JPH0221650Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、エンジンなどのヘツド部に使用され
る金属製ガスケツトのボルト穴のシール構造に関
する。

第１図に示す如く、エンジン１のシリンダヘツ
ド２とシリンダブロツク３とは、ガスケツト４を
介在せしめ、複数個のボルト５による結合されて
いる。周知の如く、シリンダブロツク３内には、
ピストン６が挿設され、燃焼室７には燃焼ガスが
充満する。一方、シリンダヘツド２およびシリン
ダブロツク３には、エンジン１の冷却のための循
環通路８が形成される。又、図に明示していない
が、シリンダヘツド２の上方側を被包するロツカ
ーカバ１４内には、ロツカーアーム、ロツカーシ
ヤフト、プツシユロツド等が配設されている。

ガスケツト４は、燃焼ガス圧力および燃焼熱に
よつて生ずるシリンダヘツド２とシリンダブロツ
ク３との間の隙間をシールする外に、上記ロツカ
ーカバ１４内のロツカーアーム等の潤滑油の油路
のシールと、上記冷却水の水路のシールをするた
めに設けられている。

ガスケツト４は、上記の如く、ボルト５により
圧接され、シリンダヘツド２およびシリンダブロ
ツク３に圧接しているが、この圧接が不十分の場
合にはシール不完全となり、ガスケツト４のボル
ト５が貫通するボルト穴９まわりから上記の潤滑
油および冷却水等が漏洩するおそれがあると共
に、水等がボルト５のねじ部に進入する。このよ
うにシリンダの内外部から、ボルト５のねじ部に
水が進入すると発錆の原因となり、ボルト５が取
外しできない不具合が生ずる。

一方、第２図ａおよびｂに示す如く、ガスケツ
ト４には種々の形成のものが採用されている。第
２図ａは、クツシヨン性の中板層１１の上下に
鉄、銅等からなる表面層１０を敷設したものであ
り、第２図ｂは、銅、鉄等からなる中板層１１ａ
をバネ形状に形成し、その上下に鉄、銅等の表面
層１０ａを敷設したものである。

第３図に示す如く、第２図ａに示すタイプのガ
スケツト４に形成されるボルト穴９には、一般
に、中空円筒状のスリーブ１２が嵌挿され、その
上下面をシリンダヘツド２およびシリンダブロツ
ク３に圧接せしめてシールしている。又、第４図
に示す如く、第２図ｂに示すタイプのガスケツト
４のボルト穴９には、一般に、ボルト穴９の周縁
部を被うと共に、表面層１０ａの表面に折曲つて
掛止されるグロメツト１２ａが用いられ、折曲つ
た部分をシリンダヘツド２およびシリンダブロツ
ク３に圧接してシールしている。

第３図のスリーブ１２によるものは、ガスケツ
ト４をボルト５により締付けても、ほとんど変形
がなく、スリーブ部の面圧が大で周辺部が面圧小
となり、シールが不完全となる欠点を有してい
る。又、第４図のグロメツト１２ａを用いるも同
様グロメツト部のみ面圧が大となり、周縁部の面
圧が小となるためシールが不完全となるほか、グ
ロメツト１２ａに亀裂が生じる欠点を有してい
る。

本考案は、ガスケツトの上記欠点を解決すべく
創案されたものであり、その目的は、ボルト穴ま
わりのシールを確実にすると共に構造が極めて簡
単なガスケツトボルト穴のシール構造を提供する
ことにある。

本考案は、上記の目的を達成するために、中板
層と、これを挟んで敷設される金属製表面層との
多重層からなるガスケツトに形成されるボルト穴
の周縁部に、シール部材である中空円筒状のスリ
ーブを嵌着せしめ、上記ボルト穴をシールするガ
スケツトボルト穴のシール構造において、上記表
面層の上記ボルト穴を形成する周縁部を、ボルト
穴半径方向にひろげ、上記スリーブが上記中板層
に形成されるボルト穴周縁部にのみ嵌着され、ス
リーブ長がガスケツト厚みより長くなるように形
成せしめたことを特徴としたものである。

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第５図および第６図に示す如く、ガスケツト４
の表面層１０に形成されたボルト穴の周縁部９ａ
をボルト穴半径方向にひろげ、スリーブ１２を中
板層１１に形成されたボルト穴の周縁部９ｂのみ
によつて保持する。すなわち、スリーブ１２は中
板層１１のボルト穴にのみ嵌着される。従つてス
リーブ１２の外周側と表面層１０のボルト穴の周
縁部９ａとの間には間隙部１３が形成される。

次に、第５図に示す如く、スリーブ１２のボル
ト５の挿入方向の高さｈは、ガスケツト４の厚み
ｔより、低くならないように形成する。ここでス
リーブ１２の上記高さｈおよび上記の間隙部１３
の大きさは、ガスケツト４の材質、厚みｔ、スリ
ーブ１２の肉厚、ボルト５の直径等によつて適宜
のものが設定される。

次に、本実施例の作用を説明する。

上記の形状のスリーブ１２を有するガスケツト
４を、シリンダヘツド２およびシリンダブロツク
３に介在せしめ、第７図に示す如く、ボルト５に
より締付ける。この締付けにより、スリーブ１２
は、上記間隙部側に倒れながら変形し、シリンダ
ヘツド２およびシリンダブロツク３に圧接しシー
ルする。

以上の如く、ガスケツト４の締付けに追従し、
スリーブ１２が変形し、シールを完全にすること
ができる。

又、シリンダヘツド２およびシリンダブロツク
３の熱変形によつて、ガスケツト４の締付力に変
動が生じても、これに追従して、スリーブ１２が
変形し、上記の如くしてボルト穴まわりをシール
することができる。又、上記の如く、スリーブ１
２は間隙部１３側に倒れながら変形するので、グ
ロメツト１２ａの如く、極圧を受けることがな
く、ガスケツト４が薄肉となつても亀裂等が生ず
るおそれがない。

又、本実施例は、単に表面層１０のボルト穴の
周縁部９ａを逃がすと共に、従来使用のスリーブ
１２をそのまま使用するもので、構造が極めて簡
単で、かつ安価に製作することができる。

以上の説明で明らかの如く、本考案によれば、
ガスケツトのボルト穴まわりを確実にシールし得
ると共に、構造が極めて簡便で、安価のものとな
る効果が上げられる。

【図面の簡単な説明】

第１図はエンジンに使用されるガスケツトの取
付概要を示す断面図、第２図ａ，ｂは一般に使用
されるガスケツトの概要断面図、第３図および第
４図はガスケツトボルト穴のシール構造を示す断
面図、第５図は本考案の一実施例の断面図、第６
図はその示矢の平面図、第７図は実施例の作用
を説明する断面図である。 １……エンジン、２……シリンダヘツド、３…
…シリンダブロツク、４……ガスケツト、５……
ボルト、９ａ……表面層のボルト穴の周縁部、９
ｂ……中板層のボルト穴の周縁部、１０……表面
層、１１……中板層、１２……スリーブ、１２ａ
……グロメツト、１３……間隙部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 中板層と、これを挟んで敷設される金属製表面
   層との多重層からなるガスケツトに形成されるボ
   ルト穴の周縁部に、シール部材である中空円筒状
   のスリーブを嵌着せしめ、上記ボルト穴をシール
   するガスケツトボルト穴のシール構造において、
   上記表面層の上記ボルト穴を形成する周縁部を、
   ボルト穴半径方向にひろげ、上記スリーブが上記
   中板層に形成されるボルト穴周縁部にのみ嵌着さ
   れ、スリーブ長がガスケツト厚みより長くなるよ
   うに形成せしめたことを特徴とするガスケツトボ
   ルト穴のシール構造。