JPH0143557Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、車輌特に自動二輪車のデイスクブレ
ーキ装置に関するものである。

（従来の技術） 従来、自動二輪車等の車輌に使用されるデイス
クブレーキ装置は、ブレーキパツドによつて挟圧
されるブレーキデイスクの板面の部分に適当な間
隔で水抜き用の透孔を穿設することにより、該ブ
レーキデイスクとブレーキパツドとの間に浸入し
た水を排除するようにしている。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、かかるデイスクブレーキ装置で
は、制動時にブレーキデイスクが回動して透孔の
両開口端がブレーキパツドにより閉塞された際、
密閉空間である該透孔内に閉じ込められた空気が
圧縮され、次いで、ブレーキデイスクの回動によ
り、該透孔がブレーキパツドによる閉塞状態を解
除された瞬間、該透孔内に閉じ込められ圧縮され
た空気が大気中に放出するとき、特有の鳴きを発
生させる場合がある。

（課題を解決するための手段） 本考案は上記従来技術の課題を解決すべくなさ
れたものであり、透孔を有するブレーキデイスク
と、このブレーキデイスクを挟んで互いに対向す
る一対のブレーキパツドとを備えたデイスクブレ
ーキ装置において、前記ブレーキパツドの摩擦面
に相当数の溝を形成し、且つ隣合う溝と溝との間
隔を前記ブレーキデイスクの透孔の直径よりも小
さくしたことを特徴とする。

（作用） ブレーキパツドがブレーキデイスクを挟圧する
と、ブレーキパツドの摩擦面に形成された溝の間
隔はブレーキデイスクに形成された透孔の直径よ
りも小さいので、ブレーキデイスクの回動の際に
当該透孔がブレーキパツドに対面している間、当
該透孔は少なくとも一本の溝と連通している。し
たがつて、制動時には当該透孔は大気と連通し、
透孔内で圧縮されることはない。

（実施例） 以下本考案の一実施例を添附図面に基づいて詳
述する。本実施例では前輪のデイスクブレーキ装
置について説明するが後輪においても同様であ
る。第１図は本考案に係るデイスクブレーキ装置
を備えた自動二輪車の一例を示し、前輪１と一体
に回転するブレーキデイスク２を挟圧し前輪１に
制動力を与える一対のブレーキパツド（図示せ
ず）を支持するキヤリパ３がフロントフオーク４
に取付けられている。一方、ハンドル５にはブレ
ーキレバー６とこれにより作動するマスタシリン
ダ７とが取付けられこのマスタシリンダ７と前記
キヤリパとはブレーキホース８により接続され全
体としてデイスクブレーキ装置９を構成する。

キヤリパ３は第２図に示すようにシリンダ部３
ａとその中に嵌挿されたピストン部３ｂとにより
構成されており、両者は相対的に移動することが
可能とされている。そして、シリンダ部３ａとピ
ストン部３ｂとが図のように一対のブレーキパツ
ド１０，１０を支持している。ブレーキパツド１
０は基板１０ａに焼結合金等より成るパツド１０
ｂを貼設することにより構成され、対向するパツ
ド１０ｂ，１０ｂの摩擦面でブレーキデイスク２
を挟んでいる。制動時には、第１図に示したブレ
ーキレバー６を操作することにより、マスタシリ
ンダ７からブレーキオイルがブレーキホース８を
通つてキヤリパ３のシリンダ部３ａに形成された
通孔３ｃからシリンダ部３ａとピストン部３ｂの
背面との間に画成された油圧室３ｄに供給され、
この油圧でシリンダ部３ａとピストン部３ｂとの
どちらか一方が１つのブレーキパツド１０に当接
するまで移動すると、他方も他のブレーキパツド
１０に当接するように移動するため結果として、
ブレーキパツド１０，１０の摩擦面がブレーキデ
イスク２を挟圧し、このブレーキデイスク２を介
して前輪１に制動力を与える。

ブレーキデイスク２は第３図に示すようにブレ
ーキパツド１０，１０によつて挟まれる領域に直
径が例えばであるような複数の透孔２ａが穿設
されて、当該ブレーキ装置が被水した際に、ブレ
ーキデイスク２とブレーキパツド１０との間隙に
浸入した水を排除するようにしている。一方、第
４図及び第５図に示すようにブレーキパツド１０
のパツド１０ｂには例えば縦方向に等間隔に溝１
０ｃが形成されており、隣り合う溝と溝との間隔
ｋは前記ブレーキデイスク２の透孔２ａの径よ
りも小さく、すなわちｋ＜となるようにされて
いる。又、パツド１０ｂは使用に伴つて摩耗しそ
の厚みが次第に、減少していくものであるから、
溝１０ｃは第５図に示すように溝の切込みはでき
るだけ深くする。

次いで、かかる構成のデイスクブレーキ装置９
の作動について述べる。制動時には前述したよう
に、マスタシリンダ７からの制動入力がキヤリパ
３に伝達されブレーキパツド１０，１０に押圧力
を与える。ブレーキパツド１０，１０は両側から
ブレーキデイスク２を挟圧し、当該デイスク２を
介して前輪１に制動力を与える。このとき、ブレ
ーキ１０のパツド１０ｂの摩擦面に形成された溝
１０ｃとブレーキデイスク２の透孔２ａとの位置
関係は第６図に示すようになる。すなわち、前述
したように、溝１０ｃの間隔ｋは透孔２ａの直径
より小さくされているので、ブレーキデイスク
２の回動に伴い透孔２ａがブレーキパツド１０，
１０の間を通り抜ける間、当該透孔２ａは常時一
本以上の溝１０ｃと連通していることになり、そ
の結果、溝１０ｃを介して大気と連通することに
なる。従つて、従来のようにブレーキパツドによ
り両側を密閉された透孔内で空気が圧縮されるこ
とがないので、透孔２ａがブレーキパツド間を通
り抜けた瞬間に発生する音、即ち制動時の鳴きを
消失させることができる。

尚、本実施例においては、ブレーキパツドの溝
を縦方向に形成した場合について述べたが、これ
に限るものではなく、溝と溝との間隔が上記の条
件を満足するものであれば、いかなる方向に形成
しても上記実施例と同様の作用を生じさせる。

（考案の効果） 以上のように本考案によれば、透孔を有するブ
レーキデイスクと、このブレーキデイスクを挟ん
で互いに対向する一対のブレーキパツドとを備え
たデイスクブレーキ装置において、前記ブレーキ
パツドの摩擦面に相当数の溝を形成し、且つ隣り
合う溝と溝との間隔を前記ブレーキデイスクの透
孔の直径よりも小さくしたので、透孔は溝を介し
て常に大気と連通し、制動時の鳴きが防止され
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るデイスクブレーキ装置を
備えた自動二輪車の前部側面図、第２図はブレー
キパツドとブレーキデイスクとの相対位置関係を
示す断面図、第３図はブレーキデイスクの斜視
図、第４図及び第５図はブレーキパツドの正面図
及び上面図、第６図はブレーキパツドの溝とブレ
ーキデイスクの透孔との相対位置関係を示す図で
ある。 ２……ブレーキデイスク、２ａ……透孔、３…
…キヤリパ、９……デイスクブレーキ装置、１０
……ブレーキパツド、１０ｃ……溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 透孔を有するブレーキデイスクと、このブレー
   キデイスクを挟んで互いに対向する一対のブレー
   キパツドとを備えたデイスクブレーキ装置におい
   て、前記ブレーキパツドの摩擦面に相当数の溝を
   形成し、且つ隣り合う溝と溝との間隔を前記ブレ
   ーキデイスクの透孔の直径よりも小さくしたこと
   を特徴とするデイスクブレーキ装置。