JPH018681Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 この考案は、アイドルポートから噴出する燃料
の霧化および気化を促進することにより燃焼性を
改善し、機関回転の安定化や燃費の向上を図ると
ともに排気ガスを清浄化し得る気化器のアイドル
ポートに関する。

〔考案の技術的背景〕

従来、気化器においては、機関の低回転低負荷
時に燃料を吸気通路内に噴出させるために、バイ
パスポートおよびアイドルポートを設けている。
バイパスポートは気化器絞り弁の閉鎖状態の弁端
部に掛つて、アイドルポートは絞り弁の下流にそ
れぞれ開口している。そこで、機関が低回転低負
荷時において絞り弁小開度による吸気通路負圧が
前記バイパスポートおよびアイドルポートに作用
し、スロー系燃料は吸引され噴出される。

〔背景技術の問題点〕

ところで、アイドルポートは機関のアイドル運
転等低負荷あるいは無負荷時に燃料を噴出するも
のであるが、ポートを吸気通路壁面に開口してい
るため、燃料が霧化せず壁面に沿つて流れて失火
等を生じる不都合があつた。そこで、従来は実公
昭41−3526号や実公昭53−32174号の考案の如く
アイドルポートの開口端を吸気通路内に突出さ
せ、壁面流が生じるのを防止していた。

しかしながら、これら考案は、吸気通路内に突
出させた筒状体の先端に設けた開口から燃料を吸
気流中に流下するので壁面流の発生は防止し得る
が、燃料の噴出状態を設定できず、また、燃料を
十分霧化し気化することができず、所定空燃比の
混合気を生成することができなかつた。そのた
め、燃焼不良による機関回転の不安定化や無駄な
燃料の消費などの不都合を十分に解消し得なかつ
た。

〔考案の目的〕

この考案はこのような不都合を解消し、アイド
ルポートから噴出する燃料が壁面流となるのを防
止し得るとともに燃料の噴出状態を設定し得て、
霧化および気化を促進して燃焼性を改善し得て機
関回転の安定化を図り燃費を向上させ、排気ガス
を清浄化し得る気化器のアイドルポートを実現す
ることを目的とする。

〔考案の構成〕

この目的を達成するためにこの考案は、絞り弁
下流側の吸気通路に開口するアイドルポートに筒
状体を装着するとともにこの筒状体の先端を封止
板で封止して前記アイドルポートを一開口とする
延長流路を吸気通路内に突設し、前記筒状体の先
端近傍には吸気流流来方向と略直交する方向の両
側面に前記吸気通路と延長流路とを連通する小孔
を設けるとともに前記筒状体の根元側には吸気流
流来方向にやや傾けて前記吸気通路と延長流路と
を連通する小孔を設けたことを特徴とする。

この考案によれば、燃料は、筒状体の根元側の
吸気流流来方向にやや傾けて設けた小孔により噴
出状態を設定され、筒状体の先端近傍の吸気流流
来方向と略直交する方向の両側面に設け小孔から
吸気流中に壁面流となることなく流下され、微粒
子化して霧化され、気化する。

〔考案の実施例〕

次にこの考案の実施例を図に基づいて詳細に説
明する。第１図は、この考案によるアイドルポー
トを設けた気化器の断面図である。気化器本体２
内の吸気通路４には、絞り弁６が設けてある。こ
の絞り弁６の下流側吸気通路４に低回転低負荷時
の燃料を流出するスロー系燃料通路８は、バイパ
スポート１０とアイドルポート１２とに終端開口
している。バイパスポート１０は、絞り弁６の閉
鎖状態の弁端部に掛つて吸気通路４に開口してい
る。また、アイドルポート１２は、絞り弁６下流
の吸気通路４に開口している。このアイドルポー
ト１２からの燃料の噴出量は、調整ネジ１４によ
り任意に調整し得る。

第３〜４図は、この考案の一実施例を示す筒状
体１８の正面図と側面図であり、吸気流は矢印方
向に流れる。第１図に示す如く、アイドルポート
１２には、吸気通路４の壁面１６から吸気通路４
内に突出させて筒状体１８を装着している。この
筒状体１８は、アイドルポート１２を一開口とす
る延長流路２０を吸気通路４内に突設する。この
実施例では、前記筒状体１８の先端を封止板３６
で封止している。そして、筒状体１８の先端近傍
には、吸気流の流来方向と略直交する方向の両側
面に吸気通路４と延長流路２０とを連通する小孔
３８を設けるとともに、筒状体１８の壁面側であ
る根元側には、吸気流の流来方向にやや傾けて吸
気通路４と延長流路２０とを連通する小孔４０を
設けている。

次に作用を説明する。

機関が低負荷のときは、絞り弁６は小開度位置
にある。この位置では絞り弁６下流側の負圧が強
まるので、その負圧が前記筒状体１８の先端近傍
の吸気流流来方向と略直交する方向の両側面に設
けた小孔３８に作用し、延長流路２０の燃料は小
孔３８から筒状体１８の両側に吸引され噴出され
る。このとき、吸気流流来方向と略直交する方向
の小孔３８に作用する吸気通路負圧に対して筒状
体１８の根元側の吸気流流来方向にやや傾けて設
けた小孔４０から延長流路２０内に流入する吸気
流により、延長流路２０の燃料は噴出状態を設定
されて小孔３８から吸引され噴出される。即ち、
筒状体１８内の延長流路２０には、筒状体１８の
先端近傍の小孔３８から吸気通路４の負圧が作用
するとともに、筒状体１８の根元側の小孔４０か
ら流入する吸気流の圧力が作用する。このため、
延長流路２０の燃料は、小孔３８から作用する負
圧に対して小孔４０から作用する圧力との釣合い
に応じた流量・流速によつて小孔３８から吸引さ
れ噴出されるので、噴出量や噴出速度を設定され
ることになる。従つて、小孔３８から吸引され噴
出される延長流路２０の燃料は、小孔３８及び小
孔４０から作用する圧力の釣合いにより噴出状態
を設定されることになる。これにより、筒状体１
８の先端近傍の吸気流流来方向と略直交する方向
の両側面に設けた小孔３８は、吸気流中に位置す
るので燃料は吸気流中に噴出され、壁面１６に沿
つて広がり流れる不都合を生じることはなく、筒
状体１８の根元側に設けた吸気流流来方向にやや
傾けた小孔４０により燃料の噴出状態を設定する
ことができる。また、小孔３８からの噴出は、拡
散される現象で燃料を微粒子化し、霧化および気
化を促進する。このため、第２図に示す如く従来
の空燃比Ａよりも安定した空燃比Ｂの混合気を生
成し得て、機関の回転変動を低減し安定回転させ
ることができる。そして、従来の空燃比Ｃよりも
大きな空燃比Ｄの混合気でも失火することなく燃
焼させることができ、燃焼性が改善される。これ
により、排気ガスを清浄化することができる。

もちろん、この考案は前記実施例に限定される
ものではなく、延長流路の長さ、方向、径、外形
などや孔部を設ける位置、数、大きさ、設ける方
向などは、機関との適合性を勘案し様々に変形で
きるのは言うまでもない。

〔考案の効果〕

このようにこの考案によれば、燃料は、筒状体
の根元側の吸気流流来方向にやや傾けて設けた小
孔により噴出状態を設定されて筒状体の先端近傍
の吸気流流来方向と略直交する方向の両側面に設
けた小孔から吸気流中に噴出されるので、壁面流
による不都合を生じることもなく燃料の噴出状態
を設定し得て、また、燃料を微粒子化して霧化お
よび気化を促進し、燃焼性を改善することができ
る。このため、機関の低回転負荷時でも安定した
機関回転を得ることができ、燃費も向上する。ま
た、燃焼性を改善したことにより排気ガスの清浄
化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

図はこの考案の実施例を示し、第１図は気化器
の断面図、第２図は、従来の気化器とこの考案の
アイドルポートを設けた気化器との機関の回転変
動および失火始めの空燃比を比較したグラフを示
す図、第３，４図は夫々この考案の一実施例を示
す筒状体の正面図と側面図である。 図において、４は吸気通路、６は絞り弁、１８
は筒状体、２０は延長流路、３６は封止板、３８
は吸気流流来方向と略直交する方向の両側面の小
孔、４０は吸気流流来方向にやや傾けた小孔であ
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 絞り弁下流側の吸気通路に開口するアイドルポ
   ートに筒状体を装着するとともにこの筒状体の先
   端を封止板で封止して前記アイドルポートを一開
   口とする延長流路を吸気通路内に突設し、前記筒
   状体の先端近傍には吸気流流来方向と略直交する
   方向の両側面に前記吸気通路と延長流路とを連通
   する小孔を設けるとともに前記筒状体の根元側に
   は吸気流流来方向にやや傾けて前記吸気通路と延
   長流路とを連通する小孔を設けたことを特徴とす
   る気化器のアイドルポート。