JPH0148278B2 - - Google Patents

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JPH0148278B2
JPH0148278B2 JP4612381A JP4612381A JPH0148278B2 JP H0148278 B2 JPH0148278 B2 JP H0148278B2 JP 4612381 A JP4612381 A JP 4612381A JP 4612381 A JP4612381 A JP 4612381A JP H0148278 B2 JPH0148278 B2 JP H0148278B2
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JP
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insulin
arg
gly
chain
sulfonate
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JP4612381A
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Eitsuchi Furanku Buruusu
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Eli Lilly and Co
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Eli Lilly and Co
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Publication date
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Publication of JPH0148278B2 publication Critical patent/JPH0148278B2/ja
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  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 この数年間に、多くの方面でヒトインスリンの
合成的あるいは半合成的構造が前進した。インス
リン分子は、21個のアミノ酸残基を有するA鎖と
30個のアミノ酸残基を有するB鎖との2個のペプ
チド鎖を持つている。これらの鎖は、それぞれ2
個のシステイニル基で形成される3個のジスルフ
イド橋を含んでいる。これらのジスルフイド橋の
うち2個は、A鎖とB鎖を結んでいる。これらの
架橋は、それぞれA−6とA−11、A−7とB−
7としてA−20とB−19のシステイニル基で形成
されている。 インスリンの一般的製法のひとつは、プロイン
スリンまたはプロインスリン類似体を経るもので
ある。プロインスリンは単鎖ポリペプチドであつ
て、インスリンA鎖のN端が結合ペプチドを介し
てインスリンB鎖のC端と結合しており、システ
イン残基は適宜ジスルフイド結合で結ばれてい
る。例えば、ヒトプロインスリンは86個のアミノ
酸残基を有し、そのうち35個が結合ペプチドを形
成している。Yanaihara et al.Diabetes、27
(Suppl.1)149−160(1978)は、種々の結合ペプ
チドおよびヒトプロインスリンの合成について報
告している。 他のプロインスリン類似体も文献に報告されて
おり、そのプロインスリンとの主要な相異は、イ
ンスリンAB鎖を結合している部分の構造および
その結合点にある。 すなわち、Busse et al、Biochemistry、15
No.81649−1657(1976)は、2個のメチオニンがカ
ルボニル基によつてN端で結合している結合基を
報告しており、これはA−1グリシルのN〓−末
端とB−29リシルのN〓−末端に結合している。 同様に、他の結合基が、例えば、Geiger et
al、Biochem.and Biophys.Res.comm.、、60
−66(1973);Brandenburg et al、Hoppe−
Seyler′s Z.Physiol.Chem.bd.354、613−627
(1973);U.S.Patents Nos.3847893;3907、
763;3883496;3883500;3884897に記載されてい
る。 インスリンA鎖とB鎖とが特定の結合基を介し
て結合している単鎖体を経由してインスリンを製
造する方法では、常に、A鎖とB鎖上に存在する
6個のシステイニル残基によつて3個のジスルフ
イド橋を形成することからなるインスリンA鎖と
B鎖との直接的結合を行なわせる必要がある。ジ
スルフイド結合の形成後に、初めの結合基を除去
してインスリンを生成させる。 インスリンを生成させるこの方法を実施するに
は、正しいジスルフイド橋を形成するための効果
的で容易な方法が強く望まれる。一般に、ジスル
フイド橋を形成する文献的方法には、所望の−
SH構造の空気酸化が含まれる。さらに、−SH構
造が不安定であることが知られているので、この
前駆体は、通常S−保護基、特にS−スルホネー
ト基(−S−SO- 3)から形成する。従つて、文献
的方法は二段階の反応からなつている。すなわ
ち、メルカプタンで処理してS−スルホネートを
−SHに還元し、次いで得られた−SH化合物を空
気酸化するのである。 今回、S−スルホネートを所望のジスルフイド
型インスリン前駆体に直接変換する容易で効率の
よい方法があることが判明した。この方法は、酸
化−還元を実施しようとするのではない。むしろ
酸化剤の不存在を好む条件下に(それは必須では
ない)、この直接変換は実施される。本発明は、
このような方法に関する。 線型S−スルホネートインスリン前駆体のジス
ルフイド形成ではなくて、インスリンA鎖とB鎖
の結合に使用される一般的二段階法に関する先行
技術における例外は、Dixon et、al、Nature、
188、721−724(1960)である。この文献は、A鎖
とB鎖のスルホネートを単一溶液中で結合するこ
とによるインスリンの製法を暗示している可能性
がある。しかし、詳しくみると、この文献の方法
は極めて不完全であり、その収率は回収した生成
物の活性だけに基いており、僅か1−2%であ
る。後の報告、Dixon、Proc.Intern.Congr.
Endocrinal.2nd London 1964、1207−1215
(1965)はこの方法の詳細を幾分明確にしている
が1211頁の表にはS−スルホネートの嫌気的還
元とジスルフイドへの酸化を含む二段階法が示さ
れている。 本発明は、下式のインスリン前駆体の製造法に
関する。 式中、Rは水素、化学的もしくは酵素的に開裂
し得るアミノ酸残基または少くとも2個のアミノ
酸残基からなり、化学的もしくは酵素的に開裂し
得るペプチド残基; Yは−Lys (B−29)−Z (B−30)− (但し、ZはAla、ThrまたはSer);A−1乃至
A−21はインスリンA鎖;B−1乃至B−30はイ
ンスリンB鎖;そしてXはA−1のアミノ基でイ
ンスリンA鎖に結合し、B−29のε−アミノ基ま
たはB−30のカルボキシル基でインスリンB鎖に
結合している基であつて、化学的もしくは酵素的
に該A鎖およびB鎖からそれらを切断することな
く開裂され得る基である。 本発明方法は、S−スルホネート化合物 (式中、R、XおよびYは前記のとおり。) を、そのスルホネート濃度が約10mg/ml以下であ
つて、PHが約7乃至約11.5の水性媒質中におい
て、−SSO- 3基1個に対して約1個乃至約5個の−
SH基を提供し得る量のメルカプタンと反応させ
ることからなる。 本明細書中でいう“インスリン前駆体”とは、
(1)インスリンA鎖およびインスリンB鎖を含んで
おり、(2)A鎖およびB鎖中の(a)A−1とA−11、
(b)A−7とB−7および(c)A−20とB−19のそれ
ぞれに存在するCys基上の硫黄原子同志が結合し
て生ずる少くとも3個のジスルフイド結合を有
し、そして(3)インスリンA鎖とA−1のアミノ基
で結合しており、インスリンB鎖とB−29のリジ
ン残基上のε−アミノ基またはB−30のアミノ酸
残基上のカルボキシル基で結合している除去可能
な結合基を有する分子を意味する。 Zで表わされる基はインスリンのB−30のアミ
ノ酸残基を表わし、Ala、ThrまたはSerのいず
れかである。これらは天然インスリンに相当し、
Thrはヒトインスリン、Alaはウシおよびブタイ
ンスリン、そしてSerはウサギインスリンに含ま
れる。 Rは水素、アミノ酸残基または少くとも2個の
アミノ酸残基を持つペプチド残基である。Rがア
ミノ酸残基またはペプチド基であるとき、Rは本
発明方法で得られるインスリン前駆体から、残り
のインスリンの構造全体を損うことなく除去され
得る基である。ペプチド基のアミノ酸残基は如何
なる広い範囲のものであつてもRの定義を充足す
る。開裂可能なアミノ酸残基の例としてはアルギ
ニン(Arg)やリシン(Lys)のような塩基性ア
ミノ酸があり、同様にカルボキシル側末端にこの
ようなアミノ酸残基を有するペプチド基が挙げら
れる。これらは、蛋白分解酵素トリプシンで処理
することにより開裂されるものである。他の開裂
可能なアミノ酸残基の例はメチオニン(Met)お
よびカルボキシル末端にMetを有するペプチド基
である。これらは臭化シアンで処理することによ
り除去される。さらに、トリプトフアン(Trp)
およびカルボキシル末端にTrpを有するペプチド
基も例示され得る。これらは、N−ブロモサクシ
ンイミドでの処理で除去される。 インスリン前駆体および線状S−スルホネート
インスリン前駆体における結合基Xは、広範な構
造を持ち得る。好ましくは、Xはポリペプチドで
ある。このポリペプチドは、一般に、少くとも2
個のアミノ酸残基を有する。アミノ酸残基の数に
ついて言れば、好ましくは約2個乃至約35個であ
り、さらに好ましくは約6個乃至約35個である。
Xは、A−1のアミノ基でA鎖に、B−30のカル
ボキシル基でB鎖に結合している。Xがペプチド
である場合、最も好ましいのは、その結合の相手
としてA鎖、B鎖もしくはそれらの両方を含む一
般的インスリン前駆体における天然の結合ペプチ
ドである。天然結合ペプチドの例としては、次の
ようなものがある。 ウサギ −Arg−Arg−Glu−Val−Glu−Glu−Leu−
Gln−Val−Gly−Gln−Ala−Glu−Leu−Gly−
Gly−Gly−Pro−Gly−Ala−Gly−Gly−Leu−
Gln−Pro−Ser−Ala−Leu−Glu−Ala−Leu−
Gln−Lys−Arg−. ヒト −Arg−Arg−Glu−Ala−Glu−Asp−Leu−
Gln−Val−Gly−Gln−Val−Glu−Leu−Gly−
Gly−Gly−Pro−Gly−Ala−Gly−Ser−Leu−
Gln−Pro−Leu−Ala−Leu−Glu−Gly−Ser−
Leu−Gln−Lys−Alg−. サル −Arg−Arg−Glu−Ala−Glu−Asp−Pro−
Gln−Val−Gly−Gln−Val−Glu−Leu−Gly−
Gly−Gly−Pro−Gly−Ala−Gly−Ser−Leu−
Gln−Pro−Leu−Ala−Leu−Glu−Gly−Ser−
Leu−Gln−Lys−Arg−. ウマ −Arg−Arg−Glu−Ala−Glu−Asp−Pro−
Gln−Val−Gly−Glu−Val−Glu−Leu−Gly−
Gly−Gly−Pro−Gly−Leu−Gly−Gly−Leu−
Gln−Pro−Leu−Ala−Leu−Ala−Gly−Pro−
Gln−Gln−Lys−Arg−. ラツト −Arg−Arg−Glu−Val−Glu−Asp−Pro−
Gln−Val−Pro−Gln−Leu−Glu−Leu−Gly−
Gly−Gly−Pro−Glu−Ala−Gly−Asp−Leu−
Gln−Thr−Leu−Ala−Leu−Glu−Val−Ala−
Arg−Gln−Lys−Arg−. ラツト −Arg−Arg−Glu−Val−Glu−Asp−Pro−
Gln−Val−Ala−Gln−Leu−Glu−Leu−Gly−
Gly−Gly−Pro−Gly−Ala−Gly−Asp−Leu−
Gln−Thr−Leu−Ala−Leu−Glu−Val−Ala−
Arg−Gln−Lys−Arg−. ブタ −Arg−Arg−Glu−Ala−Glu−Asn−Pro−
Gln−Ala−Gly−Ala−Val−Glu−Leu−Gly−
Gly−Gly−Leu−Gly−Gly−Leu−Gln−Ala−
Leu−Ala−Leu−Glu−Gly−Pro−Pro−Gln−
Lys−Arg−. ウシ・ヒツジ −Arg−Arg−Glu−Val−Glu−Gly−Pro−
Gln−Val−Gly−Ala−Leu−Glu−Leu−Ala−
Gly−Gly−Pro−Gly−Ala−Gly−Gly−Leu−
Glu−Gly−Pro−Pro−Gln−Lys−Arg−. イヌ −Arg−Arg−Asp−Val−Glu−Leu−Ala−
Gly−Ala−Pro−Gly−Glu−Gly−Gly−Leu−
Gln−Pro−Leu−Ala−Leu−Glu−Gly−Ala−
Leu−Gln−Lys−Arg−. モルモツト −Arg−Arg−Glu−Leu−Glu−Asp−Pro−
Gln−Val−Glu−Gln−Thr−Glu−Leu−Gly−
Met−Gly−Leu−Gly−Ala−Gly−Gly−Leu−
Gln−Pro−Leu−Gln−Gly−Ala−Leu−Gln−
Lys−Arg−. チンチラ −Arg−Arg−Glu−Leu−Glu−Asp−Pro−
Gln−Val−Gly−Gln−Ala−Asp−Pro−Gly−
Val−Val−Pro−Glu−Ala−Gly−Arg−Leu−
Gln−Pro−Leu−Ala−Leu−Glu−Met−Thr−
Leu−Gln−Lys−Arg−. アヒル −Arg−Arg−Asp−Val−Glu−Gln−Pro−
Leu−Val−Asn−Gly−Pro−Leu−His−Gly−
Glu−Val−Gly−Glu−Leu−Pro−Phe−Gln−
His−Glu−Glu−Tyr−Gln−Lys−Arg−. A−1乃至A−21、XおよびB−1乃至B−30
からなるアミノ酸鎖が、ブタ、ウシまたはヒトの
プロインスリンのA鎖、結合ペプチドおよびB鎖
によつて構成されている天然のアミノ酸であるの
が好ましく、殊に好ましいのはヒトプロインスリ
ンのそれである場合である。 上述のように天然の結合鎖を用いるのが好まし
いが、この結合ペプチドとしてはもつて短いペプ
チド鎖を使用することもできる。このための要件
は、(1)A鎖およびB鎖間に正しくジスルフイド結
合を形成させるために充分な鎖長を有することお
よび(2)インスリン前駆体から除去されてインスリ
ンを生成することである。使用可能なジペプチド
の代表例は−Arg−Arg−である。さらに、この
ジペプチドを修飾した−Arg−X′−Arg−(但し、
X′は少くとも1個のアミノ酸残基)も容易に利
用することができる。さらに好ましい結合ペプチ
ドとしては、−Arg−Arg−Lys−Arg−およびこ
れをさらに長くした−Arg−Arg−X2−Lys−
Arg−(但し、X2は少くとも1個のアミノ酸残
基、好ましくは2個のアミノ酸残基)が挙げられ
る。勿論、後者には天然結合ペプチドが含まれ、
それらの多くは先に例示した。 前述の基準に照らせば、さらに広範囲の結合基
が使用され得る。結合基がポリペプチドである場
合には、結合点はA鎖のアミノ末端(A−1)お
よびB鎖のカルボキシル末端(B−30)である。
しかし、B−29のアミノ酸残基(Lys)はε−ア
ミノ基を有しているので、結合基はA−1および
B−29の両アミノ基を介してA鎖とB鎖を結合さ
せることもできる。従つて、カルボニルビス(メ
チオニル)〔Busse et al、supra〕、2,2′−スル
ホニルビス(エトキシカルボニル)〔Obermeier
et al、Hoppe−Sayler′s Z.Physiol.Chem.、356
1631−1634(1975)〕、2,7−ザアミノスベロイ
ル〔Geiger et al、supra〕などが後者のタイプ
の有用な結合基である。 本発明方法を実施するに際しては、線状S−ス
ルホネートインスリン前駆体を、水性媒質中、PH
約7乃至約11.5において、メルカプタンで処理す
る。メルカプタンとは、言うまでもなく、少くと
も1個の−SH基を有する化合物であり、本発明
方法で使用するメルカプタンに関しては、それが
水溶性でなければならないというのが唯一の制限
である。 代表的な水溶性メルカプタンの例には、ジチオ
トレイトール、ジチオエリトリトール、2−メル
カプトエタノール、テオグリコール酸メチル、3
−メルカプト−1,2−プロパンジオール、3−
メルカプトプロピオン酸などがある。多数の−
SH基を有するメルカプタン、例えばジチオトレ
イトールも用い得るが、1個の−SH基を有する
メルカプタンを使用するのが好ましい。その中で
も、2−メルカプトエタノールが特に好ましい。 本発明方法は、一般に、適当な緩衝剤を添加す
ることにより所定のPHに維持した水性媒質中で実
施される。媒質のPHは約7から約11.5で変化し得
るが、好ましくは約9.5から約10.5である。従つ
て、上記の範囲で緩衝能力を有するものであれ
ば、如何なる緩衝剤であつても本発明方法に利用
し得る。適当な緩衝剤の例としては、リン酸緩衝
剤、トリ(ヒドロキシメチル)アミノメタン(ト
リス)、ホウ酸緩衝剤、グリシンなどが挙げられ
る。 水性媒質中の緩衝剤の濃度は、一般に約0.5N
以下である。好ましい濃度範囲は約0.005N乃至
約0.5Nであり、さらに好ましくは約0.005N乃至
約0.1Nである。 線状S−スルホネートインスリン前駆体は、約
10mg/mlを超えない濃度で水性媒質に加える。こ
の濃度は低目の方が好ましく、一般に約0.05mg/
ml乃至約2mg/mlの範囲である。 本発明方法の重要因子は、線状S−スルホネー
トインスリン前駆体に対比したメルカプタンの使
用量である。S−スルホネートを−SHに還元す
る先行技術方法では、S−スルホネートに対して
大過剰のメルカプタンを使用してきた。そのよう
な大過剰はS−スルホネート原料物質を圧倒し、
S−スルホネートを完全還元して対応する−SH
化合物を生成する。そのため、次にこの−SH中
間体を単離するかもしくは反応混液を稀釈し、さ
らに別個に酸化工程(一般に空気を用いる)を実
施して−SH中間体を所望の−S−S−化合物に
変換するという手順を必要とする。この点に関し
ては、例えばCrestfield et al.、J.Biol.Chem.、
238、622−627(1963)、Steiner et al、Proc.
Nat1 Acad.Sci.U.S.A.、60、622−629(1968)お
よびYanaihara et al、Diabetes.27、(Suppl.1)、
149−160(1978)、などの報告がある。 他方、本発明方法は、−S−SO- 3基1個につい
て約1個乃至約5個の−SH基を与える量のメル
カプタン、好ましくは−S−SO- 31個について約
2個乃至約4個の−SH基を与える量のメルカプ
タンを使用する。メルカプタンを上記範囲の量で
使用すると、高い効率と容易さで線状S−スルホ
ネートインスリン前駆体を直接所望のジスルフイ
ドインスリン前駆体に変換することができること
が見出された。線状S−スルホネートインスリン
前駆体の一部としてのAおよびB鎖は6個のスル
ホネート基を有するので、先に述べた範囲を充足
するためには−SH基1個を有するメルカプタン
は、約6:1乃至約30:1のモル比で使用される
こととなる。 本発明方法を実施するに当り、PH、緩衝剤の強
度(buffer strength)および線状S−スルホネ
ートインスリン前駆体の濃度は、必須要件ではな
いが、重要な事項である。一般に、線状S−スル
ホネートインスリン前駆体の濃度の増加と共に、
PHを増大し、緩衝剤の強度を低下させるのが好ま
しい。 さらに、先行技術の方法と完全に区別される点
として、本発明方法は酸化的雰囲気下に実施する
ことを必須としない。酸化剤、例えば空気が反応
媒質中に存在してもよいが、驚くべきことに、本
反応を空気その他の酸化剤が実質的に存在しない
条件下に実施するのが特に好ましいことが見出さ
れた。ここで“実質的に存在しない”と言うのは
空気の確実な添加を避けるという意味である。こ
のことは、例えば、空気その他の酸化剤の利用可
能性を排除する密閉系の中で反応を実施すること
によつて達成される。空気の不存在をさらに確実
にするためには、反応剤の加える前に水性溶媒を
窒素パージし、脱ガスすることができる。 必須事項ではないが、本発明方法のいまひとつ
の特に望ましい事項は温度制御である。本方法は
一般に約0℃乃至約37℃の温度で実施される。好
ましくは、反応温度はこの範囲の低温端、一般に
は約2℃乃至約8℃、さらに好ましくは約4℃乃
至約6℃である。しかしながら、もつと好ましく
は、本方法は2つの温度範囲で実施される。反応
混液を室温付近で調製し、一旦こうして調製した
反応混液を約2℃乃至約8℃の温度に冷却し、残
りの反応時間を通じて後者の範囲に保持する。 従つて、本発明方法を実施する典型的な例を示
すと、一定のPHを持つ水性媒質を、例えばグリシ
ンを約0.05Nの濃度で使用して調製する。こうし
て調製した水性媒質を、一般には約0℃乃至約37
℃、好ましくは室温付近に保持し、脱ガスを行
い、窒素パージし、再び脱ガスする。線状S−ス
ルホネートインスリン前駆体を、所望の濃度、例
えば約0.1mg/mlを与えるように上記水性媒質に溶
解する。メルカプタンを、−S−SO- 3基1個につ
き約5個の−SH基を与える量だけ加える。この
混合物を実質的に空気その他の酸化剤が存在しな
い条件下に維持し、約4℃乃至約6℃の温度に冷
却し、反応が完結するまで同温度範囲に保持す
る。この反応は、一般に約5時間乃至約72時間、
さらに言えば約15時間乃至約24時間、通常は約18
時間乃至約20時間を要する。 反応が完了したら、インスリン前駆体生成物は
インスリン精製の分野でよく知られている各種の
方法のいずれかによつて単離され得る。最も普通
に用いられる方法は、例えばゲル過やイオン交
換クロマトグラフイーを含む各種のクロマトグラ
フイー法である。 得られたインスリン前駆体は、文献上知られて
いる手段を用いて、酵素的にあるいは化学的にイ
ンスリンに変換される。これらの方法には、例え
ばKemmler et al、J.Biol.Chem.、246、6786−
6791(1971)に記載されているトリプシンとカル
ボキシペプチダーゼBの組合せを用いる開裂法が
含まれる。 インスリン生成物は、例えばポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動法、アミノ酸分析法、ラジオレセ
プターアツセイ法、ラジオイムノアツセイ法、高
速液体クロマトグラフイー法(HPLC)、紫外線
スペクトル法、ダンシレーシヨン法、ウサギ血中
グルコースアツセイ法などの既知方法により、純
度および相対活性について検定され得る。 線状S−スルホネートインスリン前駆体原料物
質は組換えDNA法により得られる。これらはま
た天然インスリンおよびプロインスリンから製造
されるし、さらに溶液法および固相法を含めた古
典的ペプチド合成法によつても製造される。 線状S−スルホネートインスリン前駆体は、プ
ロインスリンから次のようにして製造される。冷
却した脱イオン7M尿素100mlに亜硫酸ナトリウム
786mgを加え、撹拌して溶解した。次に、テトラ
チオン酸ナトリウム594mgを加えた。撹拌すると
大部分のテトラチオン酸ナトリウムは溶解した
が、溶液はなお濁つていた。氷酢酸でPHを7.7に
調製した。HPLCで精製したウシプロインスリン
503mgを撹拌しながら加えた。反応液のPHを2N水
酸化ナトリウムで7.6に再調整し、得られたやゝ
混濁状の溶液を6℃において18時間撹拌した。 反応液の約半量を、2N水酸化ナトリウムでPH
9.1に調整し、セフアデツクスG−25コ−スカラ
ムに吸着させた。クロマトグラフイーの条件は次
のとおりとした。溶媒、0.05M炭酸水素アンモニ
ウム、PH9.0;カラムサイズ、2×90cm;温度、
21℃;流速、18.5ml/分。初期溶離液120mlを捨
て、次の75mlを集め、貯蔵した。カラムは、次い
で0.05M炭酸水素アンモニウム(PH9.0)400mlで
洗浄した。この操作を残りの半量の反応液につい
て反復した。2回のクロマトグラフイーで得られ
た目的分画の紫外線スペクトルは、合計401mgが
取得されていることを示した。これを合併し、凍
結乾燥して、乾燥脱塩生成物445.7mgを得た。こ
の生成物が線状S−スルホネートウシプロインス
リンであり、原料物質を含んでいないことを、セ
ルローズアセテート電気泳動およびポリアクリル
アミドデイスクゲル電気泳動によつて確認した。 線状S−スルホネートウシプロインスリンは、
DEAE−セルローズクロマトグラフイーによつて
精製された。粗製品443mgを7.5M尿素−0.01Mト
リス−0.001MEDTA(PH8.5)10mlに溶かし、
DEAEセルローズカラムに吸着させた。クロマト
グラフイーの条件は次のとおりであつた。溶媒、
7.5M尿素−0.01Mトリス−0.001MEDTA(PH8.5)
+0〜0.35M塩化ナトリウム濃度勾配;カラムサ
イズ、2.5×90cm;温度、4℃;流速、約0.9ml/
分;分画容積、5.3ml。 分画番号に対して、各分画の276nmにおける吸
光度をプロツトすると、若干テーリングする1個
の大型ピークが得られた。紫外線スペクトルによ
る分析の結果、この大型のピークが生成物である
ことが示された。分画199〜240(溶離容積(1069
〜1291ml)を合併した。紫外線スペクトルによ
り、355mgの存在が示された。 この生成物をセフアデツクスG−25コースカラ
ム上で脱塩した。クロマトグラフイーの条件は次
のとおりであつた。溶媒、0.05M炭酸水素アンモ
ニウム(PH8.0);カラムサイズ、3.7×105cm;温
度、4℃;流速16.0ml/分、初期溶離液395mlを
捨て、次の250mlを集め、貯蔵した。カラムの洗
浄は0.05M炭酸水素アンモニウム(PH8.0)2000
mlで行つた。上記貯蔵分画を紫外線スペクトルで
検定すると321mgの得量が示された。これを凍結
乾燥し、乾燥済物質373mgを得た。本品の同定は、
ポリアクリルアミドデイスクゲル電気泳動および
高速液体クロマトグラフイーにおける溶離位置に
基いて行つた。 本発明方法を説明するために以下に実施例を示
す。これらの実施例は、本発明の限界を示すため
のものではない。 実施例 1 (濃度0.1mg/mlでの実施) 線状S−スルホネートウシプロインスリン1.61
mgを、脱ガス済0.05Mグリシン(PH9.5)16.1mlに
溶かした。この溶液に、2−メルカプトエタノー
ルストツク水溶液0.158mlを加えた。このストツ
ク溶液は、エルマン試薬によつて滴下すると、メ
ルカプタン濃度は2.11mg/mlを示した。このこと
は、線状S−スルホネートウシプロインスリンの
−SSO- 31個に対して、2−メルカプトエタノー
ル4当量を用いたことを意味する。最終PHは9.46
であつた。室温で調製した溶液をパラフイルムで
シールし、6℃に冷却し、19時間撹拌した。 反応混液を酸性化し、濃塩酸および0.5M水酸
化ナトリウムを用いてPH4.0±0.1(温度による補
正済)に調整した。生成物は高速低圧液体クロマ
トグラフイー(HPLPLC)により単離同定した。
HPLPLCの条件は次のとおりであつた。カラム、
1.1×54cmガラス製カラムにC含量16.6%のLP−
1/C18を充填;溶媒、30%アセトニトリル/70
%(0.1Mギ酸アンモニウム、PH4.25);温度、21
℃;圧力、8082g/cm2;流速、2.40ml/分。試料
は、5mlのループ・インジエクターでカラムに注
入し、280nmで検出した。 先ず、0.1mg/mlの蛋白質濃度(nominal)を有
するウシプロインスリンストツク溶液5mlを注入
してクロマトグラフした。次に、上記の酸性化し
た反応混液5mlをクロマトグラフした。この反応
混液中に単量体ウシプロインスリンが存在するこ
とを容離の位置により確認した。さらに、2回の
HPLPLCのピーク面積を計算することにより、
反応混液中には、収率82.6%に当るウシプロイン
スリンが含まれていた。 実施例 2 (濃度0.5mg/mlでの実施) 脱ガスした0.05Mグリシン(PH10.51)50.14ml
に、線状S−スルホネートウシプロインスリン
25.07mgを溶かした。この溶液に、2−メルカプ
トエタノールストツク水溶液(エルマン試薬で滴
定した濃度2.10mg/ml)1.302mlを加えた。これ
は、線状S−スルホネートウシプロインスリンの
−SSO- 31個に対して2.1当量の2−メルカプトエ
タノールを使用したことになる。最終PHは10.47
であつた。室温で調製した溶液をパラフイルムで
シールし、6℃に冷却し、18時間撹拌した。 次に反応混液を、濃塩酸と0.1N塩酸を用いて
PH4.0±0.1(温度補正)に酸性化した。反応混液
中のウシプロインスリンの収率は、HPLPLCに
よる分析では69%であつた。 生成物は、脱塩後、ゲル過クロマトグラフイ
ーによつて単離した。反応混液、濃水酸化アンモ
ニウムでPH9.0に調整し、セフアデツクスG−25
コースカラムに吸着させた。脱塩クロマトグラフ
イーの条件は次のとおりであつた。溶媒、0.05M
炭酸水素アンモニウム(PH9.0);カラムサイズ、
2×90cm;温度、21℃;流速、18.5ml/分、初め
の溶離液120mlを捨て、続く75mlを集めて貯蔵し
た。次いでカラムを0.05M炭酸水素アンモニウム
(PH9.0)400mlで洗浄した。貯蔵分画のUV分析に
よれば、21.6mgの蛋白質が含まれていた。これを
凍結乾燥して、乾燥脱塩蛋白質22.21mgを得た。 この物質の一部(14.84mg)をとり、1.0M酢酸
(5.5ml)に溶かした。この透明な溶液のUV分析
は、2.56mg/mlの蛋白質濃度を示した。この溶液
の5ml(UVで12.8mg)をセフアデツクスG−50
スーパーフアインカラムでクロマトグラフした。
クロマトグラフイーの条件は次のとおりであつ
た、溶媒、1M酢酸;カラムサイズ、1.5×100
cm;温度、21℃;流速、0.19ml/分;分画容積、
約1.9ml。 280nmの吸光度を見ながら、1M酢酸で一夜溶
離した。得られたグラフは2個のピークを示し
た。第1の小さいピークはウシプロインスリンの
重合体であり、第2のピークが単量体ウシプロイ
ンスリンであつた。2個のピークに従つて溶離液
をプールした。分画の合併は次のようにして行つ
た。 プール:分画30−46(55.0−84.0ml;ピーク、
70.4ml) プール:分画47−62(84.0−112.0ml;ピー
ク、99.8ml) UV分析によれば、プールは1.94mg、プール
は10.11mgであつた、これらを合計すると12.05
mgとなり、カラムに加えた量の94.1%を回収した
ことになる。回収全量に対して、単量体ウシプロ
インスリンは83.9%であつた。 両プールはそれぞれ凍結乾燥した。プールは
HPLPLCの溶離位置によりウシプロインスリン
であることが証明された。本品はまた文献の方法
によつてトリプシンおよびカルボキシペプチダー
ゼBで処理するとウシインスリンを与えることが
証明された。 実施例 3 (温度の影響) 実施例1の方法を用いて、線状S−スルホネー
トウシプロインスリンからウシインスリンを得る
収率に対する温度の影響を検討した。反応条件は
次のとおりであつた。蛋白質濃度、0.1mg/ml;緩
衝剤、0.05Mグリシン;PH、9.5;メルカプタン、
−SSO- 31個に対して−SH4当量を与える量の2
−メルカプトエタノール;時間、18時間。 反応を21℃で実施した場合、HPLPLCによつ
て検定したプロインスリンの収率は47%であつ
た。反応剤を21℃で混合し、次いで混合物の温度
を6℃に下げた場合、収率は77%であつた。 実施例 4 (PHの影響) 実施例1の方法を用いていくつかの反応を同時
に実施し、線状S−スルホネートウシプロインス
リンからウシプロインスリンを得る収率に対する
PHの影響を検討した。反応条件は次のとおりであ
つた。蛋白質濃度、0.5mg/ml;緩衝剤、0.05Mグ
リシン;メルカプタン、−SSO- 31個に対して−
SH2当量を与える量の2−メルカプトエタノー
ル;時間、18時間;温度、6℃。 HPLPLCで定めたプロインスリンの収率は次
のとおりであつた。 PH 収率、% 9.0 43.1 9.5 44.3 10.0 66.7 10.5 76.0 11.0 61.0 実施例 5 (蛋白質濃度の影響) 実施例1の方法を用いていくかの反応を同時に
実施し、線状S−スルホネートウシプロインスリ
ンからウシプロインスリンを得る収率に対する蛋
白質濃度の影響を検討した。反応条件は次のとお
りであつた。緩衝液、0.05Mグリシン;PH、
9.5;メルカプタン、−SSO- 31個に対して−SH4
当量を与える量の2−メルカプトエタノール;時
間18時間;温度、6℃。 HPLPLCで検定したプロインスリンの収率は
次のとおりであつた。 蛋白質濃度、mg/ml 収率、% 0.1 78 0.2 63 0.3 46 0.4 37.6 0.5 25.4 1.0 12 −SSO- 31個に対して2当量の−SHを用い、か
つPH10.5で実施した一連の反応の結果は次のとお
りであつた。 蛋白質濃度、mg/ml 収率、% 0.5 77.2 0.96 58.3 1.83 19.5 4.2※ 20.1 7.4※ 19.6 ※−SH:−SSO- 3比=1.2 実施例 6 (−SH:−SSO- 3比の影響) 実施例1の方法を用いていくつかの反応を同時
に行い、線状S−スルホネートウシプロインスリ
ンからウシプロインスリンを得る反応の収率に対
する−SSO- 3対−SH比の影響を検討した。反応条
件は次のとおりであつた。蛋白質濃度、0.5mg/
ml;緩衝液、0.05Mグリシン;PH9.5;時間、18
時間;温度6℃。 HPLPLCで検定したプロインスリンの収率は
次のとおりであつた。−SH:−SSO- 3、比 収率、% 4.0 30.8 2.0 44.7 1.0 37.0 0.5 4.5 実施例 7 (メルカプタンの構造の影響) 実施例1の方法を用いていくつかの反応を同時
に実施し、線状S−スルホネートウシプロインス
リンからウシプロインスリンを得る反応の収率に
対するメルカプタンの構造の影響を検討した。反
応条件は次のとおりであつた。蛋白質濃度、0.1
mg/ml;緩衝液、0.05Mグリシン;PH、9.5;メル
カプタン、−SSO- 31個に対して−SH4当量;時
間、18時間;温度、6℃。 HPLPLCで検定したプロインスリンの収率は
次のとおりであつた。 メルカプタン 収率、% ジチオトレイトール 39.3 ジチオエリトリトール 34.9 チオグリコール酸メチル 56.1 3−メルカプト−1,2−プロパンジオール65.5 3−メルカプトプロピオン酸 65.3 2−メルカプトエタノール 64.1 実施例 8 (蛋白質の種類の影響) 実施例1の方法を用いていくつかの反応を同時
に実施し、線状S−スルホネートウシプロインス
リンからウシプロインスリンを得る反応の収率に
対する蛋白質の種類の影響を検討した。反応条件
は次のとおりであつた。蛋白質濃度、0.1mg/ml;
緩衝液、0.05Mグリシン;PH、9.5;メルカプタ
ン、−SSO- 31個に対して−SH4当量を与える量の
2−メルカプトエタノール;時間、18時間;温
度、6℃。 HPLPLCで検定したプロインスリンの収率は
次のとおりであつた。線状S−スルホネートプロインスリン 収率、% ウシ 60.6 ブタ 65.8 実施例 9 (ヒトプロインスリンの製造) 生合成的に製造した線状S−スルホネートヒト
プロインスリン169.3mgを、脱ガスした0.05Mグ
リシン(PH10.54)338.6mlに溶解して溶液を調製
した。これに2−メルカプトエタノールストツク
水溶液7.71mlを加えた。このストツク水溶液のメ
ルカプタン濃度は、エルマン試薬を用いた滴定
で、2.08mg/mlであつた。これは、線状S−スル
ホネートヒトプロインスリンにおける−SSO- 3
個に対して、2−メルカプトエタノールが2当量
存在することになる。5N水酸化ナトリウムを用
いる微調整により、最終PHを10.52とした。この
溶液をパラフイルムでシールして、6℃で18時間
撹拌した。 次いで、濃塩酸で反応混液をPH2.9±0.1(温度
調整済)に酸性化した。得られた透明な溶液をセ
フアデツクスG−25コースカラムを用いて脱塩し
た。クロマトグラフイーの条件は次のとおりであ
つた。溶媒、2%酢酸(V/V);カラムサイズ、
5×100cm;温度、25℃;流速、28.8ml/分;分
画容積、20.2ml。 初めの779mlの溶離液を捨て、次の464mlを集
め、貯蔵した。280nmにおける光学密度に基い
て、このプールは蛋白質であることが示された。
カラムは2%酢酸2500mlで洗浄した。この蛋白質
プールのUVスペクトルに基く計算により164mg
の蛋白質が得られていることが示された。これは
カラムに添加した量(再生反応の理論収量)の
101.9%に当る。このプールは、凍結し、乾燥し
た。 目的物質の単離は、ゲル過クロマトグラフイ
ーによつて行つた。乾燥した物質(秤量せず)を
1M酢酸20mlに溶かし、その澄明溶液をセフアデ
ツクスG−50スーパーフアインカラムに吸着させ
た。クロマトグラフイーの条件は次のとおりであ
つた。溶媒、1M酢酸;カラムサイズ、2.5×125
cm;温度、25℃;流速、〜0.82ml/分;分画容
積、〜4.92ml。 280nmの吸光度でモニターしながら1M酢酸で
一夜溶離した。分画番号に対して280nmの吸光度
を図表にすると2個の主ピークが得られた。第1
ピーク(小さい)はヒトプロインスリンの重合体
であり、第2ピークは単量体ヒトプロインスリン
であつた。後者は前方に肩を有していた。分画を
3個のプールに分けた。合併した分画の容積は次
のとおりであつた。 プール:分画46−67(218−325.5ml) プール:分画68−81(325.5−395.5ml) プール:分画82−100(395.5−490.3ml) これらの各プールの蛋白質をUVスペクトルで
検定した結果は次のとおりであつた。 プール:22.1mg プール:28.3mg プール:103.6mg この合計は154mgで、カラムへの添加量に対し
て94%の回収率であつた。この回収量のうち67.3
%が単量体ヒトプロインスリンであつた。3個の
プールはそれぞれ凍結乾燥した。 乾燥物質合計106.55mgがプールから得られ
た。本品は、アミノ酸分析およびポリアクリルア
ミドデイスクゲル電気泳動によりヒトプロインス
リンと同定された。本品はまたHPLCにおいて、
ウシプロインスリンとの対比上ヒトプロインスリ
ンの位置と考えられる位置に溶離された。さら
に、これをトリプシンおよびカルボキシペプチダ
ーゼBで処理するとヒトプロインスリンが得られ
ることが証明された。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 式: で表わされるS−スルホネートを、そのスルホネ
    ート濃度が約10mg/ml以下で、PHが約7乃至約
    11.5の水性基質中において、−SSO3 -基1個に対
    して約1個乃至約5個の−SH基を提供し得る量
    のメルカプタンと反応させて、 式: で表わされるインスリン前駆体を得ることを特徴
    とする製造方法: [式中、Rは水素、化学的もしくは酵素的に開裂
    し得るアミノ酸残基または少くとも2個のアミノ
    酸残基からなり化学的もしくは酵素的に開裂し得
    るペプチド残基; Yは−Lys (B−29)−Z (B−30)− (但し、ZはAla、ThrまたはSer);A−1乃至
    A−21はインスリンA鎖;B−1乃至B−30はイ
    ンスリンB鎖;そしてXはA−1のアミノ基でイ
    ンスリンA鎖に結合し、B−29のε−アミノ基ま
    たはB−30のカルボキシル基でインスリンB鎖に
    結合しているペプチド基であつて、酵素的もしく
    は化学的に該A鎖およびB鎖からそれらを切断す
    ることなく開裂され得る、式:−Arg−Arg−ま
    たは式:−Arg−X′−Arg−(但し、X′は少くと
    も1個のアミノ酸残基)で示されるペプチド基で
    ある。] 2 XがB−30のカルボキシル基でインスリンB
    鎖に結合しているペプチド基である特許請求の範
    囲第1項記載の方法。 3 反応をPH約9.5乃至約10.5で行う特許請求の
    範囲第1項または第2項記載の方法。 4 −SSO3 -基1個に対して約2個乃至約4個の
    −SH基を提供する量のメルカプタンを存在させ
    る特許請求の範囲第1項記載の方法。 5 酸化剤の実質的不存在下に反応を行う特許請
    求の範囲第1項、第2項、第3項または第4項記
    載の方法。 6 水性基質中のS−スルホネートの濃度が約
    0.05mg/ml乃至約2mg/mlである特許請求の範囲第
    1項記載の方法。 7 メルカプタンが2−メルカプトエタノールで
    ある特許請求の範囲第1項、第2項、第4項また
    は第5項記載の方法。 8 反応を約0℃乃至約37℃の温度で行う特許請
    求の範囲第1項記載の方法。 9 反応を約2℃乃至約8℃の温度で行う特許請
    求の範囲第8項記載の方法。 10 反応混液を室温付近で調製し、約2℃乃至
    約8℃の温度に冷却して反応を進行させる特許請
    求の範囲第1項または第8項記載の方法。 11 約0.005N乃至約0.5Nの濃度で緩衝剤を加
    えて反応混液のPHを維持する特許請求の範囲第1
    項または第3項記載の方法。 12 緩衝剤がグリシンである特許請求の範囲第
    11項記載の方法。 13 S−スルホネートのインスリンA鎖および
    インスリンB鎖がヒトインスリンの構造を有する
    特許請求の範囲第1項乃至第12項記載の方法。 14 Xがヒトプロインスリンの結合ペプチドで
    ある特許請求の範囲第1項、第2項または第13
    項記載の方法。
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DE3209184A1 (de) * 1982-03-13 1983-09-15 Hoechst Ag, 6230 Frankfurt Verfahren zur umwandlung von praeproinsulinanaloga zu insulinen
DE3501641A1 (de) * 1985-01-19 1986-07-24 Hoechst Ag, 6230 Frankfurt Verfahren zur gewinnung von insulin-vorlaeufern aus reaktionsgemischen, die bei der faltung von insulin-vorlaeufern aus den entsprechenden s-sulfonaten anfallen
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