JPH0156178B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、スパンボンド法により、タテヨコの
フイラメント配列が改善され、かつ均一な分散性
を有するウエブを製造する方法及び装置に関する
ものである。

溶融紡糸ノズルより紡出された連続フイラメン
トから直接不織布を得る所謂スパンボンド法にお
いては、フイラメント同士を十分に開繊させると
共に均一に分散させて斑のない不織布を得ること
が重要な問題であり、従来より多くの提案がなさ
れている。例えば、紡口よりスダレ状に紡出され
た連続フイラメント群を一組のサツカーにより牽
引する場合、或いは紡口より紡出された連続フイ
ラメント群を複数組のエアサツカーにより牽引す
る場合に、これらのエアサツカーの入口部又は出
口部において接触摩擦帯電或いは高電圧による強
制帯電等でフイラメント群を帯電させ、電気的反
溌力を利用して開繊及び分散させた後、ウエブコ
ンベア上にウエブを形成する方法もその一つであ
る。しかし、このような方法においては、帯電さ
れたフイラメント群がウエブコンベアに向かつて
排出されるに際して同伴するエアサツカーからの
多量の高速エアーにより、静電気による反溌力が
阻害され十分なフイラメント同士の開繊が得られ
なかつた。更にこの高速エアーはエアサツカーと
ウエブコンベアとの空間において随伴流を引き起
こし必要以上の空気量となり、ウエブコンベア面
上にウエブが形成された時ウエブコンベア面に吸
引しきれなかつた空気流がウエブコンベア面上で
跳ね返り流としてウエブ上を流れる。このためウ
エブの進行方向にフイラメントが並び易くなつ
て、ウエブにタテ筋状の流れが出現したり、更に
跳ね返り流が少なくなつた場合には、捕集面上で
のウエブ形成をも乱すこととなり、製品の見掛け
上の品位を著しく悪化させることとなる。

本発明者らは、エアサツカーから排出され、静
電気を帯びたフイラメント群が同伴する高速エア
ーによつて引き起こされる開繊不良及び分散不良
の解決方法について鋭意検討を重ねた結果、エア
サツカーとウエブコンベアとの間に設けられた、
入口部にフイラメント衝突板を有する平面板と入
口部にフイラメント飛び出し防止壁を有する平面
板が狭小な平行面間隙を形成するように対峙して
なるスリツト整流装置に、エアサツカーから排出
されたフイラメント群と高速エアーとを走行させ
ることにより、スリツト整流装置入口部におい
て、衝突板に衝突したフイラメントに静電気を発
生させ、余剰の高速エアーが衝突板に当たつてフ
イラメント群から分割されるとともに、狭小な平
行面からなるスリツト部においてフイラメント群
がスダレ状に再配列されて、フイラメントの開繊
性及び分散性が格段に向上されることを見いだ
し、本発明に到達したものである。

なお、特公昭53−37455号公報に、エアサツカ
ーとウエブコンベアとの中間に、エアガイドジエ
ツトを設け、エアサツカー出口における流体速度
の1/8から1/2の速度の空気流を噴出させることを
特徴とした不織布の製造方法が開示されている。
本発明の方法は、同伴空気流を分離するだけで空
気流の噴出を行わない点で、該方法と一見矛循す
るよに見えるが、該方法は、静電気を帯びていな
いフイラメント群からの不織布の製造法に関する
もので、静電気を帯びた開繊状態のフイラメント
群を扱う本発明とは前提が異なる。又、特公昭55
−17830号公報においても、エアサツカーとウエ
ブコンベアとの中間に、フイラメント群の幅方向
に平行で内面が傾斜し対峙する少なくとも２対の
フイラメント拡散ガイドにフイラメント群を通
し、フイラメントに随伴する気流をフイラメント
拡散ガイドで幅方向に拡散させてフイラメント群
を幅方向に拡散分布させることを特徴とする不織
布の製造方法が開示されている。しかし、この方
法も静電気の付与されていないフイラメント群か
らの不織布の製造方法に関するものである。静電
気が付与されているフイラメント群からの不織布
製造方法を開示する本発明とは、そもそもその前
提条件が異なるものである。

以下、本発明を詳細に説明する。第１図は従来
の実施態様を示す側断面略図であり、紡糸装置１
から押し出された連続フイラメント群２はエアサ
ツカー３により牽引延伸された後エアサツカー３
より排出されウエブコンベア５上にウエブ６を形
成する。この際ウエブコンベアに向かつて排出さ
れる連続フイラメント群７は、エアサツカー３か
らの高速エアー８を同伴しており、フイラメント
同士の静電気反溌力（図示されていない手段によ
りフイラメント群に付与されている）による開繊
がこの高速エアー８により阻害される。その結果
フイラメント同士の十分な開繊がなされずにフイ
ラメント同士が寄り集まつた所謂マルチ状フイラ
メントとなり、ウエブの見掛け上の品位を著しく
悪化させるばかりか均一性も低下させてしまう。
更に、高速エアー８を同伴したフイラメント群７
はウエブコンベア面に近づくにつれて扇状に拡が
りその近傍に随伴流９，９′が発生し、これらの
空気流がすべては吸引ダクト４より吸引されずに
ウエブ上を流れる空気流１０を形成する。フラメ
ント群７が同伴する高速エアー８が強いほどこの
空気流１０も強くなり、ウエブにタテ筋状のパタ
ーンを発生させるばかりか、場合によつてはウエ
ブコンベア上でのウエブ形成そのものをも乱すこ
ととなり、製品の見掛け上の品位を著しく悪化さ
せるとともに均一性も低下させてしまう。

第２図は、本発明の実施態様を示す側断面略図
であり、高速エアー８を同伴したフイラメント群
７は、エアサツカー３とウエブコンベア５との間
に設置された入口部にフイラメント衝突板を有す
る矩形状平面板とフイラメント飛び出し防止壁を
有する矩形状平面板が狭小な間隙の平行面を形成
するように対峙してなるスリツト整流装置１２に
導入される際に、スリツト整流装置１２の入口部
において、フイラメント群７が衝突板に衝突する
際に静電気を発生するとともに、同伴していた高
速エアー８の一部１１，１１′をウエブ形成に影
響を及ぼさない方向へ分離する。更にフイラメン
ト群７は残りの高速エアーとともにスリツト整流
装置を通過する際に、均一なスダレ状配列となつ
て排出されウエブコンベア５上にウエブ６を形成
する。本製造法においては、スリツト整流装置１
２から排出されるフイラメント群７′に同伴する
高高速エアー８′の量を任意に調整することが可
能であるため、従来のようにフイラメント同士の
静電気反溌力による開繊を高速エアー８′により
阻害されることがなく、十分なフイラメント同士
の開繊が得られる。又、フイラメント群７′に同
伴される高速エアー８′の量が減少し更にそれに
伴い随伴流９，９′の量も減少するため、吸引ダ
クト４に吸引されずにウエブ上を流れる空気流１
０の強さも弱くなる。このため空気流１０による
ウエブのタテ筋状パターン及び分散の不均一が解
消し、重量分布が均一で見掛け品位も非常に優れ
たウエブを形成することが可能になつた。

第３図はスリツト整流装置１２の具体例を示す
断面図であり、１２ａ〜１２ｄにフイラメント飛
び出し防止壁１４とフイラメント衝突板１５の一
部の例を示す。フイラメント衝突板１５は、エア
サツカー３から排出されたフイラメント群７と高
速エアー８を衝突させることにより、フイラメン
ト群７に静電気が発生し、フイラメント群７と高
速エアー８の一部１１，１１′を分離するととも
に、フイラメント群７と残りの同伴エアー８′を
フイラメント衝突板１５に添つてスリツト内１３
へ導く役割を果たす。フイラメント飛び出し防止
壁１４は、フイラメント衝突板１５に衝突したフ
イラメント群７のうちフイラメント衝突板１５に
添わずにスリツト１３の外へ飛び出そうとする一
部のフイラメント群の進行方向を規制してスリツ
ト内へ導く役割を果たすものである。フイラメン
ト衝突板１５及びフイラメント飛び出し防止壁１
４は、上記の作用を果たすものであればその形状
は限定されるものではない。又、スリツト部１３
の間隙ｄ及び垂直方向への長さｌは、エアサツカ
ーにより排出されるフイラメント群が同伴する余
剰な高速エアーを分離する上において、及びスリ
ツト部１３を通過するフイラメント群を均一なス
ダル状に再配列する上において重要な条件であ
る。実用上スリツト部１３の間隙ｄは２mm〜20mm
が好ましい。即ち、間隙ｄを２mmより狭くしてい
くとスリツト内でのウエブ詰まりを起こし易くな
り安定なウエビングが不可能となり、更に狭すぎ
る場合はフイラメント群がスリツト内にうまく導
入されずにスリツト部１３の外に飛び出しウエビ
ングが不可能となる。一方間隙ｄを20mmより広く
していくとフイラメント群のスリツト内への導入
は容易となるが、フイラメント群が同伴する余剰
高速エアーの分離が不十分となり、更に広すぎる
場合には高速エアーが分離されないばかりか、逆
に随伴流をスリツト内に引き込むことになり、ス
リツト内でのフイラメントのからみが生じ開繊性
及び分散性ともに著しく低下する。スリツト部１
３の垂直方向への長さｌは50mm以上であることが
好ましい。即ち、垂直方向への長さｌが50mmより
短い場合には、スリツト内でフイラメント群を均
一なスダレ状に再配列させることが不十分となり
ウエブの均一性が低下する。又、スリツト部１３
の幅については、紡出口より紡出されるフイラメ
ント群の幅及び堆積ウエブの幅により個々に設定
される。

次に実施例により本発明を説明する。

実施例 １ 1000個の紡糸孔を有する矩形紡出口より吐出量
850ｇ／minで紡出されたポリエチレンテレフタ
レートを、間隙４mm、幅1150mm（機械幅方向）の
矩形スリツトを有するエアサツカーにより5000
ｍ／minの速度で牽引して1.5dの連続フイラメン
トとした。この連続フイラメント群を、スリツト
間隙ｄが５mm、スリツト垂直方向長さｌが100mm、
幅が1150mm（機械幅方向）の第３図１２ａに示し
たようなスリツト整流装置内に導入した後ウエブ
コンベア上に堆積し50ｇ／m²のウエブを製造し
た。このウエブは、タテ筋状のウエブパターン、
開繊不良によるマルチ状フイラメント及ウエブの
堆積斑が全く見られず、見掛け上の品位が極めて
優れていた。又、耳部を除いて１ｍ×１ｍのサイ
ズとしたウエブから、幅５cm長さ100cmに切断し
た20本のタンザク状のサンプルを採取し、各サン
プルの重量を測定して、５cm幅目付変動率〔％〕
＝〔（最大重量−最小重量）／平均重量〕×100を求
めたところ、５cm幅目付変動率が８％以下であ
り、ウエブの重量分布も極めて均一であつた。こ
れに対し、スリツト整流装置を用いないで同一紡
糸条件にて製造した50ｇ／m²のウエブは、タテ筋
状のウエブパターン、開繊不良によるマルチ状フ
イラメント及びウエブの堆積斑が目立ち見掛け上
の品位が劣るとともに、５cm幅目付変動率も18％
であつた。

実施例 ２ 68個の紡糸孔を有する紡出口を横一列に12個配
し、ポリエチレンテレフタレートを総吐出量1363
ｇ／minで紡出した。この紡出された連続フイラ
メント群を、ノズル面下の堆積幅方向に一列24個
配置されたエアサツカーを用い、１個のエアサツ
カー当たり34本ずつ吸引し5000ｍ／minの速度で
牽引して３デニールの連続フイラメントとした。
この連続フイラメント群を、スリツト間隙ｄが３
mm、スリツト垂直方向長さｌが150mm、幅が1150
mm（機械幅方向）の第３図１２ｄに示したスリツ
ト整流装置内に導入した後、ウエブコンベア上に
堆積して50ｇ／m²のウエブを製造した。このウエ
ブはタテ筋状のウエブパターン、マルチ状フイラ
メント及びウエブの堆積斑が全く見られず見掛け
上の品位が極めて優れており、５cm幅目付変動率
も10％以下でありウエブの重量分布も極めて均一
なものであつた。

以上説明したように、本発明の方法及び装置に
よれば、フイラメント同士が十分に開繊し、分散
性が格段に向上し、タテヨコフイラメント配列が
改善された見掛け品位に非常に優れ、かつ、重量
分布が極めて均一な不織布を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の実施態様を示す側断面略図、第
２図は本発明の実施態様を示す側断面略図であ
る。又、第３図１２ａ〜１２ｄは本発明で用いる
スリツト整流装置の具体例を示す断面図である。 １……紡糸装置、２……連続フイラメント群、
３……エアサツカー、４……吸引ダクト、５……
ウエブコンベア、６……ウエブ、７……エアサツ
カーから排出された連続フイラメント群、７′…
…スリツト整流装置から排出された連続フイラメ
ント群、８……エアサツカーから排出された高速
エアー、８′……スリツト整流装置から排出され
た高速エアー、９，９′……随伴流、１０……空
気流、１１，１１′……分離エアー、１２……ス
リツト整流装置、１３……スリツト部、１４……
フイラメント飛び出し防止壁、１５……フイラメ
ント衝突板。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 連続フイラメント群をエアサツカーで牽引
   し、ついで移動するウエブコンベア上に堆積して
   不織布ウエブを製造するに当たり、エアサツカー
   とウエブコンベアとの間に設けられた、入口部に
   フイラメント衝突板を有する平面板と入口部にフ
   イラメント飛び出し防止壁を有する平面板が狭小
   な平行面間隙を形成するように対峙してなるスリ
   ツト整流装置に、エアサツカーから排出されたフ
   イラメント群と高速エアーとを走行させることに
   より、衝突板への衝突によりフイラメント群に静
   電気を帯電させ、余剰の高速エアーをスリツト整
   流装置の入口部で分離するとともに、フイラメン
   ト群をスダレ状に再配列させた後、ウエブコンベ
   アにてウエブ形成させることを特徴とする不織布
   の製造方法。 ２ 連続フイラメント群をエアサツカーで牽引
   し、ついで移動するウエブコンベア上に堆積して
   不織布ウエブを製造する装置において、エアサツ
   カーとウエブコンベアとの間の、入口部にフイラ
   メント衝突板を有する平面板と入口部にフイラメ
   ント飛び出し防止壁を有する平面板が、間隙ｄが
   ２〜20mmで垂直方向への長さｌが50mm以上である
   スリツトを形成するように対峙してなるスリツト
   整流装置を設けてなることを特徴とする不織布製
   造装置。