JPH0138257Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は水温検知器等に連結される自動車の冷
却水用配管のエア抜き構造に関するものである。

エンジンの冷却水の一部を水温検知器に供給し
て冷却水温の検出を行なうには、ラジエータから
エンジンに冷却水を導く主配管に２本の分岐配管
を連結し、これらの分岐配管の一方を水温検知器
への冷却水の供給用とし、また他方を水温検知器
から主配管への冷却水の還流用としている。この
ような冷却水用配管においては、分岐配管の途中
にエアが溜ると分岐配管中の冷却水の流量が大幅
に減少し、水温検知器の作動不良を生じる。これ
は、分岐配管中の水流が弱いためエアを押し出す
だけの力がないからである。このため、従来は２
本の分岐配管のそれぞれにその最高部付近にエア
抜きキヤツプを設け、このエア抜きキヤツプから
適宜、エアを放出させて分岐配管中の冷却水流量
を確保していた。

しかしながら、上述した従来の冷却水用配管の
エア抜き構造においては、主配管内の冷却水の一
部を水温検知器に供給するための分岐配管と水温
検知器を通過した冷却水を主配管に還流させるた
めの分岐配管の双方にそれぞれエア抜きキヤツプ
を設けなければならない。したがつて、エア抜き
キヤツプの取付け個数が増大すると共に、エア抜
きキヤツプが２個必要であり、更にエア抜き作業
を２回行わなければならないという問題があつ
た。

本考案の目的は、１個のエア抜きキヤツプのみ
によつて２本の分岐配管中のエア抜きを可能とす
る自動車の冷却水用配管のエア抜き構造を提供す
ることにある。

この目的を達成するために、本考案の自動車の
冷却水用配管のエア抜き構造は、主配管から水温
検知器に冷却水の一部を供給する分岐配管と、水
温検知器を通過した冷却水を主配管に還流させる
分岐配管との最高部付近を細管によつて互いに連
結し、これらの両分岐配管のうちのより高位置に
ある分岐配管の最高部付近にエア抜きキヤツプを
設けて構成されている。

このような構成を有する本考案の自動車の冷却
水用配管のエア抜き構造では、エア抜きキヤツプ
が設けられていない分岐配管中のエアはその最高
部付近に連結された細管を通つてエア抜きキヤツ
プが設けられた分岐配管中に移動し、この分岐配
管中のエアと混合してエア抜きキヤツプ付近に溜
る。すなわち、エア抜きキヤツプが設けられたよ
り高位に位置する分岐配管中にしかエアは溜らな
いから、エア抜きキヤツプを開放することによ
り、双方の分岐配管中のエアを一度にすべて抜く
ことができる。

これにより、本考案の自動車の冷却水用配管の
エア抜き構造によれば、一回のエア抜き作業によ
つて２本の分岐配管中のエア抜きが同時に行い得
るから、エア抜き作業が容易になると共に、エア
抜きキヤツプの取付け工数の減少とエア抜きキヤ
ツプの部品点数の削減とを達成することが可能に
なる。

以下に、本考案の一実施例を図面を参照して説
明する。

主配管１はラジエータ（図示せず。）からの冷
却水をＡ方向へ案内しエンジン（図示せず。）へ
送る。主配管１の側壁には冷却水の取り出しパイ
プ２が溶接等によつて固定され、取り出しパイプ
２はゴムホース３を介してパイプ２より高所のパ
イプ４に連結されている。そしてパイプ４はゴム
ホース５を介してパイプ４より低所にある冷却水
の供給パイプ６に連結され、供給パイプ６は水温
検知器７の流入口７ａに溶接等によつて固定され
ている。ここで、取り出しパイプ２、ゴムホース
３、パイプ４、ゴムホース５、供給パイプ６によ
つて水温検知器７への冷却水供給用の分岐配管が
構成され、この分岐配管中、パイプ４が最高部に
位置する。

一方、水温検知器７の流出口７ｂには排出パイ
プ８が溶接等によつて固定され、排出パイプ８は
ゴムホース９を介して排出パイプ８より高所のパ
イプ１０に連結されている。そして、パイプ１０
はゴムホース１１を介してパイプ１０より低所の
冷却水の還流パイプ１２に連結され、還流パイプ
１２は取出しパイプ２よりも下流側の主配管１の
側壁に溶接等で固定されている。ここで、排出パ
イプ８、ゴムホース９、パイプ１０、ゴムホース
１１、還流パイプ１２によつて水温検知器７から
主配管１への冷却水還流用の分岐配管が構成され
る。そして、この分岐配管中でパイプ１０が最高
部に位置すると共に、パイプ１０はパイプ４より
も高い位置に配される。図中、Ｂ，Ｃはパイプ４
とパイプ１０の溶接個所を示す。

そして、パイプ４とパイプ１０とは細管１３に
よつて連通されている。パイプ１３はパイプ４、
パイプ１０に直角に接続され、溶接されている。
そして、パイプ４、１０のうち高所にあるパイプ
１０には、常時はエア抜きキヤツプ１４で閉寒さ
れたエア抜き口１５が設けられている。このエア
抜きキヤツプ１４は手または工具等により取外し
可能である。なお、図中符号１６はパイプとゴム
ホースの接続部に装着される水漏れ防止用のクリ
ツプを示す。

つぎに上記の実施例の装置における作用につい
て説明する。

主配管１内をＡ方向に流れる冷却水の一部は取
出しパイプ２内に流入し、取出しパイプ２、ゴム
ホース３、パイプ４、ゴムホース５内をＤ方向へ
流れて供給パイプ６から水温検知器７に流れる。
そして、水温検知器７内を通過した冷却水は排出
パイプ８、ゴムホース９、パイプ１０、ゴムホー
ス１１内をＥ方向に流れて、還流パイプ１２から
主配管１内に戻る。

ここで、主配管１から水温検知器７へ冷却水を
供給する分岐配管中にエアが混入した場合には、
そのエアはこの分岐配管中で最高部に位置するパ
イプ４内に溜る。そして、パイプ４内に溜つたエ
アはその浮力により自動的に細管１３を通つてパ
イプ１０内に移動する。

一方、パイプ１０は水温検知器７から主配管１
に冷却水を還流させる分岐配管中で最高部に位置
するから、パイプ１０内にはこの分岐配管中のエ
アが溜り、細管１３から移動したエアと混合して
エア抜き口１５付近に滞留する。

ここでエア抜きキヤツプ１４を取外せばパイプ
１０内のエアがすべて大気中に排出され、パイプ
１０とパイプ４の内部にはエアが残留しない。

以上説明したように、本考案の自動車の冷却水
用配管のエア抜き構造によれば、一方の分岐配管
にのみエア抜きキヤツプを取付けることにより、
双方の分岐配管中のエアを同時に抜くことができ
るから、エア抜き作業が容易化すると共に、従来
に比べてキヤツプとエア抜き孔の部品点数が１個
となり、それだけ製作工数も削減するという効果
を得る。

また、分岐配管中のエアを確実に抜くことがで
きるから、流速が小さいエンジンの低回転時にも
分岐配管中の冷却水流れを確保することが可能と
なり、水温検知器の応答性が向上するという効果
が得る。

更に、エアを抜く分だけ冷却水を増量すること
ができるからエンジンの冷却性能が向上すると共
に、確実なエア抜きにより分岐配管中に冷却水が
滞留することが防止されるからリザーバタンタ内
の水量の減りが少なくなるという効果を得る。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の一実施例に係る自動車の冷却水用
配管のエア抜き構造の全体斜視図である。 １……主配管、２……取出しパイプ、３……ゴ
ムホース、４……パイプ、５……ゴムホース、６
……供給パイプ、７……水温検知器、８……排出
パイプ、９……ゴムホース、１０……パイプ、１
２……還流パイプ、１３……細管、１４……エア
抜きキヤツプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンに冷却水を導く主配管に２本の分岐配
   管を連結し、該両分岐配管の端部を水温検知器に
   連結し、前記両分岐配管の最高部付近を細管によ
   つて互いに連結すると共に、前記分岐配管のうち
   のより高位置にある分岐配管の最高部付近にエア
   抜きキヤツプを設けたことを特徴とする自動車の
   冷却水用配管のエア抜き構造。