JPH0210265Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、脱穀装置のエンジン構造に関する
ものである。

従来、脱穀装置のエンジンは、出力軸がエンジ
ン本体から水平に一方向へ突出したものであり、
従つて、脱穀装置の各駆動部分へ動力を伝達する
場合には、エンジンの一個の出力軸から各箇所に
ある駆動部分へそれぞれの動力伝達機構を連設し
ているものであつて、かかる動力伝達機構の配設
位置の関係からエンジンの位置も限定されてくる
ことになり、脱穀装置全体の構造もエンジンの位
置と動力機構の連結位置との関係で限定されてし
まい簡素な構造としにくい欠点があり、とくに、
機体重心の安定のためエンジンを下方位置にもつ
てくるということは困難な構造であつた。

本考案では、走行部の前方上部に刈取部を設け
るとともに、その後方に唐箕兼用フアンを有する
脱穀部を設けてなる脱穀装置において、脱穀部
を、走行部に対して左右いずれか一方に偏位させ
ると共に、同脱穀部の下方に、左右方向に出力軸
が突出したエンジンを配設し、さらに、同エンジ
ンからの一方の出力軸に、唐箕兼用フアン等の脱
穀部を連動連結すると共に、他方の出力軸に、脱
穀部の反対方向に偏位させたミツシヨン部を介し
て走行部を連動連結し、しかも、同エンジンを脱
穀部の唐箕兼用フアンの前方に位置させたことを
特徴とする脱穀装置のエンジン構造を提供するも
のである。

この考案の実施例を図面にもとづき詳説すれ
ば、Ａは、脱穀装置を有する機構としてのコンバ
インを示すものであり、前部に刈取部１を設け、
その後方に、脱穀部２を、その下方に選別部３を
設け、更に下部には、クローラ型の走行部４を設
けており、走行部４にて走行しながら刈取、脱
穀、選別を行い精穀粒の回収をしていくものであ
る。

ｎは、刈取部１側方の運転部を示す。

脱穀部２は、扱室５に回転自在に軸架した扱胴
６より主に構成され、その下方に設けた選別部３
は、揺動選別装置７、１番コンベア８、２番コン
ベア９、２番揚穀筒１０等より構成されている。

選別部３の揺動選別装置７の前方には、機体フ
レームａに、エンジンＥが配設載置されており、
エンジンＥより、刈取部１、脱穀部２、選別部
３、走行部４等に動力を伝達するように構成して
いる。

エンジンＥは、エンジン本体１１中に左右二本
のシリンダーを配置し、上部にシリンダーヘツド
１２を設け、エンジン本体１１の下方には、オイ
ルパン１３を設け、同本体１１の後側方には、唐
箕兼用フアン１４を配設し、同本体１１と、同フ
アン１４との間にラジエーター１５を介設し、同
フアン１４を横断流フアン機能を有する構造とし
ておき、同フアン１４の前方における吸引流路で
ラジエーター１５を冷却すべく構成している。

エンジン本体１１のシリンダーには、クランク
機構を介して、左右に、左右出力軸１６，１７を
突出せしめており、この左右出力軸１６，１７か
ら各駆動部に動力を伝達すべく構成しているもの
であり、かかる動力伝達機構はは次のように構成
されている。

すなわち、エンジンＥの左出力軸１６からは、
１番コンベア８にベルト１８を介して動力を伝達
し、１番コンベア８の軸８′の右側端からは、ベ
ルト１９を介して扱室入力軸２０に上方へ動力を
伝達し、扱室入力軸２０は、ベベルギヤにより扱
胴軸２１に連動連結されて、かつ扱室側方のフイ
ードチエーン２２に動力を伝達するものであり、
更には、１番コンベア８に動力を伝達するベルト
１８からは、２番コンベア９、揺動選別装置７、
２番揚穀筒１０、排塵フアン２３等に動力を伝達
するベルト２４が連動連結され、同様に、刈取部
１にも動力伝達が行れるようにしている。

また、エンジンＥの右出力軸１７からは、走行
部４にベルト２５を介して動力が伝達され、走行
部４のミツシヨン部４′に入力されて、クローラ
型の走行部４の駆動を行うように構成しており、
エンジンＥの左出力軸１６は、主に、刈取、脱
穀、選別等の本機側作動の駆動出力機能を果し、
右出力軸１７は、走行部の走行駆動出力機能を果
すように、分担出力を構成している。

なお、唐箕兼用フアン１４は、ラジエーター１
５の冷却を行うラジエーターフアン機能と、選別
部３の唐箕機能とを兼用しているものであり、ラ
ジエーター１５から熱交換された風は、同フアン
１４によつて風選のための圧風として利用され
て、選別部３において、湿材の熱風乾燥が行える
ように構成しているものであるが、別途に唐箕を
設けてもさしつかえないものである。

また、エンジンＥの配設位置は、脱穀、選別、
関係の動力伝達機構、たとえばベルト１８，２４
等が機体左側端面に位置していることから、ほぼ
機体中央に位置する走行部４のミツシヨン部４′
と、上記機体左側の動力伝達機構との間で可及的
下方位置で介在するようにしておく。

この考案の実施例は上記のように構成されてい
るものであり、走行しながら穀桿の刈取を行い、
脱穀選別をして穀粒回収を行う動力伝達作用は、
機体左側端面に配設された脱穀関係の動力伝達機
構たとえばベルト１８，１９等と、ミツシヨン部
４′との間で揺動選別装置７の前方において配設
されたエンジンＥにより行われるものであり、エ
ンジンＥの左右出力軸１６，１７の一方の左出力
軸１６からは、主に脱穀関係の駆動を行う動力伝
達機構が連結され、他方の右出力軸１７からは、
走行のための動力伝達機構が連結され、しかもエ
ンジンＥが機体の可及的下方位置に配設されてい
ることから、左右出力軸１６，１７の一方をエン
ジンＥより上方への動力伝達に、他方をエンジン
Ｅより下方への動力伝達にそれぞれふり分けて使
用でき、簡素に動力伝達機構を構成しているもの
であり、更には、エンジンＥのラジエーター１５
を冷却するフアンを唐箕の兼用として使用し、構
造も全体的にコンパクト化しており、使用にも便
ならしめている。さらに、エンジンＥを脱穀部２
の唐箕兼用フアン１４の前方に位置させたことに
より、同フアン１４による吸引される冷風によつ
てエンジンＥを冷却し、しかも、エンジンＥから
の温風を同フアン１４で吸引し、脱穀部２の唐箕
が暖められる。

この考案によれば、脱穀装置の可及的下方位置
にエンジン本体の両側面に左右出力軸を有したエ
ンジンを配設したので、各駆動部分への動力伝達
が可及的に直接的な伝達経路で構成され、伝達時
の動力ロスも少なくでき、更には動力伝達機構が
短い分だけ全体構成もコンパクト化でき、また、
エンジンの下方配設位置による重心の安定化もは
かりうるなど、種々の効果を有する。さらに、エ
ンジンからの温風で脱穀部の唐箕を暖めることに
より、脱穀部における湿材の乾燥を行い、湿材の
選別を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本案構造のコンバインの全体側面
図。第２図は、同正面図。第３図は同説明図。 Ａ：コンバイン、Ｅ：エンジン、２：脱穀部、
４：走行部、１１：エンジン本体、１６，１７：
左右出力軸。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 走行部の前方上部に刈取部１を設けると共に、
   その後方に唐箕兼用フアン１４を有する脱穀部２
   を設けてなる脱穀装置において、 脱穀部２を、走行部に対して左右いずれか一方
   に偏位させると共に、同脱穀部２の下方に、左右
   方向に出力軸が突出したエンジンＥを配設し、 さらに、同エンジンＥからの一方の出力軸に、
   唐箕兼用フアン１４等の脱穀部２を連動連結する
   と共に、他方の出力軸に、脱穀部２の反対方向に
   偏位させたミツシヨン部４′を介して走行部を連
   動連結し、 しかも、同エンジンＥを脱穀部２の唐箕兼用フ
   アン１４の前方に位置させたことを特徴とする脱
   穀装置のエンジン構造。