JPH02182863A - マルテンサイト系快削ステンレス鋼 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、被削性、特に切屑処理性と耐工具磨耗性に優
れたマルテンサイト系快削ステンレス鋼に関するもので
ある。

（従来の技術） 近時、ＶＴＲ１複写機などに代表される電子通信機器用
のマイクロシャフト材として、切削高加工能率を有する
ステンレス鋼線材の要求が急速に高まりつつある。

従来、被削性の向上を目的に、Ｐｂ＊　Ｓｒ　　Ｓｅ及
びＴｅなどを単独または複合で含有させ、これにより生
ずる耐蝕性や熱間加工性の劣化を、ある程度蟻牲にした
種々の快削ステンレス鋼が開発され実用されている。

（発明が解決しようとする課Ｂ） しかし、これらの元素（以下単に快削性元素と呼ぶ）は
、被削性を向上させる機構あるいは役割がそれぞれ異な
り、被削性と呼ばれる諸特性（−般に切屑処理性、工具
寿命、切削仕上げ面性状、切削抵抗の４項目を指す）の
うち、どの特性に主に効果を示すか必然的に異なってく
る。

従って、使途に応じた必要な被削性だけを向上させ、耐
蝕性や熱間加工性の劣化を最小限に抑えることのできる
最適快削性元素および最適添加量が存在する。

最近では、ＮＣ工作機械の大幅な導入により、機械工作
技術は急速に自動化し、工場は無人化しつつある。そこ
で主として問題となり期待されるのは、切屑処理性と工
具寿命の向上である。

（課題を解決するための手段） そこで本発明者らは、快削性元素のうちｐｂとＳについ
てマルテンサイト系ステンレス鋼の被削性に及ぼす効果
を種々検討した結果、切屑処理性の改善には主としてＰ
ｂ１そして耐工具磨耗性向上には主としてＳ添加が有効
である、すなわちｐｂとＳを複合添加することにより、
熱間加工性に有害なｐｂや耐蝕性に有害なＳを必要最小
限に押さえ、上記の切屑処理性および耐工具磨耗性の両
特性を同時に改善できることを見出し本発明に到った。

すなわち本発明は、Ｃ：　０．２５〜０，４％、Ｓｌ：
１．０％以下、Ｍｎ：　０．３〜１．０％、Ｓ　：　０
．０３〜０．１％、Ｃｒ：１２〜１４％、Ｐ　ｂ：０．
０５〜０．２％を含み、不純物としてＰ　：　０．０４
％以下、Ｎｉ：０．６％以下とし、残部がＦｅからなる
ことを特徴とするマルテンサイト系快削ステンレス鋼で
ある。

（作　　用） まず、Ｓを０．０３〜０．１％添加することは本発明の
特徴の一つである。Ｓ添加量の異なるマルテンサイト系
快削ステンレス鋼５ＵＳ４２０Ｊ　２　（Ｐｂ）の超硬
工具による切削試験の結果を、化学組成とともに第１表
および第１図にまとめて示す。

切削条件は超硬工具による無潤滑の外周長手旋削であり
、切削速度７０ｍ／ａ＋Ｉｎｓ送りｆｆ１０．０８ｍｍ
／ｒｅＶ　Ｓ切込みｍ　Ｏ，４ｍｍである。

これより明らかなように、Ｓ量の多いほど超硬工具の磨
耗量（ＶＢ）が減少している。これは、Ｓ添加により鋼
中にＭｎＳを形成し、耐工具磨耗性を向上させたものと
考えられる。

上記効果の期待できるのは、少なくともＳが０．０３％
必要であり、Ｓ量の多いほど顕著である。

しかし、Ｓは特に耐蝕性を損ねるため上限を０．１％と
した。

さらにｐｂを０．０５〜０．２％添加することは本発明
の特徴である。Ｐｂ添加量の異なるマルテンサイト系ス
テンレス鋼ＳＵＳ　４２０Ｊ　２　（Ｐｂ）の超硬工具
による切削試験を実施し、被削性を検討した結果を、化
学組成とともに第２表および第２図にまとめて示す。

切削条件は超硬工具による無潤滑の外周長手旋削であり
、切削速度４０ｍ／ｗｉｎｓ送りｉｌＯ，０８ｍｍ／ｒ
ｅｖ、切込み量０．ｌ龍である。

これより明らかなように、Ｐｂは被削性、特に切屑処理
性の向上に効果がある。この効果はｐｂが０．０５％以
上で現れ、ｐｂの多いほど顕著であるが、０．２％超で
はそれ以上の向上の効果は見られないばかりか、熱間加
工性を劣化させ、また製造時の環境汚染などの問題から
上限を０．２％とした。

次に本発明のその他の成分組成の限定理由について説明
する。

Ｃは、０．２５〜０．４％とした。これは次の理由から
である。本発明鋼はフェライト相から焼入れ焼戻しを行
い、マルテンサイト組織で使用する。マルテンサイト組
織特有の機械的性質、特に硬さをＨＢで２１７以上を確
保するにはＣが０．２５％以上必要であるが、Ｃは強力
なオーステナイト安定化元素であること、及び多量に含
有すると耐蝕性の劣化を招くことなどから上限を０．４
％とした。

Ｓｌは、フェライト安定化に効果があるが、多量に含有
すると靭性や熱間加工性を害することより上限を１．０
％とした。

Ｍｎは、熱間加工性および被削性向上に効果があり、特
に被削性の向上に寄与するＭｎＳの形成にはＭｎが０．
３％以上必要である。しかし、Ｍｎはオーステナイト安
定化元素であることおよび、多量のＭｎＳの形成は耐蝕
性を損ねるため上限を１．０％とした。

Ｐは、わずかの量ならば被削性を向上させる効果がある
が、偏析を起こしやすく、熱間加工性の劣化を招くため
０．０４％以下とした。

Ｎｆは、強力なオーステナイト安定化元素であリ、その
添加によりマトリックスを粘くし、切削性を劣化させる
ため０，６％以下とした。

Ｃｒは、フェライト系ステンレス鋼の基本成分であり、
耐蝕性すなわち不動態を保つ最低量として１２％必要で
ある。この効果はＣｒの多いほど顕著であるが、快削鋼
としての経済性などから１４％を上限とした。

（実　施　例） 第３表に示す化学成分の供試材を真空溶解し５０眩鋼塊
を作製した。これらの鋼塊を１１００℃×３時間均一化
処理後、熱間鍛造および熱間圧延を行い１３．５ｍｉφ
の線材にした。

その後１１００℃Ｘ１５分の焼鈍を行い、センタレスＩ
ＪＩＩ工により１２ｍ１φに仕上げた。

この線材について切屑処理性および耐工具磨耗性を調査
した。

（１）切屑処理性 上記１２ｍｍφ線材の超硬工具による旋削試験を下記の
条件で行い、切屑処理性を調査した。

（切屑処理性評価試験） 試験材：　１２ｍｍφ 切削工具：超硬ＫＬＯ（０，５，−１１，−６゜３０、
　０．０．２） 切削方式：外周長手旋削 切削速度ニア０ｍ／ａ＋１ｎ 送り速度：　０．０２．０．０４．０．０８　（ａｍ／
ｒｅｖ）切込み量＝０．２順 切削油：な　し 評価方法：切屑の外観形状 その結果を第３表に併記するとともに、切屑外観のスケ
ッチを第３図に示す。

同図より明らかなとおり、本発明鋼はｐｂとＳを複合添
加することで、従来鋼（比較鋼■）よりも切屑処理性が
優れており、ｐｂを単独で０，２４％添加することで被
削性を改善した従来鋼（比較鋼■）とほぼ同等であるこ
とが分かる。

（２）耐工具磨耗性 （１）と同様超硬工具による旋削試験を下記の条件で行
い、耐工具磨耗性を調査した。

その結果を第４図に示す。

（耐工具磨耗性評価試験） 試験材：１２關φ 切削工具：超硬ＫＩＯ（０，５，−１１，−６゜３０、
　０．０．２） 切削方式：外周長手旋削 切削速度ニア０ｍ／ｇｉｎ 送り速度：　０．０６＋ａｍ／　ｒｅｖ切込み量：０．
２ｍｍ 切削油：なし 評価方法：逃げ面摩耗幅ＶＢ（μｓ） 第４図より明らかなごとく、従来鋼に比較し本発明鋼は
工具磨耗量が著しく減少していることが分かる。

以上のとおり本発明鋼は、従来鋼より切屑処理性および
耐工具磨耗性の両特性を向上しており、その技術的優位
性が明らかである。

（発明の効果） 本発明はｐｂとＳを複合添加することにより、熱間加工
性に有害なｐｂや耐蝕性に有害なＳを必要最小限に抑さ
え、切屑処理性および耐工具磨耗性の両特性を同時に改
善したマルテンサイト系快削ステンレス鋼をうるちので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、Ｓ添加量の異なる供試材（Ｓｌ−Ｓ２）につ
いて旋削試験による超硬工具の磨耗量を比較したグラフ
、第２図は、ｐｂ添加材（Ｐｂ）とＰｂ無添加材（Ｐｌ
）について旋削試験による超硬工具の磨耗量を比較した
グラフ、第３図は、発明鋼と比較鋼について旋削試験に
よる切屑外観の模式図、第４図は、発明鋼と比較鋼につ
いて旋削試験による超硬工具の磨耗量を比較したグラフ
である。 代　理　人　　弁理士　　茶野木　立　大切Ｉ＋１時間 （ｍｉｎ’） 切削時間（だ１ｙｔ） 第３図

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 重量比で、 Ｃ：０．２５〜０．４％、 Ｓｉ：１．０％以下、 Ｍｎ：０．３〜１．０％、 Ｓ：０．０３〜０．１％、 Ｃｒ：１２〜１４％、 Ｐｂ：０．０５〜０．２％、 不純物として、 Ｐ：０．０４％以下、 Ｎｉ：０．６％以下、 残部が実質的にＦｅからなることを特徴とするマルテン
   サイト系快削ステンレス鋼。