JPH0217262B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、溶融金属の連続鋳造に関し、特に、
鋳型を振動あるいは往復運動させる装置に関す
る。更に詳しくは、本発明は、鋳造物が鋳型から
真直ぐ下方へ移動する垂直鋳型あるいは鋳型から
出た鋳造物が弓形の進路を移動する湾曲鋳型に金
属を連続鋳造するための鋳型振動装置に関する。
以下、本発明を鋼の連続鋳造に関して説明する
が、本発明はもちろん鋼以外の金属の連続鋳造に
も用いることができる。

〔従来の技術および問題点〕

これまで多くの場合、連続鋳造用鋳型は振動機
構（振動装置）に接続した大きな枠の中のスプリ
ングの上に設置されていた。枠と枠内の鋳型と
は、相互に水平調整および心合わせし且つ鋳型下
方のローラーエプロンに対しても正しく心合わせ
して、鋳型から出た鋳造物のストランド中に過剰
な応力が発生しないようにする必要があつた。更
に、鋳型に真に鉛直な直線往復運動をさせること
は困難であつた。従来の振動機構は複雑で且つ大
型であつたため結局これを支持する構造も巨大で
あつた。

従来の鋳型振動装置においては、この往復運動
装置は鋳型の非常に近くに、通常は噴霧室の中に
設けられている。あるいは、往復運動装置は、通
常長い半径方向のアームで遠くの中心に接続した
巨大な機構群を含んでいる。このような装置は巨
大なばかりでなく保守および補修が困難であり、
正確な制御も困難である。

噴霧室は密閉された領域であり、その中では出
てきた連続鋳造物の表面に水が直接噴霧されて連
続鋳造物を冷却しており、その結果大量の水蒸気
が発生するため、鋳造物およびその付近の設備を
明瞭に目視監視することができないし、操業中に
通常保守作業をすることもできない。

連続鋳造鋳型を振動運動させると鋳造速度が高
まり且つ製造される連続鋳造物（鋳片）の表面品
質が向上することはよく知られている。鋳型振動
サイクルの下降行程中には、鋳型はほぼ鋳造速度
ですなわち鋳片が進行する分速で下方へ移動す
る。次に、鋳型は鋳片進行とは逆の方向に上方へ
移動して最初の位置まで戻り振動サイクルが完結
する。上方への移動速度よりもかなり高速であ
る。多くの場合このサイクルは１分間に約100回
という高速で繰返えされる。連続鋳造機でのこの
鋳型振動は、垂直鋳型の場合には鉛直方向に、湾
曲鋳型の場合には湾曲に沿つて弓形に行なわれ
る。

現在利用できる鋳型振動機構は、軌道内を移動
できるカムロールバンクの中に配置されたカムロ
ールあるいはカムフオロアを使用している。耐火
物の破片、鋼の粒、スプラツシユ、スパツタ、あ
るいはその他の異物のような屑が軌道内に侵入
し、軌道上で移動するカムロールバンクに、およ
びベアリング部に振動、摩耗、および損傷を発生
させるので頻繁に補修が必要になる。フレキシブ
ルなユニツトから成るカムロールバンクは熱と水
蒸気に曝されており、定常的な基盤上で滑動させ
ることは、特に鋳造実施中は、困難である。

Bota、Jrらは米国特許第3881544号において溶
融金属が鋳型振動装置上にこぼれると損傷を起こ
せ易いので問題であると記載している。ここで更
に認識されるべきことは、鋳型の真下に配置され
ている振動設備の上にはスラグその他の異物が頻
繁に落下してきて、適正な振動を困難にするとい
うことである。その上、振動設備が標準的な位置
あるいはBotaが採用した位置に設けられている
場合、高温の鋳造位置に近いため、運転中に保守
員が作業することは非常に困難である。

静止した底なし鋳型を用いると、凝固した金属
が鋳型の壁面に固着し易いため、鋳型からの鋳片
の引抜きが困難になる。このような方法では極め
て低速になり、鋳片の表面品質が劣る。

本発明の目的の１つは、スラグ、スプラツシ
ユ、スパツタ、ブレークアウト、その他連続鋳造
過程で発生する異物によつて損傷を受けない鋳型
振動機構（鋳型振動装置）を提供することであ
る。

本発明のもう１つの目的は、ガイドの心合わせ
が極めて正確な鋳型振動機構を提供することであ
る。

本発明のもう１つの目的は、ストランドの心合
わせ不良を減少または解消した鋳型振動機構を提
供することである。

本発明のもう１つの目的は、可動部分を極力少
なくした鋳型振動機構を提供することである。

本発明のもう１つの目的は、堅牢な振動装置シ
ヤフトを有する鋳型振動機構を提供することであ
る。

本発明のもう１つの目的は、高速生産が可能な
金属の連続鋳型用鋳型振動機構を提供することで
ある。

本発明のもう１つの目的は、優れた表面品質の
連続鋳造鋳片の製造に有用な鋳型振動機構を提供
することである。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の目的は、本発明によれば、鉛直往復運動
する鋳型が鋳型テーブル枠上に設けられ、連続鋳
造鋳片が該鋳型から出現したときに該鋳片を該鋳
型の下に配置された密閉式噴霧室で噴霧冷却する
連続鋳造機において、 駆動モーター、 該駆動モーターに接続されたカム、 上端を該鋳型テーブル枠に固定された第１およ
び第２の鉛直のシヤフト、 該シヤフトに固定され、該カムと係合して該シ
ヤフトに鉛直往復運動を付与するカム従動子、お
よび 第１および第２の該シヤフトが内部に配置され
且つ該シヤフトが内部で鉛直に振動できる第１お
よび第２の鉛直のシヤフトガイド手段 を含んで成る鋳型振動装置であつて、 該シヤフトガイド手段の各々が鉛直の管を含ん
で成り、該管がその内部に鉛直方向に間隔をおい
て設けられた少なくとも１対のボールブツシユま
たはローラーブツシユを有し、該ブツシユが該管
の内部で該シヤフトを支持し案内し且つ心合わせ
する鋳型振動装置を有することを特徴とする連続
鋳造機によつて達成される。振動機構の全部品が
鉛直シヤフト直接接続してユニツトとして移動す
るので、実際上は駆動モータおよび付髄するカム
の他には移動部分はただ１つのみである。

本発明の鋳型振動装置は、垂直型および湾曲型
の連続鋳造鋳型のいずれにも用いることができ
る。振動装置は、噴霧室の外部に配置することが
でき、また振動シヤフトの心合わせを行なうため
に、振動シヤフトガイド内のボールブツシユまた
はローラーブツシユを用いる。ブツシユおよびそ
の他の振動装置部材は、振動装置の正常な作動を
妨害する屑等を発生させる操作から隔離すること
ができる。

本発明の振動機構は垂直鋳型あるいは湾曲鋳型
を鉛直方向に振動させる。これまでは、湾曲鋳型
を鉛直に振動させると、鋳型の排出端が各振動サ
イクル毎に湾曲鋳片の上側に食い込んだところに
マークが残留して製品不良の原因となると考えら
れてきた。実験の結果、鋳型によつて鋳片上に残
されたマークは圧延後の仕上製品には現れないこ
とが判明した。これは全く予期されない結果であ
つた。

〔実施例〕

以下、本発明を添付図面を参照し、実施例によ
つて更に詳しく説明する。

第１図において、連続鋳造鋳型１０が鋳型テー
ブル枠あるいは架台１２に固定されている。鋳片
１４は鋳型の底部から出現した後、冷却媒体噴霧
ボツクス１６内のガイドロールラツクの中のピン
チロールその他の支持ロールおよびガイドロール
が構成する弓形進路に沿つて移動する。

鋳型振動装置は、鉛直のシヤフト管４４および
４６の中に設けられた第１および第２の鉛直のシ
ヤフト４０および４２を有し、ボールプツシユ４
８および５０によつて、望ましくは管４４の上端
および下端で、支持される。ただし、各管の上下
端の中間に必要に応じて更にブツシユを付加的に
設けることができる。振動装置カム５２は、ヨー
クアダプター５６によつて両方の鉛直シヤフト４
０および４２に固定されたカム従動子すなわち振
動装置ヨーク５４の中で回転する。振動機構はシ
ールド５８によつて覆れていることが望ましい。
管４４あるいは４６は噴霧室の外部で上部支持部
材６０および下部支持部材６２に支持されてい
る。Ｏリングのような適当な密封手段６６を伴つ
た上部シヤフト管がカバープレート６４が鉛直シ
ヤフト管の頭頂部に固定されており、同様にＯリ
ングのような適当な密封手段６９を伴つた下部シ
ヤフト管カバープレート６８がシヤフト管の下端
に取り付けられている。各カバープレートと鉛直
振動装置シヤフトによつて密封してあるのでボー
ルブツシユへの異物の接触が防止される。振動機
構の密閉されていない唯一の部分は、上部シヤフ
ト管カバープレート６４と鋳型テーブル枠フラン
ジ２０との間のわずかな間隙で露出している鉛直
シヤフト４０の部分で、この間隙は全振動行程に
必要な距離にクリアランスのための許容距離を加
えた大きさである。

ベースプレート７２に支持された駆動モーター
７０が、振動装置カム５２を駆動するために結合
されている。カム５２が回転すると、振動装置シ
ヤフト４０および４２は鉛直方向に往復運動し、
鋳型テーブル枠１２を介して鋳型１０に鉛直方向
の直線往復運動を付与する。振動機構の配置は、
鋳型１０が鋳込床７４の上方にまで達するように
する。溶融金属はタンデイツシユ（図示せず）か
ら従来の鋳込シユラウド７６を通して鋳型１０の
上端に注がれる。窒素あるいはその他の不活性な
ガスがガス流入管７８を通して鋳込シユラウド７
６に供給される。鋳込シユラウド７６はシユラウ
ド支持部材８０によつて支持され且つシユラウド
支持部材８０に関して回転できるので、鋳込時に
シユラウドの位置を正確に設定でき、更にシユラ
ウドを鋳込位置から急速且つ容易に移動できる。

冷却液（たとえば水）が水流入管８２を通して
鋳型に供給される。噴霧水は冷却媒体噴霧ボツク
ス１６の中の鋳片を冷却するために適当に配置さ
れたノズル（図示せず）を通して供給される。

従来と同様に、適当な樋支持部材９２に支持さ
れた樋９０は、鋳片１４の移動が中断した場合
に、鋳型１０の上方の位置まで回転して鋳型１０
からの溶融金属を適当な処分場所へ流す。これは
安全上必要な配慮である。すなわち、通常は溶融
鉄を鋳込管７６を通して鋳型１０に供給するタン
デイツシユには一般的に鋳込制御機構はないの
で、連続鋳造機の下部に溶融金属のブレークアウ
トのような問題が発生した場合には、タンデイツ
シユ内に残留する溶融金属を処分場所へ排出しな
ければならないからである。

運転中は、鋳型テーブル枠１２は第２図のよう
に鉛直シヤフト４０および４２に強固に固定され
ている。鉛直シヤフトの上端は鋳型テーブル枠フ
ランジ２０の中に納められており且つボルト２２
のような手段によつて鋳型テーブル枠の上面に取
付けられている。シヤフト４０および４２はボー
ルブツシユ４８および５０によつて強固に保持さ
れており、軸に沿つて鉛直方向にのみ移動でき
る。したがつて、鋳片の移動（進行）中の鋳型１
０の動きは直線的な上下運動のみに限定される。
鋳片１４は鋳型から出現した後、連続鋳造機の床
まで続く弓形の進路を進行する。この床には鋳片
１４を適当な長さに切断する適当な設備が設けら
れている。

鋳型１０が湾曲している場合には、鋳型の下降
速度を鋳片１４の進行速度に等しくし且つ上昇速
度をこれよりも速くすれば、良好な鋳片肌が得ら
れることが分かつた。このことは、従来、湾曲鋳
型を湾曲線に沿つて振動させなければ十分な鋳片
肌は得られないと信じられていたこととは全く対
照的である。

ボールブツシユ４８および５０によつて振動装
置シヤフトの水平運動と側方振動とが防止される
ので、鋳型の心合わせは極めて正確にできる。ボ
ールブツシユ４８および５０の代りにローラーブ
ツシユを用いることができる。

〔発明の効果〕

以上詳述したように、本発明の金属の連続鋳造
用鋳型振動機構は、スラグ、スプラツシユ、スパ
ツタ、ブレークアウト等による損傷および連続鋳
造過程で発生する異物による損傷を受けることが
なく、ストランドの心合わせ不良を減少または解
消する極めて正確な心合せガイドを有し、高速生
産操業を可能とし、優れた鋳片肌品質を実現す
る。

以上の説明は本発明の望ましい実施例について
図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定
されることなく、特許請求の範囲内のどのような
変更も含む。

【図面の簡単な説明】

第１図は、湾曲型連続鋳造機および振動機構を
部分的に切除し、部分的に横断面を現わした側面
図である。第２図は、第１図の振動機構の振動装
置シヤフトと管を示す拡大断面図である。第３図
は、振動装置および鋳型を示す正面図である。 １０：鋳型、１４：鋳片（ストランド）、１
６：冷却媒体噴霧ボツクス、４０，４２：鉛直の
シヤフト、４４，４６：シヤフト管、４８，５
０：ボールブツシユ、５２：カム、５４：ヨー
ク、５８：シールド、６４：上部シヤフト管カバ
ープレート、６８：下部シヤフト管カバープレー
ト、７０：駆動モーター、７６：鋳込シユラウ
ド。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 鉛直往復運動する鋳型が鋳型テーブル枠上に
   設けられ、連続鋳造鋳片が該鋳型から出現したと
   きに該鋳片を該鋳型の下に配置された密閉式噴霧
   室で噴霧冷却する連続鋳造機において、 駆動モーター、 該駆動モーターに接続されたカム、 上端を該鋳型テーブル枠に固定された第１およ
   び第２の鉛直のシヤフト、 該シヤフトに固定され、該カムと係合して該シ
   ヤフトに鉛直往復運動を付与するカム従動子、お
   よび 第１および第２の該シヤフトが内部に配置され
   且つ該シヤフトが内部で鉛直に振動できる第１お
   よび第２の鉛直のシヤフトガイド手段 を含んで成る鋳型振動装置であつて、 該シヤフトガイド手段の各々が鉛直の管を含ん
   で成り、該管がその内部に鉛直方向に間隔をおい
   て設けられた少なくとも１対のボールブツシユま
   たはローラーブツシユを有し、該ブツシユが該管
   の内部で該シヤフトを支持し案内し且つ心合わせ
   する鋳型振動装置を有することを特徴とする連続
   鋳造機。 ２ 前記管の上端に固定され且つ前記シヤフトを
   受け入れることができる中心孔を有する上部管カ
   バープレートを更に含んで成る特許請求の範囲第
   １項記載の連続鋳造機。 ３ 前記上部カバープレート内に配置されて前記
   シヤフトをはめ込んで該上部カバープレートと該
   シヤフトとの間を密封する密封手段を更に含んで
   成る特許請求の範囲第２項記載の連続鋳造機。 ４ 前記シヤフトに前記鉛直往復運動を付与する
   カム従動子が、ヨークアダプターによつて第１お
   よび第２の前記シヤフトに固定されている特許請
   求の範囲第１項記載の連続鋳造機。 ５ 前記鋳型テーブル枠を前記シヤフトの上端に
   強固に取り付ける手段を含んで成る特許請求の範
   囲第１項記載の連続鋳造機。 ６ 前記鋳型振動装置が前記噴霧室の外部に配置
   されている特許請求の範囲第１項記載の連続鋳造
   機。 ７ 前記鋳型が湾曲鋳型である特許請求の範囲第
   １項記載の連続鋳造機。 ８ 前記鋳型が垂直鋳型である特許請求の範囲第
   １項記載の連続鋳造機。 ９ 前記管の下端に固定され且つ前記シヤフトを
   受け入れることができる中心孔を有する下部管カ
   バープレートを更に含んで成る特許請求の範囲第
   １項記載の連続鋳造機。 １０ 前記下部カバープレート内に配置されて前
   記シヤフトをはめ込んで該下部カバープレートと
   該シヤフトとの間を密封する密封手段を更に含ん
   で成る特許請求の範囲第９項記載の連続鋳造機。 １１ 前記管に強固に固定されて該管を鉛直に支
   持する上部および下部の管支持部材を更に含んで
   成る特許請求の範囲第１項記載の連続鋳造機。 １２ 前記鋳型振動装置のほぼ全体が密閉手段に
   よつて囲まれている特許請求の範囲第１項記載の
   連続鋳造機。