JPH0214953B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、コークスを乾燥冷却するための冷却
装置であつて、該冷却装置の上方部分におけるガ
ス状冷却媒体のための排出導管の範囲内に環状挿
入体を有している形式のものに関する。

［従来の技術］ コークスを乾燥冷却する場合に、冷却装置の上
方部分からのガス状冷却媒体の排出が、冷却装置
ライニングの築壁内に設けられている環状通路を
介して行われる冷却装置構造が公知になつてい
る。このような装置構造の欠点はとりわけ次の点
にある。即ち、上記環状通路のライニングのため
に複雑な形の多数のれんがを必要とし、かつま
た、全体としてこのような装置構造のために極め
て多くの耐火ライニング材料を必要とする点であ
る。しかも、冷却装置の外壁と内壁との間で熱膨
張が異なる結果として、冷間運転の際耐火ライニ
ングの損傷が発生する。この損傷の修繕はこのよ
うな装置構造ではほとんど不可能であるか、ある
いは可能だとしても時間および材料の多大の消費
と共に極めて大きな困難を伴う。

従つて、冷却装置の上から内部へガス状冷却媒
体のための排出導管の範囲内にまで達する環状挿
入体を備えつけることも提案されている。このよ
うな構造形式は例えばドイツ連邦共和国特許出願
公開第2700783号明細書の第１図に示されている。
この例の場合、上方から冷却装置内に装入された
高温のコークスが環状挿入体から流出すると盛り
上がりを形成し、この盛り上がりによつて環状挿
入体の外側と冷却装置の内側との間に閉鎖された
環状室が生じる。この閉鎖された環状室の範囲内
にはガス状冷却媒体のための排出導管の接続部も
配置されているので、冷却されるコークスから逃
げる高温ガスが上記環状室を介して排出導管内に
達することになる。このような構造形式は、最初
に述べた公知例に比較して或る程度の簡素化およ
び改善をもたらすものではあるが、なお完全には
次点をまぬがれない。

つまり環状挿入体が他の冷却装置ライニングと
いつしよに完全に耐火れんが壁によつて構成され
ており、従つて、たとえ程度は軽いにせよ既述の
公知例の欠点が依然として生ずる。

［発明が解決しようとする課題］ 本発明の課題は、コークスを乾燥冷却するため
の冷却装置であつて、冷却装置の上方部分におけ
るガス状冷却媒体のための排出導管の範囲内に環
状挿入体を有している形式のものにおいて、次の
点を配慮して構造的に改良することである： (1) 耐火材料の使用量が僅かで軽量かつ単純な構
造であること。

(2) 冷却装置の加熱プロセスおよび冷却プロセス
において熱膨張に起因する損傷のおそれを可能
な限り無くすること。

(3) 冷却されるコークスから出るガス流を良好に
制御でき、ひいては冷却装置内の流れ全体に好
影響を及ぼすこと。

［課題を解決するための手段］ この課題を解決するため本発明の冷却装置は構
造的に次の点を特徴とする：即ち、 (イ) 環状挿入体が耐熱金属材料から製造されてい
てかつその内側に適宜の耐摩耗耐熱保護層を備
えており、 (ロ) この環状挿入体はたんにその上方端部で適宜
な１つの固定機構を介して冷却装置の上方部分
と結合されており、 (ハ) 冷却装置の上方部分と下方部分との間にすべ
り継手が設けられている。

この場合、環状挿入体が従来通例の円筒形状の
代わりに円錐形状を有していると有利である。何
故ならばそれによつて冷却装置の内側と環状挿入
体の外側との間に比較的大きい環状室が生じ、し
かも環状挿入体の円錐形状によつて、コークスか
ら放出されるガスがその円錐面の全周にわたつて
環状室内に良好に分配されるからである。さら
に、円錐形の構造によれば相応に小さい構造体積
にとどまる。

必要な場合、ガス流を均等化するためおよび又
は絞るために適宜の構造部材を前記環状室内に周
方向で一様に分配して組み付けることもできる。
このような処置を例えば次のようにして特に簡単
な形式で行える。すなわち、環状挿入体の外側に
１つの支持リングを固定し、それに向かい合つた
冷却装置耐火ライニングの個所に相応の切り欠き
を形成して、この支持リングおよび切り欠きの上
へ構造部材を乗せるのである。これらの構造部材
も耐熱金属材料から成つているとよい。或は例え
ばいわゆるスライダれんがのよう異形耐火れんが
が使用されるようになつていてもよい。

なお、ガス状冷却媒体のための排出導管のため
の接続部が円形横断面を有していると有利であ
る。

［実施例］ 次に、図面に示した実施例に従つて本発明を説
明する。

この場合図面では、冷却装置の内本発明の特徴
的な構造を説明するために必要な部分だけを縦断
面図で示してある。本発明が対象としている冷却
装置は付設のコークス炉の炭化室から搬出された
赤熱コークスを上から装入されて下からガス状冷
却媒体で冷却するいわゆる消火塔の形体のもので
ある。図面では、赤熱コークスを装入するための
供給装置を有している冷却装置上方端部および、
冷却されたコークスのための引出し装置と冷却ガ
ス入口接続管部とを有している冷却装置下方端部
は省略されている。もちろん、図示していない冷
却装置部分に関しては種々異なつた構成が可能で
はあるが、本発明はそのうちの特別な態様に限定
されるわけではない。

図示の実施例の場合環状挿入体１が円錐形状を
なしている。この場合円錐外壁２は耐熱金属材
料、例えば耐熱鋼から成つている。この円錐外壁
２の内側には耐摩耗兼耐熱保護層３が取りつけら
れている。この保護層３は、耐火壁又は耐火射出
材又は突固め材から成つているとよい。また、い
わゆる火炎射出によつて施すことも可能である。
さらに、完全に均質の保護層でなければらないわ
けではなく、例えば異なつた材料特性を有する２
つの重なつた層から成つていてもよい。この場合
例えば上層は特に高耐摩耗性のものとし、下層は
特に断熱性のものとするとよい。環状挿入体１の
取付けはリング形のブラケツト４を介して懸架保
持であつて、ブラケツト４はアンカーボルト５に
よつて冷却装置外壁６に固定されている。この場
合前記円錐外壁２の上縁もしくはブラケツト４の
上縁と冷却装置外壁６との間には、ガス密のシー
ル部材１６が配置されており、このシール部材１
６はまた冷却装置外壁６のための或る程度の断熱
のためにも役立てられる。

公知の構造とは対照的に冷却装置外壁６は一貫
してなくて、上方部分７および下方部分８から成
つており、これらの両部分はすべり継手９を介し
て互いに結合されている。この場合上方部分７の
内径は下方部分８の外径に適合されており、従つ
て冷却装置の温度上昇に伴つて下方部分８が熱膨
張して上方部分７内にはいり込むことが可能であ
り、その場合該上方部分７はその位置に何ら変動
を生ずることはない。もちろん下方部分８が収縮
を生ずる冷却の場合には下方部分８が相応の動き
を呈する。

環状挿入体１の懸架が上述の形式でブラケツト
４によつて行われるだけなので、環状挿入体１の
位置は、ブラケツト４の範囲内で発生する鉛直方
向の熱膨張によつてしか影響を受けず、しかもこ
の範囲の熱膨張は下方部分８の熱膨張の作用を受
けない。

前記円錐外壁２の下部の外側には支持リング１
０が取りつけられており、それに向かい合つた冷
却装置ライニング１１は該支持リング１１の高さ
に切り欠き１２を有している。これによつて、ガ
ス流の均等化および又は絞りのために使う多くの
構造部材１３を簡単に配置することができる。こ
の構造部材１３は例えば既述のように耐熱金属材
料製であるが、いわゆるスライダれんが又は同様
な異形耐火れんがから成つていてもよく、支持リ
ング１０および切り欠き１２の上にたんにルーズ
に乗せられている。この場合もちろんこれらの構
造部材１３は円錐外壁２と冷却装置ライニング１
１との間に形成された環状スペースの全横断面に
わたつて均等に分配されている。

この図示した冷却装置の作用形式は次の通りで
ある。即ち、冷却すべきコークスは上から冷却装
置内に供給される。コークスは環状挿入体１から
流出すると、堆積されて盛り上がりを形成し、こ
の盛り上がりは冷却装置ライニング１１から円錐
外壁２の下縁にまで達する。それによつて、円錐
外壁２の形状に基づき、盛り上がりの上側に閉鎖
された大きな環状室１４が生ずる。この環状室１
４内にコークスから上昇する熱いガスが集まり、
この場合前記構造部材１３が環状室１４へのガス
流の均等な分配もしくは絞りに役立つ。この大き
な環状室１４内には、図示されていない排出導管
のための接続管部１５が開口しており、該排出導
管を通して熱いガスが環状室１４から効率良く導
出されて別途の適宜な熱回収装置に供給される。
この場合静力学的な理由から接続管部１５は円形
横断面を有している。

図中のハツチング部分はすべて冷却装置ライニ
ングである。本発明による構造の場合、ライニン
グの耐火材料使用量は従来通例である使用量の50
％以下に節減可能であることが判つた。すべり継
手９の採用によつて、冷却装置ライニングの耐火
材料内の応力もしくは膨張に伴うき裂による修繕
のおそれは著しく減少する。もし、損傷が発生す
るようになるとしても、本発明による構造の単純
性および接近の容易さ、かつまた、冷却装置ライ
ニングに使用する耐火れんがの数のみならず種類
も少ないという事情に基づいて比較的容易にかつ
僅かなコストで修繕することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明によるコークスを間挿冷却するた
めの冷却装置の一実施例の部分縦断面図である。 １…環状挿入体、２…円錐外壁、３…耐摩耗兼
耐熱保護層、４…ブラケツト、５…アンカーボル
ト、６…冷却装置外壁、７…上方部分、８…下方
部分、９…すべり継手、１０…支持リング、１１
…冷却装置ライニング、１２…切り欠き、１３…
構造部材、１４…環状室、１５…接続管部、１６
…シール部材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ コークスを乾燥冷却するための冷却装置であ
   つて、該冷却装置の上方部分におけるガス状冷却
   媒体のための排出導管の範囲内に環状挿入体を有
   している形式のものにおいて、 (イ) 環状挿入体１が耐熱金属材料から製造されて
   いてその内側に適宜な耐摩耗兼耐熱保護層３を
   備えており、 (ロ) この環状挿入体１はたんにその上方端部で適
   宜な固定機構を介して冷却装置の上方部分７と
   結合されており、 (ハ) 冷却装置の上方部分７と下方部分８との間に
   すべり継手９が設けられていることを特徴とす
   る、コークスを乾燥冷却するための冷却装置。 ２ 環状挿入体１が円錐形をなしている、特許請
   求の範囲第１項記載のコークスを乾燥冷却するた
   めの冷却装置。 ３ 冷却装置の内側と環状挿入体１の外側との間
   に形成される環状室１４内に、ガス流を均等化す
   るかあるいは絞るための構造部材１３が配置され
   ている、特許請求の範囲第２項記載のコークスを
   乾燥冷却するための冷却装置。 ４ 構造部材１３が耐熱金属材料又は異形耐火れ
   んがから成つていて冷却装置のライニング１１の
   切り欠き１２および支持リング１０の上にルーズ
   に載つている、特許請求の範囲第３項記載のコー
   クスを乾燥冷却するための冷却装置。 ５ ガス状冷却媒体のための排出導管への接続管
   部１５が円形横断面を有している、特許請求の範
   囲第４項記載のコークスを乾燥冷却するための冷
   却装置。