JPH0144163Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔技術分野〕 本考案はドローベンチ用パイプホルダーに関す
るものである。

〔従来技術とその問題点〕

従来、ドローベンチ（引抜き成型装置）でパイ
プの加工を行う際には、パイプを引張るためにパ
イプの先端を潰して把持機に挟み込ませて引抜い
ていた。

しかしながら、これでは、潰されたパイプの先
端は加工後に切断する必要があり、材料的なロス
が多く、先端潰し、切断という余分な工程が付加
され、極めて不経済である。

〔考案の目的〕

本考案はこのような欠点に鑑みてなされたもの
で、その目的は、パイプの先端を潰したりするこ
となく、そのままの形状で把持し、パイプの引抜
き加工を行うことができ、それゆえ材料的ロス、
作業能率のロスを除去することができ、しかも十
分な把持力を得ることのできるドローベンチ用パ
イプホルダーを提供することにある。

〔考案の構成と効果〕

以上の目的を達成するため、本発明に係るドロ
ーベンチ用パイプホルダーは、挿入されたパイプ
の先端を対向する外径用爪と内径用爪とで挟着把
持するものであつて、互いに軸方向に移動可能な
外筒シリンダ及び内筒シリンダと、内筒シリンダ
内に軸方向に移動可能に設けたピストンと、内周
に歯部を有し、外筒シリンダの前進にてテーパ面
が押圧されてパイプの外周を圧締めする外径用爪
と、外周に歯部を有し、ピストンの前進にてテー
パ面が押されてパイプの内周に圧接する内径用爪
と、上記内筒シリンダの先端に取付けたた引張り
用シリンダと、引張り装置との連結手段を有し、
上記引張り用シリンダのピストンと一体に設けた
ピストンロツドとを備え、このピストンロツドを
引張ることによつて外筒シリンダを前進させると
ともに内筒シリンダ内のピストンを後退させるこ
とを特徴とするものである。

即ち、本考案では圧油によつて外筒シリンダ、
ピストンを動作させて、外径用爪と内径用爪とで
パイプ先端の内外周を挟着するため、十分な力で
パイプの先端を潰す必要なくそのままで把持して
パイプの引抜き加工を行うことができ、先端潰
し、切断という余分な工程が不要となり、材料的
なロスを大きく減少する。しかも、パイプの引抜
き時には引張り用シリンダのピストンロツドを引
張り装置にて引張ることにより、外筒シリンダを
前方に移動させる力が作用して外径用爪に外筒シ
リンダから圧締めの力が惹起され、必要にして十
分な把持力を得ることができる。

〔実施例の説明〕

以下、本考案に係るパイプホルダーの一実施例
を添付図面に従つて説明する。

本考案に係るパイプホルダーは、概略、外筒シ
リンダ１と、内筒シリンダ１０と、ピストン２０
と、互いに対向する外径用爪３０、内径用爪３５
と、引張り用シリンダ４０とから構成されてい
る。

外筒シリンダ１と内筒シリンダ１０とは互いに
前後方向に相対的に移動自在であり、外筒シリン
ダ１の一端には爪押え金具５が固定されている。

外径用爪３０は放射状の割り溝にて周方向に等
間隔で分割されたもので、内周には歯部３１が刻
設され、外周にはテーパ面３２が形成されてい
る。この外径用爪３０は内筒シリンダ１０に固定
したスリーブ１５の孔１６に挿入され、テーパ面
３２は上記爪押え金具５の内周に形成したテーパ
面６に係合している。テーパ面６，３２は図中左
方に傾斜し、外筒シリンダ１が右方（前方）に移
動するか内筒シリンダ１０が左方（後方）に移動
することにより、テーパ面６に押されて外径用爪
３０が内方に締まることとなる。

ピストン２０は内筒シリンダ１０に摺動自在に
装着され、軸部２１に摺動自在に装着された爪張
り金具２５はコイル状の復帰用スプリング２７に
て常時右方に付勢されている。このスプリング２
７の一端が当接するカラー１７は内筒シリンダ１
０の端面に固定したものである。

内径用爪３５は上記外径用爪３０と同様に、放
射状の割り溝にて周方向に等間隔で分割されたも
ので、外周には歯部３６が刻設され、内周にはテ
ーパ面３７が形成されている。この内径用爪３５
はカラー１７の孔１８に挿入されて歯部３６が外
径用爪３０の歯部３１と互いに対向するととも
に、テーパ面３７は上記爪張り金具２５の外周に
形成したテーパ面２６に係合している。テーパ面
２６，３７は左方に傾斜し、ピストン２０が右方
に移動するか内筒シリンダ１０が左方に移動する
ことにより、テーパ面２６に押されて内径用爪３
５が外方に拡開することになる。

引張り用シリンダ４０は筒体４１とエンドカラ
ー４２，４５とピストン４８とからなり、エンド
カラー４２は上記内筒シリンダ１０の先端にカラ
ー５１を介して固定されている。ピストン４８に
取付けたピストンロツド４９はこのシリンダ４０
の前方に突出し、先端には図示しない引張り装置
のチエーンに連結する連結具５０が螺着されてい
る。

一方、内筒シリンダ１０とピストン２０とで圧
油室Ａが形成され、この圧油室Ａは油路１１を介
してポート１２と連通している。また、外筒シリ
ンダ１と内筒シリンダ１０とで圧油室Ｂが形成さ
れ、この圧油室Ｂは油路１３，１１を介してポー
ト１２と連通している。さらに、内筒シリンダ１
０とこのシリンダ１０の端部に固定したピストン
１４と外筒シリンダ１とで圧油室Ｃが形成され、
この圧油室Ｃは油路２を介してポート３と連通し
ている。

また、引張り用シリンダ４０の圧油室Ｄはエン
ドカラー４５の油路４６を介してポート４７と連
通し、ポート４７は上記ポート１２と図示しない
油圧ホースにて接続されている。いまひとつの圧
油室Ｅはエンドカラー４２の油路４３を介してポ
ート４４と連通し、ポート４４は上記ポート３と
図示しない油圧ホースにて接続されている。

次に、以上の構成からなるパイプホルダーの動
作について説明する。

まず、図示の状態において、ダイスに通したパ
イプＰの先端を外径用爪３０と内径用爪３５との
間に挿入し、連結具５０に引張り装置のチエーン
を連結し、右方に引張る。すると、ピストンロツ
ド４９とともにピストン４８が前進し、圧油室Ｄ
内の圧油は圧縮されて油路４６を介してポート４
７からポート１２に移動し、油路１１，１３を介
して圧油室Ａ，Ｂに供給される。圧油室Ｂへの供
給によつて爪押え金具５が外筒シリンダ１ととも
に右方に移動することにより、外径用爪３０が締
つて歯部３１がパイプＰの外周に喰い込む。同時
に、圧油室Ａへの供給によつて爪張り金具２５が
ピストン２０とともに左方に移動することによ
り、内径用爪３５が拡張して歯部３６がパイプＰ
の内周に喰込む。

即ち、パイプＰの先端は爪３０，３５に圧着把
持され、ピストンロツド４９をさらに前方に引張
ることによりパイプホルダー全体が前方に移動
し、パイプＰがダイスから引抜かれる。この引抜
き時において、ピストンロツド４９に作用する引
張り力は圧油室Ｂの圧油を通じて外筒シリンダ１
に作用し、さらに爪押え金具５から外径用爪３０
を内方に押圧するように作用する。従つて、引抜
き時においては外径用爪３０にてパイプＰに対す
る圧締め力が作用することとなり、十分な把持力
を得ることができる。しかも、圧油室Ａの圧油は
結果的にピストン４８にてロツクされ、外径用爪
３０の圧締め力はロツクされた圧油で支持された
内径用爪３５で受け止められるため、パイプＰの
先端が潰れるおそれはなく、パイプＰの先端が潰
れてパイプホルダーがパイプＰから外れるといつ
た事故を引き起すことはない。

パイプＰの引抜きが完了し、引張り装置の引張
り力を解除すると、外筒シリンダ１を前進、ピス
トン２０を後退させていた圧油の作用が解消し、
外径用爪３０のパイプＰに対する圧締めが解除さ
れるとともに、スプリング２７のばね力にて爪張
り金具２５がピストン２０とともに右方へ移動す
ることにより、内径用爪３５のパイプＰに対する
拡張力が解除される。これにてパイプＰがパイプ
ホルダーより取外す。

なお、本考案に係るパイプホルダーは上記実施
例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で
種々に変更することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係るパイプホルダーの一実施例
を示す断面図である。 １……外筒シリンダ、５……爪押え金具、６…
…テーパ面、１０……内筒シリンダ、２０……ピ
ストン、２５……爪引張り金具、２６……テーパ
面、３０……外径用爪、３２……テーパ面、３５
……内径用爪、３７……テーパ面、４０……引張
り用シリンダ、４８……ピストン、４９……ピス
トンロツド、５０……連結具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 挿入されたパイプＰの先端を対向する外径用爪
   ３０と内径用爪３５とで挟着把持するパイプホル
   ダーであつて、互いに軸方向に移動可能な外筒シ
   リンダ１及び内筒シリンダ１０と、内筒シリンダ
   １０内に軸方向に移動可能に設けたピストン２０
   と、内周に歯部３１を有し、外筒シリンダ１の前
   進にてテーパ面３２が押圧されてパイプＰの外周
   を圧締めする外径用爪３０と、外周に歯部３６を
   有し、ピストン２０の後退にてテーパ面３７が押
   されてパイプＰの内周に圧接する内径用爪３５
   と、上記内筒シリンダ１０の先端に取付けた引張
   り用シリンダ４０と、引張り装置との連結手段を
   有し、上記引張り用シリンダ４０のピストン４８
   と一体に設けたピストンロツド４９とを備え、こ
   のピストンロツド４９を引張ることによつて外筒
   シリンダ１を前進させるとともに内筒シリンダ１
   ０内のピストン２０を後退させることを特徴とす
   るドローベンチ用パイプホルダー。