等、
オレフイン系ポリマー；スチレン、α−メチルス
チレン等のスチレン系モノマーの単独または共重
合体、これらスチレン系モノマーと、ブタジエ
ン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステ
ル、無水マレイン酸等、共重合可能なモノマーと
の共重合体等、スチレン系ポリマー；ポリ塩化ビ
ニル等が例示できる。

上記の容器本体２および蓋体３は、上記素材と
通常使用される発泡剤等とを用いて、射出成形
等、適宜の成形手段により、種々の大きさ、形状
に成形することができる。なお、上記蓄冷材４の
係合凸部７は、上記の成形手段の他、インサート
成形により形成することができる。

また、上記蓄冷材４の中空成形体５の素材とし
ては、非発泡の上記オレフイン系ポリマー等が例
示できる。また上記中空成形体５内に封入される
蓄冷剤としては、通常のものが使用できる。

また、上記容器本体２、蓋体３は、断熱保温性
を有するものであればよく、全て発泡体で形成さ
れている必要はない。例えば、容器本体２、蓋体
３の内面または外面がポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等
の各種フイルム、シートで被覆されていてもよ
い。

〈考案の効果〉 以上のように、この考案の保冷容器によれば、
少なくとも一対の蓄冷材を、互いに逆方向へ移動
させることにより、スライド係止機構により蓋体
に装着することができ、しかも一対の蓄冷材を連
結手段にて互いに連結して、上記逆方向への移動
状態に維持することにより、上記蓄冷材が、掛止
機構から脱落するのを阻止するよう強固に連結で
きる。従つて、複数の蓄冷材を、装着状態で蓋体
と一体となし安定に保持できる。また、蓄冷材同
士の連結を解除して、互いに引寄せ、あるいは離
反させることにより、蓄冷材を蓋体から取外すこ
とができるので、蓋体と蓄冷材とをワンタツチ式
に交換することができる。従つて、蓄冷材を蓋体
に装着した状態で一体に取扱うことができ、被保
冷物の収納作業および取出し作業を効率的に行な
うことができるというこの考案特有の実用的効果
を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す要部の概略
断面斜視図、第２図はスライド係止機構を示す平
面図、第３図はこの考案の一実施例を示す要部の
分解断面図である。 １……保冷容器、２……容器本体、３……蓋
体、４……蓄冷材、５……中空成形体、６……ス
ライド孔、７……係止凸部、８……連結手段。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 合成樹脂発泡体製の容器本体と、この容器本
   体を被蓋する合成樹脂発泡体製の蓋体と、前記
   容器本体内の被保冷物を冷却する少なくとも一
   対の蓄冷材とを有する保冷容器であつて、前記
   一対の蓄冷材が、互いに逆方向への移動操作に
   て係止できるスライド係止機構により蓋体に対
   して着脱自在に装着されていると共に、連結手
   段にて互いに連結されて上記逆方向への移動状
   態に維持されていることを特徴とする保冷容
   器。 ２ 蓋体が、係止凸部を有するものであり、蓄冷
   材が、上記係合凸部とスライド係止するスライ
   ド孔またはスライド溝を有するものである上記
   実用新案登録請求の範囲第１項記載の保冷容
   器。