JPH0219865Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は、ケースを台のベース上で移動させて
ケース下部に突出した球体を回転させ、この球体
の回転量をＸ−Ｙ座標毎に取出して座標値を入力
するようにしたＸ−Ｙ方向入力装置に関する。

〔考案の背景〕

上記した球体回転型のＸ−Ｙ方向入力装置は、
所謂「マウス」と呼称されて公知である。この入
力装置はその操作性の良さから、例えばオフイス
コンピユータ等のCRTに表示されるカーソルを
移動させ、作画、作表時の始点、析曲点、終点の
指示を行なつたり、CRT上の選択項目に指定す
るのに用いられたりしており、これをキーボード
入力装置と併用することによつて多種の入力項目
を迅速・容易に入力可能となる。

このＸ−Ｙ方向入力装置は、水平な台あるいは
専用のシート等のベース上に沿つてケースを移動
することにより、ケース底面の開孔より一部を突
出する球体がベース上を転動するようになつてお
り、そのため、一般的に、ケースの底面はベース
との摺動を良好にするために滑性の良い合成樹脂
材料で形成されている。

ところで、かかるＸ−Ｙ方向入力装置にあつて
は、球体をベース上で転動させる際に、ベース上
に付着している塵埃、油分、水分等の異物が球体
に付着することがあり、その結果、球体とベー
ス、あるいは球体と従動ローラとの間でスリツプ
が生じて、動力の伝達が不正確となり、信頼性を
低下させるという欠点があつた。

そこで、本出願人は、かかる欠点を解消するた
めに、球体の一部が突出する開孔の周囲に弾性ク
リーニング部材を貼着したＸ−Ｙ方向入力装置を
先に提案した（実願昭57−114774号）。この先願
考案によれば、弾性クリーニング部材によつて球
体への異物の付着を防止できるものの、合成樹脂
製のケース底面に形成した複数の突起がベース上
を摺動するため、入力装置をベース上で移動した
際に、ベースと突起との接触によつて雑音が発生
するという欠点があつた。

〔考案の目的〕

本考案の目的は、上記従来技術の欠点を除き、
走行中の音が静かで信頼性の高いＸ−Ｙ方向入力
装置を提供するにある。

〔考案の概要〕

この目的を達成するために、本考案は、球体の
一部が突出する開孔をケース底面の中心より一端
側へ偏倚した位置に設けるとともに、該開孔の周
囲と前記ケース底面の他端側とに、該ケースをベ
ースから離反させる高滑性の消音部材をそれぞれ
取り付けた点を特徴とする。

〔考案の実施例〕

第１図〜第５図は本考案の実施例に係り、第１
図で、総括的に番号１で示した本願の球体回転型
Ｘ−Ｙ方向入力装置は、例えば、CRTデイスプ
レイ３、フロツピーデイスクドライブ４等を備え
たパーソナルコンピユータ装置本体２に接続さ
れ、CRTデイスプレイ３上のカーソル５を任意
位置に移動させ得るようになつている。なお、第
１図において、６はキーボード入力装置、７は球
体回転型Ｘ−Ｙ方向入力装置１の専用シート（ベ
ース）である。

前記Ｘ−Ｙ方向入力装置１は、第２図でその内
部を割愛して示しているが、上ケース８と下ケー
ス９で構成されるケース内部に、球体１０が回転
自在に保持されており、該球体１０は下ケース９
の開孔９ａからその一部をケース外方に突出させ
ている。前記ケース内部には、図示省略してある
が球体１０の支持機構及び回転量検出手段、プリ
ント基板等が内蔵されており、第３図で示すよう
に、球体１０は、２つの従動ローラ１１，１２お
よび支持ローラ１３に当接して３点支持されるよ
うになつている。上記従動ローラ１１，１２はそ
の軸方向を互いに直交するように配設され、各々
可変低抗器１４，１５等の回転量検出手段に連結
されている。即ち、ケースを前記シート７上で移
動させて球体１０を回動させることによつて、従
動ローラ１１，１２を介して可変低抗器１４，１
５の摺動子が回動して、Ｘ−Ｙ方向の座標値が取
出されるようになつている。なお、第２図におい
て、１６はケース内部のスイツチを操作する押
釦、１７はケーブル、１８はブツシングである。

前記球体１０は、第４図に示したようにその内
部を鋼球等の金属球１９とされ、該金属球１９の
外面に被着した接着層２０を介して、ゴムよりな
る外被２１が成形によつて形成・固着されてい
る。従つて、金属球１９と外被２１は研摩によつ
て容易にその外周を平滑化される。また、ゴムの
成形面そのままでは、ゴムが粘着してしまうこと
があるが、砥石の選択によつて適度な面荒さも得
られる。この研摩によつて外被２１は成形時のパ
ーテイングラインが除去されて突出部のない球体
とされる。

第２図および第５図に示すように、前記下ケー
ス９底面の前後２箇所には、前記開孔９ａを包囲
する環状の凹溝９ｂと、該凹溝９ｂから所定距離
だけ離れた位置に長方形状の凹溝９ｃとがそれぞ
れ形成されており、これら両凹溝９ｂ，９ｃ内に
は、フエルトや不織布等からなる滑性に優れた消
音部材２２，２３がそれぞれ接着剤によつて固着
されている。これら両消音部材２２，２３は下面
がほぼ平担で第２図に示すように、下ケース９の
底面よりも若千下方へ突出している。

シート（ベース）７上で入力装置１を手で持つ
て任意の方向に移動すると、球体１０は自重によ
つて生じるシート７との摩擦力によりシート７上
を転動する。そして、球体１０の回転は２つの従
動ローラ１１，１２にそれぞれ伝達され、両従動
ローラ１１，１２の回転角がそれぞれ付設の可変
低抗器１４，１５によつて検出される。検出信号
はケーブル１７を介して本体２のデイスプレイ・
コントローラに入力され、信号処理によりCRT
デイスプレイ３上のカーソル５が所望の方向へ移
動する仕組になつている。

この時、下ケース９の底面はシート７と直接触
れず、高滑性で弾力性のある両消音部材２２，２
３がシート７上を摺動するため、雑音を発生する
ことはなく、安定した走行が得られる。また、こ
れら両消音部材２２，２３は、シート７上に付着
した塵埃、油分、水分等の異物をクリーニングす
る作用をも備えているため、シート７上の異物が
球体１０に付着することはなく、それに起因する
トラブルが解消される。特に、本実施例にあつて
は、ゴムを被着した球体１０を用いてなるため、
入力装置１は全て消音部材を介してシート７と接
触することになり、消音効果は一層顕著なものと
なるが、一般に、ゴムには異物が付着し易く、そ
れ故、本考案はゴムを被着した球体を用いた場合
において特にその効果は大となる。

なお、上記実施例にあつては、開孔９ａの全周
にわたつて消音部材２２を取り付けたものについ
て説明したが、該消音部材２２は必ずしも還状で
なくても良く、例えば、他方の消音部材２３と対
向する部分に切欠きを形成しても、充分な消音効
果とクリーニング効果を得ることができる。同様
に、他方の消音部材２３も必ずしも１本でなくて
も良く、必要に応じて複数本に分断することも可
能である。

また消音部材２２，２３の材質も上記実施例に
限定されず、その他、スポンジやゴム等の弾性体
上にテフロン等の高滑性フイルムを接合したもの
を用いてもよい。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案によれば、高滑性
の消音部材とベースの摺動により入力装置の走行
が行われるため、走行中の雑音の発生が少なくな
るばかりでなく、消音部材によつて球体への異物
の付着を防止できるため、信頼性に高い入力装置
が得られる。

【図面の簡単な説明】

図は全て本考案の実施例に係り、第１図はＸ−
Ｙ方向入力装置の使用形態を示す斜視図、第２図
はＸ−Ｙ方向入力装置の概略を示す断面図、第３
図は球体と従動ローラとの関係を示す説明図、第
４図は球体の断面図、第５図は下ケースの底面図
である。 １……Ｘ−Ｙ方向入力装置、７……シート（ベ
ース）、８……上ケース、９……下ケース、９ａ
……開口、９ｂ，９ｃ……凹溝、１０……球体、
１１，１２……従動ローラ、１３……支持ロー
ラ、１４，１５……可変低抗器（検出手段）、１
９……金属球、２０……接着層、２１……外被、
２２，２３……消音部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 底面に開孔を有するケースと、該ケース内に回
   転自在に保持されるとともにその一部を前記開孔
   より突出させた球体と、該球体との回転力によつ
   て回転されるとともに互いにその軸方向を直交し
   て配置された２つの従動ローラと、該２つの従動
   ローラの回転量をそれぞれ検出可能な検出手段と
   を備え、前記開孔より突出する前記球体がベース
   上を転動するＸ−Ｙ方向入力装置において、前記
   開孔を前記ケース底面の中心より一端側へ偏倚し
   た位置に設けるとともに、該開孔の周囲と前記ケ
   ース底面の他端側とに、該ケースを前記ベースか
   ら離反させる高滑性の消音部材を取り付けたこと
   を特徴とするＸ−Ｙ方向入力装置。