JPH0221927Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、主としてハイヒール等の靴底に装着
される踵本体にエチレン酢酸ビニル共重合体
（EVA）樹脂を使用した靴の踵に関するものであ
る。

（従来の技術） 従来において、ハイヒール等の靴底に装着され
ている靴の踵は、踵本体にポリカーボネイト、ナ
イロン、発泡ウレタン等の合成樹脂や合成ゴムが
使用され、その踵部下面に底部材を、接着、釘止
め、差込み等の手段で固定した構成となつてい
る。

（考案が解決しようとする問題点） 上記した従来の靴の踵は、使用材料の比重が大
きく靴全体の重量が重くなるだけでなく、靴を履
いた際の足の感触が悪く、また、使用材料のコス
トが高いといつた問題があつた。このような問題
点を解決するために、比重が小さく柔軟性に優れ
た安価な樹脂材料として、エチレン酢酸ビニル共
重合体が注目され、靴の踵として使用することが
望まれている。ところがこの材料は、接着性が悪
い上に釘を打ち込むと破損する欠点があるため
に、減り止め部材を踵本体の踵部下面に固定する
手段として、接着手段や釘止め手段を採用するこ
とができず、踵本体に開設した孔に減り止め部材
に突設した突起を嵌着する差込み手段によらなけ
ればならなかつた。

しかし、柔軟性に優れるがために差込み手段だ
けでは減り止め部材が踵部から脱落し易く実用性
に欠けると言つた問題点があつて、エチレン酢酸
ビニル共重合体樹脂材料は靴の踵には使用されて
いないのが現状である。

本考案は上記のような現状に着眼してなされた
ものであつて、前記欠点のあるエチレン酢酸ビニ
ル共重合体樹脂材料を使用し、踵部下面に底部材
を脱落することなく固定できる構成の靴の踵を提
供することを目的としいる。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上記の目的を達成するために、靴の
踵を次のような構成としたのである。

即ち、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂製の踵
本体の踵部内に、硬質熱可塑性合成樹脂よりなる
中芯が埋設され、前記踵部下面には硬質熱可塑性
合成樹脂製の底部材が固定手段により固定されて
いることを特徴とする靴の踵を要旨としている。

（実施例） 本考案の実施例を図面を参照しながら説明する
と以下の通りである。

第１図は、底部材７の固定手段として差込みと
釘止めの各手段を用いた場合の分解状態断面図で
あつて、硬質ウレタン樹脂よりなり、差込孔３の
開設された筒部４ａ，４ｂを一体に突出した中芯
５を、その筒部４ａ，４ｂの開孔端が踵部２の下
面に露出する状態で踵部２に埋設したエチレン酢
酸ビニル共重合体樹脂製の踵本体１と、前記筒部
４ａ，４ｂの差込孔３に挿入嵌着する差込脚６
ａ，６ｂを一体形成した硬質ウレタン樹脂製の底
部材７と、この底部材７を踵部２の下面に固定す
る釘８とからなり、前記踵本体１の踵部２下面に
開孔するそれぞれの差込孔３に、底部材７の差込
脚６ａ，６ｂを挿入嵌着すると共に、差込脚６
ａ，６ｂの間の反対面からに釘８を中芯５に打ち
込んで底部材７を踵本体１の踵部２の下面に固定
するようにした靴の踵の構造を示している。

第２図は、底部材７ａの固定手段として接着と
釘止め手段を用いた場合の分解状態断面図であつ
て、ポリカーボネイト樹脂よりなり、接着面１０
を一体に突出した中芯５ａを、その接着面１０が
踵部２の下面に露出する状態で踵部２内に埋設し
てなるエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂製の踵本
体１と、ポリカーボネイト樹脂製の底部材７ａ
と、この底部材７ａを踵部２の下面に接着する接
着剤層１１及び釘８ａ，８ｂとからなり、前記踵
本体１の踵部２下面に露出した接着面１０に、底
部材７ａを接着すると共に釘８ａ，８ｂを中芯５
ａに打ち込んで底部材７ａを踵本体１の踵部２の
下面に固定するようにした靴の踵の構造を示して
いる。

なお、上記した実施例においては、固定手段と
して、差込み手段と釘止め手段或いは接着手段と
釘止め手段のように固定手段を併用したが、必ず
しも併用する必要はない。

ただし、接着手段のみの場合には、踵部下面に
接着面を露出させる必要があることはいうまでも
ない。

また、実施例においては、いずれも中芯と底部
材とが同一材料である場合を説明したが、異質と
する場合もある。

更に、硬質熱可塑性樹脂は、硬質ウレタン樹
脂、ポリカーボネイト樹脂に限定されるものでは
なく、硬質であつて釘止めにより破損しないも
の、例えば、硬質ナイロン樹脂、硬質塩化ビニル
樹脂等であつてもよいことはいうまでもない。

（考案の作用効果） 以上説明した本考案の靴の踵は、前記の如き構
成で、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂製の踵本
体の踵部内に、硬質熱可塑性合成樹脂よりなる中
芯を埋設したから、埋設した中芯を利用して、各
種の固定手段により踵部下面に底部材を固定する
ことができるようになり、接着性が悪い上に釘を
打ち込むと破損するといつた欠点を露見させるこ
となく、比重が小さく柔軟性に優れ安価であると
いう利点のあるエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂
材料を、靴の踵として有効に使用することが可能
となる。

また、底部材として硬質熱可塑性合成樹脂を使
用したから、その優れた耐摩耗性が生かせるよう
になる。

従つて、本考案の構成によれば、柔軟性に優れ
て足あたりが良好であると共に軽量で足への負担
が少なく、底部材の固定が確実となる安価な靴の
踵を提供することができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る靴の踵の実施例を示すもの
であつて、第１図は、底部材の固定手段として差
込みと釘止め手段を用いた場合の分解状態断面
図、第２図は、底部材の固定手段として接着と釘
止め手段を用いた場合の分解状態断面図である。 １……エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂製の踵
本体、２……踵部、３……差込孔、４ａ，４ｂ…
…筒部、５，５ａ……中芯、６ａ，６ｂ……差込
脚、７，７ａ……底部材、８，８ａ，８ｂ……
釘、１０……接着面、１１……接着剤層。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂製の踵本体
   の踵部内に、硬質熱可塑性合成樹脂よりなる中
   芯が埋設され、前記踵部下面には硬質熱可塑性
   合成樹脂製の底部材が固定手段により固定され
   ていることを特徴とする靴の踵。 ２ 硬質熱可塑性合成樹脂は、硬質ウレタン樹
   脂、ポリカーボネイト樹脂、硬質ナイロン樹
   脂、硬質塩化ビニル樹脂のいずれかである実用
   新案登録請求の範囲第１項記載の靴の踵。 ３ 固定手段が、釘止め手段である実用新案登録
   請求の範囲第１項記載の靴の踵。 ４ 中芯の埋設が、その中芯の一部を踵部下面に
   露出させた状態とし、固定手段を、接着手段と
   差込み手段のいずれかと釘止め手段とを併用し
   たものである実用新案登録請求の範囲第１項記
   載の靴の踵。