JPH0138720B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、回転翼航空機、ことに回転翼羽根を
支柱に連結する回転翼ハブ装置に関する。

クリサツプ（Cresap）等を発明者とする米国
特許第3652185号明細書に示してあるように機械
的摩耗及び故障を減らすためにヘリコプタ回転翼
ハブ内の金属対金属の軸受の代りに従来エラスト
マー質軸受が使われている。しかしエラストマー
質軸受を協働させた回転翼ハブは回転翼羽根の進
み−遅れ（lead−lag）運動に適応してこれと同
時に回転翼羽根の進み−遅れ（lead−lag）振動
を減衰させることが必要である。

ヘリコプタ羽根わく継手は、羽根に取付けられ
わくの端部から内方に延びる羽根つかみと、この
つかみの内方部分とわくの外方端部分との間に取
付けたエラストマー質羽根持軸受とを備え、遠心
力を羽根からわくに伝えると共に羽根ピツチ変化
及び進み−遅れ運動に適応するようにしてある。

本発明によれば回転翼羽根の回転面内
（inplane）の運動（横方向の運動）に対しては柔
軟な連結部を形成すると共に回転面外（out−of
−plane）の運動（上下の運動）に対してはこれ
を防止する剛性な連結部を形成するエラストマー
質の減衰パツドを備えた進み−遅れ減衰器２２
を、羽根保持軸受３８の内方側において、わく１
４と羽根つかみ３０との間に位置させて、羽根ピ
ツチ運動と、羽根保持軸受のまわりの進み−遅れ
枢動運動を許容すると共に、前記回転面外の荷重
に反作用を及ぼして回転翼羽根の進み−遅れ振動
を減衰させる。

以下本発明によるヘリコプタ羽根−わく継手の
実施例を添付図面について詳細に説明する。

第１図は本発明ヘリコプタ羽根−わく継手を備
えた回転翼ハブ装置１０を示す。ヘリコプタ（図
示していない）の回転翼支柱１２は連結支柱ナツ
ト１６によりわく１４を支える。わく１４は内方
部分１８及び外方部分１９を持つ一体の羽ばたき
たわみ部を備えている。わく１４内は、羽ばたき
たわみ部を貫いてわく１４に沿い縦方向に延びる
内部穴２０を形成してある。

わく１４には各部分１８，１９の領域で進み−
遅れ減衰器２２を内部穴２０に交さして連結して
ある。減衰器２２は、ボルト２８によりわく１４
に固定した各減衰器柱２６により支えた減衰器橋
架部材２４を備えている。

二又部材の形の羽根つかみ３０は羽根３２に羽
根ボルト３４により連結してある。羽根つかみ３
０の一体部分である軸３６はわく１４の内部穴２
０内に配置してある。

羽根つかみ３０は羽根３２の遠心力をわく１４
に羽根保持軸受３８を介して伝える。羽根保持軸
受３８内には、進み−遅れ運動と羽根ピツチ変化
運動の一部とに適応する球形のエラストマー質部
片４０と、わく１４に対して羽根３２のピツチ軸
線のまわりの回転の残りの部分を許容する円すい
形のエラストマー質部片４２とを設けてある。

軸３６の内方端部には、進み−遅れ減衰器２２
を貫通するトラニオン４６を設けてある。ピツチ
ホーン（ピツチ操作レバー）４８は、ボルト５２
によりトラニオン４６に連結したクランプ部分５
０を備えている。

羽根保持軸受３８は第２図及び第３図詳しく例
示してある。球形のエラストマー質部片４０は円
すい形エラストマー質部片４２から軸受座板５４
により隔離してある。座板５４は、球形エラスト
マー質部片４０向いた側の球形面と、円すい形エ
ラストマー質部片４２に向いた側の円すい面とを
備えている。球形エラストマー質部片４０にはそ
の球形内面に沿い球形軸受板５６の接着しピン５
８により軸３６に連結してある。円すい形エラス
トマー質部片４２の外方端側の面は、軸受アダプ
タ取付具６２にボルト６４により連結した円すい
形軸受板６０に接着してある。１対のボルト６
６，６６により軸受アダプタ取付具６２をわく１
４に連結してある。円すい形の穴６８は、球形軸
受板５６、球形エラストマー質部片４０、軸受座
板５４、円すい形エラストマー質部片４２及び円
すい形軸受板６０を貫通している。穴６８は各エ
ラストマー質部片４０，４２の変形を許容する空
間を形成する。

進み−遅れ減衰器２２は第２図及び第４図に詳
しく示してある。減衰器橋架部材２４は、わく１
４の上面を横切つて延び減衰器柱２６により支え
てある。わく１４の下面においては、減衰器橋架
部材７０が、内部穴２０を横切つて延び、減衰器
柱７２によつて支えられている。各減衰器柱２
６，７２は減衰器橋架部材２４，７０と共に、ボ
ルト２８によりわく１４に締付けられ保持してあ
る。わく１４は、進み−遅れ減衰器２２の内部に
延びるわく止め部片７６を備えている。

減衰器橋架部材２４は、その下面の一部を覆う
境界板８０をはめ込んだ縦方向みぞ穴７８を形成
してある。わく１４の下側の減衰器橋架部材７０
も又、境界板８０を隣接して配置したみぞ穴８２
を形成してある。上部減衰パツド８６は境界板８
０に接着してある。下部減衰パツド８８は同様に
境界板８４に接着してある。

進み−遅れ減衰器２２内でトラニオン４６のま
わりにスリーブ９０を取付けてある。スリーブ９
０の外面とエラストマー質軸受座板９４とに円筒
形エラストマー質部片９２を接着してある。エラ
ストマー質軸受座板９４の外面に、軸受ケース９
８に外面を接着した部分球形エラストマー質部片
９６を接着してある。エラストマー質軸受座板９
４は、各エラストマー質部片９２，９６に組合う
円筒形内面及び球形外面を備えている。さらに軸
受ケース９８は部分球形エラストマー質部片９６
を受入れる球形内面を備えている。

接着板１００はその上側を軸受ケース９８に接
合され、又接着板１００自体は減衰パツド８６に
接着してある。同様に接着板１０２は、軸受ケー
ス９８の下部領域に接合され減衰パツド８８に接
着してある。

軸受ケース９８の各横側部には、わく止め部片
７６に出会うように整合させたエラストマー質遅
れ止め部片１０４を設けてある。各止め部片７
６，１０４により軸３６及びトラニオン４６が過
度に横移動しないようにし又進み−遅れ緩衝器２
２を損傷しないようにする。

次に回転翼ハブ装置１０の作用を第１図、第２
図、第３図及び第４図について述べる。回転翼ハ
ブ装置１０は、羽根３２により生ずる遠心力を支
柱１２に伝える装置になる。さらにハブ装置１０
は、羽根３２の所望のツチを羽根保持軸受３８の
まわりの羽根３２の進み−遅れ運動と羽根３２の
進み−遅れ運動の減衰と回転羽根３２に対する必
要な羽ばたき作用とを選択するピツチ制御装置に
なる。

羽根３２により生ずる遠心力は羽根つかみ３０
からわく１４に羽根保持軸受３８を経て伝わる。
とくに第２図及び第３図に明らかなように羽根つ
かみ３０は遠心力を球形軸受板５６に伝える。軸
受板５６はエラストマー質部片４０，４２を円す
い形軸受板６０に対し圧縮する。わく１４は軸受
板６０に軸受アダプタ取付具６２を介して固定し
てある。従つてわく１４は羽根３２により生ずる
遠心力を受ける。わく１４自体は支柱１２に固定
してある。

羽根３２はその進み−遅れ運動の際に羽根保持
軸受３８のまわりに枢動する。この進み−遅れ作
用より球形エラストマー質部片４０及び円すい形
エラストマー質部片４２が受けるせん断力を生ず
る。変形に必要な空間はつかみ３０内にその内面
に沿い又円すいの穴６８内に形成してある。球形
エラストマー質部片４０及び円すい形エラストマ
ー質部片４２は球形軸受板５６及び軸受座板５４
の間のせん断作用でたわむ。エラストマー質部片
はこれ等の各金属板５４，５６に接着してある。

ピツチホーン４８はヘリコプタ操縦装置により
駆動され軸３６及び羽根つかみ３０を羽根ピツチ
線のまわりに回動し羽根３２を所望のピツチに設
定する。わく１４に対するつかみ３０のピツチ運
動はエラストマー質部片４０，４２により適応す
る。両エラストマー質部片４０，４２は軸受板５
６，６０間のねじりせん断作用に反作用を生じて
この運動に適応する。

羽根３２の進み−遅れ振動の際の運動を制御し
この振動の自然周期を減らすには、減衰作用を生
じて遅れヒンジすなわち軸受３８内の枢動点のま
わりの羽根３２の運動に反作用を及ぼす必要があ
る。この減衰作用は第２図及び第４図について詳
述した進み−遅れ減衰器２２により生ずる。軸３
６は内方側でトラニオン４６まで細くなつてい
る。トラニオン４６は、進み−遅れ減衰器２２を
貫通しピツチホーンクランプ部分５０まで延びて
いる。減衰器２２内でトラニオン４６は、円筒形
エラストマー質部片９２に接着したスリーブ９０
に接合してある。羽根３２のピツチ軸線のまわり
のトラニオン４６の回動はエラストマー質部片９
２，９６のせん断作用によつてできる。各エラス
トマー質部片９２，９６はそれぞれエラストマー
質接着座板９４に接着してある。部分球形エラス
トマー質部片９６は軸受ケース９８に接着してあ
る。すなわちトラニオン４６の回動により各エラ
ストマー質部片９２，９６にせん断力を生ずる。
各エラストマー質部片９２，９６は、ヘリコプタ
操縦装置により駆動したときに軸を回転させる。

減衰器２２により生ずる進み−遅れ減衰作用は
減衰パツド８６，８８によつて得られる。各パツ
ド８６，８８は軸受ケース９８の接着板１００，
１０２と、それぞれ減衰器橋架部材２４，７０に
連結した境界板８０，８４との間に連結してあ
る。羽根３２が遅れヒンジすなわち軸受３８のま
わりに枢動すると、軸受ケース９８が横方向に動
かされ各減衰パツド８６，８８にせん断力を加え
る。各エラストマー質パツド８６，８８は、弾性
遅れ力の加わつた後軸受ケース９８をその中央位
置に押しもどすことによつて応答する。各減衰パ
ツド８６，８８は粘弾性を持つエラストマーから
作つてある。振動的せん断運動のもとで粘弾性材
料は、羽根保持軸受３８内の枢動点のまわりの羽
根３２の振動を減衰させるヒステリシスを示す。

若干の条件のもとでは羽根３２は回転翼円板の
平面内で過度に移動する。この過度の運動は、進
み−遅れ減衰器２２内のわく止め部片７６に対す
るエラストマー質遅れ止め部片１０４の衝撃によ
り吸収する。各遅れ止め部片１０４は軸受ケース
９８の各側に配置され羽根３２による各方向の過
度の運動を吸収する。

前記したエラストマー質部片は、天然ゴム又は
ロード・カイネマテイツクス（Lord
Kinematics）社製のBTRのようなエラストマ
ーと鋼又はステンレス鋼のような金属の層との交
互の層から成つている。これ等のエラストマー層
の厚みはたとえば0.040inであるが金属層の厚み
はたとえば0.025inである。エラストマー層及び
金属層は互に接着してある。

以上本発明をその実施例について詳細に説明した
が本発明はなおその精神を逸脱しないで種々の変
化変形型を行うことができるのはもちろんであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明ヘリコプタ羽根−わく継手の１
実施例を備えた回転翼ハブ装置を一部切欠いて示
す斜視図、第２図は第１図の回転翼ハブ装置を一
部を軸断面にして示す拡大斜視図、第３図は第１
図の回転翼ハブ装置のヘリコプタ回転翼進み−遅
れヒンジの拡大縦断面図、第４図は第１図の回転
翼ハブ装置のヘリコプタ回転翼進み−遅れ減衰器
の拡大断面図である。 １４……わく、１８……内方部分、１９……外
方部分、２２……進み−遅れ減衰器、３０……羽
根つかみ、３２……羽根、３８……羽根保持軸
受、８６……減衰パツド。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ (イ) わく１４の端部の内方に延び、羽根３２
   に取り付けられた羽根つかみ３０と、 (ロ) 前記羽根つかみ３０と前記わく１４との間に
   取付けられ、前記羽根３２から前記わく１４に
   遠心力を伝えると共に、羽根ピツチ変化と、羽
   根保持軸受のまわりの羽根の進み−遅れ運動と
   を許容するエラストマー質の羽根保持軸受３８
   と、 (ハ) この羽根保持軸受の内側において前記羽根つ
   かみ３０の内側端部に取付けられた軸受ケース
   ９８の上方及び下方に配置され、前記わくに取
   付けられた減衰器橋架部材２４，７０と、 前記軸受ケース９８と前記減衰器橋架部材２
   ４，７０との間に取付けられ、前記羽根の回転
   面内の運動によるせん断に対しては低い弾性値
   を有すると共に、前記羽根の回転面に直角方向
   の運動による圧縮に対しては高い弾性値を有
   し、前記羽根の回転面内の運動対しては柔軟で
   あると共に前記羽根の回転面に直角方向の運動
   に対しては剛性である連結部を前記わくと前記
   羽根つかみの内側端部との間に形成するエラス
   トマー質の減衰パツド８６，８８と、 から構成される進み−遅れ減衰器２２と、 (ニ) 前記進み−遅れ減衰器２２より回転翼の回転
   中心の近くに位置し、前記わく１４の一部を形
   成し、前記進み−遅れ減衰器２２とは別に羽根
   羽ばたき運動を許容する、たわみ性をも持つ内
   方部分１８と、 を包含するヘリコプタ羽根−わく継手。 ２ 前記エラストマー質の羽根保持軸受３８と、
   前記進み−遅れ減衰器２２との間に延びる前記わ
   く１４の一部を、前記わく１４の羽ばたき方向の
   たわみを許容するたわみ性の外方部分１９により
   構成した特許請求の範囲第１項記載のヘリコプタ
   羽根−わく継手。