JPH032677Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はデイーゼル機関の燃焼室構造に係り、
特に案内溝を形成したことにより、副噴霧を滑か
に且つ速やかに渦流室内壁に沿つて分散でき、良
好な壁面蒸発燃焼を達成し得るデイーゼル機関の
燃焼室構造に関する。

〔従来の技術〕

従来、デイーゼル機関の騒音低減や未燃燃料の
発生を防止するために、噴射される燃料の霧化・
蒸気化や渦流による混合気化を促進し、着火性の
向上を図つている。例えば、ピントーノズルから
の副噴霧を受ける小室を渦流室内壁部に設け、該
小室の内面を燃料との接触により酸化反応を起し
て発熱する自己発熱式の酸化触媒で形成したもの
が知られている（特開昭58−41218号）。小室に流
入した副燃料は小室にて着火燃焼し、その副燃焼
ガス流は渦流室の渦流と同方向に噴出する。これ
により主噴霧と空気との混合を促進させて着火性
の向上を図つている。

また、本出願人により第６図に示す渦流燃焼室
式デイーゼル機関が提案されている。同図に示す
如く、燃料噴射ノズルａは低負荷時に主噴孔ｂを
閉じた状態でニードル弁ｃを往復動させ、主に副
噴孔ｄから副噴霧ｅを噴射する。そして、副噴霧
ｅを渦流室ｆの内壁に液膜として付着させると共
に、その周辺に飛散される燃料を渦流ｓによつて
混合気化させている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記自己発熱式の燃焼室にあつては、構造が複
雑であつてコストアツプを招くばかりでなく、着
火性のみ追及すると一時に急速な燃焼が起り騒
音・振動が問題となる。

これに対し、第６図に示す燃焼方式にあつて
は、渦流室ｆの内壁の周辺に飛散される燃料は渦
流ｓにより混合気化されて着火遅れを防止し、ま
た渦流室ｆの内壁面に付着した液膜は壁面の熱等
により蒸発し緩慢な燃焼となつて騒音・振動が低
減される。しかしながら、この提案における燃焼
室形状では、燃料噴射ノズルａと渦流室ｆとを連
通する円筒状の通路ｇ壁に副噴霧ｅが当るので、
飛散される燃料が多くスムーズな燃焼を達成する
ための壁面蒸発燃料分が充分に得られない。

〔考案の目的〕

本考案の目的は、良好な壁面蒸発燃焼によりス
ムーズな燃焼を達成し、騒音・振動の低減および
NOxの低下が図れるデイーゼル機関の燃焼室構
造を提供することにある。

〔考案の概要〕

上記目的を達成するために、本考案は燃料噴射
ノズルと渦流室とを連通する円筒状の通路に燃料
噴射ノズルからの副噴霧の噴射方向に沿わせ且つ
渦流室内壁にほぼ接線状に接続される副噴霧の案
内溝を形成して、該案内溝により副噴霧を滑らか
に且つ速かに渦流室内壁に沿つて分散させるよう
になしたものである。

〔実施例〕

以下に本考案の一実施例を添付図面に従つて詳
述する。

第１図において、１はシリンダヘツド２内に形
成された渦流室であり、渦流室１には圧縮空気の
渦流Ｓが生成される。また３は燃料噴射ノズルで
あり、燃料噴射ノズル３は円筒状の通路４を介し
て渦流室１に臨ませて設けられている。通路４は
噴射燃料が渦流Ｓにより直ちに乱されないように
するためのものである。燃料噴射ノズル３はノズ
ル本体５とノズル本体５内を往復作動されるニー
ドル弁６とを備えている。ノズル本体５の先端に
は主噴孔７と副噴孔８が形成されている。主噴孔
７は往復作動されるニードル弁６により開閉され
る。機関低負荷時には主噴孔７はニードル弁６に
より閉成され、主に副噴孔８から燃料が噴射され
るように構成されている。主噴孔７からの主噴霧
Ａは通路４中心を通つて渦流室１の中心部に向け
て噴射される。一方、副噴孔８はノズル本体５の
軸心上に形成された主噴孔７に対してノズル本体
５の径方向外方に所定の角度傾けて形成されてお
り、副噴霧Ｂは渦流Ｓと同方向に噴射される。副
噴孔８からの副噴霧Ｂは通路４壁面に当るように
噴射されるが、通路４の副噴霧Ｂが当る側の壁面
には、第１図ないし第２図に示す如く、半円形断
面の案内溝９が形成されている。案内溝９は副噴
霧Ｂの噴射方向に沿つて形成され、渦流室１の内
壁１０にほぼ接線状に接続される。案内溝９、通
路４の加工方法としては例えば、まず案内溝９を
ドリルであけ、次いで通路４をドリルであければ
よい。

上記の如く、通路４には案内溝９が形成されて
いるので、主に低負荷時に副噴孔８から噴射され
る副噴霧Ｂの一部は微粒状で案内溝９に沿つて進
み、渦流室１に生成される渦流Ｓにより混合気化
されて着火燃焼する。これにより着火遅れは防止
される。一方、副噴霧Ｂの大部分は案内溝９面に
付着し薄い液膜を形成して案内溝９から渦流室１
の内壁１０へと滑らかに且つ速やかに分散され
る。従つて付着した燃焼は内壁１０から緩やかに
蒸気化し、良好な壁面蒸発燃焼を達成できる。こ
のため、燃焼はスムーズとなり、燃焼騒音・振動
を低減できると共にNOxの発生を抑えることが
できる。

尚、上記実施例では、案内溝９は半円形断面の
ものであつたが、第３図、第４図、第５図にそれ
ぞれ示すように案内溝９を矩形、台形、半楕円形
の断面などとしてもよく、上記実施例と同様の効
果が得られる。

また、上記実施例のように案内溝９を直線状の
溝とせず、副噴霧Ｂの流れを阻害しない程度に湾
曲させ、例えば球形状にカツトした案内溝として
もよい。また、渦流室１には小室など設けること
は不要なので、渦流室内壁全体をセラミツクで成
形して耐熱性を高めることも可能である。

〔考案の効果〕

以上要するに本考案によれば、燃料噴射ノズル
と渦流室を連通する円筒状の通路に、副噴霧を滑
らかに且つ速やかに渦流室内壁に案内する案内溝
を設けたため、良好なスムーズな壁面蒸発燃焼を
達成でき、騒音・振動を低減できると共にNOx
の発生を抑制することができ、しかも構造が簡単
で容易に製造でき実用性に富む等の優れた効果を
奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る燃焼室構造の縦断面図、
第２図は第１図の−線矢視断面図、第３図、
第４図、第５図は本考案の案内溝の他の実施例を
それぞれ示す横断面図、第６図は従来の燃焼室構
造の縦断面図である。 図中、１は渦流室、２はシリンダヘツド、３は
燃料噴射ノズル、４は通路、５はノズル本体、６
はニードル弁、７は主噴孔、８は副噴孔、９は案
内溝、１０は内壁、Ａは主噴霧、Ｂは副噴霧、Ｓ
は渦流である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 燃料噴射ノズルと渦流室とを連通する円筒状の
   通路に、燃料噴射ノズルからの副噴霧の噴射方向
   に沿わせ且つ渦流室内壁にほぼ接線状に接続され
   る副噴霧の案内溝を形成したことを特徴とするデ
   イーゼル機関の燃焼室構造。