JPH0214066B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は血管造影検査に使うカテーテルシース
イントロデユーサーの改良に関する。

＜従来の技術とその問題点＞ コンピユーター画像に基く血管造影検査を行な
う場合、股動脈や肘動脈に開口させた穿刺孔から
大動脈内へ、先づカテーテルの導入ガイドワイヤ
ーを挿入し、次いでそのワイヤーに沿いカテーテ
ルを送り込んだ後、該ワイヤーを抜き去つて、残
るカテーテル内へ造影剤を注入する作業が必要と
なる。

そのカテーテルとしては、大動脈の各種分肢に
応じた固有の先端屈曲形状を備えた多品種が予じ
め用意されており、これを選択的に使用し乍ら、
上記作業を行なう際にはその長尺なガイドワイヤ
ーも一々抜き差し操作しなければならず、その操
作上著しく煩雑であつて、１人では到底安全・確
実に作業することができない。

そこで、カテーテルシースイントロデユーサー
と称する器具が使われている実情である。つま
り、これはカテーテルを挿入案内する径大な中空
丸パイプ型のシースと、そのカテーテルの導入ガ
イドワイヤーを受け入れるべく、シースへ抜き差
し自在に貫通セツトされる径小な中空丸パイプ型
のダイレーターとから成つている。

そして、その使用上両者の組立セツト状態にお
いて血管の穿刺孔へ挿入し、予じめ用意された短
尺なガイドワイヤーを、そのダイレーターから挿
通させた後に、該ダイレーターのみを抜き去り、
残るシースから上記ガイドワイヤーに沿つてカテ
ーテルを送り込むことにより、爾後その短尺なワ
イヤーを言わば共用しつつ、各種カテーテルを選
択的に且つ簡便に挿入操作している。

ところが、従来のイントロデユーサーでは第１
１図のように、そのシースａとダイレーターｂ
とが所謂２重パイプ型の嵌合状態を保つていて、
何れもその直径寸法が変化する弾性作用を生じな
い構造となつているため、その嵌合面には必らず
や抜き差し作用上並びに成形時の寸法誤差などに
基く空隙ｗが発生することとなる。

その結果、シースａを仮りに薄肉化したとして
も、そのダイレーターｂに対するシースａの先端
段差部が、血管における穿刺孔の開口縁を爾後的
に摺擦する如く、物理的な刺激を与えて、血管を
収縮させてしまうことになり、しかも薄肉である
ために先端段差部がササくれることとなる。

他方、そのササくれることを防ぐため、同図
のようにシースａを厚肉・硬質化するとすれば、
仮りにその先端段差部を先細り円錐型に定めたと
しても、シースａの直径寸法が過大となり、その
結果血管の穿刺孔を爾後的に拡開することとなつ
て、止血の困難を招くと云う別な問題が生ずる。

＜問題点を解決するための手段＞ 本発明はこのような問題点の相克を企図してお
り、その構成上血管の穿刺孔へカテーテルを挿入
案内する中空丸パイプ型のシースと、そのカテー
テルの導入ガイドワイヤーを受け入れるべく、シ
ース内へ抜き差し自在に貫通セツトされる中空丸
パイプ型のダイレーターとから成る血管用カテー
テルのシースイントロデユーサーにおいて、 上記ダイレーターの外径寸法を変化させるべき
スリツトを、そのダイレーターの長手方向に沿う
一定長さのもとに刻入して、 そのスリツトの閉合作用によりダイレーターを
強制的に収縮変形させ乍ら、シース内へ貫通セツ
トすると共に、その自づと拡開変形する復元弾圧
力によつてダイレーターをシースの開口内壁面へ
密着させるように関係設定したことを特徴とする
ものである。

＜実施例＞ 以下、図面の実施例に基いて本発明の構成を具
体的に説明すると、そのイントロデユーサーの組
立状態と分解状態を表わした第１，２図におい
て、Ａは股動脈や肘動脈などの血管Ｍ内へ、造影
剤注入用のカテーテル１０を挿入案内するシース
であつて、可及的に薄肉な合成樹脂から一定長さ
の中空丸パイプ状に成形されている。１１はその
シースＡの後端から連続的に張り出し形成された
把手口筒部であつて、これには開閉栓１２付きの
透明なチユーブ１３が予じめ連通接続されてお
り、これから血液の凝固を防ぐヘパリン入り生理
的食塩水を送り込まれるようになつている。

他方、ＢはシースＡの中空内部へ抜き差し自在
に貫通セツトされるダイレーターであり、そのシ
ースＡとの比較上厚肉な合成樹脂からシースＡよ
りも長い中空丸パイプ型に成形されている。１４
はそのダイレーターＢの前端に設けられた先細り
円錐部であり、血管Ｍの穿刺孔Ｓへ容易に挿入さ
れて、その挿入進行に連れて滑らかに穿刺孔Ｓを
拡張させ得るようになつている。もつとも、その
先細り円錐部１４は第３図の変形例に示す通り、
ダイレーターＢの前端近傍位置に介在されて、こ
れよりも前端側に細い直管形態の挿入ガイド部１
５が連成されることもある。

何れにしても、上記ダイレーターＢの後端はシ
ースＡの抜け止め用ストツパー部１６として、径
大に張り出し形成されており、使用上これを安定
良く把持できるようになつている。そして、その
ダイレーターＢはカテーテル１０の導入ガイドワ
イヤー１７へ挿通されることとなる。つまり、ダ
イレーターＢの内径寸法はカテーテル１０の外径
寸法よりも小さく、且つそのガイドワイヤー１７
の外径寸法よりは大きく設定されているのであ
る。

その場合、本発明では第４〜７図の拡大図から
明白な通り、特にダイレーターＢの外径寸法
（d1）がシースＡの内径寸法（d2）よりも予じめ
若干大きく形成されていると共に、そのダイレー
ターＢの長手方向に沿つて延在する一定長さＬの
スリツト１８も刻入されている。そのスリツト１
８はダイレーターＢの外径寸法（d1）を変化さ
せる如く、収縮的な弾性変形作用を促すためのも
のであつて、その開口前端位置が上記先細り円錐
部１４の傾斜勾配面に配置されている。

即ち、ダイレーターＢをシースＡの中空内部へ
強制的に貫通させた時、そのスリツト１８の閉合
作用を介して、ダイレーターＢ自身が収縮変形す
ると共に、その後の拡開変形しようとする自動的
な復元弾圧力によつて、ダイレーターＢがシース
Ａの開口内壁面と密着作用するように関係設定さ
れているわけであり、スリツト１８の開口前端は
ダイレーターＢにおける先細り円錐部１４の傾斜
勾配面に位置されているため、上記貫通セツトの
開始時には先細り円錐部１４からスリツト１８が
徐々に閉合する付勢力を受けることとなり、ダイ
レーターＢが円滑に収縮変形するのである。

上記スリツト１８の開口後端位置は、ダイレー
ターＢとシースＡとの嵌合部分範囲に配置される
限り、自由に定めることができる。つまり、第
１，２図では先細り円錐部１４とストツパー部１
６を除くダイレーターＢの全体につき、その外径
寸法（d1）をシースＡの内径寸法（d2）よりも
大きく定めると共に、そのほぼ全体に亘つてスリ
ツト１８も長く刻入し、該スリツト１８の開口後
端をストツパー部１６の付近に位置させている
が、第８，９図の別な変形例に示すように、ダイ
レーターＢの中途一部についてのみ、その外径寸
法（d1）をシースＡの内径寸法（d2）より若干
大きく形成することも可能であると言える。

この場合には、その太い部分の両端を前下がり
円錐勾配面と後下がり円錐勾配面によつて、残余
の細い部分と滑らかに連続させると共に、スリツ
ト１８の一定長さＬも短かく刻入して、そのスリ
ツト１８の開口前端と開口後端を、各々前下がり
円錐勾配面と後下がり円錐勾配面に位置させるの
である。

そうすれば、上記第１，２図に基き述べたこと
と同様にして、ダイレーターＢをシースＡの中空
内部へ強制的に貫通セツトした時には、第９図の
ようにスリツト１８の閉合作用を介して、ダイレ
ーターＢ自身が収縮変形し、その自づと拡開しよ
うとする復元弾圧力により、ダイレーターＢがシ
ースＡの内壁面と密着することになる。

＜作用＞ 上記イントロデユーサーの使用に当つては、そ
の爾前に第１０図のような穿刺針Ｃを用いて、
血管（股動脈）Ｍに穿刺孔Ｓを開口させ、その穿
刺針Ｃの針本体１９を抜き去ると共に、同じく穿
刺針Ｃのシース２０のみを血管Ｍへの挿入保持状
態に残置させておく。他方、予じめ用意された短
尺なガイドワイヤー１７を、組立状態のイントロ
デユーサーにおけるダイレーターＢに挿通セツト
しておく。

そして、同図のように穿刺針Ｃのシース２０
内を通じて、そのガイドワイヤー１７を血管Ｍへ
挿入操作し、その後そのシース２０を血管Ｍから
抜き出すと共に、同図のように該シース２０を
開き割り除去する。

次いで、イントロデユーサーを同図のよう
に、上記穿刺孔Ｓから血管Ｍ内へ挿入して、その
シースＡのみを同図のような挿入保持状態に残
しつつ、ダイレーターＢ並びにガイドワイヤー１
７を抜き取り、その残置されたシースＡの案内に
基き、その後同図のようにカテーテル１０を送
り込む。最後に、そのシースＡも抜き去つて、カ
テーテル１０へ同図のように造影剤を注入し、
血管造影検査を行なうのである。

そのカテーテル１０を大動脈の各種分肘に応じ
て選択使用する場合には、上記イントロデユーサ
ーと短尺なガイドワイヤー１７をそのまま兼用し
て、上記のような操作を繰り返すことにより、同
様に造影検査することができる。尚、股動脈から
大動脈に向かつてカテーテル１０を挿入する使用
法につき上記したが、肘動脈から大動脈への挿入
に当つても、本発明のイントロデユーサーを効果
的に使用できること、勿論である。

＜発明の効果＞ 以上のように、本発明では血管Ｍの穿刺孔Ｓへ
カテーテル１０を挿入案内する中空丸パイプ型の
シースＡと、そのカテーテル１０の導入ガイドワ
イヤー１７を受け入れるべく、シースＡ内へ抜き
差し自在に貫通セツトされる中空丸パイプ型のダ
イレーターＢとから成る血管用カテーテル１０の
シースイントロデユーサーにおいて、 上記ダイレーターＢの外径寸法（d1）を変化
させるべきスリツト１８を、そのダイレーターＢ
の長手方向に沿う一定長さＬのもとに刻入して、 そのスリツト１８の閉合作用によりダイレータ
ーＢを強制的に収縮変形させ乍ら、シースＡ内へ
貫通セツトすると共に、その自づと拡開変形する
復元弾圧力によつてダイレーターＢをシースＡの
開口内壁面へ密着させるように関係設定してある
ため、冒頭に述べた従来技術の諸問題を抜本的に
解決できる効果がある。

つまり、ダイレーターＢがその長手方向に沿つ
て延在する一定長さＬのスリツト１８により、そ
の外径寸法（d1）の強制的に収縮変形し乍ら、
シースＡの中空内部へ貫通セツトされて、自づと
拡開変形する復元弾圧力により、シースＡの開口
内壁面へ密着作用するように構成されているた
め、そのシースＡを極力薄肉化しつつも、冒頭に
述べた空隙ｗがダイレーターＢとの嵌合面に発生
することを防止できることはもとより、その先端
部からのササくれる現象も確実に予防でき、頗る
円滑・安全に血管Ｍの穿刺孔Ｓ内へ挿入すること
ができるのである。

又、シースＡの薄肉化が可能となるので、イン
トロデユーサーそれ自身を細くすることができ、
その結果穿刺孔Ｓを爾後的に拡開したり、摺擦す
るような危険が一切無く、止血も容易・完全に行
なえることとなる。

更に、シースＡへダイレーターＢを挿入進行さ
せれば、自づとダイレーターＢがスリツト１８の
閉合によつて収縮変形すると共に、そのシースＡ
との密着状態は復元弾性作用によつて達成される
ため、該シースＡに対するダイレーターＢの抜き
差し操作も支障なく行なえ、製作上の嵌合寸法誤
差も効果的に吸収できるのである。

その必要構成としても、ダイレーターＢにスリ
ツト１８を刻入するだけで足るため、量産効果も
最大限に期待することができ、この種使い捨て式
の医療器具として実益大であると言える。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るイントロデユーサーの組
立状態を示す一部破断の側面図、第２図はそのシ
ースとダイレーターの分解状態を示す側面図、第
３図はダイレーターの変形例を示す側面図、第４
図はシースに対するダイレーターの挿入開始状態
を示す部分拡大断面図、第５図は第４図の―
線断面図、第６図は同じく挿入完了した貫通セツ
ト状態を示す部分拡大断面図、第７図は第６図の
―線断面図、第８図は別な変形例のダイレー
ターと、シースとの分解状態を示す側面図、第９
図はその第８図におけるイントロデユーサーの組
立状態を示す一部破断の側面図、第１０図〜
はイントロデユーサーの使用によるカテーテルの
挿入過程を示す作用説明図、第１１図，は従
来のイントロデユーサーを２種示す各部分拡大断
面図である。 Ａ，ａ……シース、Ｂ，ｂ……ダイレーター、
Ｃ……穿刺針、Ｍ……血管、Ｓ……穿刺孔、Ｌ…
…一定長さ、１０……カテーテル、１４……先細
り円錐部、１７……ガイドワイヤー、１８……ス
リツト。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 血管Ｍの穿刺孔Ｓへカテーテル１０を挿入案
   内する中空丸パイプ型のシースＡと、そのカテー
   テル１０の導入ガイドワイヤー１７を受け入れる
   べく、シースＡ内へ抜き差し自在に貫通セツトさ
   れる中空丸パイプ型のダイレーターＢとから成る
   血管用カテーテル１０のシースイントロデユーサ
   ーにおいて、 上記ダイレーターＢの外径寸法（d1）を変化
   させるべきスリツト１８を、そのダイレーターＢ
   の長手方向に沿う一定長さＬのもとに刻入して、 そのスリツト１８の閉合作用によりダイレータ
   ーＢを強制的に収縮変形させ乍ら、シースＡ内へ
   貫通セツトすると共に、その自づと拡開変形する
   復元弾圧力によつて、ダイレーターＢをシースＡ
   の開口内壁面へ密着させるように関係設定したこ
   とを特徴とする血管用カテーテルのシースイント
   ロデユーサー。 ２ ダイレーターＢに先細り円錐部１４を設ける
   と共に、その円錐部１４の傾斜勾配面にスリツト
   １８の開口前端部を位置させたことを特徴とする
   特許請求の範囲・第１項記載の血管用カテーテル
   のシースイントロデユーサー。