JPH0215759B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、タンクや輸送管等の漏洩部を補修す
る方法に関するもので、漏洩物が油である場合に
用いられる。

（従来技術とその問題点） 一般に、タンクや輸送管等の漏洩部を補修する
場合には、補修用の被覆板を固着したり、クラツ
クや小孔に接着剤を圧入乃至充填することが行わ
れているが、タンクや輸送管に内圧が掛かつた状
態では被覆板や接着剤が押し戻されたり、接着剤
に気泡が混入したりするため、タンク内のガス抜
きや輸送の中断を行う必要があり、操業の中断を
余儀なくされていた。

この問題を解決するために、特開昭57−83786
号において、輸送管の漏洩部に貫通孔を備えた剛
性ある円筒形のカバーを固定した後に貫通孔を閉
塞する補修方法が提案されている。

この方法は、管の漏洩部外側に、円筒体を縦に
二分割した半円筒体状の部材の一方にねじ穴を形
成し、漏洩物をこの穴から逃しながら漏洩箇所の
輸送管の外周全体を分割円筒体で覆い、次いで穴
を閉栓して漏洩を補修するようにしたものであ
る。

この方法は、設備を稼動させたまま漏洩箇所を
補修できる利点があるが、漏洩部の外側で分割円
筒体が溶接によつて固定されるため、油が漏洩し
ている場合には、溶接の火花によつて引火する恐
れがあり、仮に一時的に油の漏洩を阻止するとし
ても、漏洩部の周囲には油が付着しているために
管壁表面に分割円筒体を溶着させることが困難と
なる不都合がある。

（技術的課題） 本発明は、タンクが輸送管等の漏洩部を補修す
る方法において、油が漏洩している場合でも設備
の稼動を停止することなく補修できるようにする
ことを課題としたものである。

（技術的手段） この技術的課題を解決するための技術的手段
は、 (イ) 漏洩部の外側に貫通孔を備えた剛性ある被覆
板を反応型の変性アクリル系接着剤で接着固定
した後、 (ロ) 貫通孔を閉塞すること、 である。

（技術的手段の作用） 反応型の変性アクリル系接着剤は、油との親和
性があり、モノマーからポリマーへの反応が油に
よつて阻害されず、油面層があつても強い接着力
を発揮する。

被覆板は、貫通孔を備えているため、漏洩した
油が被覆板を押圧して接着剤の硬化を妨げること
がなく、被覆板が接着不良をおこすこともない。

従つて、タンクや輸送管から油が漏洩していて
も、漏洩部に被覆板を強固に固定することがで
き、設備の稼動を停止することなく漏洩を補修す
ることができる訳である。

（本発明の効果） 以上のように、被覆板の固定に火気を用いない
ため、引火性のある油であつても補修作業を安全
に行うことができ、しかも、補修のための一時的
な漏洩阻止を行つたり、大掛かりな補修器材を持
込む必要もなく、作業能率は極めて良い。

漏洩箇所を分割円筒体で覆う従来の方法では、
管壁の外周全体が覆われて補修箇所が大径となる
が、本発明では、被覆板を漏洩部だけに接着する
ため、補修箇所が大径とならず、多数の輸送パイ
プが相互の間隔を小さくして並んでいる場合で
も、他のパイプに影響を与えずに行える利点があ
る。

また、従来方法でタンクを補修、特にタンクに
縦方向に発生した亀裂や上下多段にあいた小孔を
補修しようとすると、タンクの外周全体を円筒体
で覆わざるを得なくなつて事実上補修することが
できないが、本発明では、亀裂箇所だけに被覆板
を用いるため、補修が大掛かりにならず補修を容
易になし得る利点がある。

尚、パイプに防錆油が塗布されている場合でも
補修が影響を受けるないのは勿論である。

（実施態様） 被覆板は、補修しようとするクラツクや小孔よ
り若干大きいものであれば良く、その形態は、タ
ンクや管体の外形の曲率に一致させておくのが良
い。

また、被覆板は、その全面を漏洩部に接着する
ようにしても良いし、被覆板の中央部に凹部を形
成してその周縁部が漏洩部を囲む状態で壁面と接
着するようにしても良い。

前者の場合、漏洩口とカバーの貫通孔とを一致
させ、接着剤が漏洩口を閉塞しないようにしなけ
ればならない。

有機又は無機質の接着剤やパテ剤でカバーの外
側を被覆しておくことによつて、補修材の耐久性
も向上し、タンクや輸送管等の構造体の一部とす
ることができる。

（実施例） 次に、上記技術的手段の具体例を図面を参酌し
て説明する。

第１図は、螺旋孔５を形成した被覆板としての
鉄板３を、螺旋孔５とパイプ１の漏洩部２とを一
致させて反応型変性アクリル系接着剤４でパイプ
壁１に接着固定し、ついでボルト６を螺旋孔に螺
入して閉栓したものである。

第２図は、被覆板としての鋼板１３の中央部を
凹面状となし凹面に螺旋孔１５を形成してタンク
の漏洩部の外側に反応型変性アクリル系接着剤で
接着させたものである。微細なクラツク１２が多
数あつたり細長いクラツクが生じている場合には
作業性が良く、接着剤が漏洩口を閉塞する心配も
ない。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を発明するためのもの
で、第１図及び第２図は補修箇所の断面図であ
る。 １……パイプ（壁）、２……漏洩部、３……鉄
板、４……接着剤、５，１５……螺旋孔、１２…
…クラツク、１３……鋼板。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 油のタンクや輸送管等の漏洩部外側に貫通孔
   を備えた剛性ある被覆板を反応型の変性アクリル
   系接着剤で接着固定した後、貫通孔を閉塞する油
   の漏洩補修方法。 ２ 被覆板全面がその貫通孔を漏洩口の外側に一
   致させて壁面に接着させる特許請求の範囲第１項
   に記載の補修方法。 ３ 被覆板がその中央部に凹みを形成して成り、
   その周縁部を壁面に接着させる特許請求の範囲第
   １項に記載の補修方法。 ４ 貫通孔を閉塞した被覆板の外側が無機質又は
   有機質の接着剤又はパテ剤で被覆される特許請求
   の範囲第１、第２又は第３項に記載の補修方法。