JPH0155326B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、始動トルクが回転の一方向に加え
られるとともにエンジン始動後回転の同じ方向の
オーバラン状態を可能にする手段を必要とすると
ころの、エンジン始動装置のような、装置に関す
るものである。従来、これらの装置は扱いにく
く、高価であり、かつ通常に加えられるスプリン
グ力で発生されるような、不完全な分離またはク
ラツチリセツト力の結果として、過度の摩耗を生
じやすかつた。

この発明の主目的は、非常に高い速度のオーバ
ランニングを最少の摩耗でささえる能力のあるオ
ーバランニングクラツチを提供することである。
この発明の別の目的は、始動装置ピニオンの確実
係合に要求されるような、出力シヤフト部材の軸
方向移動を可能にするところのオーバランニング
クラツチを提供することである。この発明の別の
目的は、スプリング力によつて係合位置へ駆動さ
れかつ駆動装置がオーバランされているときヘリ
カルスプラインによつて分離位置へ駆動されると
ころの連動フエースクラツチを提供することであ
る。この発明の別の目的は、オーバラン状態にお
いてクラツチ係合スプリングを拘束し、それによ
り該スプリングがフエースクラツチジヨーを係合
へ復帰させる作用をしないようにするところの機
構を提供することである。この発明の主要な目的
は、空気または電気始動装置等と共に使用するた
めの簡単で、経済的でかつ信頼性のあるオーバラ
ンニングクラツチを提供することである。これら
およびその他の目的を達成するオーバランニング
クラツチは、入力シヤフトと、前記入力シヤフト
の一方の端の近くに取付けられて、前記入力シヤ
フトと一緒に回転する第１のクラツチ部材と、一
方の端に前記入力シヤフトの前記一方の端を少な
くとも一部は同心円をなす関係に受ける穴を有す
る出力シヤフトと、前記出力シヤフトに前記穴の
中のヘリカルスプラインによつて取付けられて前
記出力シヤフトの内部で並進と回転を行う第２の
クラツチ部材とを備え、前記第１のクラツチ部材
と前記第２のクラツチ部材は、前記入力シヤフト
と前記出力シヤフトとの間に伝動を生じさせるよ
うに共通のジヨーフエースを介して共同作用し、
前記ヘリカルスプラインは、駆動モードの間前記
第２のクラツチ部材を前記第１のクラツチ部材と
係合させるように強制し、オーバランニングモー
ドのときは前記第２のクラツチ部材と前記第１の
クラツチ部材の係合を外すように強制する構成に
なつている。

以下の説明は本発明の本質を完全に理解するた
めに与えられる。空気始動装置のオーバランニン
グクラツチに関連して説明されるが、このクラツ
チ装置はオーバラン能力を必要とする電気始動装
置または他の類似装置にも同等に適用できること
が理解されるべきである。

つぎに第１図を参照すると、クラツチ装置の軸
方向中央を通つて水平に延在する駆動シヤフト１
が示されている。駆動シヤフト１は、空気モータ
または電気モータのような、通常の手段によつて
回転させられまたは駆動され、かつ任意の適当な
ギヤその他の減速機構を介して駆動させられる。
駆動シヤフトは、空気始動装置または電気始動装
置の場合には、エンジンをその始動速度まで回転
させるのに十分である速度で、所定方向に回転さ
せられることを理解すればこの発明の目的には十
分である。第１図においては、その回転は駆動シ
ヤフトの左側から見た場合時計回りである。

駆動シヤフト１の右端にはストレートスプライ
ン２が設けられ、このスプラインは駆動フエース
クラツチリング３と係合している。この駆動フエ
ースクラツチリングは図示のように本質的にはリ
ング形部材であり、その内面にストレートスプラ
イン４を備え、このストレートスプラインはスト
レートスプライン２と嵌合しこれによつて駆動さ
れる。当業者には理解されうるように、ストレー
トスプライン２，４の使用は駆動シヤフト１に相
対的な駆動フエースクラツチリング３の自由な軸
方向移動を可能にする。

第１図に示すように、駆動フエースクラツチリ
ング３の左側にはフエースジヨー５が設けられて
いる。このフエースジヨーの形態は第４，５，６
図を見れば最もよく理解することができ、第５図
にはその側面図が示され、第６図には端面図が示
され、第４図には典型的な歯の輪郭が示されてい
る。この形態のフエースジヨーは当該技術分野で
周知であり、ここで詳細に説明する必要はない。
被駆動フエースジヨー６は被駆動フエースクラツ
チリング７上に設けられ、この被駆動フエースク
ラツチリングは駆動フエースクラツチリング３の
左側で駆動シヤフト１のまわりに同心に装着され
ている。被駆動フエースクラツチリング７の外周
にはヘリカルスプライン８が設けられ、このヘリ
カルスプラインは被駆動シヤフト１０上のヘリカ
ルスプライン９と係合している。

図示の実施態様において、駆動シヤフト１は被
駆動シヤフト１０の中空部分内に同心に装着され
ている。駆動シヤフト１は図示のように実質上均
一な直径のものであり、一端にストレートスプラ
イン２を有し、このスプラインとシヤフトの残部
との間に適当な逃げみぞ１１が設けられている。
被駆動シヤフト１０は３つの異なる直径に深座ぐ
りされている。第一の直径１２は駆動シヤフトの
ためのすきまを与え、該シヤフトが挿入されてい
る。第二の直径１３は、第一の直径より幾分大き
く、駆動フエースクラツチリングのためのすきま
を与えている。第三の直径１４は被駆動フエース
クラツチリング７およびその外周ヘリカルスプラ
イン８のためのすきまを与えている。ヘリカルス
プライン９は第三の直径１４から内方に延在して
被駆動フエースクラツチリング７のヘリカルスプ
ライン８と係合している。第二の直径１３と第三
の直径１４との間の直径の差は肩部１５を与え、
この肩部は駆動フエースクラツチリングを第１図
で右方向の軸方向移動をしないように拘束する役
割をする。駆動フエースクラツチリング３に形成
された対応肩部１６は駆動フエースジヨー５と反
対の側で駆動フエースクラツチリングの直径を減
小することによつて得られている。

第１図に示すような係合位置において、被駆動
フエースクラツチリング７はリターンスプリング
１７によつて駆動フエースクラツチリング３に対
して右方向に押されている。スプリング１７はス
プリングカツプ１８内に保持され、このスプリン
グカツプはスナツプスプリング１９によつて被駆
動シヤフト１０の第三の直径のボア内に保持され
ている。第１図に示す駆動動作において、駆動シ
ヤフト１は逆時計回りに回転させられ、被駆動シ
ヤフト１０も駆動シヤフト１と同一速度で逆時計
回りに駆動される。すなわち、ストレートスプラ
イン２、これと係合するストレートスプライン
４、駆動フエースクラツチリング３、駆動フエー
スジヨー５、被駆動フエースジヨー６、被駆動フ
エースクラツチリング７、ヘリカルスプライン
８、これと係合するヘリカルスプライン９、およ
び被駆動シヤフト１０を介するフエースジヨーク
ラツチ駆動によつて駆動される。被駆動フエース
クラツチリング７はリターンスプリング１７およ
び係合するヘリカルスプライン８とヘリカルスプ
ライン９の相互作用によつて駆動フエースクラツ
チリング３と接触保持され、これにより被駆動フ
エースクラツチリング７を第１図で右方向に押圧
する力が発生される。これは典型的な始動モード
である。

ストレートスプライン２およびこれと係合する
ストレートスプライン４により第１図で右方向の
被駆動シヤフト１０の軸方向または水平方向の移
動が可能であり、それにより始動ピニオン（図示
せず）と始動されるべきエンジンのフライホイー
ルまたは類似の連結部との係合が可能になること
が理解されるべきである。被駆動シヤフト１０の
軸方向移動は、確実係合始動装置に通常使用され
る。機械的フオーク・リンケージ装置またはソレ
ノイド・エアピストン装置のような通常の手段に
よつて達成される。

エンジン始動に際して、当業者には理解される
ように、被駆動シヤフト１０は駆動シヤフト１を
オーバランするように逆時計回り方向に加速され
る。フエースクラツチジヨー５と６を分離させる
と被駆動フエースクラツチリング７はヘリカルス
プラインの作用によつて助けられ第１図で左方向
に移動する。被駆動シヤフトが駆動シヤフト１に
相対的に加速し続けると、ヘリカルスプライン
８，９の作用によりフエースジヨー５，６はさら
に分離される。さらに、被駆動シヤフトが高い回
転速度に達すると、リターンスプリング１７は遠
心力で外方に押されてスプリングカツプ１８と接
触し、その摩擦力でリターンスプリングが保持さ
れ、それにより被駆動フエースクラツチリング７
が駆動フエースクラツチリング３との係合へ復帰
しないようにされる。その結果としてオーバラン
中フエースクラツチジヨーの急速な摩耗を防止す
ることにより独特の顕著な利益が得られる。

エンジンが始動して運転速度に達した後、被駆
動シヤフトは前述した通常の手段によつて第１図
で左方向に後退させられる。始動装置のピニオン
が分離されると、被駆動シヤフトは減速して十分
におそい速度に達し、それによりリターンスプリ
ングがスプリングカツプの壁から解放され、被駆
動フエースクラツチリング７を第１図に示す係合
位置に復帰させる。

本発明は始動装置に関連して説明されたが、多
くの他の適用および／または改変が当業者には想
到されるであろう。本発明の範囲は特許請求の範
囲の規定によつてのみ制限されるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明のオーバランニングクラツチ
の部分切除立面図である。第２図は被駆動フエー
スクラツチジヨーの部分側面断面図である。第３
図は被駆動フエースクラツチジヨーの部分端面図
である。第４図は被駆動ジヨーの係合歯の輪郭を
示す。第５図は駆動ジヨーの部分側面断面図であ
る。第６図は駆動ジヨーの部分端面図である。 １……駆動シヤフト、２……ストレートスプラ
イン、３……駆動フエースクラツチリング、４…
…ストレートスプライン、５……フエースジヨ
ー、６……被駆動フエースジヨー、７……被駆動
フエースクラツチリング、８，９……ヘリカルス
プライン、１０……被駆動シヤフト、１１……逃
げみぞ、１２，１３，１４……ボア、１５，１６
……肩部、１７……リターンスプリング、１８…
…スプリング・カツプ、１９……スナツプスプリ
ング。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 入力シヤフト１と、 前記入力シヤフトの一方の端の近くに取付けら
   れて、前記入力シヤフトと共に回転する第一のク
   ラツチ部材３と、 一方の端に前記入力シヤフトの前記一方の端の
   少なくとも一部分を同心の関係に受け入れる穴を
   有する出力シヤフト１０と、 前記出力シヤフトに前記穴の内側のヘリカルス
   プライン９によつて取付けられて前記出力シヤフ
   トの内部で並進と回転を行う第二のクラツチ部材
   ７とを備え、 前記第一のクラツチ部材と前記第二のクラツチ
   部材は、前記入力シヤフトと前記出力シヤフトと
   の間に伝動を生じさせるように共通のジヨーフエ
   ース５，６を介して共同作用し、 前記ヘリカルスプラインは、駆動モードの間前
   記第二のクラツチ部材を前記第一のクラツチ部材
   と係合させるように強制し、オーバランニングモ
   ードのときは、前記第二のクラツチ部材と前記第
   一のクラツチ部材の係合を外すように強制するこ
   とを特徴とするオーバランニングクラツチ。 ２ 前記共通のジヨーフエースが傾斜した歯５，
   ６から構成されていることをさらに特徴とする特
   許請求の範囲第１項記載のオーバランニングクラ
   ツチ。 ３ 前記第一のクラツチ部材３がストレートスプ
   ライン２によつて前記入力シヤフトに装着されて
   いることをさらに特徴とする特許請求の範囲第１
   項記載のオーバランニングクラツチ。 ４ 前記第二のクラツチ部材７がスプリング機構
   １７によつて第一のクラツチ部材３の方へ押圧さ
   れていることをさらに特徴とする特許請求の範囲
   第１項記載のオーバランニングクラツチ。 ５ 前記スプリング機構１７がカツプ機構１８内
   に保持されており、前記カツプ機構は前記スプリ
   ング機構がオーバランニングモードにおいて前記
   カツプ機構内で遠心力によつて膨張し、その結果
   前記カツプ機構に前記スプリング機構を摩擦拘束
   するに十分な圧力で接触することを可能にする半
   径方向の寸法を有することをさらに特徴とする特
   許請求の範囲第４項記載のオーバランニングクラ
   ツチ。 ６ 駆動入力シヤフト１が周辺の少なくとも一部
   分のまわりにストレートスプライン２を有し、 前記駆動入力シヤフトの前記ストレートスプラ
   イン２と共同作動するストレートスプライン４を
   内周に有する駆動フエースクラツチリング３が前
   記駆動入力シヤフトのまわりに同心に装着され、 前記駆動フエースクラツチリングはその一端の
   方に傾斜歯ジヨーフエース５およびその他端の方
   に肩部１５を有し、 被駆動フエースクラツチリング７が前記駆動入
   力シヤフト１のまわりに自由回転をするように同
   心に装着され、 前記被駆動フエースクラツチリング７は前記駆
   動フエースクラツチリング３の前記傾斜歯ジヨー
   フエース５と係合する傾斜歯ジヨーフエース６を
   有し、 前記被駆動フエースクラツチリング７はその周
   辺にヘリカルスプライン８を有し、 被駆動出力シヤフト１０が、前記駆動入力シヤ
   フト１と前記駆動フエースクラツチリング３と前
   記被駆動フエースクラツチリング７とのまわりに
   同心に装着され、 前記被駆動出力シヤフト１０は前記被駆動フエ
   ースクラツチリング７の前記ヘリカルスプライン
   ８とかみ合うヘリカルスプライン９を内面に有
   し、 前記ヘリカルスプライン９は、前記オーバラン
   ニングクラツチの駆動モード中前記傾斜歯フエー
   スジヨー５，６を介して前記被駆動フエースクラ
   ツチリングと前記駆動フエースクラツチリングと
   を係合させかつ前記オーバランニングクラツチの
   オーバランニングモード中前記係合をはずすとこ
   ろのねじれ角を有し、 前記被駆動フエースクラツチリング７はその一
   端に作用するコイルスプリング１７によつて前記
   駆動フエースクラツチリング３の方へさらに押圧
   され、 前記コイルスプリング１７はスプリングカツプ
   機構１８によつて前記被駆動フエースクラツチリ
   ング７との係合状態に保持され、 前記スプリングカツプ機構１８は前記被駆動出
   力シヤフト１０内に同心に装着され、 前記駆動フエースクラツチリング３は、前記肩
   部１５と前記被駆動出力シヤフト１０上の対応す
   る肩部１６との相互作用によつて前記被駆動出力
   シヤフト１０の他端の方への軸方向移動をしない
   ように拘束されている ことを特徴とする始動モータ用オーバランニング
   クラツチ。 ７ 前記スプリング機構１７が、オーバランニン
   グクラツチのそのオーバランニングモードにおけ
   る動作中前記スプリングカツプ機構１８内で遠心
   力によつて膨張することによつて拘束されること
   をさらに特徴とする特許請求の範囲第６項記載の
   オーバランニングクラツチ。