JPH0214679B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は原子力プラントにおける各種機器の汚
れ等を除去するための除染方法に関するもので、
詳しくは、放射性物質で汚染した物質（たとえ
ば、金属、合成樹脂）の表面を除染する際に液体
の廃棄物処理の必要性がなくし且つ研掃された放
射性物質等を飛散させないように回収させられる
ようにする被処理物表面の除染方法に関するもの
である。

放射性物質で汚染した物質の除染方法として
は、 砂をノズルより高圧で被処理物へ吹き付けて
除染するサンドブラスト方法、 水を噴射して除染する方法、 氷の粒子を吹き付けて除染するアイスブラス
ト方法、 フレオン液を噴射して除染する方法、 ドライアイスの粒子を吹き付けて除染するド
ライアイスブラスト方法、 等がある。

しかしながら、上記のサンドブラスト方法の
場合は、被処理物に吹き付けられて除染に供され
た使用済サンドが放射性固体廃棄物となるため、
その廃棄物処理が必要となり処理が難しく、又、
粉塵の発生で汚染物の飛散があり、粉塵防止が必
要である。

の水噴射による除染は、除染効果が悪く、
又、大量の水を使用するため、放射性物質を含ん
だ廃水の処理が困難である。

のアスイブラスト方法は、氷の塊をサンドブ
ラストのように噴射し被処理物の表面を研掃する
方法であり、研掃効果はサンドブラストの場合と
ほぼ同じであるが、氷が溶けるため、前記と同
様に廃水処理に問題がある。

の方法は、フレオン液を噴射しフレオンを気
化させ回収して上記における廃水処理を容易
にするものであるが、除染効果が低い。

のドライアイスブラスト方法は、ドライアイ
スの粒子が硬いのでアイスブラストよりも研掃効
果があり、理論的には有効であると考えられてい
るが、現実にはドライアイス粒子を作るため砕い
た際、ドライアイスが粉末になり易く、研掃に用
いるドライアイスとしての収率が悪くコスト高と
なるため、採用されていないのが実情である。仮
りに採用したとしても、ドライアイスの昇華で放
射性物質が気体に同伴する可能性があると共に、
一時的に視界が妨げられて作業性が悪くなるとい
う欠点がある。

本発明は、原子力プラントにおける放射性物質
で汚染した機器の表面除染に際し、空気中で昇華
し易い性質を有する硬い固体であるドライアイス
の粒子を被処理物表面に噴射することにより従来
の液体廃棄物の処理の必要をなくすと共に、上記
研掃材の昇華に伴ない気体に同伴する放射性物質
の飛散や一時的な視界の妨げとなることをも防止
することを目的としてなしたもので、ドライアイ
スの粒子を研掃材として放射性物質で汚染した機
器の表面に噴射する際、研掃された放射性物質を
飛散させないように低級アルコールをドライアイ
ス粒子に添加するか、或いは被処理物表面に添加
して前記噴射を行い、放射性物質等を液状のアル
コール粒子に付着させて回収し、上記の目的を達
成しようとするものである。

以下、本発明の実施例を図面を参照して説明す
る。

第１図は一例としてドライアイス粒を研掃材と
して用いるためクラツシヤーでドライアイス粒を
製造する場合を示している。トラツク１９等で運
ばれて来たドライアイス１をクラツシヤーで砕く
までは冷凍庫２０に入れておくようにする。冷凍
庫から出されたドライアイス１の固まりは、コン
ベヤ等にてクラツシヤー２に運び、該クラツシヤ
ー２で粉砕する。粉砕されたドライアイスは、続
いて篩機３に移して篩い分けるようにする。上記
篩機３は、研掃材として使用するに適したサイズ
のドライアイス粒１ａと、微細化されたドライア
イス粒１ｂとに篩い分ける作業を行うようにして
あり、該篩機３で研掃材として適するサイズとし
て分けられたドライアイス粒１ａは、そのままコ
ンベヤの如き搬送手段５でブラストタンク６へ送
入されるようにし、一方、上記篩機３で篩い分け
られた小径のドライアイス粒１ｂは、ペレタイザ
ー４に移してここで研掃材として使用するに適す
る粒度のドライアイス粒１ａに造粒された後、搬
送手段５でブラストタンク６へ送入されるように
する。上記ブラストタンク６は、ドライアイス粒
１ａを貯え、順次排出して圧送させるもので、そ
の構成は、一例を示す如く、ドライアイス粒１ａ
を受け入れる受槽７を２段の槽８ａ，８ｂを有す
るブラストタンク６頂部に電磁開閉弁９を介して
載置させ、上段の槽８ａと下段の槽８ｂとの間及
び下段の槽８ｂの下端にも同様に電磁開閉弁１
０，１１を設置し、コンプレツサー１２と噴射ノ
ズル１４とをつなぐ圧搾空気流路１３と上記ブラ
ストタンク６の上下２つの槽８ａ，８ｂとを、途
中に開閉弁V₁，V₂を有する空気通路１５，１６
により連通すると共に、下段の槽８ｂの下端と上
記圧搾空気流路１３とを電磁開閉弁１１を介し連
通させ、回転作業台１７上の被処理物１８に対し
ドライアイス粒１ａが圧搾空気に乗せられて噴射
ノズル１４より投射されるようにしてある。２１
は噴射ノズル１４を操作させるマニピユレータ、
V₃，V₄は圧搾空気流路１３に設けた開閉弁であ
る。

本発明の方法は、上記構成のブラスト装置を用
いて被処理物１８の表面にドライアイス粒１ａを
噴射する際に、放射性物質飛散防止剤を添加さ
せ、研掃時にドライアイスが昇華するとき気体に
同伴して飛散しようとする研掃された放射性物質
等を上記飛散防止剤に付着させて回収することを
特徴とする。放射性物質飛散防止剤の添加時期
は、第２図に示す如く、 (イ) 篩機３で篩い分けられてブラストタンク６へ
送られる過程で添加してドライアイス粒１ａに
含存させる。

(ロ) 噴射ノズル１４においてドライアイス粒１ａ
に添加し含存させる。

(ハ) 被処理物１８の表面に、事前に又は研掃開始
と同時に直接添加させる。

上記放射性物質飛散防止剤としては、放射性物
質及び被処理物表面材と親和性のある飛散防止
剤、メチルアルコールやエチルアルコール等の低
級アルコールを使用する。

今、放射性物質で汚染している被処理物１８の
表面除染を行う場合には、第１図に示すドライア
イスブラスト装置を用いてドライアイス粒１ａを
被処理物１８の表面に向けて噴射させる。すなわ
ち、ドライアイス１の固まりをクラツシヤー２で
砕いた後、篩機３で研掃材として適するサイズの
ドライアイス粒１ａと不適のドライアイス粒１ｂ
に篩い分け、ドライアイス粒１ｂはペレタイザー
４でドライアイス粒１ａとして造粒させ、ドライ
アイス粒１ａは搬送手段でブラストタンク６頂部
の受槽７に移送した後、ブラストタンク６に移
す。

上記(イ)の如く、ドライアイス粒１ａがブラスト
タンク６へ入れられる過程で放射性物質飛散防止
剤を添加したとすれば、ブラストタンク６内で該
該放射性物質飛散防止剤はドライアイス粒１ａと
ともにブラストタンク６から圧搾空気流に乗つて
噴射ノズル１４より噴射されることになる。ブラ
ストタンク６から圧搾空気流路１３へのドライア
イス粒１ａの移送は、次のようにして行う。先
ず、受槽７からブラストタンク６の上段の槽８ａ
内へドライアイス粒１ａを移す場合は、電磁開閉
弁１０、開閉弁V₁を閉、電磁開閉弁９を開とし
て受槽７から上段の槽８ａ内へ落し込む。次に、
電磁開閉弁９、開閉弁V₂を閉、電磁開閉弁１０、
開閉弁V₁，V₃を開にし、上段の槽８ａ内から下
段の槽８ｂ内へドライアイス粒１ａを移す。次い
で、電磁開閉弁１１、開閉弁V₂，V₄を開にし、
圧搾空気に乗せてブラストタンク６からのドライ
アイス粒１ａを噴射ノズル１４へ連続的に送るよ
うにする。

噴射ノズル１４からドライアイス粒１ａが被処
理物１８の表面に吹き付けられると、ドライアイ
スの硬い固体粒子により被処理物１８の表面は研
掃され、放射性物質及び表面の被研掃材が周囲に
飛散する。又、同時にドライアイス粒１ａは被処
理物１８に打ち付けられて砕かれると共に空気と
接して昇華し、このドライアイスの気化により被
処理物１８の周りは煙が立ち篭めた状態になろう
とする。

ところが、既にドライアイス粒１ａに、放射性
物質飛散防止剤が添加してあるため、上記ドライ
アイスが昇華して気体に同伴して飛散しようとす
る放射性物質や研掃された被処理物表面材が、上
記ドライアイスの衝突時に霧状に広がつた液状の
アルコール粒子に付着して落下する。これにより
空気中に飛散する放射性物質を減少させることが
でき、排気処理を容易に行うことが可能となる。

上記放射性物質等が付着した使用済の飛散防止
剤は、第２図に示す如く回収工程で回収し、更に
処理工程で処理する。

本発明の方法においては、飛散防止剤は前記
(イ)、(ロ)、(ハ)のいずれの時期に添加しても、研掃時
に発生するドライアイス粒の気化に伴う霧化や、
気体に同伴して空気中に放射性物質が飛散するこ
とを防止することができる。

なお、本発明の方法の実施において、ドライア
イスをクラツシヤー２で砕き篩機３で篩い分ける
場合を示したが、ペレタイザーで所要のサイズの
ドライアイス粒を製造するようにしてもよいこ
と、ブラストタンク６は２つの槽８ａ，８ｂと
し、連続的にドライアイス粒を噴射できるように
した場合を例示したが、１槽のみとしてもよいこ
と、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で
種々の変更を加え得ることは勿論である。

以上述べた如く、本発明の方法によれば、放射
性物質で汚染した被処理物の表面に、ドライアイ
スの粒子を噴射して除染する際、低級アルコール
をドライアイス粒子に添加するか、或いは被処理
物表面に添加するようにしており、次のような優
れた効果を奏し得る。

(i) 硬い固体であるドライアイスを被処理物表面
に打ち付けるため、表面の放射性物質の除染が
容易且つ確実に行われる。

(ii) 気化し易い硬い固体であるドライアイスを研
掃材とするため、放射性廃液の処理量の大幅な
減少が図れる。

(iii) 被処理物表面にドライアイス粒子を噴射して
除染する際、低級アルコールをドライアイス粒
子に添加するか、或いは被処理物表面に添加す
るようにしているので、ドライアイス粒子の衝
突時に霧状に広がつた液状のアルコール粒子に
放射性物質等が付着して回収されることにな
り、よつて空気中に飛散する放射性物質等の量
を大幅に減じ得られて作業環境を汚染させるこ
とが少なく、且つ放射性物質等の排気処理が容
易となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の方法の実施に用いる装置の一
例図、第２図は本発明の方法のブロツク図であ
る。 １はドライアイス、１ａ，１ｂはドライアイス
粒、３は篩機、６はブラストタンク、１２はコン
プレツサー、１３は圧搾空気流路、１４は噴射ノ
ズル、１８は被処理物を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 放射性物質で汚染した被処理物表面に、ドラ
   イアイス粒子を噴射して行う被処理物表面の研掃
   を、ドライアイス粒子に低級アルコールを添加し
   て行うことを特徴とする被処理物表面の除染方
   法。 ２ 放射性物質で汚染した被処理物表面に、ドラ
   イアイス粒子を噴射して行う被処理物表面の研掃
   を、被処理物表面に低級アルコールを添加して行
   うことを特徴とする被処理物表面の除染方法。