JPH0213789Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案はクツシヨンゴム装置に係り、特に高周
波振動と共に、低周波振動に対しても有効な減衰
特性を発揮し得るクツシヨンゴム装置に関するも
のである。

従来技術 従来から、自動車のボデイマウント乃至はキヤ
ブマウントや、テンシヨンロツド乃至はストラツ
トバー等に防振装置などのクツシヨンゴム装置と
して、ゴムブロツクを２個の取付金具の間に介在
させた構造のものが用いられているが、高周波域
での振動騒音を低減するために動バネ定数の低い
ゴムを使用すると、ゴムの損失係数が必然的に小
さくなるところから、減衰係数が小さくなり、こ
のため、低周波域での振動（揺れ）を低減するこ
とは著しく困難であつた。

一方、ゴムの弾性と流体の流動抵抗とを利用し
て、低動バネ特性と高減衰特性とが共に得られる
弾性支持体が提案されているが、構造上の制約か
ら、テンシヨンロツド、ストラツトバー等の防振
装置のように、軸心方向に主荷重を受けるように
取り付けられるクツシヨンゴム装置に対しては、
そのまま適用することが困難であつたのである。

考案の目的 ここにおいて、本考案は、以上の如き事情を背
景として為されたものであり、その目的とすると
ころは、高周波振動と共に、低周波振動に対して
も有効な減衰特性が得られ、しかも軸心方向に主
荷重を受けるテンシヨンロツド、ストラツトバー
等に対しても好適に適用し得る新たな構造のクツ
シヨンゴム装置を提供することにある。

考案の構成 そして、かかる目的を達成するために、本考案
に係るクツシヨンゴム装置は、(a)所定の取付軸が
挿通せしめられて軸心方向に主荷重を受けるよう
に取り付けられる円環状のゴム弾性体と、(b)その
ゴム弾性体内にそれぞれ設けられ、且つ軸心方向
の互いに反対側の端部にそれぞれ開口せしめられ
た、それぞれ、軸心回りにおいて互いに独立した
複数の、第一のポケツト部と第二のポケツト部と
を含み、更に該第一のポケツト部が、前記ゴム弾
性体の軸心回りに該第二のポケツト部の間に位置
するように配置されているポケツト機構と、(c)該
ポケツト機構の第一のポケツト部間および第二の
ポケツト部間、更にはそれら第一のポケツト部と
第二のポケツト部を互いに連通せしめる、前記ゴ
ム弾性体内に形成された連通部と、(d)前記ゴム弾
性体の軸心方向の略中央部で、前記第一のポケツ
ト部と第二のポケツト部との間に位置するように
埋設された取付金具と、(e)前記ゴム弾性体の軸心
方向の両端部に位置して、前記各ポケツト部の開
口部を液密にシールするプレート部材と、(f)前記
ポケツト機構の第一のポケツト部および第二のポ
ケツト部にそれぞれ封入された所定の非圧縮性流
体とを含むように構成したのである。

考案の効果 かかる構成のクツシヨンゴム装置によれば、そ
のゴム弾性体の動バネ定数を低く設定することに
より、高周波域の振動騒音に対して効果的な減衰
作用がもたらされるのであり、一方、ゴム弾性体
内においてその軸心方向の互いに反対側の端部に
それぞれ開口せしめられ、その開口部がプレート
部材によつて液密にシールされた第一のポケツト
部と第二のポケツト部とが、連通部を介して互い
に連通せしめられているため、これ等両ポケツト
部間を移動する流体の流動抵抗によつて、低周波
域の振動に対しても優れた減衰作用が得られるこ
ととなり、以つて高周波域及び低周波域における
双方の有効な振動減衰効果が共に達成され得るこ
ととなつたのである。そして、かかる本考案に従
うクツシヨンゴム装置においては、二つのポケツ
ト部がそれぞれ複数設けられ且つ軸心回りにおい
て互いに相手方の間に位置するように設けられて
いるところから、こじり方向の振動荷重が加わつ
た場合にあつても、第一のポケツト部と第二のポ
ケツト部との間は勿論、第一のポケツト部間にお
いても、更には第二のポケツト部間においても、
流体の流動が可能となり、以てそのような流体の
流動に基づくところの流通抵抗によつて効果的な
減衰作用が発揮され得て、より一層の有効な振動
減衰を行ない得るのである。

しかも、ゴム弾性体は円環状を成し、所定の取
付軸が挿通せしめられることによつて軸心方向に
主荷重を受けるように取り付けられるため、従来
適用することが困難であつたテンシヨンロツド、
ストラツトバー等の防振装置としても好適に適用
し得るのである。

実施例 以下、本考案を更に具体的に明らかにするため
に、本考案の一実施例を図面に基づいて詳細に説
明する。

先ず、第１図乃至第３図はそれぞれ本考案に係
るクツシヨンゴム装置の縦断面図、横断面図、お
よび部分縦断面図である。これ等の図において、
１０はゴム弾性体としてのゴムブロツクである。
ゴムブロツク１０は挿通孔１２を有する円環状を
成し、その内部にはそれぞれ軸心方向の互いに反
対側の端部に開口せしめられた第一のポケツト部
１４と第二のポケツト部１６とを含むポケツト機
構が設けられている。それ等第一のポケツト部１
４および第二のポケツト部１６は、水やポリアル
キレングリコールなどの所定の非圧縮性流体が封
入せしめられる空所であつて、第２図から明らか
なように、それぞれゴムブロツク１０の軸心回り
に等角度間隔で複数個（本実施例では４個）ずつ
独立して形成され、その横断面形状はいずれも円
弧状を成している。また、両ポケツト部１４およ
び１６の底部には、第１図から明らかなように、
それぞれその内周側端部においてゴムブロツク１
０の軸心方向に沿つて深く延びる深淵部１８およ
び２０が形成されている。

一方、第一のポケツト部１４と第二のポケツト
部１６は、ゴムブロツク１０の軸心回りにおいて
互いに相手方の間に位置するように配置され、且
つ軸心回り方向における両端部が軸心方向におい
て互いに重なる大きさで設けられている。そし
て、両ポケツト部１４および１６のその重ねられ
た部分においては、第３図に示されているように
それ等の深淵部１８および２０が合致して連通部
２２が形成され、第一のポケツト部１４と第二の
ポケツト部１６とが互いに連通せしめられてい
る。

ゴムブロツク１０の第一のポケツト部１４およ
び第二のポケツト部１６がそれぞれ開口する両端
部には、それぞれ外周縁部にかしめ部２４を有す
る金属製の内側プレート２６が埋設されており、
この内側プレート２６には、上記第１のポケツト
部１４或いは第二のポケツト部１６の開口部に対
応する部分に、その開口部の形状より僅かに大き
な円弧形状を成す切欠２８がそれぞれ４個ずつ設
けられている。

また、ゴムブロツク１０の前記挿通孔１２内に
は、テンシヨンロツド、ストラツトバー等の取付
軸３０が挿通せしめられる円筒状のスリーブ３２
が密着して設けられ、ゴムブロツク１０の軸心方
向に主荷重を受けるように取り付けられるように
なつている一方、ゴムブロツク１０の軸心方向に
おける略中央部には、軸心に対して直角方向へ突
き出す板状の取付金具３４が埋設されており、車
両の車体等に設けられたブラケツト３６に固定さ
れ得るようになつている。

なお、これ等内側プレート２６、スリーブ３
２、および取付金具３４は、加硫接着等の手段に
よつてゴムブロツク１０に固着せしめられてい
る。また、ゴムブロツク１０の外周面には、ゴム
ブロツク１０の軸心方向の弾性変形を容易にする
２本の還状溝３８が設けられている。

そして、以上のように構成されたゴムブロツク
１０の両ポケツト部１４および１６内には、前述
したような非圧縮性流体が収容され、その状態に
おいて両ポケツト部１４，１６の開口部を覆蓋す
るように、ゴムブロツク１０の両端面にシールパ
ツキン等を介して金属製の外側プレート４０が取
り付けられている。外側プレート４０には中央部
にゴムブロツク１０の挿通孔１２を略同一寸法の
内径を有する円筒部４２が設けられており、その
円筒部４２がゴムブロツク１０と前記スリーブ３
２との間に圧入せしめられるとともに、外周縁部
においては前記内側プレート２６のかしめ部２４
がかしめられることにより、ゴムブロツク１０と
液密に一体化されている。すなわち、この外側プ
レート４０がゴムブロツク１０に設けられた両ポ
ケツト部１４および１６の開口部を液密にシール
するプレート部材を成しているのである。なお、
両ポケツト部１４および１６内に水等の非圧縮性
流体を封入するに際しては、外側プレート４０を
かかる流体中にてゴムブロツク１０の両端面に取
り付けることが推奨され、これにより、両ポケツ
ト部１４および１６内への流体の充填および外側
プレート４０の取付けが容易かつ迅速に為され得
る。

以上のように構成されたクツシヨンゴム装置
は、前述したようにストラツトバー等の取付軸３
０がスリーブ３２内に挿通せしめられて固定され
る一方、取付金具３４が車体等に設けられたブラ
ケツト３６に固定されて、取付軸３０とブラケツ
ト３６との間に介在せしめられる。

そして、例えば取付軸３０に第１図の矢印Ａ方
向の比較的低周波（振動の大きい）の振動荷重が
加わつた場合、ゴムブロツク１０の取付金具３４
より上の部分、すなわち第一のポケツト部１４側
が圧縮変形せしめられ、取付金具３４より下の第
二のポケツト部１６側が引張変形せしめられる。
したがつて、第一のポケツト部１４が収縮せしめ
られるとともに第二のポケツト部１６が膨張せし
められて、第一のポケツト部１４内に収容されて
いた流体が連通部２２を介して第二のポケツト部
１６内に流入することとなる。

また、振動荷重の方向が上記矢印方向とは逆向
きになると、第二のポケツト部１６が収縮せしめ
られるとともに第一のポケツト部１４が膨張せし
められて、第二のポケツト部１６内に流入した流
体が再び連通部２２を介して第一のポケツト部１
４内に移動する。そして、このように連通部２２
を介して流体が移動させられることにより、その
流通抵抗によつて低周波域の振動が効果的に減衰
せしめられ得るのである。

一方、高周波の振動騒音に対しては、ゴムブロ
ツク１０の材料として動バネ定数の低いものを採
用することにより、効果的な減衰作用が得られる
のである。加えて、軸心方向に非常に大きな変位
荷重が作用したときには、ゴムブロツク１０の外
周面に形成された還状溝３８が消滅することによ
つてストツパ的機能を果たし、ゴムブロツク１０
の動バネ定数が高められて過大な変形が抑制され
る利点がある。

また、取付軸３０に第１図における矢印Ｂ方向
の振動荷重、すなわちこじり方向の荷重が加わつ
た場合、本実施例において両ポケツト部１４およ
び１６がそれぞれゴムブロツク１０の軸心回りに
等角度間隔で複数（４個）設けられているため、
第１図においてゴムブロツク１０の中心線Ｓより
も右側の部分では、第一のポケツト部１４が収縮
せしめられるとともに、第二のポケツト部１６が
膨張せしめられる一方、中心線Ｓよりも左側の部
分では、第二のポケツト部１６が収縮せしめられ
るとともに、第一のポケツト部１４が膨張せしめ
られる。それ故、上述した軸心方向の振動荷重が
加えられた場合と同様に、連通部２２を介して移
動する流体の流通抵抗によつて効果的な減衰作用
が得られるのである。

しかも、第一のポケツト部１４と第二のポケツ
ト部１６とがゴムブロツク１０の軸心回りにおい
て互いに相手方の間に位置するように配置され、
それ等全てのポケツト部１４，１６が深淵部１
８，２０および連通部２２を介して互いに連通せ
しめられているため、上記こじり方向の振動荷重
が加えられた場合にあつても、第一のポケツト部
１４相互間、第二のポケツト部１６相互間におけ
る流体の移動が可能となり、振動の減衰が一層効
果的に為され得るのである。また、深淵部１８，
２０および連通部２２は、ゴムブロツク１０のス
リーブ３２と取付金具３４との間に略円環状に設
けられることとなるため、軸心方向と直角を成す
方向の振動荷重に対するゴムブロツク１０の動バ
ネ定数が低くされて、優れた減衰作用が得られる
とともにゴムブロツク１０の耐久性が向上する利
点がある。

このように、本実施例のクツシヨンゴム装置に
よれば、ゴムブロツク１０自体の低動バネ特性と
流体の流通抵抗とによつて、高周波域及び低周波
域における防振効果が共に達成され得るのであ
る。

しかも、ゴムブロツク１０が円環状を成し、そ
の軸心に取付軸３０が挿通せしめられることによ
つて軸心方向に主荷重を受けるように構成されて
いるため、テンシヨンロツド、ストラツトバー等
の防振装置として極めて好適に採用され得るので
ある。

また、本実施例においては、取付金具３４が予
めゴムブロツク１０に埋設されているため、ブラ
ケツト３６への取付作業が簡単に行われ得る利点
がある。

以上、本考案の一実施例を図面に基づいて詳細
に説明したが、本考案はその他の態様においても
実施され得るのである。

例えば、前述の実施例おいて両ポケツト部１
４，１６は、それぞれゴムブロツク１０の軸心回
りに等角度間隔で４個ずつ設けられているが、そ
の個数を目的に応じて増減することが可能である
ことは勿論、それ等第一のポケツト部１４と第二
のポケツト部１６との相対的な位置関係を変更し
ても何等差支えないのである。

また、両ポケツト部１４および１６には、それ
ぞれ深淵部１８および２０が設けられ、その深淵
部１８および２０が合致する部分が連通部２２と
されているが、第一のポケツト部１４と第二のポ
ケツト部１６とが連通部を介して連通せしめられ
ておれば、深淵部１８および２０は必ずしも設け
られる必要はないのである。

さらに、ゴムブロツク１０の両端部には内側プ
レート２６が埋設され、この内側プレート２６の
かしめ部２４がかしめられることによつて外側プ
レート４０の外周縁部が固定されるようになつて
いるが、外側プレート４０を接着剤等によつてゴ
ムブロツク１０に固着せしめるようにすれば、内
側プレート２６は必ずしも設けなくても良い。

加えて、本考案はテンシヨンロツド、ストラツ
トバー等のクツシヨンゴム装置として好適に採用
され得るものであるが、自動車のボデイマウン
ト、キヤブマウント等の他の防振機構におけるク
ツシヨンゴム装置にも適用することが可能であ
る。

その他、本考案は、その精神を逸脱することな
く、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を
加えた態様で実施し得るものであることは勿論で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例であるクツシヨンゴ
ム装置の縦断面図であつて、第２図の−断面
に相当する図である。第２図は第１図の−断
面図である。第３図は第２図の−断面図であ
る。 １０：ゴムブロツク（ゴム弾性体）、１２：挿
通孔、１４：第一のポケツト部、１６：第二のポ
ケツト部、２２：連通部、３０：取付軸、３４：
取付金具、３６：ブラケツト、４０：外側プレー
ト（プレート部材）。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 所定の取付軸が挿通せしめられて軸心方向に主
   荷重を受けるように取り付けられる円環状のゴム
   弾性体と、 該ゴム弾性体内にそれぞれ設けられ、且つ軸心
   方向の互いに反対側の端部にそれぞれ開口せしめ
   られた、それぞれ、軸心回りにおいて互いに独立
   した複数の、第一のポケツト部と第二のポケツト
   部とを含み、更に該第一のポケツト部が、前記ゴ
   ム弾性体の軸心回りに該第二のポケツト部の間に
   位置するように配置されているポケツト機構と、 該ポケツト機構の第一のポケツト部間および第
   二のポケツト部間、更にはそれら第一のポケツト
   部と第二のポケツト部を互いに連通せしめる、前
   記ゴム弾性体内に形成された連通部と、 前記ゴム弾性体の軸心方向の略中央部で、前記
   第一のポケツト部と第二のポケツト部との間に位
   置するように埋設された取付金具と、 前記ゴム弾性体の軸心方向の両端部に位置し
   て、前記各ポケツト部の開口部を液密にシールす
   るプレート部材と、 前記ポケツト機構の第一のポケツト部および第
   二のポケツト部にそれぞれ封入された所定の非圧
   縮性流体と を含むことを特徴とするクツシヨンゴム装置。