JPH0138563Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、レンズ鏡筒に設けられた距離調節環
のプリセツト機構に関する。

スポーツなどの動体を特定の撮影距離とこれ以
外の撮影距離で撮影する場合、距離調節環を予め
設定した上記特定の撮影距離で停止させるクリツ
クストツプ機構を設けておくと、迅速な焦点合せ
を行なうことができ非常に便利である。特に、焦
点距離が長く、絞り込んでも被写界深度を深くす
ることができない超望遠レンズほど、この機構の
必要性は高い。

このような距離調節環のプリセツト機構の従来
例を第１図、第２図に示す。１１はレンズの固定
鏡筒、１２はこの固定鏡筒１１に回動可能に嵌合
させた距離調節環で、これを回動することにより
フオーカシングレンズが移動する。このフオーカ
シングレンズと距離調節環１２との連動機構は周
知であり、また本考案の問うところではないので
説明を省略する。１３は距離調節環１２の外周に
添着した化粧リングである。

固定鏡筒１１にはさらに距離調節環１２と隣接
させて係止位置設定環１４が回動可能に嵌合され
ており、この係止位置設定環１４には固定鏡筒１
１との相対回動を阻止するための半径方向の固定
ねじ１５が螺合している。そしてこの係止位置設
定環１４と距離調節環１２の対向面には、係止位
置設定環１４側に圧縮ばね１６によつて距離調節
環１２側に付勢されたプリセツトクリツクボール
１７が支持され、また距離調節環１２側にこのク
リツクボール１７を受け入れるプリセツトクリツ
ク溝１８が形成されている。

したがつてこの従来装置は、固定ねじ１５を緩
め、係止位置設定環１４を距離調節環１２に対し
相対回動させてクリツクボール１７とクリツク溝
１８を係合させると、係止位置設定環１４は距離
調節環１２と一体に回動する。この状態において
距離調節環１２を回動させて所望の撮影距離に焦
点調節を行ない、その後固定ねじ１５によつて係
止位置設定環１４を固定鏡筒１１に固定すると、
その撮影距離がクリツクボール１７によつてプリ
セツトされる。すなわち距離調節環１２を、固定
されている係止位置設定環１４に対し回動させて
クリツク溝１８をクリツクボール１７から離脱さ
せ、別の撮影距離で撮影を行なつても、再びクリ
ツク溝１８がクリツクボール１７に嵌入する位置
迄係止位置設定環１４を回動させれば、プリセツ
トした撮影距離迄瞬時に距離調節環１２を回動す
ることができる。

このクリツクストツプ機構は、１）自由な撮影
距離にクリツクストツプを設定することができ
る、２）クリツクストツプのプリセツト位置より
近距離側からも遠距離側からも同じようにクリツ
クストツプさせることができる、３）クリツクス
トツプの解除を自由に行なうことができる、等の
長所を備えているが、反面クリツクストツプ重さ
が固定されている、という欠点があつた。

この欠点についてさらに説明する。前述のよう
にこの種のプリセツト機構は、特定の撮影距離と
これ以外の撮影距離で撮影する場合に便利である
が、クリツクストツプを設定した撮影距離と他の
撮影距離とを頻繁に変更して撮影する場合には、
距離調節環の回転トルクのむらを少なくするため
にクリツクストツプ重さは軽い方がよい。

一方長時間露出などで、露出中にピント位置が
ずれないように撮影距離を固定化したい場合に
は、クリツクストツプ重さは重い方がよい。

また周囲の温度が変化すると、距離調節環１２
と固定鏡筒１１との間に介在している潤滑油の粘
度が変化し、このため距離調節環１２の回転トル
クが変化するが、このときは回転トルクの変化に
応じてクリツクストツプ重さも調節できることが
望ましい。

本考案は、従来のこの種プリセツト機構の上記
長所はすべて備え、さらにクリツクストツプ力を
撮影者の必要に応じ変化させることができる装置
を目的になされたもので、クリツク溝を設けるべ
き、距離調節環と係止位置設定環のいずれか一方
の環状部材に、前後方向に移動可能にクリツクス
トツプ力調節部材を支持し、このクリツクストツ
プ力調整部材に、前後方向に位置を異ならせて、
それぞれ上記クリツク部材と異なる係止力で係合
可能な複数のクリツク溝を形成したことを特徴と
している。

以下図示実施例について本考案を説明する。第
３図ないし第６図は本考案の実施例を示すもので
第１図、第２図の従来装置と同一の構成要素には
同一の符号を付している。固定鏡筒１１に回動可
能に嵌めた係止位置設定環１４は距離調節環１２
の下側に延びる内筒部２０を一体に有しており、
この内筒部２０に穿設した半径方向孔２１にクリ
ツクボール２２が嵌められ、かつこのクリツクボ
ール２２は、内筒部２０内壁に固定ビス２３によ
つて固定した板ばね２４によつて半径方向外方に
突出するように付勢されている。

他方距離調節環１２には、このクリツクボール
２２に係合可能な三個のクリツク溝２５，２６，
２７を有するクリツクストツプ力調節部材２８が
前後方向（光軸と平行な方向）に移動可能に支持
されている。すなわち距離調節環１２にはその切
欠３０の両側に光軸と平行な案内突起３１，３１
が形成されており、クリツクストツプ力調節部材
２８にはこの案内突起３１，３１に摺動可能に係
合する溝３２，３２が形成されている。上記クリ
ツク溝２５，２６，２７は、前後方向に位置を異
ならせて設けた円錐孔からなり、かつこれらの深
さ（大きさ）は第３図、第４図の左方から順に大
きくなつている。３３はクリツクストツプ力調節
部材２８に形成した摺動操作用のローレツトであ
る。

またクリツクストツプ力調節部材２８と距離調
節環１２の摺動対向面には、クリツクストツプ力
調節部材２８の前後方向位置を規制するクリツク
ストツプ機構３５が設けられている。このクリツ
クストツプ機構３５は、クリツクストツプ力調節
部材２８側に、上記クリツク溝２５，２６および
２７に対応させて同一の大きさの円錐状のクリツ
ク溝３６を形成し、また距離調節環１２側に、こ
れらのクリツク溝３６と係合可能なクリツクボー
ル３７を圧縮ばね３８により付勢して支持したも
のである。

上記構成の本プリセツト機構は、距離調節環１
２とクリツクストツプ力調節部材２８とは回動方
向には常に一体に回動する。そしてクリツクスト
ツプ力調節部材２８のクリツク溝２５，２６，２
７のいずれかに係止位置設定環１４側のクリツク
ボール２２が嵌入している状態で、かつ固定ねじ
１５が緩んでいる状態では、板ばね２４による係
止力によつて距離調節環１２と係止位置設定環１
４とは一体に回動する。

以上は従来のプリセツト機構と実質的に異なる
ところはなく、距離調節環１２を回動させて撮影
距離の設定を行なつた後、固定ねじ１５を締めて
係止位置設定環１４を固定すると、その撮影距離
をプリセツトすることができる。

プリセツト力を変更するには、クリツクストツ
プ力調節部材２８を前後方向に移動させてクリツ
クボール２２に係合するクリツク溝を変えればよ
い。いま、第３図ないし第５図に示すようにクリ
ツクストツプ力調節部材２８の一番浅いクリツク
溝２５にクリツクボール２２が嵌入している状態
を考えると、クリツク溝２５は一番浅い故にクリ
ツクボール２２を離脱させるために要する距離調
節環１２の回転トルクが最も小さい。クリツク溝
２６，２７はクリツク溝２５より段々深くなるた
めに、クリツクボール２２を離脱させるに要する
距離調節環１２の回転トルクが大きくなる。すな
わちクリツクストツプ力調節部材２８を最も前方
に摺動させて２７をクリツクボール２２に嵌入さ
せたときが最もクリツクストツプ力が大きく、以
下クリツク溝２６，２５にクリツクボール２２を
嵌入させた状態の順にクリツクストツプ力が小さ
くなる。第６図は真中のクリツク溝２６にクリツ
クボール２２を嵌入させた状態を示している。

クリツクストツプ機構３５は、クリツクボール
２２が必ずクリツク溝２５，２６または２７に嵌
入できる位置に、クリツクストツプ力調節部材２
８を保持する作用をするから、設定したクリツク
ストツプ力が不用意に変化したり、クリツクボー
ル２２がいずれのクリツク溝にも嵌入できない位
置にクリツクストツプ力調節部材２８が移動した
りするおそれをなくすことができる。

クリツク溝２５，２６，２７は、要するにクリ
ツクボール２２との係止力が異なり、クリツクボ
ール２２を離脱させるに必要な距離調節環１２の
回転トルクを変化させるものであればよいから、
実施例のように円錐状の孔の深さを変える他、テ
ーパ角度等の形状を変化させてもよい。

上記実施例は、係止位置設定環１４側にクリツ
クボール２２を設け、距離調節環１２側にクリツ
クストツプ力調節部材２８を設けたものである
が、係止位置設定環１４の前後方向長さを大きく
することができれば、両者の関係を逆にしても同
様の作用を得ることができる。

以上のように本考案のクリツクストツプ機構に
よれば、クリツクストツプ力調節部材の位置を前
後方向に調節し、異なるクリツク溝をクリツク部
材に係合可能とするだけで、クリツクストツプ力
を調節することができるから、撮影者の意図、周
囲温度の変化等に対応して適切なクリツクストツ
プ力を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の距離調節環のクリツクストツプ
機構の例を示す要部の平面図、第２図は第１図の
−線に沿う断面図、第３図ないし第６図は本
考案の実施例を示すもので、第３図は要部の平面
図、第４図、第５図はそれぞれ第３図の−
線、−線に沿う断面図、第６図は第４図とは
異なる作動状態を示す第４図と同様の断面図であ
る。 １１……固定鏡筒、１２……距離調節環、１４
……係止位置設定環、１５……固定ねじ、２０…
…内筒部、２２……クリツクボール、２４……板
ばね、２５，２６，２７……クリツク溝、２８…
…クリツクストツプ力調節部材、３５……クリツ
クストツプ機構。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) レンズの固定鏡筒に距離調節環と係止位置設
   定環とをそれぞれ回動可能に嵌め、この距離調
   節環と係止位置設定環のいずれか一方にクリツ
   ク溝を形成し、他方にこのクリツク溝側に移動
   付勢されたクリツク部材を支持し、さらに上記
   係止位置設定環を固定鏡筒に対し任意位置で固
   定する固定手段を設けたレンズ鏡筒の距離調節
   環のプリセツト機構において、上記クリツク溝
   を設けるべき環状部材に、前後方向に移動可能
   にクリツクストツプ力調節部材を支持し、この
   クリツクストツプ力調整部材に、前後方向に位
   置を異ならせて、それぞれ上記クリツク部材と
   異なる係止力で係合可能な複数のクリツク溝を
   形成したことを特徴とするレンズ鏡筒の距離調
   節環のプリセツト機構。 (2) 実用新案登録請求の範囲第１項において、ク
   リツクストツプ力調節部材とこれを支持した環
   状部材との間には、該クリツクストツプ力調節
   部材を、上記各クリツク溝がクリツク部材と係
   合できる位置に保持するクリツクストツプ機構
   が設けられているレンズ鏡筒の距離調節環のプ
   リセツト機構。