JPH0142581B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は高周波加熱装置の加熱室の開口部に設
けた扉体の前面スクリーンの取付構造に関するも
のである。

従来例の構成とその問題点 従来の例えば第１図及び第２図に示す高周波加
熱装置の場合、本体の中に設けた食品を収納する
加熱室１と、マグネトロン及び高圧電源回路（図
示せず）を備え、食品をマグネトロンから発生す
る高周波により加熱する。

加熱室１の開口面２に対向する位置に扉体３を
横方向に開閉自在に取付け、閉扉時に扉側のドア
キーと本体側のフツク（図示せず）が係合し、扉
体３は開口面２に密着している。操作パネル４上
の開扉ボタン５を押すと、ドアキーとフツクの係
合が解除して扉が開く。

扉体３は、金属板を絞り加工した枠状の扉外枠
６と、金属製の扉中枠７がスポツト溶接により一
体に接合され塗装処理されている。扉中枠７には
表面処理を施した金属製の扉内枠８及び内側スク
リーン押え９が複数（10本程度）のネジ１０によ
り回定されている。扉内枠８と内側スクリーン押
え９は内側スクリーン１１の外周端部を挾持して
いる。内側スクリーン１１にはガラスやポリエス
テルフイルム等が使用されている。また内側スク
リーン８にはφ0.5〜φ3mm程度の小孔群を穿ち、
覗き窓を構成すると同時に電波漏れを防止してい
る。

一方扉体３の前面には外側スクリーン１２を保
持するスクリーン枠１３が扉外枠に取付けられて
いる。外側スクリーン１２はガラス又はアクリル
等の樹脂板から成り、スクリーン枠１３はABS
やポリエチレンテレフタレート等の樹脂から成つ
ている。スクリーン枠１３は図のように樹脂の弾
性を利用して爪等で引掛けられて取付けられてい
る。さらにスクリーン枠１３は、扉外枠６の外周
側壁に平行な壁面を有し、扉外枠６は完全にスク
リーン枠１３に覆われている。

扉外枠６と扉内枠８により形成される空間は電
波減衰溝１４で、櫛歯状のスリツト板１５と共
に、加熱室１からの電波漏れを防止している。

さらに扉体３の外周には、扉体３の開閉に支障
のない程度の距離（２〜３mm程度）の位置に、扉
体３の外周壁と平行に金属製の側壁の反射板１６
を設けている。図においては反射板１６は開口面
２を構成する金属板と一体に加工されている。

さらに前記電波減衰溝１４の入口には、ポリプ
ロピレンやポリエチレンテレフタレート、ポリフ
エニレンサルフアイド等の樹脂材料から成る枠状
の電波減衰溝カバー１７が配置されている。この
電波減衰溝カバー１７は扉内枠８の外周端により
押圧されている。

また１８は加熱室壁、１９は樹脂製の飾り枠、
２０は本体の外箱、２１はタイマ、２２は加熱ス
タートボタン、２３は加熱表示ランプをそれぞれ
示す。

以上のような構成の高周波加熱装置の扉体の場
合、その電波シール機能は、先ず、加熱室開口面
２と扉内枠８の接触により電波がシールされてい
る。ただし両者の接触といつても、少なくともい
ずれか一方はスパーク防止の為絶縁物による表面
処理が施されているが、この絶縁物の膜厚は非常
に薄く（200〜300μｍ程度以下）、高周波的には
導通状態と同等になるため電波がシールされるの
である。しかしながら、両者は最適状態で常に密
着しているわけではなく、常に凹凸やねじれによ
りわずかな隙間が生じ、この隙間から電波は外側
に漏れてくる。

しかし、扉体３に形成される電波減衰溝１４及
び櫛歯状のスリツト板１５により、加熱室１から
漏れてくる電波の大部分がここで遮断され、外側
には極めて僅かしか漏れてこない。この様な電波
シール機能により高周波加熱装置の電波漏れによ
る電波妨害、人体への悪影響、電子機器の誤動作
等の問題の発生を防止し安全性を確保している。

ところで、扉体３の電波シール性能は、様々な
要因により影響を受けるが、電波の通路の巾もそ
の要因の一つである。そこで、この電波の通路の
巾に注目してみると、扉外枠６の外周壁と、これ
に平行に扉体３の周縁に位置する反射板１６との
隙間ａと電波漏洩量との関係をみると、高周波出
力が600W、水負荷275c.c.の条件で第３図のように
なる。この図から、電波漏洩量は隙間ａに対して
直線的に変化するのではなく、ａが大きくなるほ
ど指数関数的に増加していることがわかる。すな
わち反射板１６を扉外枠６から離すほど電波シー
ル性能は悪くなるのである。実験結果ではａが２
mmから６mmと３倍になつた時、電波漏洩量は0.2
ｍｗ／cm²から0.8ｍｗ／cm²と４倍になつている。

さて従来の扉体３の構成においては、外側スク
リーン１２を保持する樹脂材料からなるスクリー
ン枠１３の外周壁が、扉外枠６の外周壁を覆う構
成であるため、スクリーン枠１３と扉外枠６との
隙間（約１mm）、スクリーン枠１３の厚さ（約２
mm）、扉体がスムーズに開閉するために必要なス
クリーン枠１３と反射板との隙間（約２〜３mm）
がそれぞれ必要な寸法であり、その合計は約５〜
６mmとなつてしまつている。当然、第３図で示す
ように、隙間ａに対する電波シール性能は非常に
悪く、加熱室開口面２と扉内枠８と密着性能に影
響を受けやすく、また扉体３の開閉に応動する発
振停止装置においては、扉体３の微少移動距離で
動作する複雑な機構が要求され、耐久性、信頼
性、生産性等の問題となつていた。

以上のように、扉体の前面に外側スクリーンを
設けることは、外観性能上、商品価値を高めるた
めに非常に有効な構造であるが、その反面、電波
シール性能及び発振停止装置の機構上問題が多く
あり、その解決手段が強く望まれていた。

発明の目的 本発明は上記従来の欠点を解消するもので、非
常に簡単な構成で、極めて安全性の高い扉体を備
えた高周波加熱装置を提供することを目的とす
る。

発明の構成 上記目的を達するために、本発明の高周波加熱
装置の扉体は、前面に外側スクリーンを備えるも
のにおいて、扉外枠の外周壁と、その周縁部に位
置させた反射板との隙間を極力小さくできる構成
であり、電波シール性能を一段と向上させること
により電波漏洩を確実に防止し、電波妨害や人体
への悪影響、電子機器の誤動作等の問題を解決し
て安全性を確保し、また発振停止装置の複雑な動
作機構を不要とすることによる信頼性の向上及び
生産性の向上等の効果を有するものである。

実施例の説明 以下、本発明の一実施例について、図面に基づ
いて説明する。同一部品は同一符号を付す。

第４図・第５図及び第６図において、食品を収
納して高周波加熱するための加熱室１と、加熱室
開口面２に対向し開閉自在に設けた扉体３と、金
属板を絞り加工し塗装処理をした枠状の扉外枠６
と、扉外枠６と一体にスポツト溶接により接合さ
れた後塗装処理された扉中枠７と、扉中枠のφ0.5
〜φ3mm程度の小孔群から成る覗き窓を覆う位置
に配置したポリエステル等の樹脂フイルムまたは
ガラスから成る内側スクリーン１１と、内側スク
リーン１１の外周端部を扉中枠７と共に挾持する
塗装処理をした金属製の扉内枠８と、扉内枠８を
扉中枠７に固定する複数（10本程度）のネジ１０
と、扉外枠６の前面に設けたガラスまたはアクリ
ル等の樹脂板から成る外側スクリーン１２と、こ
の外側スクリーン１２を保持するABSやポリエ
チレンテレフタレート等の樹脂から成るスクリー
ン枠１３と、扉外枠６と扉内枠８により形成され
る空間の電波減衰溝１４と、金属製で、扉外枠に
スポツト溶接されている櫛歯状のスリツト板１５
と、扉外枠６の外周壁の周縁部に位置する金属製
の反射板１６と、電波減衰溝１４の入口を覆いポ
リプロピレンやポリエチレンテレフタレートまた
はポリフエニレンオキサイド等の樹脂材料から成
る電波減衰溝カバー１７と、加熱室壁１８と、
ABS等の樹脂材料から成る飾り枠１９と、本体
の外箱２０から構成されている。

前記扉体３の前面に配置した外側スクリーン１
２は、その外周端をスクリーン枠１３の一部で係
止されて保持されており、またスクリーン枠１３
は複数の係止用爪１３ａにより扉外枠６の切欠き
部に係合している。さらには、扉外枠６の外周壁
は露出しており、加熱室開口面２と一体に形成さ
れた金属製の側壁の反射板１６と対向している。

一方前記スクリーン枠１３の外形は、扉外枠６
の外周壁と略同一形状とし、かつ、スクリーン枠
１３の外周壁と扉外枠６の外周壁とは略同一平面
となる構成であり、また、スクリーン枠１３の最
外周壁で、扉外枠６に対向する面１３ｂを、扉外
枠６前面の平面部に接する面１３ｃよりも高くす
る構成である。

以下上記構成における作用について説明する。
加熱室１に発生する高周波は、加熱室開口面２と
扉内枠８との接触及び電波減衰溝１４とスリツト
板１５の組み合わせによる３種類の電波シール機
能により、外部にはほとんど電波が漏れない構造
となつている。

しかしながら、扉体３の前面にアクリル等の樹
脂板やガラスから成る外側スクリーン１２を備
え、外観性能を向上させて商品価値を高めようと
した場合、扉外枠６の外周壁と反射板１６との隙
間ａは、従来の構成では大きく（５〜６mm程度）
なつてしまつたが、本実施例では２mm程度に小さ
くできる。第３図の実験結果でもわかるように、
隙間ａを小さくすることは、電波シール性能を非
常に向上させることになり安全性が高まる。

また、スクリーン枠１３と扉外枠６の外周部で
の接合の状態は、第５図からよくわかるように、
扉外枠６は金属板材の絞り加工により形成するた
め外周コーナー部には必ず曲率Ｒがつく。このコ
ーナー部をスクリーン枠１３の外周壁で覆いかく
し、扉外枠６とスクリーン枠１３は略同一平面を
構成し接合部の隙間を小さくして一体感を出し、
外観性能を向上させている。本実施例では、スク
リーン枠１３は係止用爪１３ａで扉外枠６に密着
する構成であるため、スクリーン枠１３と扉外枠
６の接合部の外観性能は従来の構成と全く同じも
のが得られている。

このように本実施例によれば、簡単な構成で、
扉前面に外側スクリーンを備えた高周波加熱装置
を提供することができると共に、扉外枠と反射板
の距離を小さくし、電波シール性能を一段と向上
させるという効果を有する。

発明の効果 以上のように本発明によれば次の効果を得るこ
とができる。

(1) 電波シール性能が一段と向上するため、電波
漏れによる電波妨害、人体への悪影響、電子機
器の誤動作等の問題の発生を防止し安全性を確
保できる。

(2) 電波の発振を停止する装置（扉スイツチ）の
扉の開閉に対する応動性能を特に敏感にしなく
ても、発振停止装置の断寸前における電波漏洩
量を十分低く抑えることができるので、扉の微
小移動距離で動作する複雑な機構が必要でなく
なり、簡素化できるので、信頼性、耐久性、生
産性等が向上する。

(3) スクリーン枠と加熱室開口面との距離が離れ
るため、長時間の加熱等で加熱室内が熱くなつ
ても、スクリーン枠の温度は従来ほど上昇しな
いため、樹脂材料の耐熱性を一ランク落とした
り、他のグレードへの変更も可能となり、コス
トダウンが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の高周波加熱装置の外観斜視図、
第２図は第１図における扉体の要部断面図、第３
図は扉外枠と反射板との距離と電波漏洩量の関係
を示す図、第４図は本発明の一実施例である高周
波加熱装置の扉体のスクリーン枠の係止爪部の断
面図（第６図の切断線Ａ−A′で切つた断面図）、
第５図は第４図における要部拡大断面図、第６図
は扉体のスクリーン枠の係止爪部の内部斜視図で
ある。 １……加熱室、２……加熱室開口面、３……扉
体、６……扉外枠、１２……外側スクリーン、１
３……スクリーン枠、１４……電波減衰溝、１６
……反射板。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 食品を収納する加熱室と、前記加熱室に高周
   波を給電する高周波発生装置と、前記加熱室の開
   口部周縁に対向する位置に電波減衰溝を構成する
   金属製の扉外枠と、前記扉外枠の前面を覆う外側
   スクリーンと、前記外側スクリーンを保持する樹
   脂材料からなるスクリーン枠と、前記扉外枠の外
   周壁の周縁で本体側に設けた金属側壁とを備え、
   前記扉外枠の外周壁は前記スクリーン枠にて覆わ
   れることなく、露出した状態で前記金属側壁と対
   向する高周波加熱装置。