JPH0215616B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は線材（棒材、条材等）を搬送しながら
ガスの火炎で加熱する線材加熱炉に関する。

〔発明の技術的背景とその問題点〕

タングステン線などの線材を製造する工程にお
いて、線材を加熱するためにガス式の線材加熱炉
が用いられている。

従来ガス式の線材加熱炉として、筒状の炉体内
部を線材ガイドを設けて複数の燃焼室に区画し、
各燃焼室毎に燃焼ノズルと排気口を設けた構造の
ものがある。そしてこの加熱炉は、線材を炉体内
部に挿入し線材ガイドで案内しながら搬送して各
燃焼室を順次通過させることにより、各燃焼室毎
に燃焼ノズルにガスと空気との混合気を供給し火
炎を噴射して線材を加熱しており、燃焼したガス
は各燃焼室毎に排気口から排出している。

しかるに前述の線材加熱炉では、炉全体を一体
物として製作しており、線材の径や加熱温などの
条件により定まる加熱炉の容量に応じた長さの炉
を使用している。このため、容量が異なる各種の
加熱炉毎に個別にその容量に応じた長さを有する
炉全体を一体物として製作する必要があり、製作
に手間を要するとともに製作コストが高くなると
いう問題がある。また一般に線材加熱炉では、排
気口から排気する排ガスの余熱を利用して、ガス
に混合する燃焼用空気を予熱する熱交換器を設け
ている。しかし、従来の線材加熱炉は各燃焼室毎
に排気口を設けているので、熱交換器を設ける場
合には各燃焼室の排気口毎に各々１組の熱交換器
を接続して設ける必要がある。このため、熱交換
器の数が多く大変不経済であるとともに、構造が
複雑化し組立作業も面倒であるという問題があ
る。

〔発明の目的〕

本発明は前記事情に基づいてなされたもので、
種々の大きさの炉を容易に製作することができる
とともに、燃焼用空気予熱用の熱交換器を設ける
構成を簡素化できるガス式の線材加熱炉を提供す
ることを目的とする。

〔発明の概要〕

本発明の線材加熱炉は、炉体の内部に排気空間
部を存して炉心管を設け、この炉心管を線材ガイ
ドにより複数の燃焼室に区画し、各燃焼室毎に燃
焼ノズルを設けるとともに、各燃焼室と排気空間
部を連通する排気孔を炉心管に形成し、さらに排
気空間部と連通する排気管を炉体に設けて炉体ユ
ニツトを構成し、この炉体ユニツトは例えば複数
組接続して構成したものである。従つて、１組の
炉体ユニツトを１単位として炉の容量に応じ複数
組の炉体ユニツトを接続して所定長さの加熱炉を
構成し、また複数の燃焼室に共通に１組の熱交換
器を設けることができ、しかも排ガスを炉体ユニ
ツトの排気空間部を通すことにより線材に対する
加熱効率を向上できるものである。

〔発明の実施例〕

以下本発明を第１図ないし第３図で示す一実施
例について説明する。

図中１Ａ，１Ｂ，１Ｃは炉体ユニツトで、この
実施例では３組の炉体ユニツト１Ａ〜１Ｃを組合
せて線材加熱炉を構成している。

炉体ユニツト１Ａ〜１Ｃは各々同じ構成をなす
ので、中央の炉体ユニツト１Ｂを例にとり説明す
る。２は両端を開放した所定長さの円筒形をなす
炉体で、これはケーシング３、断熱材４および耐
火材５を層状に組合せて構成されている。炉体２
の内部には例えば２個の炉心管６，６が軸方向に
並べて設けてあり、炉体２と炉心管６，６との間
には炉心管６，６の周囲を囲む排気空間部７が形
成される。炉体２の内部には炉心管６，６の対向
する端部間に位置して線材ガイド８Ａが設けてあ
り、炉体２の両端部には線材ガイド８Ｂ，８Ｂが
設けてある。線材ガイド８Ａ，８Ｂは中心に線材
を通すためのガイド孔８ａを有する円錐形をなし
ている。線材ガイド８Ａは外径が炉心管６と同径
をなすもので、外周部の一部が炉体２内面に当接
するものであり、且つ線材ガイド８Ｂは外周部全
体が炉体２内面に接触するものである。そして、
線材ガイド８Ａ，８Ｂは炉体１に嵌合して炉心管
６，６を保持するとともに、炉心管６，６の端部
を閉塞している。このため、各炉心管６，６は２
個の燃焼室９，９に区画される。また炉体２内部
の排気用空間部７の両端は線材ガイド８Ｂ，８Ｂ
により閉塞される。さらに、炉体２には、各燃焼
室９，９の内部に火炎を噴射する燃焼ノズル１
０，１０が炉心管６，６の線材ガイド８を挾んで
隣り合う各端部に対応した箇所に設けてある。各
炉心管６，６の炉体２の端部に対応する端部には
燃焼室９，９と炉体２内部の排気空間部７とを連
通する排気孔１１，１１が各々複数個づつ形成し
てある。さらに、炉体２の中央上部には排気空間
部７と連通する排気口１２が形成してある。この
排気口１２にはフランジ体１３を介して排気管１
４が直立して接続してある。フランジ体１３の内
部には給気口１５が形成してあり、これは給気管
１６と接続してある。排気管１４の内部にはフラ
ンジ体１３の空気供給口１５と接続する内部加熱
管１７が直立して設けてあり、これは接続具１８
を介して外部加熱管１９に接続してある。外部加
熱管１９は排気管１４の外周側を軸方向に沿つて
囲んで設けられたもので、フランジ体１３と内部
加熱管１７と排気管１４と組合せて熱交換器２０
を構成している。また、外部加熱管１９と接続し
た混合管２１はガス供給管２２とも接続し、さら
に２本のバーナ２３，２３に接続している。各バ
ーナ２３，２３は前記各燃焼バーナ１０，１０に
接続するものである。なお、前記炉体２の両端部
には接続フランジ２４，２４が固定してある。

このように構成した炉体ユニツト１Ａ，１Ｂ，
１Ｃは、炉体２内部に２個の燃焼室９，９を備
え、これら燃焼室９，９に共通な排気管１４を含
む１組の熱交換器２０を備えている。

そして、３組の炉体ユニツト１Ａ，１Ｂ，１Ｃ
は炉体軸方向へ並べて設け、各炉体ユニツト１
Ａ，１Ｂ，１Ｃにおける炉体２の対向する端部の
接続フランジ２４，２４を突き合せてボルト（図
示せず）で接続固定する。この場合、中央側の炉
体ユニツト１Ｂの両端部に設けた線材ガイド８
Ｂ，８Ｂは、両端側の炉体ユニツト１Ａ，１Ｃの
線材ガイド８Ｂを共用して両端側の炉体ユニツト
１Ａ，１Ｃの燃焼室９および排気空間部７の端部
を閉塞する。また、両端側の炉体ユニツト１Ａ，
１Ｃの外端部（加熱炉の両端部）には、各々端蓋
２６，２６で閉塞する。このように構成した線材
加熱炉は６個の燃焼室９と３組の熱交換器を備え
ることになる。

しかして、この線材加熱炉により線材を加熱す
る場合について述べる。タングステン線などの線
材２７を例えば炉体ユニツト１Ａの左端部（線材
入口）から線材ガイド８Ｂのガイド孔８ａを通し
て燃焼室９内部に挿入し、続いて線材２７を各炉
体ユニツト１Ａ〜１Ｃの線材ガイド８Ａ〜８Ｂの
ガイド孔８ａで案内しながら水平方向に搬送する
ことにより各炉体ユニツト１Ａ〜１Ｃの各燃焼室
９を順次通過させ、その後に線材２７を炉体ユニ
ツト１Ｃの右端部（線材出口）の線材ガイド８Ｂ
のガイド孔８ａを通して外部へ送出する。そし
て、各炉体ユニツト１Ａ〜１Ｃでは燃焼ノズル１
０，１０から火炎を燃焼室９，９の内部に噴射
し、各燃焼室９，９を通過する線材２７を加熱す
る。火炎の噴射に用いる燃焼用空気は、給気管１
６から熱交換器２０におけるフランジ１３の給気
口１５に送り込み、さらに内部加熱管１７および
外部加熱管１９を通して混合管２１に供給され
る。またガスはガス供給管２２から混合管２１に
供給される。混合管２１ではガスと空気が混合し
て混合気となり、この混合気はバーナ２３，２３
に送られ点火され火炎となる。この火炎はバーナ
２３，２３から燃焼ノズル１０，１０を通り燃焼
室９，９内部に噴射される。この火炎は燃焼室
９，９で燃焼しながら燃焼室９，９を通過する線
材２７を直接加熱するとともに、燃焼室９，９の
内部温度を高めて線材２７を加熱する。火炎の燃
焼により生じた排ガスは、各燃焼室９，９毎に炉
心管６，６の連通孔１１，１１を通つて炉心管
６，６を囲む排気用空間部７に流出し、この排気
用空間部７を流れて炉体２の排気口１２に集合す
る。ここで、排ガスは排気用空間部７を流れる時
に、炉心管６，６を外側から加熱する。このた
め、炉心管６，６内部の燃焼室９，９は外側から
も加熱されて効率良く温度上昇し、線材２７を良
好に加熱できる。さらに排ガスは排気口１２から
フランジ体１３を介して排気管１７を通り外部へ
排出される。この場合、排ガスは排気管１４を通
過する時に、排気管１４の内部に設けた内部加熱
管１７および外部加熱管１９を流れる燃焼用空気
を加熱（予熱）する。すなわち、燃焼用空気は内
部加熱管１７を通過する時に排気管１４を流れる
排ガスにより加熱されて温度上昇し、さらに外部
加熱管１９を通過する時に再び排ガスにより加熱
されてさらに温度上昇する。このようにして排ガ
スと燃焼用空気との間に熱交換が行なわれ、燃焼
用空気が予熱される。

しかして、前述した実施例では炉体ユニツトを
３組組合せて線材加熱炉を構成する場合について
説明したが、これに限定されずに炉体ユニツトを
２組あるいは４組以上組合せるようにしても良
い。また、１組の炉体ユニツトを単独で使用する
ことができる。すなわち、本発明では線材の径、
加熱温度、線材送り速度などの条件により定めら
れる炉の容量に応じて所定数の炉体ユニツトを組
合せて所定長さの加熱炉を構成する。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明によれば、炉体ユニ
ツトを組合せて所定の大きさの線材加熱炉を構成
するので、容量が異なる種々の線材加熱炉を経済
的に製作でき、また炉体ユニツトは複数の燃焼室
に共通にして排気管を設けるので、排ガスの余熱
で燃焼用空気を予熱する熱交換器を設ける場合に
その数を抑制して構造の簡素化を図ることがで
き、さらに炉体ユニツトでは排ガスの余熱を利用
して線材を効率良く加熱することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は各々本発明の線材加熱炉
の一実施例を示す一部切欠正面図、一部切欠平面
図および横断面図である。 １Ａ，１Ｂ，１Ｃ……炉体ユニツト、２……炉
体、６……炉心管、７……排気用空間部、８Ａ，
８Ｂ……線材ガイド、９……燃焼室、１０……燃
焼ノズル、１１……排気孔、１２……排気口、１
４……排気管、１６……給気管、１７……内部加
熱管、１９……外部加熱管、２１……混合管、２
２……ガス供給管、２３……バーナ、２７……線
材。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 線材を搬送しながら加熱するガス式の線材加
   熱炉において、筒状をなす炉体の内部に排気空間
   部を介して前記線材を通す炉心管を設け、この炉
   心管は線材ガイドにより複数の燃焼室に区画し、
   この各燃焼室毎に燃焼ノズルを設けるとともに、
   各燃焼室毎に前記炉心管に前記燃焼室と前記排気
   空間部とを連通する排気孔を形成し、且つ前記炉
   体に前記排気空間部と連通する排気管を設けて構
   成した炉体ユニツトを備え、この炉体ユニツトは
   複数組並べて相互に接続可能なものであることを
   特徴とする線材加熱炉。