JPH0222715Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この考案は、燃料集合体を下方へ押圧するため
の弾性部材を備えた原子炉燃料集合体の上部ノズ
ルに関するものである。

「従来の技術」 一般に、第１１図に示されるように、原子炉に
装荷される燃料集合体１０は、上下両端に配設さ
れた上部ノズル１１および下部ノズル１２とこの
両ノズル間に設けられた制御棒案内管１３とこの
制御棒案内管１３に固定された支持格子１４とか
らなる構造体に多数の燃料棒１５を束ねて支持し
てなるものである。

ところで、原子炉容器内には、核分裂によつて
放出されるエネルギーを移送させるための冷却水
が満たされている。

この冷却水は前記燃料集合体１０の下方から上
方に向かつて相当な流速で流動しているため、前
記燃料集合体１０は、下方から持ち上げられるよ
うな力を受けることになる。

それ故、前記燃料集合体を安定に保持するため
には、前記燃料集合体を下方に押圧する必要があ
る。

そこで、前記燃料集合体１０の上部ノズル１１
は、その本体の上面にノズルスプリングを有して
おり、前記図示しない原子炉の上部炉心板を押圧
することによつて、燃料集合体１０を下部炉心板
に押圧して支持するようにしている。

第１２図ないし第１４図はこの上部ノズル１１
の構成を示す図であり、第１２図はその一部破断
斜視図、第１３図及び第１４図はそれぞれ第１２
図におけるＡ−Ａ線及びＢ−Ｂ線断面図である。

図において、平面視略正方形状をなす正四角柱
状の上部ノズル本体２０はその上面周辺部２１を
残してその中央部に凹部２２が設けられており、
この周辺部２１の辺部２１ａには、主ノズルスプ
リング２３及び副ノズルスプリング２３ａが設け
られている。

即ち、これらノズルスプリング２３及び２３ａ
は上下に重ねられて前記辺部２１ａの角部にクラ
ンプ部材２４を介してネジ２５によつてその基部
が固定されているものである。

「考案が解決しようとする問題点」 ところが、上記のような従来の上部ノズル１１
にあつては、ノズルスプリング２３及び２３ａを
上部ノズル本体２０に固定するのに該上部ノズル
本体と別個の部材であるクランプ部材２４を介し
てネジ２５によつて固定しているため、ノズルス
プリング２３及び２３ａの反力による引張力がこ
のネジ２５に作用して応力腐食割れを発生させた
り、あるいは他の何等かの原因により切損したり
した場合、前記ノズルスプリング２３及び２３ａ
の固定が直ちに解除されたり、または、前記クラ
ンプ部材２４等が外れたりするという恐れも否定
できないものであつた。

この考案の目的は、このような欠点を除去した
上部ノズルを提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は、上部ノズル本体上面周辺部に、燃
料集合体を下方に向つて押圧する板状の弾性部材
を設けた原子炉燃料集合体の上部ノズルにおい
て、 前記上部ノズル本体上面周辺部にその一部を上
方に突出した突出部が形成され、 この突出部に、上下方向に間隙を有しその間で
前記弾性部材の一端部を挾持する係合溝が形成さ
れ、 この係合溝に一端部が挾持された前記弾性部材
の他端部に、係合突起部が形成され、 前記上部ノズル本体上面周辺部に係合孔を設
け、前記弾性部材の他端側を下方に一定量たわま
せた状態で前記係合孔に挿入し、前記係合突起部
の上方への移動を禁止するとともに、該係合突起
部の下方への移動を許容する係合金具を前記係合
孔に装着した構成を有し、この構成により、応力
腐食割れ等を起こしやすいネジ部材等を用いる必
要性を排除し、その結果前記弾性部材の前記上部
ノズル本体への固定を容易かつ確実にしたもので
ある。

「実施例」 第１図は、本考案の実施例に係る原子炉燃料集
合体の上部ノズルを示す一部破断斜視図である。

図において、平面視略正方形状をなす正四角柱
状の上部ノズル本体３０の正方形状をなす上面に
はその周辺部３１を残してその中央部に凹部３２
が設けられ、この周辺部３１の辺部３１ａに以下
詳述するように主ノズルスプリング３３及び副ノ
ズルスプリング３３ａが固定されている。

即ち、この周辺部３１の辺部３１ａの相対向す
る２つの角部は上方に突出されて突出部３４が形
成されており、第２図乃至第４図にそれぞれその
拡大斜視図、平面図及び側面図が示されているよ
うに、該突出部３４は前記２つの辺部３１ａに沿
つて一定距離だけ延長された２つの延長部３４ａ
を有し、この延長部３４ａの下面と前記辺部３１
ａの上面との間隙で形成される２つの係合溝３４
ｂが設けられている。

また、前記それぞれの係合溝３４ｂの一方の側
面、即ち、図中紙面手前側は開口されているが、
その他方の側面、即ち、図中紙面後方側には壁部
３４ｃが残されており、前記突出部３４の強度維
持が図られているとともに、これら溝３４ｂの先
端上部及び側部にはそれぞれ突条３４ｄ及び３４
ｅが設けられている。

そして、前記係合溝３４ｂに、上下に重ねられ
た前記主ノズルスプリング３３及び副ノズルスプ
リング３３ａの基部が挿入され、次ぎに第５図の
矢印ｐで示されるように、これらノズルスプリン
グ３３および３３ａの頭部３３ｂが押圧されて一
定量圧縮され、然る後、前記主ノズルスプリング
３３の先端部に第６図（第５図における部拡大
側面図）に示されるように設けられた係合突起部
３３ｃが前記辺部３１ａに係合金具３１ｂによつ
て係合される。

即ち、前記係合金具３１ｂは突起部３１ｃを有
する円筒状体であり、前記主ノズルスプリング３
３の頭部３３ｂを押圧して前記辺部３１ａに設け
られた係合孔３１ｄに前記主ノズルスプリング３
３の先端突起部３３ｃを挿入した状態で該係合孔
３１ｄに図中矢印ｇで示されるように装着するこ
とにより前記主ノズルスプリング３３の先端突起
部３３ｃを辺部３１ａに係合するものである。

この場合、前記主ノズルスプリング３３及び副
ノズルスプリング３３ａの基部は、第５図に示さ
れるように湾曲しているとともに、第７図に前記
第５図における部拡大平面図が示されているよ
うに前記溝３４ｂに挿入された状態で前記突条３
４ｅが近接する部位の両側部に切り溝３３ｄが設
けられており、これら主・副ノズルスプリング３
３，３３ａの基部が前記溝３４ｂに挿入されると
同時に前記突条３４ｅが該切り溝３３ｄに嵌入さ
れ、さらに、前記溝３４ｂの開口部には前記切り
溝３３ｄに嵌入する突条３１ｆを有する蓋体３１
ｇが図中矢印ｒで示されるように、該突条３１ｆ
を切り溝３３ｄに嵌入されて取り付けられる。

これにより、前記主・副ノズルスプリング３
３，３３ａの基部の湾曲部には前記一定量の圧縮
に対する反作用により強い力が働き、前記溝３４
ｂに強力に係合し、該溝３４ｂにしつかりと固定
されるものである。

尚、第８図は前記蓋体３１ｇを前記溝３４ｂに
取り付けた状態を示す図であり、取り付け後は図
示の３１ｈのように数箇所の部位が溶接されて堅
固に固定される。

また、第９図は前記係合金具３１ｂが係合され
た状態を示す図である。

上述の実施例にあつては以下の利点がある。

即ち、前記上部ノズル本体３０における上面周
辺部３１の角部を上方に突出させて突出部３４を
形成し、この突出部３４に前記主ノズルスプリン
グ３３及び副ノズルスプリング３３ａを係合する
係合溝３４ｂを設け、この係合溝３４ｂに前記各
ノズルスプリングの一部を係合させて該前記上部
ノズル本体に支持するようにしたことにより、極
めて確実な支持を可能としており、前記従来のよ
うに上部ノズル本体と別部材をなすクランプ部材
によつて支持した場合のように応力腐食割れを起
こしたりするような不都合がない。

また、前記各ノズルスプリング３３及び３３ａ
を取り付ける場合、これらノズルスプリングの基
部を前記係合溝３４ｂに挿入後、前記各ノズルス
プリングの頭部を押圧して該ノズルスプリングを
一定量圧縮し、この状態を係合金具３１ｂを用い
ることにより維持しており、これにより前記各ノ
ズルスプリングの基部の湾曲部が前記係合溝３４
ｂに強力に押し付けられるから固定が強固なもの
となる。

さらに、前記各ノズルスプリングの取り付けは
単にこれらノズルスプリングを係合溝３４ｂに挿
入後頭部を押圧して係合金具３１ｂを装着するだ
けであるから、取り付け作業が極めて容易であ
る。

尚、上記実施例にあつては、前記主・副ノズル
スプリング３３，３３ａの基部を湾曲状に形成し
た例について述べたが、本考案はこれに限られる
ことはなく、例えば第１０図に示されるように前
記各ノズルスプリングの基部をストレート状に形
成し、該部位にピン挿通孔を設け、さらに、前記
係合溝３４ｂの上下の寸法を前記各ノズルスプリ
ングの厚さに対するハメアイ公差に押さえて形成
しておき、これにより、前記各ノズルスプリング
を前記係合溝３４ｂに挿入し、前記突出部３４に
設けられたピン孔３４ｆからピン３４ｇを差し込
み、然る後前記実施例と同様に前記各ノズルスプ
リングを一定量圧縮して係合金具３１ｂによつて
止める。

尚、この場合、前記ピン３４ｇの頭部には抜け
止めピン３４ｈが掛け渡され、前記突出部３４に
溶接される。

また、前記実施例では、弾性部材として、主ノ
ズルスプリング３３と副ノズルスプリング３３ａ
の２枚の板バネを用いた例をあげたが、本考案は
これに限られることはなく、１枚もしくは３枚以
上の板バネを用いた場合も含まれることは勿論で
ある。

「考案の効果」 以上詳述したように、この考案は、上部ノズル
本体上面周辺部に、燃料集合体を下方に向かつて
押圧する板状の弾性部材を設けた原子炉燃料集合
体の上部ノズルにおいて、 前記上部ノズル本体上面周辺部にその一部を上
方に突出した突出部が形成され、 この突出部に、上下方向に間隙を有しその間で
前記弾性部材の一端部を挾持する係合溝が形成さ
れ、 この係合溝に一端部が挾持された前記弾性部材
の他端部に、係合突起部が形成され、 前記上部ノズル本体上面周辺部に係合孔を設
け、前記弾性部材の他端側を下方に一定量たわま
せた状態で前記係合孔に挿入し、前記係合突起部
の上方への移動を禁止するとともに、該係合突起
部の下方への移動を許容する係合金具を前記係合
孔に装着した構成を有し、この構成により、応力
腐食割れ等を起こしやすいネジ部材等を用いる必
要性を排除し、その結果前記弾性部材の前記上部
ノズル本体への固定を容易かつ確実にするという
効果を得たものである。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第１０図はこの考案の一実施例を
示す図であつて、第１図はその一部破断斜視図、
第２図は第１図における一部拡大図、第３図ない
し第４図はそれぞれ第２図で示される部分の側面
図及び平面図、第５図はノズルスプリング３３及
び３３ａを上部ノズルに固定するためにこれら各
ノズルスプリングを係合溝３４ｂに挿入した状態
を示す図、第６図は第５図における部拡大側面
図、第７図は第５図における部拡大平面図、第
８図は前記蓋体３１ｇを前記溝３４ｂに取り付け
た状態を示す図、第９図は前記係合金具３１ｂが
係合された状態を示す図、第１０図は他の実施例
を示す図、第１１図は燃料集合体を示す一部切欠
正面図、第１２図ないし第１４図は従来の上部ノ
ズルを示す図であつて、第１２図はその一部破断
斜視図、第１３図は第１２図におけるＡ−Ａ線断
面図、第１４図は第１２図におけるＢ−Ｂ線断面
図である。 ３０……上部ノズル本体、３１……上部ノズル
上面周辺部、３１ｂ……係合金具、３１ｄ……係
合孔、３３，３３ａ……弾性部材を構成する主ノ
ズルスプリング及び副ノズルスプリング、３４…
…突出部、３４ｂ……係合溝。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 上部ノズル本体上面周辺部に、燃料集合体を下
   方に向かつて押圧する板状の弾性部材を設けた原
   子炉燃料集合体の上部ノズルにおいて、 前記上部ノズル本体上面周辺部にその一部を上
   方に突出した突出部が形成され、 この突出部に、上下方向に間隙を有しその間で
   前記弾性部材の一端部を挾持する係合溝が形成さ
   れ、 この係合溝に一端部が挾持された前記弾性部材
   の他端部に、係合突起部が形成され、 前記上部ノズル本体上面周辺部に係合孔を設
   け、前記弾性部材の他端側を下方に一定量たわま
   せた状態で前記係合孔に挿入し、前記係合突起部
   の上方への移動を禁止するとともに、該係合突起
   部の下方への移動を許容する係合金具を前記係合
   孔に装着したことを特徴とする原子炉燃料集合体
   の上部ノズル。