JPH0218349Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） 本考案は農作業機用動力伝達装置に係り、農作
業機を牽引するトラクタの動力を上記農作業機に
伝達するものに関する。

（従来の技術） 従来、この種の動力伝達装置として、たとえ
ば、実開昭59−187913号公報に記載の構造が知ら
れている。この公報記載の構造は、トラクタの三
点リンク機構に農作業機を昇降回動自在に連結す
るとともに、このトラクタと農作業機との間にト
ラクタの動力を農作業機に伝動する伸縮自在の伝
動軸を連結し、この伝動軸の外周部を、相互に伸
縮自在に嵌挿した固定カバー体と可動カバーとに
より被覆し、上記固定カバーに可動側伝動軸の適
正摺動範囲を示す着色部からなる識別を施した構
造である。そして、トラクタの三点リンク機構に
よつて農作業機が昇降回動されるとともに、これ
に連動されて固定カバーの着色識別部に対して可
動カバーが摺動されるようになつているものであ
る。

（考案が解決しようとする問題点） 上記従来の伝動軸及びカバー体の構造では、ト
ラクタと農作業機との間の間隔に伝動軸及びカバ
ー体の長さをあらかじめ合せて設定した場合には
トラクタの三点リンク機構によつて農作業機が昇
降回動されるとともに、固定カバーに対して可動
カバーが摺動されてその適正摺動範囲を示すこと
ができるとしても、この場合の適正摺動範囲は、
着色識別部の露出度によつて示されるものであ
り、固定カバーと可動カバーとの重合度合を外部
から確認することができないので、農作業機の昇
降時において不安感を伴うという問題がある。

一方、トラクタと農作業機との間の間隔は機種
毎に相違するため、その機種によつてこれに連結
する伝動軸及びカバー体は各種トラクタと農作業
機との間に連結できるようにすなわちいずれの機
種にも連結できるように余裕をもつた長さに形成
しておき、使用に当つて、当該トラクタと農作業
機との間の間隔に応じた長さに伝動軸及びカバー
体（固定カバー及び可動カバー）の重合部分を所
定長に切断することが行なわれている。

そこで、上記従来の構造のように、固定カバー
に着色された識別部分に対してこの識別部分を外
部から確認できない可動カバーを摺動自在に嵌挿
したものでは、その識別部分に対する切断の程度
によつては固定カバーに摺動範囲が表示されて
も、この固定カバーと、可動カバーとの重合度合
が外部から確認することができない不安感が生
じ、またその識別部分が大きく切断除去されるこ
とによつてその識別部分の全てが可動カバー体内
に重合されその相互の重合度合を外部から確認す
ることができなくなる事態も予想されより一層不
安感が生じるという問題がある。

本考案は上記点に鑑みなされたもので、内筒カ
バー体と外筒カバー体との重合度合を常に外部か
ら視覚的に確認できるようにし、これにより、そ
の重合度合が適正摺動範囲を有するか否かを常に
外部から容易に判別しつつ作業を行なうことがで
き、したがつて、簡単な構造によつて安心感を容
易に確保できる安全性の高い農作業機用動力伝達
装置を提供することを目的とするものである。

〔考案の構成〕

（問題点を解決するための手段） 本考案の農作業機用動力伝達装置は、外端部に
農作業機１の入力軸４に連結するユニバーサルジ
ヨイント１１を有するインナーシヤフト１２と、
このインナーシヤフト１２と長さ方向伸縮自在に
嵌合され外端部にトラクタＡの動力取出軸部Ｃに
連結するユニバーサルジヨイント９を有するアウ
ターシヤフト１０と、上記インナーシヤフト１２
およびアウターシヤフト１０の外周部を被覆する
カバー体１５とを備え、上記カバー体１５は、相
互に伸縮自在に嵌合された内筒カバー体１７およ
び外筒カバー体１６からなり、上記内筒カバー体
１７は、上記インナーシヤフト１２の外周部を被
覆する筒状部２０およびインナーシヤフト１２の
ユニバーサルジヨイント１１の外周部を被覆する
円錐形状部２１を有するとともに、上記筒状部２
０には少なくとも軸方向外面部に着色表示部２２
を形成し、上記外筒カバー体１６は、上記アウタ
ーシヤフト１０の外周部を被覆しかつ上記内筒カ
バー体１７の筒状部２０を摺動自在に嵌合する筒
状部１８及びアウターシヤフト１０のユニバーサ
ルジヨイント９の外周部を被覆する円錐形状部１
９を有するとともに、上記筒状部１８は、上記内
筒カバー体１７の筒状部２０の着色表示部２２を
外部から透視できる透視材にて形成したものであ
る。

（作用） 本考案の農作業機用動力伝達装置は、トラクタ
Ａの動力取出軸部Ｃとこれに連結する農作業機１
の入力軸４との間の間隔に応じた長さに動力伝達
装置８の長さを切断設定するとともに、トラクタ
Ａの動力取出軸部Ｃにアウターシヤフト１０のユ
ニバーサルジヨイント９を連結するとともに、農
作業機１の入力軸４にインナーシヤフト１２のユ
ニバーサルジヨイント１１を連結する。また上記
相互に伸縮自在に嵌挿したアウターシヤフト１０
及びインナーシヤフト１２の外周部を被覆した内
筒カバー体１７及び外筒カバー体１６の外端部を
支持する。これにより、外筒カバー体１６の筒状
部１８とこの筒状部１８内に嵌挿した内筒カバー
体１７の着色表示部２２を有する筒状部２０との
重合度合が透視材からなる外筒カバー体１６の筒
状部１８を通じてその外部から容易に透視確認す
ることができる。

そして、トラクタＡにより農作業機１が昇降回
動されると、アウターシヤフト１０に対してイン
ナーシヤフト１２が伸縮されるとともに、外筒カ
バー体１６の筒状部１８に対して内筒カバー体１
７の筒状部２０が伸縮され、かつ、この筒状部２
０の着色表示部２２と筒状部１８との重合度合が
筒状部１８を通じて視覚的に確認され、したがつ
て、この重合度合に応じて農作業機の昇降の安全
性が図られる。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を添附図面を参照して
説明する。

第１図ないし第３図において１は農作業機で、
この農作業機１は、本体フレーム２の下方部にロ
ータリー作業体３が回動自在に取着されていると
ともに、上記本体フレーム２の中間部に入力軸４
を有するミツシヨン５が取着され、さらに、上記
本体フレーム２の前方部にはトラクタＡの三点懸
架機構Ｂのそれぞれに連結する三点連結部６を有
する連結枠７が突設されている。

また８は動力伝達装置で、この動力伝達装置８
は、上記トラクタＡの動力取出軸部Ｃに連結する
ユニバーサルジヨイント９を有するアウターシヤ
フト１０及び、上記入力軸４に連結するユニバー
サルジヨイント１１を有するインナーシヤフト１
２を備え、このアウターシヤフト１０及びインナ
ーシヤフト１２の相互はその長さ方向においての
み伸縮し軸廻り方向では固定となるように断面略
卵形状に形成されている。すなわち上記アウター
シヤフト１０及びインナーシヤフト１２は、第２
図に示すように、左右両側部の円弧状部１３とこ
の左右の円弧状部１３の間において上下方向に突
出した上下の突条部１４とにより相互に長さ方向
にのみ摺動自在に嵌挿されている。

また上記アウターシヤフト１０及びインナーシ
ヤフト１２の外周部はカバー体１５によつて被覆
されている。このカバー体１５は、アウターシヤ
フト１０の外周部を被覆する外筒カバー体１６
と、この外筒カバー体１６内に摺動自在に嵌挿さ
れる内筒カバー体１７とにより構成されている。
そして上記外筒カバー体１６は、第３図に示すよ
うに、アウターシヤフト１０の直線状の外周部を
被覆する筒状部１８とアウターシヤフト１０のユ
ニバーサルジヨイント９の外周部を被覆する円錐
形状部１９とからなり、そして少なくとも上記筒
状部１８は透明または半透明の内部を透視できる
透視材にて形成されている。また上記内筒カバー
体１７は、第３図に示すように、インナーシヤフ
ト１２の直線状の外周部を被覆する筒状部２０と
インナーシヤフト１２のユニバーサルジヨイント
１１の外周部を被覆する円錐形状部２１とからな
り、そして上記筒状部２０の少なくとも外面部の
全体が有彩色を施色した着色表示部２２にて形成
されている。そうして、外筒カバー体１６の筒状
部１８内に対して内筒カバー体１７の筒状部２０
が摺動自在に嵌挿されている。なお、上記外筒カ
バー体１６と内筒カバー体１７の円錐形状部１
９，２１には係止用の図示しないチエーンが取着
されこのチエーンによつて外筒カバー体１６と内
筒カバー体１７とは吊持されるようになつててい
る。

このように構成されたものにおいて、トラクタ
Ａの動力取出軸部Ｃとこれに連結する農作業機１
の入力軸４との間の間隔に応じて、動力伝達装置
８の相互に伸縮自在に嵌挿するアウターシヤフト
１０とインナーシヤフト１２の重合する長さ及び
外筒カバー体１６の筒状部１８と内筒カバー体１
７の筒状部２０の重合する長さを、安全率を考慮
した適正摺動範囲で摺動できる所定の長さに切断
する。そしてアウターシヤフト１０とインナーシ
ヤフト１２及び外筒カバー体１６の筒状部１８と
内筒カバー体１７の筒状部２０のそれぞれを相互
に伸縮自在に嵌挿して重合する。

つぎに、トラクタＡの三点懸架機構Ｂのそれぞ
れに連結枠７の三点連結部６を連結する。また、
トラクタＡの動力取出軸部Ｃにアウターシヤフト
１０のユニバーサルジヨイント９を一体的に連結
するともに、入力軸４にインナーシヤフト１２の
ユニバーサルジヨイント１１を一体的に連結す
る。また外筒カバー体１６の円錐形状部１９によ
つてユニバーサルジヨイント９を被覆した状態
で、この円錐形状部１９のチエーン（図示せず）
を部材に係止してこれの位置決めをするととも
に、内筒カバー体１７の円錐形状部２１によつて
ユニバーサルジヨイント１１を被覆した状態でこ
の円錐形状部２１のチエーン（図示せず）を部材
に係止してこれの位置決めをする。これにより、
外筒カバー体１６の透視材からなる筒状部１８
と、この筒状部１８内に嵌挿重合した内筒カバー
体１７の着色表示部２２を有する筒状部２０との
重合度合が、上記外筒カバー体１６の筒状部１８
を通じてその外部から容易に透視確認することが
できる。

そして、トラクタＡの三点懸架機構Ｂにより農
作業機１が昇降回動されると、それぞれのユニバ
ーサルジヨイント９，１１が回動されつつアウタ
ーシヤフト１０に対してインナーシヤフト１２が
伸縮されるとともに、外筒カバー体１６の筒状部
１８に対して内筒カバー体１７の筒状部２０が伸
縮され、かつ、この筒状部２０の着色表示部２２
と筒状部１８との重合度合が筒状部１８を通じて
視覚的に確認され、したがつて、この重合度合に
応じて農作業機１の昇降の安全性が図られる。

つぎに、前記実施例では、外筒カバー体１６の
筒状部１８は全体を透視材にて形成する場合につ
いて説明したが、これに限らず、第４図に示すよ
うに、透視材からなる筒状部１８の開口縁部に、
内筒カバー体１７の筒状部２０との重合時にその
筒状部２０の着色表示部２２の境界位置を明示す
る表示部２３を形成するようにするとよい。これ
により、筒状部１８，２０の相互の重合度合が外
部からより一層視覚上明確になる。

また内筒カバー体１７の筒状部２０は、全体を
有彩色からなる着色表示部２２で表示する場合に
ついて説明したが、これに限らず、第５図に示す
ように、着色表示部２２を軸方向外面部にライン
状に表示してもよい。これにより、安全率を考慮
して相互の筒状部１８，２０を切断して重合した
場合においてもその筒状部１８，２０の相互の重
合度合が外部から視覚上明確になる。

〔考案の効果〕

本考案によれば、内筒カバー体１７の筒状部２
０の少なくとも軸方向外面部に着色表示部２２を
形成するとともに、この着色表示部２２を有する
筒状部２０を嵌挿する外筒カバー体１６の筒状部
１８を透視材にて形成したから、その着色表示部
２２により筒状部１８，２０相互の重合度合を透
視材からなる筒状部１８の外部から視覚的に確実
に確認することができ、これにより安心感を確保
することができ、また着色表示部２２は筒状部２
０の少なくとも軸方向に形成するとともに、これ
を嵌挿する筒状部１８は透視材にて形成したの
で、特にその相互を機種間の間隔に応じて切断設
定して重合した場合において、その相互の重合度
合を視覚的に容易に確認できるとともに、作業時
においては摺動によつて変化する重合度合が適正
摺動範囲であるか否かを視覚的に正確に判別しつ
つ作業を行なうことができ、したがつて、簡単な
構造によつて安心感を確保できるとともに作業の
安全性を容易に確保することができる。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の実施例を示すもので、第１図は動
力伝達装置を連結した農作業機の側面図、第２図
は同上ａ〜ａ線部の断面図、第３図は同上カバー
体の分離状態を示す側面図、第４図及び第５図は
動力伝達装置の他の実施例のカバー体の分離状態
を示す側面図である。 １……農作業機、４……入力軸、９……ユニバ
ーサルジヨイント、１０……アウターシヤフト、
１１……ユニバーサルジヨイント、１２……イン
ナーシヤフト、１５……カバー体、１６……外筒
カバー体、１７……内筒カバー体、１８，２０…
…筒状部、１９，２１……円錐形状部、２２……
着色表示部、Ａ……トラクタ、Ｃ……動力取出軸
部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 外端部に農作業機１の入力軸４に連結するユニ
   バーサルジヨイント１１を有するインナーシヤフ
   ト１２と、このインナーシヤフト１２と長さ方向
   伸縮自在に嵌合され外端部にトラクタＡの動力取
   出軸部Ｃに連結するユニバーサルジヨイント９を
   有するアウターシヤフト１０と、上記インナーシ
   ヤフト１２およびアウターシヤフト１０の外周部
   を被覆するカバー体１５とを備え、 上記カバー体１５は、相互に伸縮自在に嵌合さ
   れた内筒カバー体１７および外筒カバー体１６か
   らなり、 上記内筒カバー体１７は、上記インナーシヤフ
   ト１２の外周部を被覆する筒状部２０およびイン
   ナーシヤフト１２のユニバーサルジヨイント１１
   の外周部を被覆する円錐形状部２１を有するとと
   もに、上記筒状部２０には少なくとも軸方向外面
   部に着色表示部２２を形成し、 上記外筒カバー体１６は、上記アウターシヤフ
   ト１０の外周部を被覆しかつ上記内筒カバー体１
   ７の筒状部２０を摺動自在に嵌合する筒状部１８
   及びアウターシヤフト１０のユニバーサルジヨイ
   ント９の外周部を被覆する円錐形状部１９を有す
   るとともに、上記筒状部１８は、上記内筒カバー
   体１７の筒状部２０の着色表示部２２を外部から
   透視できる透視材にて形成した ことを特徴とする農作業機用動力伝達装置。