JPH022227Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は魚釣用スピニングリールのドラツグ
機構に関し、詳しくはハンドルの左右転換が可能
なスピニングリールのドラツグ機構に関する。

この種魚釣用スピニングリールのドラツグ機構
としてはスプールドラツグが一般的であるが、釣
糸に撚りがかかるなどの欠点があるため、釣糸を
巻き取る時に回転するフライヤーをそのまま逆転
させ、その逆回転に制動を掛ける所謂フライヤー
ドラツグ機構が種々開発されている。

本考案はそうした市場の要望に応じるために開
発されたもので、リール本体のギヤーボツクス内
に取付けたメインギヤー部分にクラツチ機構を内
蔵し、ハンドルを正転させると強制捲込みとな
り、ハンドルを逆転又はハンドルより手を離すと
魚の引きによりフライヤーのみ逆転し、そのフラ
イヤーの逆転にはハンドルに設けた調節手段の回
転調整によりドラツグ力（ブレーキ力）を強弱調
整して作用させるようにしたものである。

斯る目的を達成する本考案のドラツグ機構は、
ギヤーボツクスの左右側板に渉つて横架軸承した
メインギヤーシヤフトに左右転換可能なハンドル
シヤフトを嵌着係合して一体回転自在となし、メ
インギヤーシヤフトの外側にはメインギヤーを遊
転自在に嵌合すると共に、そのメインギヤーを摩
擦部材で挾着し、且メインギヤーシヤフトには前
記摩擦部材を押圧するドラツグスリーブを遊転自
在に嵌合し、そのスリーブにラチエツト歯車を遊
転自在に嵌合すると共に、そのラチエツト歯車の
逆回転を止めるラチエツト爪をギヤーボツクス側
に取付け、メインギヤーとメインギヤーシヤフト
との間にはメインギヤーシヤフトの正回転方向に
は係合し、逆回転方向には離脱するクラツチを介
在し、更にハンドルシヤフトにはドラツグスリー
ブを軸方向スライドさせて摩擦部材の押圧力を強
弱調節する調節手段を設けたことを要旨とするも
のである。

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。

第１図はドラツグ力を弱に調整した状態の断面
図で、ギヤーボツクスを構成する左右の側板１，
１′に渉つてメインギヤーシヤフト２を横架軸承
し、そのメインギヤーシヤフト２の軸芯に沿つた
角孔に断面角形のハンドルシヤフト３を側板１側
より押通して一体回転自在となし、側板１′より
突出したハンドルシヤフト３側部のネジ杆部にナ
ツト４を螺着して軸方向への移動を止め固定化す
る。

左右の側板１，１′間に横架軸承したメインギ
ヤーシヤフト２の外周面は相対峙させて擦り割り
を施こして断面小判形となし、このメインギヤー
シヤフト２の外側に丸穴のメインギヤー５を遊転
自在に嵌合すると共に、そのメインギヤー５の表
裏面を丸穴ワツシヤー６−１、小判穴ワツシヤー
６−２、丸穴ドラツグワツシヤー６−３，６−４
及び小判穴ワツシヤー６−５、スプリンワツシヤ
ー６−６から成る摩擦部材６で挾着し、小判穴ワ
ツシヤー６−５はメインギヤーシヤフト２の周面
に形成した段部に係合させてメインギヤー５に作
用させるブレーキ力が確実に発揮されるようにし
てある。

又、上記メインギヤーシヤフト２の外側には摩
擦部材６のスプリングワツシヤー６−６とナツト
４との間に位置させて丸穴のドラツグスリーブ７
を遊転自在、且軸方向スライド可能に嵌合すると
共に、そのドラツグスリーブ７は側板１′に装着
したベアリング８で支持し、そのスリーブ７外側
にラチエツト歯車９を遊転自在に嵌合し、且スプ
リングワツシヤー６−６と当接する側部は所定長
さだけ擦り割りを施こして小判形となし、その小
判形軸部７′にクラツチ１０を構成するクラツチ
カム１０−１を該スリーブ７と一体回転状に嵌着
係合する。

クラツチ１０は、ドラツグスリーブ７に嵌着係
合したクラツチカム１０−１と、ラチエツト歯車
９の側面に突設したピン１１に嵌着してメインギ
ヤー５側面の凹所１２に嵌合したクラツチ爪１０
−２と、凹所１２の内周面に突設した突部１３
と、ラチエツト歯車９の側面に突設されクラツチ
カム１０−１の回動範囲を規制する突条１４とか
ら成り、ハンドルシヤフト３の正回転においては
クラツチカム１０−１とクラツチ爪１０−２と突
部１３とが係合一体化してメインギヤー５を強制
回転させ（第３図参照）、逆止め機構をOFFとし
た状態で釣糸に張力が作用した時（フライヤーを
逆転させる力）は、フライヤー（図示省略）の逆
転はピニオンギヤー２０を介してメインギヤー５
を逆回転させる。そのメインギヤー５の逆転は突
部１３でクラツチ爪１０−２を内方へ回動し、且
つそのクラツチ爪１０−２の回動はクラツチカム
１０−１を回転し、メインギヤー５の突部１３は
クラツチ爪１０−２、及びクラツチカム１０−１
と接触することなく回転し得る状態となる（第４
図参照）。そして、そのフライヤーの逆転に対し
て作用するブレーキ力はハンドルシヤフト３に設
けた調節手段１５によつて調整する。

調節手段は、ハンドルシヤフト３に刻設形成し
たネジ条１５−１と、そのネジ条１５−１に螺合
した調節ナツト１５−２とから成り、調節ナツト
１５−２を締め付けるとドラツグスリーブ７はス
プリングワツシヤー６−６を押圧する方向に移動
され、メインギヤー５は摩擦部材６で挾着され、
メインギヤー５の逆回転に強いブレーキ力が働く
ことになる。（第２図参照） 逆に、調節ナツト１５−２を弛めると、ドラツ
グスリーブ７はスプリングワツシヤー６−６から
離反する方向に移動すると共に、該スプリングワ
ツシヤー６−６の弾発力で外側へ押し出され、メ
インギヤー５を挾着する摩擦部材６の押圧力が弱
くなり、メインギヤー５の逆回転に作用するブレ
ーキ力は弱くなり、釣糸の繰り出しが楽に行なわ
れることになる。

図中、１６，１７はブレーキバネ、１８はスリ
ーブであり、ブレーキバネ１６はその巻回部をラ
チエツト歯車９の周面に巻着し、一方の端部をメ
インギヤー５に固着することにより、ラチエツト
歯車９がドラツグスリーブ７との摩擦係合力で一
緒に回転しようとするのを抑え、それによつてク
ラツチ爪１０−２がラチエツト歯車９に突設した
ピン１１を中心としての揺動がスムーズに行なわ
れるようにしてある。即ち、メインギヤー５は停
止又は逆回転しようとしているため、そのメイン
ギヤー５に一端を固定したブレーキバネ１６の巻
回部をラチエツト歯車９の外周面に巻回すること
により、ブレーキバネ１６による締付力でラチエ
ツト歯車９の回転が抑えられるものである。尚、
ラチエツト歯車９の正回転方向は第６図に於ける
矢印Ａ方向で、逆回転方向は矢印Ｂ方向で、その
場合はラチエツト爪１９と係合してラチエツト歯
車９の回転が止められる。又、ブレーキバネ１７
はハンドルノブ（図示セズ）が前方に位置した時
自重でハンドルが下方に回動するのを防止するも
ので、メインギヤーシヤフト１と一体回転する小
判穴ワツシヤー６−２の外周面に巻回部を巻き付
け、一方の端部をメインギヤー５に固定する。

１９は側板１′側に軸支したラチエツト爪、２
０はメインギヤー５と噛合するピニオンギヤーで
ある。

第５図はハンドルを第１図とは逆の左側にセツ
トした状態である。

本考案のドラツグ機構は以上詳記した構成とし
たものであるから、ハンドルを正回転方向に回動
すると、ハンドルシヤフト、メインギヤーシヤフ
ト、ドラツグスリーブ、クラツチカム、クラツチ
爪が一体となりてメインギヤーを回転し、強制捲
込みが確立される。

又、ハンドルを逆回転させるか、又はハンドル
より手を離し、釣糸に張力が作用すると、メイン
ギヤーとクラツチ爪との係合が外れ、フライヤー
は逆回転自在となる。そしてその逆回転にはハン
ドルシヤフトに設けた調節手段の調整によつてブ
レーキを強弱調節して作用させることが出来る。

従つて、釣糸の捲込み及び釣糸の繰り出しはハ
ンドルの回転操作によつて行なうことが出来ると
共に、フライヤーの逆回転に作用させるブレーキ
力の調節もハンドルに設けた調節手段で行なうこ
とが出来るをもつて、魚とのやりとりにすばやく
対応して操作することが出来るドラツグ機構を提
供できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図はハン
ドルを右側にセツトし、ドラツグ力を弱にセツト
した状態の断面図、第２図は第１図の状態でドラ
ツグ力を強に調整した状態の断面図、第３図は第
１図の３−３線に沿える断面図、第４図は第３図
の状態より逆回転に変わつた同断面図、第５図は
ハンドルを左に付け換えた断面図、第６図は第１
図の６−６線に沿える断面図である。 図中、１，１′：側板、２：メインギヤーシヤ
フト、３：ハンドルシヤフト、５：メインギヤ
ー、６：摩擦部材、７：ドラツグスリーブ、９：
ラチエツト歯車、１０：クラツチ、１５：調節手
段。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ギヤーボツクスの左右側板に渉つて横架軸承し
   たメインギヤーシヤフトに左右転換可能なハンド
   ルシヤフトを嵌着係合して一体回転自在となし、
   メインギヤーシヤフトの外側にはメインギヤーを
   遊転自在に嵌合すると共に、そのメインギヤーを
   摩擦部材で挾着し、且メインギヤーシヤフトには
   前記摩擦部材を押圧するドラツグスリーブを遊転
   自在に嵌合し、そのスリーブにラチエツト歯車を
   遊転自在に嵌合すると共に、そのラチエツト歯車
   の逆回転を止めるラチエツト爪をギヤーボツクス
   側に取付け、メインギヤーとメインギヤーシヤフ
   トとの間にはメインギヤーシヤフトの正回転方向
   には係合し、逆回転方向には離脱するクラツチを
   介在し、更にハンドルシヤフトにはドラツグスリ
   ーブを軸方向スライドさせて摩擦部材の押圧力を
   強弱調節する調節手段を設けた魚釣用スピニング
   リールのドラツグ機構。