JPH0143152Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、複数種類の材料を釜内で加熱調理
する場合に用いるカツター付斜軸撹拌機に関する
ものである。

〔従来の技術〕

従来、例えば実開昭59−138429号公報に示すよ
うに、斜軸撹拌機として、底部が半球状に形成さ
れた加熱釜内に電動機によつて回転される斜軸を
斜め上方から挿入し、この斜軸の先端部に前記釜
の形成内面に沿う円弧状の支持杆を固定し、この
支持杆に釜の内面に摺接する撹拌羽根を装着した
ものが用いられている。

このような斜軸撹拌機では、電動機によつて斜
軸を回転させることにより、支持杆を介し撹拌羽
根が回転し、釜内の食品材料を加熱しつつ撹拌、
混合し、食品材料の釜底部に沈んだ固形物も掬い
上げて撹拌している。

〔考案が解決しようとする問題点〕

前述のような斜軸撹拌機では、加熱釜の中央部
は撹拌羽根から離れているために、撹拌羽根の動
作中に食品材料の動きが悪く、十分な撹拌、混合
ができないという問題点があつた。

また、例えばスープ類を製造する場合など、食
品材料が水などの液体に野菜、肉類などの固形物
が混入したものであると、固形物を細かく切砕し
にくく均一な液状の食品を得ることが困難である
という問題点があつた。

この考案は、前述した問題点を解決して、加熱
釜の中央部でも食品材料の撹拌、混合が十分にで
き、また液体に混入している固形物を短時間で切
砕、混合して均一な液状またはベースト状の食品
が得られるカツター付斜軸撹拌機を提供すること
を目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案によるカツター付斜軸撹拌機は、底部
が半球状に形成された加熱釜内に一方の電動機に
よつて回転される斜軸を斜め上方から挿入し、こ
の斜軸の先端部に前記釜の底部内面に沿う円弧状
の支持杆を固定し、この支持杆に釜の内面に摺接
する撹拌羽根を装着すると共に、他方の電動機に
よつて高速回転される垂直なカツター軸を上方か
ら前記釜内に挿入し、カツター軸の先端部にカツ
ターブレードを設け、前記斜軸、支持杆および撹
拌羽根と、前記カツター軸およびカツターブレー
ドとを、これらの回転軌跡の非干渉位置に配設し
たものである。

〔作 用〕

この考案は、前述のように構成したことによ
り、カツターブレードが加熱釜のほぼ中央部で高
速回転され、このために斜軸に装着した撹拌羽根
のみでは動きが悪い前記釜の中央部での食品材料
の動きがよくなると共に、撹拌羽根とカツターブ
レードとで食品材料が複雑な動きをし、前記釜の
中央部でも食品材料の十分な撹拌、混合ができ、
また、釜のほぼ中央部でカツターブレードが高速
回転しているため、前述のように食品材料が複雑
な動きをすることと相まつて、撹拌羽根がない単
なるカツターに比べ、短時間で食品材料中の液体
に混入した野菜、肉類などの固形物を細かく切砕
することができる。

〔実施例〕

以下、この考案の一実施例につき図面を参照し
て説明する。

第１図、第２図において、１は加熱釜であり、
この釜１は半球状の底部１ａ上に円筒状部１ｂが
一体に形成され、底部１ａの外周側に蒸気室２が
形成され、この蒸気室２内に送込んだ蒸気によつ
て釜１内に食品材料が加熱されるように構成され
ている。

前記釜１の一側上方に減速機付の一方の電動機
３が配置され、この電動機３は釜１の外周面の一
部に固定されている。電動機３から回転力が伝達
される斜軸４が後述する釜蓋５が遊貫して釜１の
斜線と40゜程度傾斜して斜め上方から釜１内に挿
入されている。斜軸４の最先端部が釜１の底部１
ａ内面に設けた軸受６に支持され、斜軸４の先端
部には支持杆７の中央部が固定されている。支持
杆７は、釜１の底部１ａ内面に沿う半円以上の長
さの円弧状に形成され、支持杆７の外周側に突出
する撹拌羽根８が支持杆７の長手方向の複数個所
に装着されている。撹拌羽根８は、支持杆７に対
し左右非対称に配置され、斜軸４の１回転で釜１
の底部１ａ内面の全体が摺擦されるようになつて
いる。撹拌羽根８は、支持杆７の長手方向と交差
するように複数個所のものがそれぞれ数個の分割
片９に分割されている。分割片９は互いに密接し
て支持杆７にそれぞれ着脱可能に取付けられ、ナ
イロン系プラスチツクのような耐熱性と可撓性と
をもつ材質から構成されている。

前記釜蓋５は、釜１の上面開口を覆う平面円形
に半円形の２部材１０と１１とから構成され、こ
れらの部材１０，１１が釜蓋５の直径上で連接１
２されている。一方の部材１０に斜軸４が遊貫さ
れ、他方の部材１１で連接１２部で一方の部材１
０に対し上下方向に移動して開閉され、一方の部
材１０には投入口１３が設けられている。

一方の電動機３と円周方向に近接して他方の高
速回転する電動機１４が設けられ、電動機１４の
回転軸と一体に設けた垂直なカツター軸１５が釜
蓋５の一方の部材１０を遊貫して釜１内に挿入さ
れ、カツター軸１５の先端部にカツターブレード
１６が嵌合固定されて釜１内のほぼ中央部に配置
されている。なお、斜軸４、支持杆７および撹拌
羽根８と、カツター軸１５およびカツターブレー
ド１６とは、これらの回転軌跡が干渉しないよう
に互いに若干離して配置されている。カツターブ
レード１６は、第３図、第４図に示すように、ボ
ス部１６ａを内周部に固定した円板１６ｂと上、
下面に円周方向に沿う複数の円弧状刃１６ｃを相
互間隔を設けて軸方向に突設させた刃群１６ｄ
が、円板１６ｂの半径方向に複数組円心円状に相
互間隔を設けて配設されたものであり、円弧状刃
１６ｃには両端面に傾斜した刃面が形成されてい
る。

さらに、釜１外からセンサー取付管１７が垂直
に釜１内に挿入され、センサー取付管１７の先端
部には温度センサー１８が固定され、このセンサ
ー１８は釜１の底部１ａ内面に近接する位置に配
置されており、また釜１の底には電磁弁１９を有
する取出管２０が接続されている。なお、電動機
３および１４はインバーにより無段変速され、こ
れらによつて撹拌羽根８は50〜30r.p.m、カツタ
ーブレード１６は1000〜4000r.p.mの速度で回転
されるようにしてある。

以上のように構成された実施例のカツター付斜
軸撹拌機は、加熱釜１内の食品材料を蒸気によつ
て加熱しつつ電動機３，１４を駆動させると、電
動機３によつて斜軸４および支持杆７と一体的に
撹拌羽根８が回転すると共に、電動機１４によつ
てカツター軸１５とカツターブレード１６が回転
する。この場合に、撹拌羽根８は、食品材料中の
液体の下方に沈下した固形物を掬い上げて撹拌す
るので、大きな固形物も高速回転するカツターブ
レード１６にかけやすくなり、斜軸撹拌とカツタ
ーによる切砕、撹拌の相乗効果が得られ、水、
油、野菜、内類および調味料を前記釜１内に入れ
てスープやたれを製造するに当たり、野菜、肉類
のような固形物がカツターブレード１６の円弧状
刃１６ｃによつて短時間で細かく切砕され、均一
に混合される。そして、カツターブレード１６
は、前述したように円板１６ｂの上、下面に円心
円状に多数の円弧状刃１６ｃが穿設されているの
で、高速回転するとカツターブレード１６に接す
る液体が遠心力によつて跳ね飛ばされ、新たな液
体が吸込まれてこれに混在する固形物が剪断さ
れ、切砕効果が高いことにより、前述のような短
時間での切砕が可能となる。この実施例のカツタ
ーブレード１６は、円心円状に多数の円弧状刃１
６ｃを円板１６ｂの上、下面に突設したので、回
転時の抵抗が少なく動力も小さくすみ、しかも構
造が比較的簡単であり、使用後の洗浄も容易にで
きる。

なお、この考案において、斜軸の先端部に固定
した支持杆の内周側に撹拌用ボスを設けてもよ
く、カツターブレードは実施例のものに限られる
ことなく適宜変更できる。

〔考案の効果〕

以上説明したように、この考案によれば、斜軸
撹拌機に、垂直なカツター軸にカツターブレード
を設けたカツターを付設し、斜軸撹拌機の斜軸、
支持杆および撹拌羽根と、カツターのカツター軸
およびカツターブレードとを、これらが互いに接
触しない回転軌跡の相互非干渉位置に配設したこ
とにより、前記カツターブレードが加熱釜のほぼ
中央部で高速回転し、カツターブレードで食品原
料の液体中の固形物を効率よく剪断、粉砕でき、
短時間で固形物が微細化し、均一な液状またはペ
ースト状の食品を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案の一実施例によるカツター
付斜軸撹拌機を示す縦断面図、第２図は同平面
図、第３図はカツターブレードの縦断面図、第４
図は同平面図である。 １……加熱釜、１ａ……底部、２……蒸気室、
３……一方の電動機、４……斜軸、７……支持
杆、８……撹拌羽根、１４……他方の電動機、１
５……カツター軸、１６……カツターブレード、
１６ａ……ボス部、１６ｂ……円板、１６ｃ……
円弧状刃、１６ｄ……刃群。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 底部が半球状に形成された加熱釜内に一方の
   電動機によつて回転される斜軸を斜め上方から
   挿入し、この斜軸の先端部に前記釜の底部内面
   に沿う円弧状の支持杆を固定し、この支持杆に
   釜の内面に摺接する撹拌羽根を装着すると共
   に、他方の電動機によつて高速回転される垂直
   なカツター軸を上方から前記釜内に挿入し、カ
   ツター軸の先端部にカツターブレードを設け、
   前記斜軸、支持杆および撹拌羽根と、前記カツ
   ター軸およびカツターブレードとを、これらの
   回転軌跡の相互非干渉位置に配設したことを特
   徴とするカツター付斜軸撹拌機。 (2) カツターブレードは、円板の上、下面の少な
   くとも一方に、円周方向に沿う複数の円弧状刃
   を相互間隔を設けて突出させた刃群を、前記円
   板の半径方向に複数組同心状に配設してある実
   用新案登録請求の範囲第１項に記載のカツター
   付斜軸撹拌機。